売掛金なしでも利用できる?ファクタリングの新しい可能性

2025年9月1日

ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却し、早期に資金を調達する仕組みです。通常は、売掛金があることが前提となりますが、「売掛金なしでもファクタリングは利用できるのか?」という疑問を持つ方もいるかもしれません。

売掛金なしでは基本的に利用不可

一般的なファクタリングは、企業がすでに取引先に対して商品やサービスを提供し、その対価として発生した売掛債権を対象に行われる資金調達手法です。つまり、将来的に入金される予定の売掛金が存在していることが前提となります。この売掛債権をファクタリング会社に譲渡することで、企業は入金を待たずに現金を受け取ることができ、資金繰りの改善や運転資金の確保に役立てることができます。

しかしながら、売掛金がまったく存在しない場合、ファクタリングの利用は非常に難しくなります。ファクタリング会社は、債権の実在性やその回収可能性を重視して審査を行うため、売掛債権がない状態では、そもそも審査の対象にならないケースがほとんどです。売掛金がないということは、将来的な入金の根拠がないということになり、ファクタリング会社にとってはリスクが高すぎると判断されてしまうのです。

そのため、売掛金がない状態でファクタリングを利用したい場合は、通常の方法ではなく、特殊な契約形態や業種に対応したファクタリングサービスを検討する必要があります。

例外的なケースも存在する

ただし、すべてのケースで売掛金が必要というわけではなく、業種や契約の内容によっては、売掛債権に準ずる将来的な収益見込みを根拠に資金調達が可能となる場合もあります。これは、通常のファクタリングとは少し異なる形態で、特定の業界や契約条件に応じて柔軟に対応されることが多いです。

たとえば、医療機関では、診療報酬という形で将来的に支払われる公的保険からの入金が見込まれているため、それを債権として扱い、ファクタリングの対象にすることができます。この診療報酬ファクタリングは、医療機関が安定した収益を得ていることが多く、ファクタリング会社にとっても比較的リスクが低いと判断されるため、利用しやすいサービスのひとつです。

また、建設業界では、請負契約に基づいて工事が進行している場合、契約書に記載された支払いスケジュールや完成後の入金予定をもとに、将来的な収益を見込んだファクタリングが行われることがあります。このようなケースでは、契約の信頼性や発注元の信用力が重要な審査ポイントとなり、売掛金が発生していなくても、資金調達が可能になることがあります。

このように、売掛金が存在しない場合でも、業種特有の収益構造や契約内容をもとにしたファクタリングの活用が広がっており、企業の資金繰りを支える新しい選択肢として注目されています。

まとめ

売掛金が存在しない場合、一般的なファクタリングの仕組みを利用するのは基本的に難しいとされています。ファクタリングは、すでに発生している売掛債権を譲渡することで資金を得る方法であるため、債権がない状態ではその前提が成り立たないからです。特に、売掛金がまったく発生していない創業初期の企業や、現金取引が中心の業態では、通常のファクタリングサービスの利用は制限されることが多いです。

しかしながら、すべてのケースが一律に不可というわけではなく、業種や契約形態によっては例外的に対応可能なケースも存在します。たとえば、医療機関や介護事業者が将来的に受け取る診療報酬や介護報酬を対象にしたファクタリング、あるいは建設業における請負契約に基づく支払い予定など、売掛金に準ずる収益見込みがある場合には、ファクタリング会社が柔軟に対応してくれる可能性があります。

こうした特殊なケースでは、契約書の内容や取引先の信用力、業界の慣習などが審査の重要なポイントとなります。そのため、資金調達を検討している企業は、まずは専門のファクタリング会社に相談し、自社の業態や契約内容に応じた最適な方法を見つけることが非常に重要です。単に「売掛金がないから無理」と諦めるのではなく、状況に応じた選択肢を探ることで、思わぬ資金調達の道が開けるかもしれません。