ファクタリングと建設業の相性がいい理由とは?
2025年1月7日
資金調達方法のひとつとしてあげられるのが「ファクタリング」です。
ファクタリングは、売掛債権を売却することにより、事前に現金化できる資金調達方法です。
建設業は工事の受注から入金までの期間が長いために、資金が足りなくなる場面も多いでしょう。
この記事では、ファクタリングと建設業の相性について、よい理由や利用における注意点を解説します。
ファクタリングは、特に建設業界では利用度が高いといえますが、相性がよいからです。
建設業とファクタリングの相性がよいのは、業界特有ともいえる請負契約が関係しています。
建設業とファクタリングの相性
ファクタリングは、特に建設業とは相性がよいといえます。
その理由として、次の9つが挙げられます。
1.必要な前金を準備できる
2.大型契約を結びやすくなる
3.すぐに手元のお金を増やせる
4.赤字でも利用できる
5.倒産リスクを回避できる
6.企業評価を下げない
7.支払期間が調整できる
8.短期の資金ニーズに対応できる
9.建設業振興基金の保証制度が利用できる
それぞれの理由を説明します。
1.必要な前金を準備できる
建設業とファクタリングの相性がよい理由として、売掛金が支払われるまでに必要な「前金」も、ファクタリングなら準備しやすいことが挙げられます。
建設業界は目的物が完成した後に報酬が支払われる請負契約のため、完成まで報酬は支払われません。
さらに発注者から元請け、元請けから下請けへと仕事が依頼される「重層下請構造」による契約となります。
工事を発注した元請けから一部代金の前払いはされたとしても、基本は「後払い」なので売掛金が発生します。
そのため、人件費・機材費・下請けから孫請けへと仕事を依頼するための外注費など、手元の資金だけで賄うことができないケースも少なくありません。
このようなときでも、工事が完了した後で受け取る予定の報酬をファクタリング会社に売却し、前倒しで現金として受け取ることができます。
2.大型契約を結びやすくなる
建設業がファクタリングを利用することで、大型契約を結びやすくなります。
本来なら、目的物完成後の完成物と引き換えに、それまでの工事代金が支払われます。
しかし、数千万円や数億円規模の工事では、その工事にかかるすべての費用を立て替えることは困難です。
そのため、代金の一部が前金として支払われることもあるといえますが、次の下請けに工事を依頼するときも同じく、前金を渡さなければなりません。
このような場合でも、ファクタリングを利用すれば、外注する費用を賄うことができるため、大口契約も受けやすくなるでしょう。
ファクタリングを使って複数の現場を円滑化させることにより、受注可能数を増やし事業拡大に繋げることも可能です。
3.すぐに手元のお金を増やせる
ファクタリングを使えば、すぐに手元のお金を増やすことができることは、建設業と相性がよい理由として挙げられます。
建設業では突発的に仕事の依頼が入ることもめずらしいことではありませんが、工事内容によっては予定外の外注が発生することもあります。
しかし、手元の資金が不足していれば工事を請け負うことができず、せっかくのビジネスチャンスを逃してしまいます。
突発的に受注したい仕事が発生したとき、資金面で断らなければいけないことはもったいないことです。
このような場合でも、ファクタリングを使えばスピーディに資金を調達できるため、受注したい仕事を請け負うことができます。
4.赤字でも利用できる
融資を受けることができない建設会社でも、ファクタリングなら審査に通りやすく、赤字でも利用できます。
建設業者が資金調達する手段として選ぶのは銀行からの融資が一般的であるものの、赤字経営のケースも多いため審査に通らず借入れできないことも少なくありません。
しかしファクタリングなら、銀行融資を受けることができない建設業者でも、売掛金を保有していれば資金調達の方法として活用できます。
5.倒産リスクを回避できる
ファクタリングは償還請求権なしのノンリコース契約であることが一般的であるため、利用後に売掛先が破綻したため売掛金が回収できなくても、利用業者が弁済義務を負うことはありません。
上場している大手の建設会社が元請なら、簡単に経営が破綻してしまうことはないでしょう。
しかし建設業界は重層下請構造であるため、2次・3次と下請けとして業務を請け負う建設業者が存在します。
直接の元請けが上場企業なら安心できても、中小規模の会社が元請けの場合、破綻により売掛金が未払いで回収できなくなる可能性は否定できません。
仮に破綻しなかったとしても、工期が遅れ売掛金の入金も遅延してしまう可能性も考えられます。
ファクタリングなら、売掛金を先に現金化させることができる上に、万一回収できなかったときの保全効果も得ることができます。
6.企業評価を下げない
手元の運転資金が必要なとき、銀行やノンバンクでお金を借りれば負債を増やすことになり、高利の借入れがあれば企業評価は下がります。
しかしファクタリングなら負債を増やさないため、企業価値を下げません。
貸借対照表上の印象を落とす心配がないため、資金調達後に銀行融資を検討している場合でも審査で不利になることはありません。
企業経営では決算書の貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)の見た目が大事であり、会計書類に記載される数字が銀行融資の審査可否を左右します。
決算書に記載されている負債(借入金)や、売上高と利益によっては、審査が通らず融資を受けることができない可能性があります。
ファクタリングなら、借金を増やさないため決算書を汚すことはありません。
7.支払期間が調整できる
建設業で支払いが行われるサイトは2~3か月は当たり前であり、その間に入金がない状態が続きます。
ファクタリングなら、仮に仕事量が減ってしまった時期でも支払サイトを調整し、入金を早期で受け取る方法として活用できるでしょう。
建設業者の万一に備えるセーフティネットとしての役割も期待されるといえます。
8.短期の資金ニーズに対応できる
手元に資金がない場合、銀行からお金を借入れて調達することはできても、それほど長期間ではないケースもあります。
このような場合にも、ファクタリングは有効な資金調達の方法として活用できます。
特に複数の現場を抱えている建設業者の場合、保有する売掛金を2社間ファクタリングで売却し、業務運営のコストに充て立ち回ることにも使えます。
9.建設業振興基金の保証制度が利用できる
ファクタリングが建設業と相性がよく、ファクタリング会社にとっても建設業者は契約したい相手です。
その理由として、次の3つが挙げられます。
・買い取ることとなる売掛金が大きく大口契約になりやすい
・建設業の取引は元請けの規模などからみたときリスクが低い
・一般財団法人建設業振興基金によるファクタリング契約保証事業がある
この中で、一般財団法人建設業振興基金とは、資格取得に向けた研修・就職・キャリアアップなど、建設業を様々な角度から支援する団体です。
他にも建設業者を対象にして、資金援助や保証業務なども行っています。
元請けからの工事代金を保証することから、ファクタリング契約の保証業務などもその1つであり、建設業者にとってメリットとなる活動が行われています。
ファクタリング会社も安心して利用者と契約を結ぶことができるため、建設業の利用者もファクタリングを申し込みやすくなります。
まとめ
ファクタリングは建設業の資金調達手段として有効であるのは、建設業界特有ともいえる重層下請構造と請負契約が関係しています。
仕事の規模や金額が大きいため、発生している売掛金が期日どおり入金されなければ、たちまち事業継続が難しくなることも少なくありません。
しかしファクタリングであれば、そのような資金繰りを円滑にし、発注先からの業務依頼にもすぐにこたえることができます。
また、ファクタリング会社にとっても、建設業との契約はいろいろなメリットがあります。
もし手元の資金が不足している場合や、資金繰りが悪化しているなどで悩んでいるのなら、ファクタリングで資金調達することをおすすめします