ファクタリングの買戻請求権とはリスクや契約時の注意点を解説

2026年10月13日

ファクタリングを利用するときに、特に注意したい契約条件の一つが「買戻請求権」です。

ファクタリングは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社へ譲渡し、売掛金の支払期日前に資金化する仕組みです。一般的なファクタリングでは、売掛先から支払いを受けられなかった場合のリスクをファクタリング会社側が負担する形が想定されます。

しかし、契約内容によっては、売掛先から回収できなかった場合などに、利用者がその債権を買い戻すことを求められるケースがあります。これが「買戻請求権」です。

買戻請求権が付いた契約では、売掛先の支払いが滞ったときに利用者が追加で資金を用意しなければならない可能性があります。資金繰りを改善するためにファクタリングを利用したにもかかわらず、後から大きな負担が発生することもあるため、契約前に内容を確認することが重要です。

本記事では、ファクタリングにおける買戻請求権の意味、リスク、ノンリコース型との違い、買戻しを求められるケース、契約時に確認すべきポイントについて詳しく解説します。

ファクタリングの買戻請求権とは

買戻請求権とは、ファクタリング会社が買い取った売掛債権について、一定の条件が発生した場合に、利用者へ債権の買戻しを請求できる権利を指します。

通常、ファクタリングでは利用者が保有している売掛債権をファクタリング会社へ譲渡します。

たとえば、100万円の売掛金を保有している企業が、その債権をファクタリング会社へ譲渡し、手数料を差し引いた95万円を受け取ったとします。

その後、売掛先から100万円が支払われれば、ファクタリング会社は売掛金を回収できます。

ところが、売掛先が倒産するなどして100万円を回収できなくなった場合、契約に買戻請求権が設定されていると、利用者がその債権を買い戻すよう求められる可能性があります。

つまり、利用者が売掛先の未払いリスクを負うことになる場合があります。

買戻請求権とリコースファクタリング

買戻請求権について理解するためには、「リコース」と「ノンリコース」の違いを知っておくことが重要です。

リコースファクタリングは、一定の条件で売掛債権の回収不能リスクを利用者が負担する契約です。

一方、ノンリコースファクタリングでは、原則として売掛先の倒産などによって売掛金を回収できなくなった場合でも、利用者がその損失を負担しない形が基本となります。

ただし、「ノンリコース」と表示されていても、どのような場合でも利用者に責任が発生しないとは限りません。

たとえば、架空の売掛債権を譲渡した場合や、売掛先との取引内容に重大な問題があった場合など、利用者側に原因があるケースでは別途責任が生じる可能性があります。

そのため、「ノンリコースだから何も確認しなくてよい」と考えるのではなく、契約書で具体的な責任範囲を確認することが大切です。

ファクタリングに買戻請求権があると何が問題なのか

買戻請求権が設定されている場合の最大のリスクは、売掛先から支払いを受けられなかったときに、利用者側へ資金負担が戻ってくる可能性があることです。

ファクタリングを利用する主な目的は、売掛金を早期に現金化して資金繰りを改善することです。

しかし、買戻請求権がある契約では、売掛先の支払いが滞った場合に利用者が買戻しのための資金を用意しなければならない可能性があります。

たとえば、100万円の売掛金をファクタリングして95万円を受け取ったとしても、売掛先が倒産して回収不能になった場合、契約条件によっては100万円に近い金額の負担を求められる可能性があります。

すでに受け取った資金を事業資金として使っていた場合、追加の支払いによって資金繰りが急激に悪化する可能性があります。

買戻請求権がある場合の主なリスク

買戻請求権付きのファクタリングでは、いくつかのリスクがあります。

売掛先の倒産リスクを負う可能性がある

売掛先が倒産した場合、売掛金を回収できなくなる可能性があります。

ノンリコース型であれば、一定の条件のもとでファクタリング会社が回収不能リスクを負います。

しかし、買戻請求権がある契約では、利用者が債権を買い戻す必要が生じる可能性があります。

売掛先の経営状況に不安がある場合は、特に注意が必要です。

資金繰りが再び悪化する可能性がある

ファクタリングによって一時的に資金を確保できても、買戻しが発生すると追加の資金が必要になります。

そのため、目先の資金不足を解消できたとしても、後から大きな支出が発生する可能性があります。

特に、運転資金に余裕がない企業は、買戻しによってさらに資金繰りが厳しくなることがあります。

契約内容が複雑になりやすい

買戻請求権は、どのような場合に行使されるのかを契約書で確認する必要があります。

売掛先の倒産だけでなく、支払遅延、契約解除、債権の瑕疵など、さまざまな条件が設定されている可能性があります。

「買戻請求権あり」と書かれているだけでは具体的な負担が分からないため、発動条件を確認することが重要です。

売掛先が支払わないと必ず買戻しになるのか

売掛先の支払いが遅れたからといって、必ず買戻しになるとは限りません。

実際に買戻請求が発生する条件は契約内容によって異なります。

たとえば、一定期間以上の支払い遅延が発生した場合、売掛先が倒産した場合、売掛債権そのものに問題があることが判明した場合など、特定の条件が定められているケースがあります。

