ファクタリングの上限はいくら?ファクタリング会社選びでは上限、つまり利用限度額も重要です!

2023年10月10日

皆さんは、ファクタリングを利用する際「上限額」、つまり「限度額」を意識しているでしょうか。
中小企業では、多額のファクタリングを利用することが少ないため、限度額を考えたことがない人も多いと思います。
しかし、ファクタリングを「調達限度額」や「利用限度額」の視点で考えることは、ファクタリングの正しい理解や、ファクタリング会社選びに欠かせません。
この記事では、

・資金調達方法としてのファクタリングの調達限度額
・ファクタリング会社ごとに設定される利用限度額
・調達限度額や利用限度額で考えるファクタリング会社選び

などについて、詳しく解説します。

ファクタリングの調達の上限はいくら?

現在、政府は売掛債権の活用促進に取り組んでいます。
これは、銀行融資への依存を軽減し、資金繰りの安定性を高めることが目的です。
会社が所有している売掛債権を活用すれば、売掛債権を担保にして融資を受けたり、売掛債権を売却して資金調達したりできます。
銀行融資に過度に依存するのではなく、売掛債権を積極的に活用することによって、資金繰りの安定性が大幅に向上します。
もっとも、売掛債権を担保にした「売掛債権担保融資」は銀行融資の一種であり、銀行依存への脱却にはあまり役立ちません。
そこで、政府が特に力を入れているのが、売掛債権(売掛金)を売却して資金調達する「ファクタリング」です。

ファクタリングとは

ファクタリングとは、自社の所有している売掛金を、ファクタリング会社に売却する資金調達方法です。
銀行融資の場合、自社の業績・財務などを厳しく審査され、返済能力がなければ資金を調達できません。
これに対し、ファクタリングは自社の業績・財務、返済能力に関係なく資金調達できます。
なぜならば、ファクタリングでは支払期日前の売掛金を売却するためです。
支払期日になれば代金を回収できるため、売掛金には額面金額相当の価値があり、価値に見合った価格で買い取ることも可能です。
ファクタリング会社は、売掛先の支払い能力、支払期日までの残存日数、売掛金の額面金額などを考慮して手数料を設定し、額面金額から手数料を差し引いて買い取ります。
その後、支払期日に満額を回収することで差額分を儲ける仕組みです。

調達可能額≒売掛金総額

ファクタリングを利用する際に意識しなければならないのは「調達限度額」です。
どのような資金調達方法でも調達限度額があり、無限に調達することはできません。
しかし、ほとんどの資金調達方法では、自社の信用力によって調達限度額が決まります。
例えば銀行融資の場合、自社の業績・財務からみて「無理なく返済できる融資額」が調達限度額となります。
ベンチャーキャピタルや個人投資家などから出資を受ける場合には、自社の将来性からみて「十分な投資パフォーマンスが期待できる出資額」が調達限度額です。
これに対し、ファクタリングは「自社が所有している売掛金総額」が調達限度額となります。
上記の通り、ファクタリングは売掛金を売却する資金調達方法です。
ここでいう「売掛金」とは、基本的には請求内容が確定した「確定債権」を指します。
請求内容が確定するまでには、以下の流れが必要です。

自社から売掛先に商品を提供する
売掛先が商品を検収し、問題がないことを確認する
契約書で取り決めた期日に合わせて請求書を発行し、売掛先に送付する
売掛先が請求金額や支払期日などを確認し、問題がなければ受理する
請求内容が確定する
この流れによって発生した確定債権だけがファクタリングの対象です。
ファクタリングの申し込み時点で確定した債権、つまり手元の売掛金総額は明らかであり、その金額以上の資金調達はできません。
「調達限度額=売掛金総額」ではなく、あえて「調達限度額≒売掛金総額」としたのは、手数料がかかるからです。
売掛金から手数料が差し引かれるため、厳密には「調達限度額=売掛金総額-手数料」となります。

