事業資金が借りやすくなるポイントと借りやすい金融機関をご紹介
2023年4月25日
事業資金を借りる方法は銀行融資だけではなく種類がいくつもありますが、資金の借りやすさ、審査の通りやすさは金融機関によって違います。
より借りやすい順にランキングするなら、以下のようになるでしょう。
1位 ノンバンク
2位 信用金庫・信用組合
3位 日本政策金融公庫
4位 地方銀行
5位 大手銀行
傾向として、金利が高いほど審査はゆるく、金利が低くなれば審査も厳しくなると考えてください。
この記事では、上記の金融機関それぞれの借りやすさについて、さらにくわしく解説していきます。
まず最初に、
■ 事業資金が借りやすい金融機関ランキング
■ それぞれの金融機関の特徴
■ それぞれの金融機関で融資を受けるメリット・デメリット
を、比較表をまじえて説明します。
さらに、
■ 事業資金をより借りやすくする3つのポイント
も挙げました。
最後まで読めば、きっとあなたも「自分の場合、どの金融機関を選べば借りやすいか」がわかるはずです。
この記事で、あなたが無事に事業資金を調達できるよう願っています。
事業資金が借りやすい金融機関ランキング
事業資金の借り入れができる金融機関は、銀行、ノンバンク、信用金庫など数多くあります。
が、どの金融機関でも簡単に借りられるわけではありません。
ご存じのように、金融機関ごとに融資審査があり、それに通らなければ借り入れできません。
そこで、金融機関の種類ごとに、「審査の通りやすさ」「借りやすさ」という面から順位付けをしてみました。
金融機関選びの参考にしてください。
ランキング1位|ノンバンク
まず、もっとも借りやすく、審査のハードルが低いのはノンバンクです。
ノンバンクとは、金融機関の中でも預金業務を行わず、融資だけに特化した消費者金融などの業者です。
では、なぜノンバンクが借りやすいのでしょうか?
それは、金利が高いからです。
融資審査の厳しさは、金利の高さと反比例しています。
・金利が低い=審査が厳しい
・金利が高い=審査が甘い
というのも、融資には貸し倒れリスクがあるからです。
金融機関からすれば、もし融資した相手が返済できなくなったり倒産したりすれば、融資額分は自分の損害になります。
そこで、そのリスク分を含めて金利を設定します。
つまり、貸し倒れリスクが高い相手には高い金利で、貸し倒れリスクが低い相手には低い金利で貸し付けるのです。
逆に言えば、
■低い金利で貸し付ける金融機関は、貸し倒れリスクが低い相手にしか貸さない=審査が厳しい
■高い金利で融資する金融機関は、貸し倒れリスクが高い相手にも貸してくれる=審査が甘い
ということになります。
ノンバンク、特に消費者金融は、金利上限18%程度のところが多く、ほかの金融機関よりも高い率になっています。
銀行などでは融資を受けられない企業にも、高金利で融資を行うことで、多くの顧客を集めているのです。
ちなみにノンバンクには、借りやすいというメリット、金利が高いというデメリット以外にも、メリットデメリットがあります。
以下を参照して、利用するかどうかを検討しましょう。
<メリット>
・審査が厳しくない
・無担保、無保証で融資を受けられる
・即日~数日で融資を受けられる
<デメリット>
・融資限度額が低い
・金利が高い場合がある
・ノンバンクから借り入れをすると、銀行などからは融資を敬遠される恐れがある
ランキング2位|信用金庫・信用組合
ノンバンクの次に借りやすいのは、信用金庫や信用組合です。
というのも、信組・信金は銀行などのように営利を第一に追求するのではなく、地域経済の活性化、地域振興を目的としているからです。
地域住民との相互扶助を大切にしているため、地域密着型の地元企業やベンチャー企業、個人事業主などにも親身に対応してくれて、融資の相談も気軽にできます。
銀行よりは少し金利が高いですが、その分審査のハードルは下がります。
「大手銀行や地銀では融資を断られた」という場合でも、信金なら借りられるケースもありますので、アタックしてみるといいでしょう。
借りやすさ以外に、信金・信組のメリットデメリットは以下の通りです。
融資を申し込む前に確認してください。
<メリット>
