預り金とは?勘定科目の意味や仕訳方法をわかりやすく解説

2026年7月18日

企業や個人事業主が経理処理を行う際、「預り金」という勘定科目を使用する場面があります。しかし、売上や経費とは異なる性質を持つため、正しく理解していないと仕訳を誤る原因になりかねません。

預り金は会社が一時的に他人のお金を預かっている状態を表す勘定科目です。従業員の給与から天引きした税金や社会保険料などが代表例として挙げられます。

この記事では、預り金の意味や具体例、仕訳方法、立替金との違いについて詳しく解説します。

預り金とは

預り金とは、企業が一時的に第三者のお金を預かっている状態を記録するための勘定科目です。

企業自身の収益ではなく、後日別の相手へ支払う義務があるお金を管理する際に使用されます。

会計上では負債に分類されます。なぜなら、預かっているお金はいずれ返還または納付する義務があるためです。

例えば従業員の給与から源泉所得税を差し引いた場合、その税金は会社のものではなく、後日税務署へ納付しなければなりません。このような場合に預り金勘定を使用します。

預り金に該当する主なもの

預り金として処理される代表的なものにはさまざまな種類があります。

源泉所得税

給与や報酬を支払う際、所得税を天引きして納付する制度があります。

企業は従業員や外部専門家から税金を預かっている状態となるため、納付するまでの間は預り金として処理します。

住民税

特別徴収制度を利用している場合、従業員の給与から住民税を差し引きます。

この住民税も会社の収入ではなく、自治体へ納付するための資金であるため預り金となります。

社会保険料

健康保険料や厚生年金保険料の従業員負担分も預り金に該当します。

給与から控除した後、会社負担分と合わせて年金事務所などへ納付します。

一時的な預かり金

取引先や従業員から一時的に現金を預かった場合にも預り金を使用することがあります。

ただし内容によっては他の勘定科目を使用するケースもあるため注意が必要です。

預り金の仕訳例

預り金の具体的な処理方法を確認してみましょう。

給与から源泉所得税を控除した場合

給与総額30万円、源泉所得税1万円を控除して支払ったケースを考えます。

給与支給時の仕訳は次のようになります。

借方:給与手当 300,000円

貸方:現金預金 290,000円

貸方:預り金 10,000円

この時点では税務署へ納付していないため、預り金として計上します。

その後、税務署へ納付した際には次の仕訳を行います。

借方:預り金 10,000円

貸方:現金預金 10,000円

これにより預り金残高が消滅します。

預り金はなぜ負債になるのか

預り金は会社が自由に使えるお金ではありません。

一時的に会社口座へ入金されていても、本来の所有者は従業員や税務署、自治体など別の相手です。

企業には将来的な支払義務があるため、会計上は負債として貸借対照表に計上されます。

売上として計上してしまうと利益が過大に表示されてしまうため注意が必要です。

預り金と立替金の違い

経理初心者が混同しやすい勘定科目に「立替金」があります。

両者は似ていますが性質が異なります。

預り金は他人のお金を会社が預かっている状態です。

一方、立替金は本来相手が負担すべき費用を会社が先に支払っている状態を表します。

例えば従業員に代わって交通費を支払い、後日精算を受ける場合は立替金になります。

つまり、

預り金は「預かるお金」

立替金は「立て替えるお金」

という違いがあります。

預り金の管理で注意するポイント

預り金は一時的な勘定科目であるため、長期間残高が残らないよう管理することが重要です。

特に源泉所得税や住民税は納付期限が決まっています。

納付漏れが発生すると延滞税や加算税などのペナルティが発生する可能性があります。

また、決算時に預り金残高が異常に大きい場合は仕訳ミスがないか確認する必要があります。

毎月残高をチェックし、納付済みのものが残っていないか確認することが大切です。

個人事業主でも預り金は発生する

預り金は法人だけでなく個人事業主にも関係があります。

例えば、従業員を雇用している個人事業主が給与から所得税を天引きした場合には預り金を使用します。

また、税理士やデザイナーなど外部専門家へ報酬を支払う際の源泉所得税についても預り金処理が必要になる場合があります。

そのため、法人・個人を問わず基本的な理解が求められる勘定科目です。

預り金が多額になる場合の注意点

預り金残高が大きくなると、一見すると手元資金が豊富にあるように見えることがあります。

しかし、その資金は将来的に納付や返還が必要なお金です。

実際の運転資金として自由に使えるわけではありません。

資金繰り管理を行う際には、預り金を除いた実質的な資金残高を把握することが重要です。

特に成長企業では社会保険料や税金の預り額が大きくなるため注意が必要です。

まとめ

預り金とは、企業が一時的に第三者のお金を預かっている状態を記録するための勘定科目です。源泉所得税や住民税、社会保険料などが代表的な例であり、会計上は負債として処理されます。

会社の収益ではなく将来的に納付や返還する義務があるため、売上や雑収入として計上しないよう注意が必要です。

また、立替金とは性質が異なり、預り金は「預かったお金」、立替金は「立て替えたお金」という違いがあります。

正しい経理処理と適切な残高管理を行うことで、税務リスクや資金繰り上のトラブルを防ぐことができるでしょう。