起業した際に使える!?国の助成金・補助金について解説

2024年9月28日

起業した際の最初の壁は「資金調達」です。資金調達が上手くいかなければ、いくら事業内容がいいものであっても軌道に乗せるまでに時間がかかってしまいます。裏を返せば、起業時に十分な資金調達ができれば安心して事業に専念することができます。起業時の資金調達方法は、金融機関から融資を受ける以外に助成金や補助金を獲得する方法があります。

ここでは「起業時に利用することができる助成金や補助金」についてご紹介します。

助成金・補助金とは?

助成金・補助金と聞くと「なんとなく公的機関から給付されるもので返済義務がないもの」と頭に浮かぶのではないでしょうか。確かに助成金と補助金のどちらとも金融機関からの融資と異なり返済する必要がないため、受給することができれば起業するうえで大きなメリットになります。

助成金と補助金の違い

しかし、実際には助成金と補助金は別物です。この2つの制度の違いをよく理解することで、創業した会社または起業した事業に適した制度を選択することが可能です。

給付金との違い

広義にとらえると助成金と補助金は、給付金制度の1つと言うことができます。しかし、国の制度で「給付金」とつく場合には「一定の対象者に、一定の取り組みを求めずに現金を給付する制度」という意味合いになります。

例えば、新型コロナウイルス感染症により売上高が減少した事業者へ給付する「持続化給付金」や無条件で給付された「特別定額給付金」などが代表的な給付金です。これらの給付金制度は、給付金を受給するために特別な取り組みが必要なく、受給要件を満たした申請者全員に一定額が給付されます。

助成金や補助金のように何かに取り組まなければ受給できない給付金とは異なります。

起業・開業時に助成金・補助金を申請するメリット&注意点

起業や開業時に助成金や補助金を申請するメリットは多くあります。同時に注意点もありますのでご紹介します。

メリット

返済が不要な資金である

助成金・補助金ともに受給した資金の返済は必要ありません。返済しなくてよい理由は、助成金や補助金の原資は会社と労働者が支払う雇用保険料や国税・地方税などが原資になっているものが多くあるためです。つまり、助成金や補助金の要件に該当している個人や会社は受け取る権利があるため、返済義務はありません。起業・開業時に返済不要の資金が約束されていることで、創業時には大きな助けになります。

第三者からの意見が聞ける

助成金や補助金を申請するためには事業計画書の作成が必要です。事業計画書を作成する過程で、起業する事業のビジョンや目安になる売上高などを明確にすることができます。また、審査がある場合は第三者からの事業に関する意見をもらうことができます。客観的な意見を参考にすることで、より良い事業へ発展させることが可能です。

外部からの信用が得られる

創業補助金などを受給することができれば、金融機関などの外部から信用を得ることができます。受給が決定したということは、国や地方公共機関から事業計画が認められたことになりますので、融資を申し込む際などに有利になります。

注意点

受給要件や審査がある
助成金を受給するためには受給要件を満たさなければなりませんし、助成金を受給するためには審査を通過しなければなりません。申請すれば必ず受給できるものではありません。

原則として後払い

助成金・補助金ともに原則後払いになります。審査を通過したからといってすぐに入金されるわけではありません。そのため、早急に資金が必要という場合には助成金や補助金で対応することができず、金融機関などからの融資を考えなければなりません。

書類作成に負担がかかる

申請する場合に事業計画書を作成しなければなりません。また、審査を通過した後は資金の使い道などの報告書を作成し提出しなければならないため、書類作成に負担がかかります。特に起業・開業したてで書類作成に慣れていない場合は、思いのほか時間を取られてしまいます。

期間が決まっているものがある

補助金の中には、創業補助金など公募の期限が決まっているものがあります。公募の期限を見逃してしまうと申請することができませんので注意が必要です。

創業・開業時のオススメ助成金・補助金

実際に創業・開業時に申請できる助成金と補助金にはどのようなものがあるのかご紹介します。

創業助成事業(東京都)

東京都の助成金で創業5年以内の事業者、または開業を予定している方が応募することができます。人件費や賃借料なども対象になるため利用しやすい制度です。

助成対象期間は交付決定日から6か月以上最長2年、助成率は3分の2以内、助成額の限度額は400万円(※)(下限100万円)となっています。

ものづくり補助金

中小企業や小規模事業者の製品開発などを支援する補助金です。現在、正式には「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といいます。

IT導入補助金

ITを導入し生産性をあげるための補助金です。国が推進するデジタルフォーメーション(DX)政策による補助金で、POSレジシステムや予約・顧客管理システムなどを導入し、利用することで受給することができます。

小規模事業者持続化補助金

従業員が20名以下の小規模事業者を対象とした補助金です。補助金を申請するためには、商工会議所または商工会の助言等を受けて経営計画を作成する必要があります。その経営計画により販路開拓等を行った場合に、その経費の2/3(上限200万円、枠によって異なる)が補助されます。

また、インボイス特例として、免税事業者から適格請求書発行事業者に転換する小規模事業者に対して補助上限額を一律50万円上乗せとなります。

事業再構築補助金

新分野の事業を始める事業者を対象とした補助金です。他の補助金に比べて予算が多く、補助金の上限については、3億円となっています(枠によって上限が異なる)。

補助額・補助率は何度か変更されています。第12回の募集(令和6年7月26日締め切り)では、中小企業者向けの成長分野進出枠(通常類型)で、補助額が100万~3,000万円、補助率は中小企業が1/2、中堅企業が1/3です(大規模な賃上げを行う場合は、それぞれ、2/3、1/2)。

まとめ

今回は「起業時に利用することができる助成金や補助金」についてご紹介しました。

起業時に助成金や補助金の支給を受けることにより、事業の安定が図れたり、労働環境を整えたりすることができます。ただし、助成金・補助金の申請は書類作成など思ったより手間暇がかかるものも多くあります。また、補助金については支給決定後も採択された事業の管理などを徹底し、報告を行わなければなりません。