ファクタリングに消費税はかからない理由とは?非課税取引の中身を解説
2023年5月25日
ファクタリングを利用して資金を調達しても、その取引に消費税はかかりません。
そのため売掛金をファクタリング会社に譲渡しても、消費税が上乗せされて請求されることはないといえます。
しかし、ファクタリングの見積書や請求書に、「消費税」という項目があったとしたら、それは何に対して課税されるのか説明を求めることが必要です。
そこで、なぜファクタリングに消費税はかからないのか、非課税取引の中身について徹底解説していきます。
ファクタリングを利用しても消費税はかからない
ファクタリングを利用して資金を調達しても、その取引に消費税はかかりません。
ファクタリングは、事業者が所有する売掛金などの売掛債権をファクタリング会社に売却し、その代金を期日よりも前に受け取ることが可能である資金調達の方法です。
売掛債権をファクタリング会社に譲渡する際には手数料が発生しますが、その手数料に消費税が課税されることはないということです。
売掛金を消費税法施行令と照合すると、広儀では有価証券としての扱いとなるため、ファクタリングで譲渡しても消費税の課税対象にはならないといえます。
税金がかかる取引
消費税が課税されるのは、次の3つを満たす取引です。
▶日本国内での取引であること
▶事業として行う取引であること
▶対価を得ることを目的とする取引であること
対価を得ず無料で取得するものや、贈与や寄付など対価が発生しない取引に対して消費税はかかりません。
さらに、賃貸住宅を契約する際に支払う敷金・保証金など、将来返還される性質のものも課税対象外です。
かかる敷金・礼金・保証金など、将来的に返戻されるものにも消費税はかかりませんし、貸付金の利子、手数料、保証料、保険料なども非課税の扱いとなっています。
ファクタリングを利用したときにも手数料を支払いますが、その場合も消費税はかからない非課税の扱いとなるため、ファクタリング会社から請求されることはありません。
ファクタリングを利用しても消費税がかからない理由
ファクタリングを利用したときに消費税はかからないため、余計な出費を増やすことがなく安心して契約でできます。
消費税がかからない理由は、国税庁のホームページなどに記載されている内容から確認できますが、具体的には次の3つがその根拠です。
1.売掛債権譲渡は非課税取引に該当する
2.消費税の課税対象になじまない取引である
3.金銭債権の譲受対価である手数料は非課税である
それぞれの理由と根拠について解説していきます。
売掛債権譲渡は非課税取引に該当する
ファクタリングを利用しても消費税はかかりませんが、その理由として取引自体が非課税取引に該当することが挙げられます。
ファクタリングが非課税取引に該当する根拠については、国税庁のホームページ「非課税となる取引」に次のように記載されています。
“消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う取引を課税の対象としています。
しかし、これらの取引であっても消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないものや社会政策的配慮から、課税しない非課税取引が定められています。“
上記の記載に加え、「非課税取引」の種類として17の取引を挙げており、ファクタリングによる売掛債権譲渡はこの中の2つ目である「有価証券等の譲渡」に該当します。
2つ目の「有価証券等の譲渡」については以下のとおり記載があります。
“国債や株券などの有価証券、登録国債、合名会社などの社員の持分、抵当証券、金銭債権などの譲渡
ただし、株式・出資・預託の形態によるゴルフ会員権などの譲渡は非課税取引には当たりません。“
以上の記載から、売掛債権も「金銭債権などの譲渡」に含まれると考えられ、消費税はかからないとい判断できます。
消費税の課税対象になじまない取引である
消費税はすべての取引に課税されるわけではなく、中には課税対象としてなじまないとされる取引もあり、ファクタリングもこの取引に該当します。
ファクタリングで売掛金を現金化したときには、ファクタリング会社に対し「手数料」を支払います。
手数料にも消費税はかかりませんが、その根拠として同じく国税庁の公式ホームぺージの「預金や貸付金の利子など」に記載があります。
「預金や貸付金の利子など」の概要についての記載は以下のとおりです。
“消費税は、財貨やサービスの流れを通して消費に負担を求める税です。したがって、消費税の課税の対象になじまない資金の流れに関する取引などは非課税とされています。”
この概要に加え、何を対価とした金融取引が非課税になるのか、20の項目を挙げています。
その20のうち、「手形の割引料」にファクタリングで発生する手数料は含まれるといえるでしょう。
