【運転資金調達方法】個人事業主の生活費は運転資金に含まれる?

2023年9月14日

個人事業主の場合、運転資金なのか生活費なのかの区別が不明瞭になりがちです。事業収入が減少すると生活費に影響するため、借入を検討する場合もあるでしょう。しかし、金融商品によっては資金使途が決まっているため、生活費の借入を考えている場合は注意が必要です。

当記事では「個人事業主の生活費は運転資金に含まれるのか?」について詳しく解説するとともに、個人事業主が生活費を借入したいときの方法や運転資金を調達したいときの方法を紹介します。

個人事業主の生活費は運転資金として融資を受けられるのか?

個人事業主の生活費と運転資金について理解する上で、まず融資における資金使途について説明します。資金使途とは、融資を受ける際の資金の使い道のことです。事業融資の場合、資金使途を「事業資金に限る」としています。

事業資金とは、創業時や事業運営に必要な資金のことを指し、開業資金や設備資金、運転資金などが該当します。運転資金に含まれるのは、あくまで事業用資金に限ります。そのため、生活費を運転資金に含めることはできません。

借入を申し込むと、審査段階で資金使途を聞かれます。事業資金で申し込んだものを生活費に回すなど資金使途と異なるものに使ってしまうと、信用を失い、今後の融資に悪影響を与える可能性が出てきます。最悪の場合、即時全額返済を求められるケースもありますので、資金使途をしっかりと理解して利用しましょう。

個人事業主が生活費を借入したいときの方法

個人事業主が生活費を借り入れる方法はいくつかありますが、ここでは2つの方法をピックアップして紹介します。

不動産担保ローン

不動産担保ローンは、不動産を担保にすることで借入できるローン商品です。戸建てやマンション、土地など幅広い不動産を担保にすることができます。不動産を担保とするため、低金利かつ高額な借り入れをすることも可能です。

不動産担保ローンは資金使途に制限がないため、生活費はもちろん、事業資金や納税資金など幅広いニーズに対応しています。

生活福祉資金貸付制度

生活福祉資金貸付制度は、低所得者や高齢者、障害者を経済的に支えることを目的とした融資制度です。地域の社会福祉協議会を通して利用します。原則的には保証人を立てる必要がありますが、保証人なしでの申込も可能です。

無利子(保証人がいる場合)または年1.5%(保証人がいない場合)で借り入れすることができるので、収入が低く生活が厳しい人は検討すべき融資制度といえます。

ただし、この制度は低所得者向けであり、「必要な資金を他から借り受けることが困難な世帯」などと貸付対象が定められています。生活が苦しい人を助けることが目的であり、ある程度の資金がある方は対象とならないため注意してください。

個人事業主が運転資金を調達したいときの方法

個人事業主が運転資金を調達したいときの方法を8つ紹介します。資金調達方法によって内容が異なるため、しっかりと理解した上で検討してください。

銀行融資

銀行融資は、低金利かつ高額の資金を借り入れることができるのが特徴です。ただし、審査は厳しい傾向にあります。とくに個人事業主は法人と比べて経営リスクが高いと判断されることが多く、安定的な業績を出していない場合は資金調達のハードルは高いといえます。

銀行融資を検討している方は、信用保証協会を利用することをおすすめします。信用保証協会は中小企業・個人事業主の円滑な資金調達を目的に設立された公的機関です。信用保証協会から保証を受けることで、融資が受けやすくなります。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、国が100%出資している政府系金融機関です。新たな事業の創出を支援し、日本経済の成長・発展に貢献することを目的としており、中小企業や個人事業主に対して積極的に融資を行っています。

政府系金融機関なので、金利が低めに設定されているのが特徴です。ただし、融資の種類によっては担保や保証人が不要なケースもあります。

ビジネスローン

ビジネスローンは、法人や個人事業主を対象とした事業資金専用ローンです。銀行以外にも信販会社、クレジットカード会社、消費者金融などが取り扱っています。ビジネスローンは一般的な融資と比べて資金調達スピードが速いのがメリットです。

ただし、金利相場は10〜18%と他の融資と比べると高い傾向があるので、利用する際はしっかり計画を立てましょう。

制度融資

制度融資とは、地方自治体・民間金融機関・信用保証協会の3機関が連携して実施している融資のことです。自治体と信用保証協会が協力することで銀行融資が受けやすくなるという仕組みで、事業者が円滑に事業運営できるよう支援しています。

ただし、制度融資では3機関が審査に関わってくるため、その分手続きの手間と時間を要する点に注意が必要です。資金が必要なタイミングを考慮した上で計画的に利用しましょう。

補助金・助成金

補助金・助成金は、国や地方自治体が提供している支援制度であり、事業の取り組みにかかる費用の一部を補助してくれます。財源は主に税金や雇用保険料で、返済の必要がないのがメリットです。

補助金・助成金の内容・条件は、支援目的や地域によって異なります。自身の事業内容に合致するものがないかを確認し検討してください。また、政策や社会情勢などに応じて新しい補助金や助成金が更新されています。申込期限を逃さぬように、常に情報をチェックしましょう。

ファクタリング

ファクタリングは、期日前の売掛債権を売却することで資金を調達できるサービスです。売掛先の信用情報をもとに審査するため、自社の業績が悪い場合でも利用が可能で、審査スピードも速いというメリットがあります。最短即日から5日間ほどで資金調達が可能です。

ファクタリングを利用するには、ファクタリング会社に手数料を支払わなければいけません。ファクタリングの手数料相場は1〜30%です。計画的に利用しないと、逆に資金繰りが悪化する可能性があるため注意が必要です。

手数料は提供会社によって異なるため、十分に注意して検討する必要があります。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の第三者に事業内容や商品をプレゼンし、賛同者から資金を募る仕組みです。クラウドファンディングのメリットは、誰でも資金調達することが可能という点です。

銀行などの融資は、実績が少ないと審査に通過できない可能性があります。しかし、クラウドファンディングは賛同者を集めることができれば、実績を問わず資金調達することが可能です。また、クラウドファンディングを利用することで、会社やサービスを知ってもらえるきっかけとなったり、商品を開発すべきかどうかの判断材料となったりするなど、副次的な効果も期待できます。