女性若者/シニア起業家支援資金とは?概要と特徴を徹底解説!

2023年4月27日

創業時に日本政策金融公庫から融資を受けたい人のなかには「女性、若者/シニア起業家支援資金」の概要を知りたい人もいるでしょう。とくに、女性や若年層、シニア層の人は利用条件が気になりますよね。

当記事では「女性、若者/シニア起業家支援資金」の概要と特徴を解説します。創業時に日本政策金融公庫から融資を受けたい人は参考にしてみましょう。

女性、若者/シニア起業家支援資金は日本政策金融公庫の融資制度

「女性、若者/シニア起業家支援資金」は政府系金融機関である日本政策金融公庫の融資制度です。日本政策金融公庫は事業資金の融資業務を行っており、「女性、若者/シニア起業家支援資金」は新事業に取り組む人を支援するための融資制度として位置づけられます。

「女性、若者/シニア起業家支援資金」を利用した場合、資金の使いみちは新たに事業をはじめるための資金か事業開始後に必要とする資金に限定されています。

返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が7年以内と設備資金の方が長く設定されています。元金の支払いを先延ばしにするための据置期間は設備資金と運転資金のいずれも2年以内です。

なお、金利は日本政策金融公庫の特別利率Aが定められていますが、所定の要件に該当する人は適用する利率が変わる場合があります。「女性、若者/シニア起業家支援資金」の適用金利を知りたい人は日本政策金融公庫の公式サイトにある「女性、若者/シニア起業家支援資金の概要」から確認してみましょう。

新創業融資制度と組み合わせることもできる

「女性、若者/シニア起業家支援資金」は「新創業融資制度」と組み合わせることができます。「新創業融資制度」は「女性、若者/シニア起業家支援資金」と同じく日本政策金融公庫の融資制度です。単独では利用できないため、別の融資制度と組み合わせて利用します。

具体的には、「女性、若者/シニア起業家支援資金」と「新創業融資制度」を組み合わせることで、無担保かつ無保証で融資を受けられるようになります。保証人を用意する必要がないため、万が一倒産した場合でも、代表者が債務の保証を負う必要はありません。
ただし、「新創業融資制度」と組み合わせるためには、自己資金に関する要件を満たしたうえで、所定の審査に通過する必要があります。

特徴は廃業歴のある人が前事業の債務返済につかえる点

「女性、若者/シニア起業家支援資金」の特徴は、廃業歴がある人が以前に営んでいた事業の債務返済につかえる点です。そのため、新たに事業をはじめる時点で債務がある場合も再度融資を受けることができます。

たとえば、過去に廃業したことがある人の場合、金融機関から受けた融資の返済が残っている場合があります。そのような場合も再度創業にチャレンジしやすくするために、廃業歴のある人は「女性、若者/シニア起業家支援資金」を利用して得た借入金を過去の債務返済に充てられるようになっています。

なお、日本政策金融公庫では廃業歴等があり、創業に再チャレンジする人の創業を「新規開業資金」でも支援しているので、過去に廃業したことがある人は日本政策金融公庫の公式サイトにある「新規開業資金(再挑戦支援関連)/ 再挑戦支援資金」も参考にしてみましょう。

利用できるのは所定の要件を満たしている人のみ

「女性、若者/シニア起業家支援資金」を利用できるのは所定の要件を満たしている人のみです。性別もしくは年齢についての要件が設定されています。

日本政策金融公庫の公式サイトによると、「女性、若者/シニア起業家支援資金」の利用要件は女性または35歳未満か55歳以上の人であって、 新たに事業をはじめる人または事業開始後おおむね7年以内の人と設定されています。

また、新たに事業をはじめる人の場合は適正な事業計画を策定していて、当該計画を遂行する能力が十分あると認められる人だけが対象です。事業計画を確認するために、創業計画書などの書類を提出する必要があります。

女性の場合は年齢に関する条件は設けられていないので、年齢を確認する必要はありませんが、男性の場合は年齢制限が設けられている点に注意が必要です。「女性、若者/シニア起業家支援資金」を利用したい人は年齢の要件を満たしているか確認しておきましょう。

自己資金の要件は設けられていない

日本政策金融公庫のほかの融資制度では所定の自己資金が必要な場合もありますが、日本政策金融公庫の公式サイトにある「女性、若者/シニア起業家支援資金の概要」からは自己資金についての記載が確認できないため、自己資金の要件は設けられていません。

たとえば、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」を利用するためには、原則として創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要です。もし創業資金総額が2000万円の人なら、200万円以上の自己資金が必要になります。

一方、「女性、若者/シニア起業家支援資金」の利用要件には「新創業融資制度」のような自己資金に関する要件は設けられていません。

ただし、日本政策金融公庫の担当者に「自己資金がない人も女性、若者/シニア起業家支援資金を利用できますか?」と質問したところ、「創業資金総額の10分の1程度の自己資金を用意しておくことが望ましいです」との回答でした。

「女性、若者/シニア起業家支援資金」には自己資金の要件が設けられていませんが、自己資金がない場合は融資を受けられない可能性もあるので、「女性、若者/シニア起業家支援資金」を利用したい人は自己資金を用意しておくとよいでしょう。

所定の書類提出も必要になる

「女性、若者/シニア起業家支援資金」を利用する場合、所定の書類を提出する必要があるので、必要書類を確認しておきましょう。

具体的には、創業計画書か企業概要書、運転免許証(両面)かパスポート(顔写真のページおよび現住所等の記載のあるページ)のコピーを提出します。既に事業を開始している人は最近2期分の確定申告書や決算書も提出します。

また、飲食店などの許可や届出等がある事業を営んでいる場合は許認可証、設備資金の融資を受けたい場合は見積書の提出も必要です。申込者の状況によっては必要書類が異なる場合もあるので、書類を提出する前に日本政策金融公庫の担当者に確認する必要があります。

日本政策金融公庫に借入を申し込む予定の人は「日本政策金融公庫で借入を申し込む際の必要書類」も参考にしてみましょう。

融資を受けられるのは審査に通過した人のみ

日本政策金融公庫から融資を受けられるのは所定の審査に通過した人のみです。申込者は日本政策金融公庫の融資審査に通過してはじめて融資を受けることができます。

具体的には、必要書類の提出や担当者との面談を通じて、日本政策金融公庫の担当者が経験や実績、事業内容や必要資金などを確認します。日本政策金融公庫の場合、それらの情報を総合的に判断して融資の可否を決めるため、融資を受けるには審査に通過する必要があります。

なお、「女性、若者/シニア起業家支援資金」を利用したい場合、申込者が融資制度を指定できるわけではありません。適用する融資制度は担当者が決めるので、日本政策金融公庫から融資を受けたい人は予備知識として覚えておきましょう。

まとめ

創業時に融資を受けたい人は、日本政策金融公庫の「女性、若者/シニア起業家支援資金」を利用するのも選択肢のひとつです。利用できるのは女性か35歳未満または55歳以上の人と決まっているので、要件に該当するか確認しておきましょう。

なお、東京都で創業する人は東京都の「女性・若者・シニア創業サポート事業」を利用して民間金融機関から融資を受けるのも選択肢のひとつです。女性か39歳以下の若者または55歳以上のシニアであることが利用要件になるので、東京都で創業したい人は「女性・若者・シニア創業サポート事業」の公式サイトを確認してみましょう。