会社法って何?ビジネスで押さえておくべきポイントを解説!

2023年12月21日

会社法は知っているけど、誰かに説明できるかと言えば正確に把握している人は少ないかもしれません。
会社法とは、会社をめぐる利害関係者の利害調整のためのルールを定める法律を指します。

つまり、会社の設立から解散、組織運営や資金調達など、あらゆるビジネスのルールを定めたものが会社法です。会社法を理解することでビジネスを円滑に進めることができ、それにより健全な企業活動が可能となります。

また、会社法の大部分は、当事者が法律と異なる契約をした場合、その契約が無効となる規定になっています。会社法を正しく理解して、法令違反をしないように気をつけることが大切です。

企業法務に関わりたい、あるいは経営者になりたいのなら、会社法の知識は必須といえるでしょう。

そこで、まずは押さえるべき条文第2編「株式会社」、第3編「持分会社」、第5編「組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転」、第7編「雑則」に絞って本記事では解説いたします。

会社の種類

日本の会社は、株式会社が圧倒的に多くを占めますが、会社の種類は株式会社だけではありません。株式会社とは別の会社の形態として、持分会社(法575条1項)というものがあります。これは、合名会社・合資会社・合同会社という3つの形態の総称です。

持分会社の3つの形態は、各会社を構成する社員が有限責任社員か無限責任社員か、によって異なります。

有限責任社員は、会社に出資すべき額を限度として責任を負います(法580条2項)。それに対して、無限責任社員は、会社の債務が残る限りは無限に責任を負うことになります。

合名会社と合資会社には必ず最低一人は無限責任社員がいることになります。会社債権者は最終的に無限責任社員に対して支払いを求めることができます。

合同会社は、会社債権者と社員との関係という視点で見ると、株式会社に近いといえます。

しかし、株式会社と違い、出資者と経営者が同一人物かつ、株や株主というものがないので、経営が自由かつ迅速に行えるというメリットがあります。

一方で、「人」に重点を置いているので、人間関係が経営に影響しやすくなります。また日本では株式会社に比べて信用度が低く見られがちであるというデメリットがあります。

以上のように、会社にとってのニーズをきちんと考えて、会社の形態を選ぶようにしましょう。

資金調達、株主、所有と経営の分離、株式譲渡自由の原則

資金調達

株式会社ではどのような事業を行うにせよ、とりあえず資金が必要です。そういった場合、資金をどのように調達するのでしょうか。

出資

会社法は、株式会社について、人々から出資を受けるという方法を用意しています。

この方法では、以下の特徴があります。

一つ目は、会社が出資を受ける場合、出資者に支払うべきリターンが不確定であることです。会社の資産から債権者の取り分(負債と利息)を除いた残りの部分に応じて、出資者が受け取るリターンの額も変動します。

二つ目は、その出資金それ自体が、原則として出資者に返却しないことです。一見すると、この点は、出資者にとって不利であるように見えますが、実はそうでもありません。出資者は、剰余金の配当や株式の売却によって、出資金を回収することができるからです。

三つ目は、出資者の権利が、債権者の権利に劣後することです。会社がなくなる場合には、まず会社は債権者に元本と利息を弁済し、その後、残った財産があれば、株主はそこから分配を受けることができます。

以上の特徴を考慮して、2つの資金調達方法から賢く選択できると良いですね。

貸付け

まず思いつくのは、銀行などの金融機関からの貸付けを受けるという方法です。

この方法には、以下のような特徴があります。

・期限が来たら、負債を弁済する必要がある。
・銀行等の債権者に、あらかじめ契約で定められた額・率の利息を支払わなければならない。

こうした利息の支払いや負債の弁済は、業績が良く資金に余裕があるときには問題ありませんが、業績が悪いなどの理由で資金に余裕がなければ、会社にとって不都合となります。

所有と経営の分離

会社の経営が、構成員たる株主から分離していることを所有と経営の分離といいます。

この仕組みによって、財産があるけれど経営の才能を持たない者も、株主となることにより、経営に携わることができます。また、経営の才能はあるけれど財産のない者は、取締役として経営に関与し、報酬を受け取ることができます。

会社法は、株主のみに会社の構成員としての地位・権利を認めていることになります。

日本では、「社員」というと会社の従業員のことを指すことが多いのですが、法律上、従業員は、会社の社員でなく、会社との間で契約を結んだ者の一人に過ぎません。

株主

株式とは、上で述べたように、出資者が出資の対価として得る、会社に対するさまざまな権利の総体を指します。

株主とは、会社から株式の発行を受けて株式を保有する者、または、かかる株式保有者から株式を譲り受けたり、相続するなどして株式を保有する者をいいます。

株主には、剰余金配当や残余財産の分配を受ける権利のほか、株主総会の議決権のように、会社経営に参与する権利も与えられます。

株主の権利の大きさは、原則として、会社が発行した株式の数(発行済株式数)に対する当該株主の保有株式数の割合(持株比率)によって定まります。

例えば、株式会社が剰余金の配当(法453条)をする場合、各株主は、保有株式数に応じて配当財産を受け取る権利があります(法454条3項)。

また、株主総会では、各株主は原則として、保有する株式一株につき一議決権を有します(一株一議決権の原則。法308条1項)。

株式譲渡自由の原則

株式会社の大きな特徴は、株式を発行して人々から出資を受けるという方法で資金を調達できる点です。

株主は、所有している株式を譲渡することができます(株式譲渡自由の原則。127条)。

株主は、株式会社の存続中は、原則として会社に対して出資の返還を求める権利がありません。そのため、出資した資本を回収するには、株式の譲渡によることが原則となります。

まとめ

会社法は、膨大な条文に加えて、独特な言葉の使い回しや表現が使われており、とっつきづらいなと思う方も多いかもしれません。しかし、ビジネスマンが身につけておかなければならない知識がたくさん詰め込まれています。今のうちからこつこつと学んでいきましょう。

そして、上記で述べたようなビジネス上の取引では、契約書を交わすのが通常です。契約書をきちんと作成しておかなければ、あとあとトラブルに巻き込まれ、自社に多大な損失を及ぼす可能性があります。

さらに、昨今ではリモートワークの増加に合わせて、契約書の電子化も加速しています。会社法もそれに対応して徐々に変わっていくことでしょう。