3社間ファクタリング契約で行う債権譲渡登記とは一体?

2024年6月10日

ファクタリングの契約では債権譲渡登記を行う場合があります。ファクタリング後にトラブルを起こさないために必要とされていることですが、理解していないと何をしているのかわからない可能性があります。

ファクタリングでは実施される場合とそうではない場合がありますので、利用される場合に備えてしっかりと情報を仕入れておくことが重要になっていきます。

この記事では、債権譲渡登記について、メリットやデメリットを説明する他、利用することになる場合の注意点について解説します。

ファクタリングの契約時に行う債権譲渡登記とは

ファクタリングの契約時に行っている債権譲渡登記は、債権を譲渡したことを登記簿に記載することです。

ファクタリングは債権を譲渡して売却することを指しますので、債権がどのように移動しているかしっかり記載しなければなりません。記載する方法として登記簿を採用しており、誰が債権を譲り受けているのか把握できる状態にしています。

登記簿に記載していなかった場合、ファクタリングで譲り受けた債権を第三者が何らかの方法で奪う方法が残されているため、勝手に取られないために利用されている方法でもあります。債権が譲渡されていることが把握されていることで、第三者が勝手な行為を取らないように制限できます。

利用される場面としては、2社間ファクタリングで採用されています。2社間ファクタリングの場合は売掛先に対して情報を通知しないことによって、ファクタリングによって債権が譲渡されていることを何処かで証明しなければならないため、登記簿に記載して債権譲渡がわかりやすくしているのです。

なお、3社間ファクタリングの場合、売掛先の同意が必要となりますので、債権譲渡登記は必要ありません。売掛先が同意してくれれば、既に債権譲渡について把握できる状態にしていると思われるため、利用する必要はなくなっているのです。

ファクタリングで債権譲渡登記を行うメリット

ファクタリングで債権譲渡登記を行うメリットとしては、二重譲渡を避けられるという要素があります。

利用する人にはあまり関係していないことですが、業者側としては債権を勝手に譲渡してトラブルになってしまうような問題を避けられるため、問題を起こさないためには必要とされている行動です。債権譲渡登記を行ってしまえば、別の人に譲渡されている問題は起こらなくなっています。

ただ、利用する側にメリットがそこまで多くない方法ですので、求められた場合は本当に債権譲渡登記すべきか判断しなければなりません。ファクタリング会社側にはかなりのメリットがあると言えることですので、会社側としてはできることなら登記しておきたいという狙いがあります。

ここからは、債権譲渡登記のメリットについて詳しく説明します。

ファクタリング業者は売掛債権の二重譲渡を防止できる

ファクタリング業者側としては、売掛債権を二重譲渡する問題を防止できるメリットを持っています。

売掛債権は1社にしか譲渡できないような状態になっており、二重譲渡として認められた場合はトラブルが発生して売掛債権の支払いができなくなってしまいます。ファクタリングの場合は二重譲渡されることにより、売掛債権が回収できない状況を避けるために、債権譲渡登記によって譲渡できない状態を作ってしまうのです。

債権譲渡登記が成立していることによって、売掛債権が勝手に他の会社などに譲られているような状況を作らないことができますし、確実に売掛金を回収できる状況を作っていけるのです。特に売掛金の回収によって、ファクタリング会社がしっかりサービスを成立させられることが大きなメリットとなります。

利用する側にはこれといったメリットがあると言える話ではありませんが、将来的にトラブルに巻き込まれる心配がなくなっているため、債権譲渡登記による二重譲渡防止は非常に安心できる要素と言えます。

ファクタリングで債権譲渡登記を行うデメリット

債権譲渡登記はメリットもあるのですが、実はデメリットが数多く存在していることで有名です。主にデメリットとして挙げられているのは次の3つの項目となります。

・2社間ファクタリングだと売掛先にバレる可能性がある
・債権譲渡登記の登記費用は自己負担で支払う場合が多い
・債権譲渡登記をするとファクタリングの入金速度が遅い
債権譲渡登記は2社間ファクタリングのみ利用することとなりますが、2社間ファクタリングというのは売掛先に気づかれないようにして行う方法です。ところが債権譲渡登記をしたことによって、なぜか気づかれてしまうような状況が発生するケースもあります。

また、債権譲渡登記の登記費用を負担するように求められてしまうケースが多くなっており、余計な負担によってファクタリングの費用が増えてしまう問題を抱えているのです。入金速度についても一般的には遅くなっているケースがありますので、すぐに資金調達したいと考えている会社にとって厳しい状況に置かれます。

ここからは、債権譲渡登記のデメリットについて詳しく説明します。

2社間ファクタリングだと売掛先にバレる可能性がある

本来は売掛先に気づかれないとされている2社間ファクタリングを利用しているものの、売掛先にファクタリングしたことが気づかれる恐れもあります。

債権譲渡登記は登記簿に記載することになりますので、登記簿の情報を見れば債権譲渡されたことがわかってしまいます。売掛先が登記簿の情報を見たことによって、勝手にファクタリングによる債権譲渡が実施されていることに気づき、将来的にトラブルとなるケースがあります。