また、ファクタリングと類似した取引に「手形割引」がありますが、手形割引では「手形」を銀行や手形割引業者に譲渡し、現金化します。
手形を買い取る銀行や手形割引業者は、手形額面金額から「割引料」を差し引き、残りを手形所持者に支払いますが、「割引料」にも消費税はかかりません。
そのためファクタリングで負担することとなる「手数料」も、手形の割引料と同様に消費税はかからないと考えられます。
金銭債権の譲受対価である手数料は非課税である
ファクタリングで消費税がかからない理由として、金銭債権の譲受対価である手数料は、非課税であることが挙げられます。
これについては、国税庁のホームページ「金銭債権の買取り等に対する課税関係」に、
売掛金や貸付金などの金銭債権を譲渡する取引や、その際に発生する手数料についての取り扱いに関する照会内容などの記載があります。
照会内容に対する回答は次の2つです。
▶契約上、金銭債権の譲受けなら金銭債権の譲受対価として非課税となる
▶金銭債権の譲受けの際に債権者から徴収する割引料・保証料・手数料は、名目にかかわらず金銭債権の譲受対価として非課税となる
この回答からも、ファクタリングは「取引」そのものと発生する「手数料」のどちらも消費税がかからないといえるでしょう。
債権譲渡登記では消費税がかかる
ファクタリング利用に対し消費税がかかることはありませんが、「債権譲渡登記」が必要な場合は消費税がかかる場合があります。
ファクタリング会社と2社間ファクタリングで契約するときに債権譲渡登記を求められることがありますが、これはファクタリング会社が債権を保全する目的で行います。
登記制度を活用することで、売掛債権の譲渡後に第三者から売掛金の所有権を主張されたとしても、ファクタリング会社が債権者であることを主張できるようになるからです。
債権譲渡登記では、登録免許税(1件につき7,500円または1万5,000円)と司法書士に対する報酬(5万円から10万円程度)が必要ですが、登記申請手続を依頼する司法書士に対する報酬には消費税が課税されます。
債権譲渡登記で必要な費用は、ファクタリング会社ではなく利用者が負担します。
そのため余計な費用がかかるだけでなく、司法書士に対する報酬には消費税がかかるなど、十分な資金調達につながりにくい要因となってしまうといえます。
ただ、どのファクタリング会社と契約する場合でも必ず登記を求められるわけではないため、未登記や留保などで対応してくれるファクタリング会社を選ぶようにしましょう。
ファクタリングで消費税を請求された場合の対処法
もしもファクタリングを利用する上で、取引そのものや手数料に消費税が課税されている見積書や請求書を受け取ったときには、相手は悪徳業者である可能性を疑いましょう。
ファクタリングがまだ十分に周知されていないことを利用し、相手は何も知らないだろうと平気で税金を上乗せした見積もりを提案してくる悪質な業者も存在します。
ファクタリングを利用して資金調達する多くの事業者は、銀行融資の審査を待っていられないほど切羽詰まった状況にあることが少なくありません。
急いでお金が必要という状況の足元を見て、本来であれば払う必要のない消費税を加え提示してくるのは悪徳業者です。
仮に悪徳業者と契約してしまうと、消費税だけでなく割高な手数料や使途不明な費用まで請求されることになってしまうことが予想されます。
そもそもファクタリングを利用すれば、正規の業者と契約しても手数料は負担しなければなりません。
その手数料は銀行から融資を受けるときのコストよりも割高とまるため、悪徳業者との契約で本来払う必要のない費用を請求されることになれば、十分な資金調達につながらないだけでなく資金繰りはますます悪化します。
そのためファクタリング会社から提示された見積もりや請求書の中に「消費税」という項目が記載されているときには、すぐに取引を停止し契約しないようにしてください。
資金調達を目的としてファクタリングを利用する以上は、無駄な費用は支払わなくてよい形で取引を行えることが重要です。
まとめ
ファクタリングを利用しても消費税は課税されることはありません。
その理由と根拠は、国税庁の公式ホームページに記載されている内容からも確認できるため、もしも不安を感じるときには事前に確認しておくと安心です。
ただ、2社間ファクタリングなどで債権譲渡登記を求められたときには、登記申請手続を依頼する司法書士に支払う報酬には消費税がかかりますので注意してください。
仮にファクタリング契約を結ぶ際に、司法書士に対して支払う報酬以外で消費税が追加されているときには、相手は悪徳業者と判断し契約を中止しましょう。
正しい消費税の知識を身につけておくことで、ファクタリングで資金調達するときだけでなく、様々な場面で余計な費用を負担することはなくなります。
特に資金調達の場面では、信頼できる正規の業者と契約することが重要となるため、悪徳業者に騙されないためにも正しい知識を身につけておくようにしてください。