・小規模な企業やベンチャー企業にも親身に対応してくれる
・地域振興を目指しているので地元企業が取引しやすい
・地方自治体の制度融資にもくわしい
<デメリット>
・融資限度額が比較的低い
・銀行よりも金利が少し高めである
・審査に日数がかかる
ランキング3位|日本政策金融公庫
3番目に借りやすいのは、日本政策金融公庫です。
こちらは政府系金融機関なので、さまざまな点で民間の金融機関とは違いがあります。
まず、事業を営む人ならどんな人でも申し込めるよう、さまざまな融資制度が用意されています。
たとえば、
・新規開業資金:新たに事業を始める人、または事業開始後おおむね7年以内の人向け
・一般貸付:事業を営む人であればほとんどの業種向け
・再挑戦支援資金:廃業歴などがあって、また新たに事業を始める人、または事業開始後おおむね7年以内の人向け
・女性、若者/シニア起業家支援資金:女性、35歳未満、55歳以上で、新たに事業を始める人、または事業開始後おおむね7年以内の人向け
・海外展開・事業再編資金:海外展開を図る人向け
・IT活用促進資金:情報化投資を行う人向け
・事業承継・集約・活性化支援資金:事業を承継する人向け
・ソーシャルビジネス支援資金:社会的課題の解決を目的とする事業を営む人向け
などです。
事業規模も、小規模事業者、個人事業主、中小企業まで幅広く受け入れていますので、どんな事業者であっても自分が申し込めるものが見つかるでしょう。
金利も非常に低く抑えられていて、担保があれば0.3%から、無担保でも0.66%から借りられます。
ただ、低金利であることと、国が管轄する金融機関であるため、審査は比較的厳しいと言われています。
その他のメリットデメリットも勘案して、申し込みを検討してください。
<メリット>
・金利が低い
・創業支援制度が充実している
・事業についてのアドバイスも得られる
・無担保、無保証でも融資が受けられる
<デメリット>
・面談が重視されるので入念な準備が必要
・審査がやや厳しい
・審査に日数がかかる
ランキング4位|地方銀行
地方銀行は、都市銀行と比べて地域に密着した金融機関です。
地域住民や地元企業にとっては、ときには大手銀行よりも親しみを感じる存在ともなっています。
お金の相談にも気軽にのってくれるので、中小企業や個人事業主にとっては頼りになる味方と言えるでしょう。
同じく地域密着型の信用金庫と比べると、金利も低く融資限度額は大きいので、大口の融資を希望する人にはとても借りやすい融資元です。
ただ審査の面では、金利が低いぶん信用金庫よりも多少ハードルは上がります。
また、その地域を出ると、支店の数が極端に少なくなるので、「いずれは成長して全国展開したい」など地域を出ることを考えている企業にとっては、長く取引するには不便かもしれません。
その他、メリットデメリットがありますので、以下を確認してから融資申し込みしてください。
<メリット>
・地域内に支店が多い
・地域密着型で地元企業へのサービスが厚い
・信用金庫より金利が低く、融資限度額が大きい
<デメリット>
・審査に日数がかかる
・審査はやや厳しい
・地域を離れると支店が少ない
ランキング5位|大手銀行
最後に、もっとも借りにくいのが大手銀行です。
メガバンクをはじめとする大手銀行は、他の金融機関と比べて非常に豊富な資金源をもち、信用度の高い上場企業などと取引しています。
そのため、金利を低く設定することができていますが、中小企業やベンチャー、個人事業主などにとっては審査のハードルは高いといえるでしょう。
信用保証協会の保証付き融資であれば、ハードルは下がりますが、銀行が直接企業に貸し付けるプロパー融資はもっとも審査が厳しく借りにくいものです。
「それでも、低金利であるなら申し込んでみたい」という人は、以下に挙げるメリットデメリットを踏まえた上で検討してみましょう。
<メリット>
・金利は比較的低い
(1%未満の低金利で借りられることもある)
・銀行融資の審査に通ると企業の信用度が上がる
・申し込みの際に必要な書類が少ない
<デメリット>
・中小企業は審査に通りにくい場合がある
・審査が厳しい
・審査に日数がかかる
借りやすさだけで判断するのは要注意!
