証書貸付って何?概要とメリットデメリットを紹介
2023年4月24日
これから資金を調達しようと考える事業主にとって、融資は代表的な資金調達方法といえるでしょう。証書貸付は貸付の一つで、契約書を交わすことで所定の金額を借りることができる形態です。証書貸付を利用するには、返済期間や担保の有無といった条件をしっかり理解した上で検討する必要があります。
当記事では、証書貸付の概要やメリット・デメリットについて解説していきます。
証書貸付とは
証書貸付とは、貸付先が借用書(金銭消費貸付契約証書)を差し入れて行う金融機関の貸付の一つです。借用書には、借入金額、金利、返済期間、返済方法などを記載し、企業の署名判・実印を押印します。プロパー融資、信用保証協会保証付き融資、ビジネスローンなどでは、証書貸付の形態をとっているのが一般的です。
証書貸付は原則1年以上の長期貸付に利用されることが多いため、審査では長期間にわたって返済能力があるかどうかが見られます。
代表的な貸付として、他にも「手形貸付・手形割引・当座貸越」などがあります。
証書貸付の取り決め事項とは
証書貸付の金銭消費賃貸契約書では、金融機関と企業側の間で細かい条項が定められます。どれくらいの金額を借りるか、どれくらいの期間で完済するかなどを細かく決めていきます。
また、証書貸付は金融機関によって内容が異なります。金額や金利、返済期間などの取り決め事項は、契約前に確認しておきましょう。
返済方法
証書貸付の返済方式は、元金均等返済です。元金均等返済は、返済金額の元金を返済期間で割り、毎月同じ元金を残高に応じた利息とあわせて支払います。返済が進むにつれて残高も減るので、利息も減り返済額も徐々に下がっていく仕組みです。
通常は毎月の返済ですが、「3ヶ月」「半年」「最終返済日に一括返済」など、金融機関によって取り決めされる場合があります。最初の1〜2年間の返済が厳しい場合は、措置期間を設ける方法もあります。措置期間中は元金の返済は発生せず、利息のみを支払います。
返済期間
証書貸付は一般的に長期借入に利用されることが多く、返済期間を1年以上と定める金融機関が多くなっています。一例として、日本政策金融公庫では、長期資金の融資しか取り扱っていません。日本政策金融公庫の場合、設備資金は20年、運転資金は10年での利用が可能な制度もあります。
担保の有無
証書貸付では、金額や返済期間に応じて担保を設定するのが一般的です。担保は、返済ができなくなった場合の保証として金融機関に提供するものを指します。担保には保証人を設定する「人的担保」と、不動産などを資産を担保にする「物的担保」があります。
中小企業は外部環境の影響を受けやすく、返済が困難になるリスクが常につきまとうため、担保を差し入れるのが一般的です。ただし、大企業や業績が安定している優良企業で「信用力があり返済能力に問題がない」と判断された場合は、担保なしで融資を受けられる場合があります。
事業者が返済できない状態になった場合、金融機関は担保を換金して残債分を回収します。金融機関によっては、担保を差し出すことで金利を下げることが可能なケースもあるので、事前に確認するようにしましょう。
証書貸付のメリット・デメリット
証書貸付にはメリットとデメリットがあります。これらをきちんと把握した上で、事業の目的や状況に適しているかを考えながら検討するようにしましょう。
証書貸付のメリット
証書貸付の大きなメリットは、長期融資や高額な融資を受けられることです。新規事業や事業拡大には、多くの資金が必要になることがあります。証書貸付は設備資金や運転資金など、長期的に必要なまとまった資金を一括で借り入れることができます。
また、長期的な返済プランを立てられるので、月々の返済負担を軽くし、計画的に資金繰りが行えるようになります。
証書貸付のデメリット
証書貸付のデメリットとして、融資実行までのスピードが遅い点が挙げられます。書類の準備、保証人や資産の確認に時間がかかるためです。すぐに資金を用意する必要がある場合は向いていないといえるでしょう。また、書類等に不備があると審査期間が長くなる可能性があります。証書貸付を検討する際は、余裕を持って準備を進めるようにしましょう。
また、証書貸付は、一度契約を交わしたら何度でも融資を受けれるわけではありません。一度の借入ごとに金銭消費賃貸契約証書が必要です。そのため、追加で申し込む際は再度書類を作成し、契約する必要があります。
短期で資金を調達する場合は、ファクタリングも有効な手段の一つといえるでしょう。ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社に売買することで資金調達する方法です。ファクタリングは融資ではないので、担保や保証人の必要がなく、返済の必要もありません。自社の状況に応じて、最適な資金調達方法を選択することが大切です。
まとめ
証書貸付は、長期間・高額の資金調達に適している形態です。また、銀行だけなく信用保証協会の保証付融資や日本政策金融公庫など、証書貸付を取り扱っている金融機関は多数あります。金融商品の仕組みや内容を多く知っておくことで、今後の資金調達の選択の幅が広がります。