インボイス制度の経過措置期間はいつまで?仕入税額控除への影響を解説
2026年10月17日
インボイス制度では、免税事業者などからの仕入れについて、一定期間に限って仕入税額控除を受けられる経過措置が設けられています。
インボイス制度が始まった2023年10月1日から、すべての取引について一律に仕入税額控除ができなくなったわけではありません。一定の要件を満たす場合には、2029年9月30日まで、免税事業者などからの課税仕入れについて一定割合を控除できる経過措置があります。
経過措置は期間によって控除できる割合が変わるため、いつまで80%控除できるのか、いつから50%になるのか、いつ完全に終了するのかを理解しておくことが重要です。
この記事では、インボイス制度の経過措置期間、期間ごとの仕入税額控除の割合、対象となる取引、経過措置終了後の影響について詳しく解説します。
インボイス制度の経過措置期間はいつまで
インボイス制度の経過措置は、2023年10月1日から2029年9月30日まで設けられています。
免税事業者や適格請求書発行事業者ではない事業者からの課税仕入れについて、一定の要件を満たす場合には、次のように仕入税額控除を受けられます。
・2023年10月1日から2026年9月30日まで 仕入税額相当額の80%
・2026年10月1日から2029年9月30日まで 仕入税額相当額の50%
・2029年10月1日以降 原則として仕入税額控除の対象外
つまり、80%控除の経過措置は2026年9月30日まで、50%控除の経過措置は2029年9月30日までです。
2029年10月1日からは、この経過措置が終了します。
インボイス制度の経過措置とは
インボイス制度の経過措置とは、インボイス制度の開始によって事業者の税負担や事務負担が急激に変化することを避けるために設けられた特例です。
インボイス制度では、原則として仕入税額控除を受けるために、適格請求書発行事業者から交付されたインボイスの保存などが必要になります。
しかし、取引先が免税事業者などの場合、インボイスを発行できません。
そこで、制度開始後から一定期間については、インボイスを発行できない事業者からの仕入れであっても、一定割合を仕入税額控除の対象とする経過措置が設けられています。
この経過措置によって、インボイス制度への移行に伴う影響を段階的にする仕組みになっています。
2026年9月30日までは80%控除
2023年10月1日から2026年9月30日までの期間では、一定の要件を満たす課税仕入れについて、仕入税額相当額の80%を仕入税額控除できます。
たとえば、免税事業者から商品を仕入れ、その取引に含まれる消費税相当額が10万円だったとします。
経過措置の対象となる場合、10万円の80%にあたる8万円を仕入税額控除の対象にできます。
ただし、10万円すべてを控除できるわけではありません。
また、経過措置を適用するためには、一定の帳簿や請求書等の保存が必要です。
2026年10月1日からは50%控除
2026年10月1日から2029年9月30日までについては、経過措置による控除割合が50%になります。
つまり、仕入税額相当額が10万円だった場合、経過措置の対象となるのは5万円相当です。
80%控除から50%控除へ変更されるため、免税事業者などとの取引が多い課税事業者は、仕入税額控除への影響が大きくなる可能性があります。
特に、外注費や仕入れなどで免税事業者との取引金額が大きい企業は、2026年10月1日以降の税負担を事前に確認しておくことが重要です。
2029年10月1日から経過措置は終了
2029年9月30日をもって、現在の経過措置は終了します。
2029年10月1日以降は、免税事業者などからの仕入れについて、原則として仕入税額控除を受けられなくなります。
そのため、現在免税事業者などと取引している企業は、経過措置が終了した後の取引条件について早めに検討しておくことが重要です。
ただし、すべての取引が同じ扱いになるわけではなく、一定の取引についてはインボイス制度とは別の仕入税額控除に関する特例が設けられています。
経過措置を利用するための条件
経過措置を利用するためには、単に免税事業者から仕入れればよいというわけではありません。
一定の事項を記載した帳簿や請求書等を保存する必要があります。
また、仕入れの内容が課税仕入れに該当することなど、適用条件を確認する必要があります。
経理担当者は、免税事業者などからの仕入れについて、経過措置の対象であることが分かるように帳簿を管理しておくことが重要です。
経過措置の対象になる取引とは
経過措置の対象となるのは、免税事業者や適格請求書発行事業者の登録を受けていない事業者などからの課税仕入れです。
たとえば、外注先や個人事業主などが免税事業者である場合、その事業者からの仕入れが経過措置の対象となる可能性があります。