そのため、契約前に「どの時点で買戻しが発生するのか」を確認しておく必要があります。

特に、「支払期日を過ぎたらすぐに買戻請求されるのか」「何日間の遅延まで待ってもらえるのか」といった具体的な条件は重要です。

買戻請求権と償還請求権は同じなのか

ファクタリングについて調べていると、「買戻請求権」と「償還請求権」という言葉が登場することがあります。

どちらも利用者が売掛債権の回収不能リスクを負う可能性がある契約を理解するうえで重要な言葉ですが、契約上の意味や具体的な仕組みは同一とは限りません。

そのため、言葉だけで判断するのではなく、契約書に記載されている内容を確認することが必要です。

特に「売掛先から回収できなかった場合に、利用者はいくら負担するのか」という点を明確にしましょう。

ノンリコースファクタリングなら買戻しはないのか

ノンリコース型のファクタリングでは、原則として売掛先の信用リスクを利用者が負担しない契約が想定されます。

つまり、売掛先が倒産したことなどを理由として、利用者が当然に売掛債権を買い戻す仕組みではありません。

ただし、ノンリコースという名称だけで安心するのは避けましょう。

ファクタリング契約には、債権の不存在、二重譲渡、虚偽申告など、利用者側の責任によって損害が発生した場合の規定が設けられていることがあります。

そのため、「売掛先の倒産リスクは誰が負担するのか」と「利用者側にどのような責任が残るのか」を分けて確認する必要があります。

買戻請求権があるファクタリングは融資と同じなのか

買戻請求権の有無を確認する際には、ファクタリングと融資の違いについても注意が必要です。

ファクタリングは基本的に売掛債権の譲渡による資金化ですが、契約内容によって利用者が売掛先の信用リスクを負担する場合があります。

一方、融資では、借り入れた元本と利息を返済することが基本です。

そのため、契約の実態を確認せず、「ファクタリングだから返済義務は絶対にない」と考えるのは危険です。

実際にどのような場合に利用者へ支払い義務が発生するのか、契約書を確認することが重要です。

買戻請求権があるか契約前に確認する方法

ファクタリングを契約する前には、契約書や重要事項について説明を受け、買戻しに関する規定を確認しましょう。

特に確認したいのは、次のような内容です。

・買戻請求権が設定されているか

・どのような条件で買戻請求が発生するか

・売掛先の倒産時に誰が損失を負担するか

・売掛先が支払遅延を起こした場合の対応

・買戻しが発生した場合に支払う金額

・手数料以外に発生する費用があるか

・契約解除の条件は何か

これらを確認しておけば、契約後に予想外の支払いを求められるリスクを抑えやすくなります。

買戻請求権の有無だけでなく契約全体を見る

ファクタリングを選ぶときは、「買戻請求権がない」という一点だけで判断するのも適切ではありません。

手数料、入金までの期間、契約方式、債権譲渡の範囲、売掛先への通知、契約解除条件など、全体を確認する必要があります。

たとえば、買戻請求権がない契約でも、別の条件によって利用者に大きな負担が生じる可能性があります。

そのため、契約書を読んで「最終的にどのような場合に自社が支払いを求められるのか」を確認することが重要です。

買戻請求権のリスクを抑えるためのポイント

買戻請求権によるリスクをできるだけ抑えたい場合は、まず契約方式を確認しましょう。

売掛先の倒産や支払不能などの信用リスクを誰が負担する契約なのかを確認することが重要です。

また、契約書に不明な表現がある場合は、担当者へ具体的に質問しましょう。

「売掛先が倒産した場合、私はいくら支払う必要がありますか」

「支払期日に入金されなかった場合はどうなりますか」

「買戻請求が発生する条件をすべて教えてください」

など、具体的なケースを想定して確認すると、契約内容を理解しやすくなります。

ファクタリングの買戻請求権で困らないために

ファクタリングは、売掛金を早期に現金化できる一方で、契約内容によって利用者が負担するリスクが異なります。

特に買戻請求権が設定されている場合は、売掛先の支払い状況によって追加の資金負担が発生する可能性があります。

そのため、申し込み時に提示された手数料だけを見るのではなく、売掛先が支払えなかった場合にどうなるのかまで確認することが重要です。

また、売掛先の信用力を自社でも把握しておくと、ファクタリング利用後のリスクを考えやすくなります。

まとめ

ファクタリングの買戻請求権とは、一定の条件が発生した場合に、ファクタリング会社が利用者へ売掛債権の買戻しを求められる契約上の権利を指します。

買戻請求権がある場合、売掛先の倒産や支払不能などによって売掛金を回収できなくなった際に、利用者がそのリスクを負う可能性があります。

ファクタリングによって資金を早期に確保できても、後から買戻しによる支払いが発生すれば、資金繰りが悪化する可能性があります。そのため、ファクタリングを利用する際には、買戻請求権の有無だけでなく、具体的な発動条件まで確認することが重要です。

また、ノンリコース型のファクタリングであっても、利用者側の虚偽申告や二重譲渡などに関する責任まで完全になくなるとは限りません。

契約前には、売掛先が支払えなかった場合の負担者、買戻しが発生する条件、買戻しに必要な金額、その他の費用などを確認しましょう。

ファクタリングは契約内容によってリスクが大きく異なるため、「手数料が安い」「すぐに入金される」といった条件だけで判断せず、売掛債権の回収不能時まで含めて比較することが大切です。