上記を見れば、事業資金が借りやすい金融機関はどこかはわかりましたよね。
ですが、ちょっと待ってください。
借りやすさ、審査の甘さだけで資金の調達先を決めるのは危険です。
というのも、前述したように、借りやすいところは金利が高いからです。
特にノンバンクの金利、上限18%というのは、実際に支払うことになれば大変な負担です。
安易に借り入れる前に、支払いシミュレーションをしてみるなど、返済計画について慎重に検討する必要があります。
そのリスクを踏まえた上でがおすすめしたいのは、
・日本政策金融公庫
・地方銀行
です。
地方銀行は、中小企業や個人事業主でも親身に融資相談にのってもらえますし、金利もノンバンクと比べるとはるかに低いです。
日本政策金融公庫は、なんといっても金利の安さが魅力といえます。
事業資金をより借りやすくする3つのポイント
事業資金の借りやすさは、金融機関によって差があることがわかりました。
ただ、同じ金融機関に申し込むにしても、より借りやすくなる、審査に通りやすくなるポイントがあります。
この章では、それを3つ挙げておきましょう。
創業融資を活用する
事業資金の借りやすさには、時期的な要素もかかわってきます。
実は、もっとも事業資金を借りやすいタイミングは、創業から5年程度なのです。
民間の金融機関でも日本政策金融公庫でも「創業融資」の制度が充実していて、積極的に貸してくれるからです。
創業融資といっても、創業時にしか適用されないわけではありません。
おおむね創業から7年目くらいまでは融資の対象になりますので、該当する事業者であれば、通常の融資ではなく創業融資を申し込んだほうが借りやすい可能性があるでしょう。
事業計画書を充実させる
融資の審査では、事業計画書の提出を求められることが多くありますが、この内容が審査の合否を左右する重要なファクターのひとつです。
というのも、金融機関は事業計画書をもとに、その企業の今後の収益性を判断するからです。
事業が順調に利益を上げると判断されれば、融資の返済能力もあるとして審査にとおりやすくなります。
そのためには、事業計画書の内容をできるだけ細かく具体的に書く、エビデンスとして市場調査などのデータを添付するなどして、説得力を持たせる必要があります。
また、記載項目も、
・企業の概要
・財務計画
・事業の内容・コンセプト
・自社の強み
・サービス・商品の概要
・市場規模、競合他社など周辺環境
・マーケティング戦略
・事業展開のスケジュール・人員計画
などを漏らさず書きましょう。
認定支援機関を利用する
金利の低さや融資の多彩さを考えると、日本政策金融公庫から借り入れたいと考える事業者は多いでしょう。
その場合、「認定支援機関」を利用すると、審査に通りやすくなるのでおすすめです。
「認定支援機関」とは、経営に関する専門知識や実務経験が一定レベル以上あるとして、国が認定した機関や士業の者です。
たとえば、商工会や商工会議所、金融機関、税理士や公認会計士、弁護士、中小企業診断士などが認定されています。
認定された者は、中小企業や小規模事業者から、経営に関する相談を受けて支援します。
これらの機関に相談して、そのあっせんで日本政策金融公庫の融資に申し込むと、審査を通過する可能性が高くなるのです。
その理由は、
・融資審査での面談について、どう回答すればいいかのアドバイス
・事業計画書をはじめ、必要書類の作成サポート
といった支援が受けられ、審査の際に信用度が上がるからです。
相談料はかかりますが、ぜひ利用したいサービスです。
まとめ
いかがでしたか?
事業資金はどの金融機関なら借りやすいか、よく理解してもらえたかと思います。
この記事を通して、あなたが無事に事業資金を借りられるよう願っています!