ただし、すべての支払いが対象になるわけではありません。
取引の内容や課税関係を確認したうえで、経過措置を適用できるか判断する必要があります。
インボイス発行事業者との取引には経過措置は不要
取引先が適格請求書発行事業者として登録されており、適格請求書を交付している場合には、原則として通常の仕入税額控除のルールに従います。
経過措置は、インボイスを発行できない免税事業者などからの課税仕入れについて設けられたものです。
そのため、取引先がインボイス発行事業者なのかどうかを確認しておくことが重要です。
経過措置終了で仕入先の負担が増える可能性
経過措置が終了すると、免税事業者などから仕入れている課税事業者は、仕入税額控除を受けられる金額が減少します。
その結果、仕入れにかかる消費税の実質的な負担が増える可能性があります。
たとえば、現在免税事業者から多額の外注費を支払っている企業では、経過措置終了後に税負担が増える可能性があります。
そのため、取引先との契約条件や価格について、事前に見直しを検討するケースも考えられます。
免税事業者はインボイス登録が必要なのか
免税事業者が必ずインボイス発行事業者にならなければならないわけではありません。
インボイス発行事業者になるかどうかは、事業者自身が取引先との関係や消費税の負担などを考慮して判断することになります。
ただし、取引先が課税事業者である場合、インボイスを発行できるかどうかが取引条件に影響する可能性があります。
特に法人との取引が多い事業者は、インボイス登録によるメリットとデメリットを比較して判断することが重要です。
インボイス登録をすると消費税の納税義務が発生する
免税事業者がインボイス発行事業者になる場合には、原則として消費税の納税義務が生じます。
そのため、「取引先からインボイスを求められたから登録する」という判断だけでなく、登録後の消費税負担まで考える必要があります。
売上規模や仕入れ・経費の状況によって納税額は異なるため、登録前に事業への影響を確認することが重要です。
また、インボイス制度への対応には、請求書の発行方法や経理処理などの事務負担も関係します。
経過措置期間中に確認しておきたいこと
経過措置は期限が決まっているため、対象となる取引がある企業は、早めに今後の対応を検討しておくことが重要です。
特に確認したいのが、免税事業者などとの取引金額です。
取引金額が大きい場合、2026年10月1日から控除割合が80%から50%へ変更されることで、税負担に影響が出る可能性があります。
さらに2029年10月1日以降は現在の経過措置が終了するため、取引先がインボイス発行事業者になる予定があるのか、今後の取引条件をどうするのかなどを検討する必要があります。
経過措置終了前に準備しておくこと
経過措置終了に備えるためには、まず自社の仕入先を確認することから始めるとよいでしょう。
免税事業者やインボイス登録をしていない事業者との取引を一覧化し、それぞれの取引金額や取引内容を確認します。
そのうえで、経過措置が終了した場合にどの程度の影響が出るのかを試算します。
必要に応じて、取引条件の見直しや仕入先との協議などを行うことも考えられます。
ただし、インボイス制度への対応を理由として一方的に取引価格を変更することには注意が必要です。
取引先との関係や独占禁止法、下請法などの関係も考慮しながら、適切に協議することが重要です。
インボイス制度の経過措置期間を理解して早めに対応しよう
インボイス制度の経過措置は、制度開始直後の急激な負担増を抑えるための重要な仕組みです。
一方で、80%控除の期間と50%控除の期間があり、最終的には2029年9月30日で終了します。
そのため、経過措置があるからといって何も対策をしないのではなく、段階的に変化する控除割合を踏まえて、今後の取引や経理処理について検討することが大切です。
まとめ
インボイス制度の経過措置期間は、2023年10月1日から2029年9月30日までです。
2023年10月1日から2026年9月30日までは、一定の要件を満たす場合、免税事業者などからの課税仕入れについて仕入税額相当額の80%を控除できます。
2026年10月1日から2029年9月30日までは控除割合が50%となり、2029年10月1日からは現在の経過措置が終了します。
特に2026年10月1日から控除割合が80%から50%へ変更されるため、免税事業者などとの取引が多い企業は、仕入税額控除への影響を早めに確認しておくことが重要です。
経過措置の終了後は、免税事業者などからの仕入れについて原則として仕入税額控除を受けられなくなるため、取引先の登録状況や取引金額を確認し、必要に応じて今後の取引条件について検討しておく必要があります。
インボイス制度は、事業者だけでなく取引先の経理処理や消費税負担にも関係する制度です。経過措置の期間と控除割合を正しく理解し、期限に余裕を持って対応することが大切です。