ファクタリングを認めている売掛先であれば問題は起こらないのであまり影響はないものの、元々売掛先がファクタリングに対して厳しい対応を取っていると話は別です。債権譲渡登記によって2社間ファクタリングに気づかれる状態となってしまうと、売掛先から厳しい対応を取られてしまい、最悪の場合は仕事の打ち切りなどの話が出てしまいます。

債権譲渡登記というのはファクタリング業者側にとってメリットのある話ですが、利用する側にとってはリスクのある行為となります。適当に考えているとこれまで仕事をしている売掛先に対して失礼な行為をしていると気づかれてしまい、会社の経営に多大な影響を及ぼしてしまうのです。

債権譲渡登記の登記費用は自己負担で支払う場合が多い

債権譲渡登記には登記費用が必要となります。登記費用についてはファクタリング会社が支払ってくれるのではなく、利用者が負担するように求められるケースが多くなっています。

ファクタリング会社としては余計な費用を支払いたくないと考えていることもあり、仮に債権譲渡登記をするのであれば利用者に対して追加費用を負担するように求めていることが多くなっているのです。費用を負担せずに債権譲渡登記を成立させることによって、業者側は利益を得られやすくなっていきます。

利用する側にとっては余計な費用を支払うことになる問題を抱えていることになりますので、債権譲渡登記でお金を支払うことになれば辛い状況に置かれるケースも多くなってしまいます。資金を手に入れるために利用しているファクタリングで、余計な支払いをしてお金を減らしてしまうことはマイナス要因なのです。

ただ、すべてのファクタリング会社が債権譲渡登記を促しているわけではありませんし、仮に債権譲渡登記をすることになったとしても、費用負担に応じてくれる会社も存在しています。仮にファクタリングの比較を検討しているのであれば、債権譲渡登記についてもしっかり調べた上で、問題なく費用負担がないことを確認することが大切です。

なお、費用についてはファクタリング会社側から提示されることが多くなっていますが、証明書の取得料金は安くなっています。しかし、会社側が代理で債権譲渡登記を依頼する事務所に対してお金を支払うケースがありますので、割と高い報酬を求められる場合があります。

債権譲渡登記をするとファクタリングの入金速度が遅い

債権譲渡登記をしたことによって、ファクタリングのスピードが遅れてしまう問題が発生します。具体的には即日での対応ができなくなってしまうケースです。

債権譲渡登記は登記簿に記載することによって二重譲渡できない状況を作るのですが、登記簿に記載するまでに時間がかかってしまいます。業者側としては、債権譲渡登記が成立してから資金に変える方法を採用しているため、登記簿にしっかり情報が記載されていない状態では対応できなくなってしまいます。

近年ファクタリングは入金するまでの速度がかなり早くなっていることも間違いないことですが、ファクタリングの入金速度が早くなっているのは債権譲渡登記をしていないケースが多いのです。仮に業者側が債権譲渡登記を求めているのであれば、対応している入金スピードは大幅に遅くなるものと認識しておかなければなりません。

なお、債権譲渡登記をする場合、入金にかかる時間等については業者側からしっかり説明が入ります。ファクタリングでかかる時間がある程度わかっていることによって、利用する前に入金にかかる時間が大幅に遅れてしまうことを把握して、対応の方法を変えるチャンスが存在していると言えます。

ファクタリングで債権譲渡登記をする際の注意点

ファクタリングで債権譲渡登記をする場合、基本的に法人格を持たなければなりません。法人格を持っていない人は登記簿に記載できないルールが存在しているため、個人事業主などが利用する場合は使えなくなってしまいます。

個人で利用できない問題が発生していることで、ファクタリング会社側から債権譲渡登記を個人事業主が求められても、できないことがわかってしまい、ファクタリングを認めてくれないような状況が起きてしまうケースがあります。個人事業主が利用する際は特に気をつけたほうがいい状態でしょう。

ここからは、債権譲渡登記の注意点を詳しく説明します。

債権譲渡登記の利用条件は法人格が必須!個人は不可

債権譲渡登記の利用条件として、最低でも法人格を持っていることが必須となります。法人格を持たないでサービスを運営している個人事業主、フリーランスは債権譲渡登記できなくなっています。

法人格を持っている場合であれば、ファクタリングによって債権譲渡登記をお願いしてもらい、二重譲渡を止められるようにしていることが多くなっているのですが、個人に向けて債権譲渡登記できる方法は用意されていないため、個人事業主などが利用する際には二重譲渡の問題が起こりやすい点に気をつけなければなりません。

個人向けの方法は登記簿に記載する方法がありませんので、基本的に個人事業主やフリーランスに対しては債権譲渡登記なしでサービスを進めていくことになります。登記簿に記載していないことで、利用する側は他の会社への譲渡ができるように思われますが、二重譲渡に該当するような行為をしてはいけません。

二重譲渡をするような問題が起きてしまうと、ファクタリングが成立しなくなってしまう他、場合によっては利用しているファクタリング会社からお金を返すように求められてしまう場合があります。個人事業主などは債権譲渡登記できない場合でも、絶対に他社を利用する場合は相談している会社でファクタリングしないように心がけておきましょう。