3社間銀行系ファクタリンとは?メリットやデメリット解説
2024年6月10日
銀行やそのグループ会社が提供する銀行系ファクタリング。審査は厳しいものの一般的なファクタリング会社よりも手数料が安い、信用性が高い、大口債権にも対応といった特徴があります。
この記事では銀行系ファクタリングの特徴やメリット・デメリットを解説。利用すべきケースや選び方のポイント、おすすめの金融機関も紹介します。
銀行系ファクタリングについての理解を深めつつ、自社に合ったサービスを見つけましょう。
銀行系ファクタリングとは
銀行系ファクタリングとは、銀行とそのグループ会社が行っているファクタリングのことです。メガバンクをはじめ、地方銀行や銀行が出資しているファクタリング専門の子会社も含まれます。
銀行系ファクタリングの特徴として、他のファクタリングサービスより手数料が安いうえ、信用度が高いです。ただし、審査基準が高く、現金がもらえるまで長い時間を要してしまう問題もあります。
「手数料を抑えたい」「安全な取引をしたい」といった方は、積極的に銀行系ファクタリングを検討しましょう。一方で「一刻も早く現金がほしい」と考える方は、ファクタリングを専門とする業者を探すのがおすすめです。
銀行系ファクタリングの種類
銀行系ファクタリングには、次の4種類あります。
【銀行系ファクタリングの種類】
・買取ファクタリング
・保証ファクタリング
・国際ファクタリング
・一括ファクタリング
買取ファクタリング
買取ファクタリングとは、企業が保有する売掛金をファクタリング会社が買取って資金化するサービスです。
買取ファクタリングには、一般に以下の2種類があります。
・2社間ファクタリング:自社とファクタリング会社の間で契約する
・3社間ファクタリング:自社とファクタリング会社と売掛先の間で契約する
しかし、銀行系ファクタリングでは原則「3社間ファクタリング」しか利用することができません。
3社間ファクタリングの特徴として、手数料が抑えられます。ただし、売掛先の合意を得る必要があるため、時間がかかったり、資金繰りに不信感を抱かせたりするデメリットがあります。
保証ファクタリング
保証ファクタリングとは、保証料を支払うことで売掛金が回収不能になった場合でも相当額を受け取ることができるサービスです。
これを活用すれば、売掛債権が回収不能に陥るリスクを回避することができます。「取引先が1社に集中していてリスクを感じている」といった企業におすすめです。
手続きの流れとして、まず利用者が売掛債権の保証を銀行に依頼して、売掛先の信用調査を行います。その結果保証の引受が可能と判断されれば、保証限度額や保証料などの条件が利用者に伝えられます。提示された条件に納得すれば契約締結となり、保証開始通知書に記載されている日付から保証が開始される仕組みです。
国際ファクタリング
国際ファクタリングは、海外企業との取引においてリスク回避のために用いられるサービスです。
海外企業と貿易取引を行う際に発生した売掛金を確実に回収することができます。自社・売掛先・国内の銀行・売掛先国のファクタリング会社の4社間で契約を結ぶのも大きな特徴です。
また最大の特徴として、国際ファクタリングは銀行だけが行えます。「海外企業と取引している」「売掛金が入るか不安」といった企業は、ぜひ国際ファクタリングを活用しましょう。
一括ファクタリング
一括ファクタリングは売掛債権を金融機関が一括で買い取り、期日までに振込を行うサービスです。
基本的には買取ファクタリングと仕組みは変わりませんが、主体者が異なります。一括ファクタリングでは売掛先がサービス利用の有無を決める点が大きな特徴です。
また取り扱う金融機関はメガバンクなどの大手銀行系のみのため、信頼性が高く安心して取引できる特徴もあります。
銀行系ファクタリングのメリット
銀行系ファクタリングを利用するメリットを4つ紹介します。
【銀行系ファクタリングのメリット】
・安心して利用できる
・手数料が安い
・さまざまな種類のサービスを利用可能
・大口債権に対応
安心して利用できる
銀行系のファクタリング企業の最大のメリットは、安心感にあるといっても過言ではないでしょう。
ファクタリングは比較的新しい資金調達方法でもあるため、法整備が厳格とはいえません。ファクタリング会社の中には、ヤミ金融業者などの悪質な業者も参入しており、金融庁も注意喚起を行っています。
しかし、銀行系のファクタリング企業であれば、社会的な信用も高く安心して利用可能です。
手数料が安い
銀行系ファクタリングのうれしい点として、手数料の安さがあげられます。
具体的に銀行系ファクタリングでは、売掛金の1%ほどが手数料であることが多いです。ノンバンク系や独立系の手数料が売掛金の2~20%なので、より多くの現金を獲得できます。
少しでも多くの現金を獲得したい方は、積極的に銀行系ファクタリングを利用するのがおすすめです。ただし、銀行系ファクタリングは審査のハードルが高く、信用力の高い企業の債権しか取り扱いません。また売掛先に加えて利用者の審査も行われるので、十分な対策が必要でしょう。。
さまざまな種類のサービスを提供