ファクタリング会社ごと利用限度額がある

ただし、ファクタリング会社ごとに利用限度額があります。
自社が1億円分の売掛金を所有していても、利用限度額が1000万円のファクタリング会社を利用した場合、調達限度額は1000万円です。
少額の利用に特化しているファクタリング会社では、上限額を数十万円、数百万円に設定しているケースもあるため、多額の資金調達には利用できません。
したがって、ファクタリングの調達限度額は以下のように考えるのが正確です。
ファクタリングの調達限度額=売掛金総額-手数料(ただし、ファクタリング会社の利用限度額を上限とする)
もっとも、利用限度額はあまり気にしなくてよいでしょう。
多額の資金調達が必要な場合には、利用限度額が大きいファクタリング会社を選べば良いのです。
ファクタリング会社の中には、「上限なし」「数億円まで調達可能」といった設定も珍しくありません。
また、相談に応じて利用限度額に関係なく対応するファクタリング会社もあります。
例えば、No.1の利用限度額は5000万円ですが、ご相談いただくことで「上限なし」での対応も可能です。

ファクタリング会社選びを必要調達額という視点で考える

ファクタリングの利用限度額は、ファクタリング会社を選ぶ際にも影響します。
特に、自社の必要調達額が少額であるか、多額であるかによって、ファクタリング会社の選び方が大きく変わるため注意が必要です。

多額の調達の場合

必要調達額が大きい場合、多額の売掛金をファクタリングすることとなります。
この場合、多額の利用に強いファクタリング会社を選ぶのが基本です。
中小ファクタリング会社でも、利用限度額を数千万円に設定しているケースがほとんどです。
個人事業主特化型など、少額利用を前提としたファクタリング会社を除いて、大抵の資金需要をカバーできるでしょう。
ただし、必要調達額が1億円以上になると、利用限度額が特に大きいファクタリング会社を選ぶ必要があります。
大手グループ系列のファクタリング会社などは、数億円のファクタリングにも対応可能です。
ただし、資金調達スピードに気を付けてください。
ファクタリングの大きなメリットは、スピーディに資金調達できることであり、2社間ファクタリング※ならば即日で資金調達できることがほとんどです。
しかし、大手グループ系列のファクタリング会社は、数億円のファクタリングに対応できる反面、資金調達に時間がかかるケースも多いです。
緊急性が高いほど、資金調達スピードが重要となります。
できるだけ、「多額のファクタリングに対応している」なおかつ「即日対応可能」という基準でファクタリング会社を選びましょう。

※ファクタリングの利用会社とファクタリング会社の2社間で取引する方式

少額を調達する場合

必要調達額が少額であれば、少額のファクタリングに強いファクタリング会社を選びましょう。 というのも、少額利用の場合ファクタリング条件が悪化しやすいからです。
自社がファクタリングを申し込む際、ファクタリング会社は申し込みの受付、売掛金の審査、契約手続きなどの負担が生じます。
この負担は、売掛金の買取金額によって変わります。
多額の売掛金を買い取る場合、回収不能時の損失が大きいため、より慎重な審査が必要です。
少額であれば、簡易的な審査も可能でしょう。
しかし、買取金額と手続きの負担は、必ずしも比例しません。
例えば、1億円の売掛金をファクタリングする場合(A)と、100万円の売掛金をファクタリングする場合(B)を比較すると、AとBの負担の差が100倍になることはありません。
せいぜい数倍の差に止まるでしょう。
このためファクタリング会社にとって、少額のファクタリングは収益性が低いといえます。
収益性の低さをカバーするには、

・利用額の下限を高めに設定する
・手数料を高めに設定する

などによって対処しなければなりません。
このような理由から、少額の資金調達にファクタリングを利用する場合、以下の問題が起きやすいです。

・利用額の下限が自社の必要調達額よりもはるかに高く、必要のない売掛金を含めて(無駄な手数料をかけて)ファクタリングしなければならない
・手数料が割高になり、調達コストが資金繰りを圧迫する

そうならないためには、少額の利用に強いファクタリング会社を選ぶ必要があります。
少額専門のファクタリング会社であれば、少額利用を前提としているだけに、利用額の下限も低く、ファクタリング条件が悪化しにくいです。

まとめ:必要調達額に合わせて最適なファクタリング会社選びを

他の資金調達方法と同じように、ファクタリングにも調達限度額があります。
自社が所有している売掛金総額以上の資金調達はできません。
また、ファクタリング会社ごとにも利用限度額の設定があります。
さらに、利用限度額はファクタリング条件に少なからず影響します。
したがって、ファクタリングを活用する際には、自社とって過不足のない調達額を計算した上で、必要調達額に見合うファクタリング会社を選ぶことが大切です。