銀行系ファクタリングは独立系やノンバンク系に比べて、ファクタリングサービスの種類が豊富です。
一般的なファクタリング会社の場合は「買取ファクタリング」しか扱っていません。一方、銀行系のファクタリングであれば「買取ファクタリング」以外にも多くの種類のファクタリングを扱っています。
特に「国際ファクタリング」は大手銀行だけが扱えるサービスなので、海外と取引をしている企業は積極的に銀行系ファクタリングを検討しましょう。
大口債権に対応
銀行系ファクタリングの特徴として、数千万円から数億円規模の大口債権にも対応可能です。
銀行系ファクタリングは銀行や銀行のグループ会社が運営しているため、一般のファクタリング会社よりも資金力があります。銀行系ファクタリングを活用すれば、多額の資金調達ができる可能性が高いです。
たとえば年商が数億円から数十億円の中小企業や大企業であっても、ファクタリングを活用することができます。特に公共工事や大型商業施設などを手掛ける建設業者にとって、銀行系ファクタリングは頼りになる存在でしょう。
銀行系ファクタリングのデメリット
銀行系ファクタリングには、次の4つのデメリットがあります。
【銀行系ファクタリングのデメリット】
・審査が厳しい
・取引先からの信頼を失う可能性がある
・入金までに時間がかかる
・信用情報に影響する
審査が厳しい
銀行系ファクタリングの大きな特徴の1つに「審査が厳しいこと」が挙げられます。
銀行系以外のファクタリングでは、売掛先の信用力が重視されます。利用者が赤字企業でも、売掛先の経営状況に問題がなければ審査を通過する可能性は高いといえます。
一方で銀行系ファクタリングは、売掛先と利用者の両方が審査の対象です。大手企業や上場企業のみを対象とする銀行系ファクタリング会社も多く、中小企業にとっては比較的ハードルが高いかもしれません。
取引先からの信頼を失う可能性がある
銀行系のファクタリングは原則として2社間のファクタリングには対応していません。ほとんどの場合、自社や銀行、売掛先を含めた3社間での契約になります。
そうなると当然、売掛先に売掛債権をファクタリング会社に売却する旨が伝えられることになります。「資金繰りに課題を感じているのではないか」といった懸念を取引先に抱かれる可能性も否定できません。
銀行系ファクタリングを活用する際は、取引先に不信感を与えるリスクも考慮する必要があるでしょう。
入金までに時間がかかる
銀行系ファクタリングは入金までに時間がかかるのがデメリットです。
審査が厳しいため、申込から入金までに1~3週間はかかると考えておきましょう。
【申し込みから入金までの大まかな目安】
銀行系:1~3週間
ノンバンク系:1週間以上
独立系:最短即日
即座に現金を確保する必要がある場合は、独立系やノンバンク系の利用がおすすめです。
信用情報に影響する
ファクタリングは融資やローンではなく、債権の売買です。利用しても「信用情報機関」に記載がなされないため、融資の審査に影響することはほとんどありません。
しかし、銀行系のファクタリングでは、親会社である銀行に利用情報が通知されてしまいます。利用回数が多ければ資金繰りが悪化していることを疑われ、融資審査では不利になる可能性があります。
近い将来、銀行や金融機関での融資を検討している人は、銀行系ファクタリングの利用を控えるのが得策かもしれません。
銀行系ファクタリングが向いているケース
銀行系ファクタリングを活用すべきケースは以下の通りです。
・長期間の安定した取引を実現したい場合
・低手数料で売掛債権の現金化をしたい場合
長期間の安定した取引を実現したい場合
銀行系ファクタリングは、長期間の安定した取引を実現したい企業に最適です。
銀行や銀行のグループ会社が運営しているため、他のファクタリングに比べて社会的信用度が高い特徴があります。法外な手数料を請求されたり消費税を上乗せされたりといった心配がないため、安心感は強いでしょう。
また普段から取引のある銀行なら、自社に適した資金調達の方法や資金繰りについても気軽に相談ができます。
低手数料で売掛債権の現金化をしたい場合
銀行系ファクタリングは、早急な資金調達より低金利での売掛債権の現金化を重視したい場合に適しています。
その理由は他のファクタリング会社と比べて、手数料が半分程度になるためです。特に大口債権を扱う場合、手数料の違いが受け取るお金に大きく影響するので、なるべく手数料が低い銀行系が最適でしょう。
ただし、現金化には1~3週間程度かかってしまうので、早急に資金調達したい場合には向きません。
銀行系ファクタリングを利用して資金繰りを改善しよう
銀行系ファクタリングの強みは、銀行ならではの資金力と信用力です。審査が厳しく、入金までに多少時間がかかりますが、他のファクタリング会社では難しい大口債権の買取が可能です。
保証ファクタリングや国際ファクタリングにも対応しており、ビジネスのトラブルにしっかり備えられます。
一方で中小企業が100万円前後の売掛債権をお願いしても、取り合ってもらえない可能性が高い点はデメリットです。各銀行が提示する条件や上限をよく確認した上で、サービスを上手に活用し資金繰りを改善しましょう。