起業の方法と流れについて、起業するには何が必要か解説
2024年9月5日
会社法の改正により資本金1円から会社設立が可能になったことや行政の起業支援施策などにより、近年では、起業するハードルが低くなってきています。会社員として働いている方の他、専業主婦(主夫)や学生の方の中にも、「いつか起業したい」「副業したい」と考える方がいるのではないでしょうか。しかし、いざ起業しようとしても何から手をつければいいのか戸惑ってしまうかもしれません。
ここでは、起業する際に知っておきたい起業の方法と流れについて解説します。
起業するには、まず何から始めればいい?
起業とは事業を起こすこと、つまり自らが主体となって新しいビジネスを始めることです。株式会社や合同会社の設立の他、個人事業主として事業を始めることも、起業に含まれます。
起業するには、必要な準備や手続きを知っておくことが大切です。一般的な起業までの流れは下記のとおりです。
一般的な起業までの流れ
STEP1.
起業の目的や理由を考える
STEP2.
事業計画を立てる
STEP3.
起業形態を決めて、会社設立や開業の手続きを行う
STEP4.
資金計画を立て、資金を集める
STEP5.
事業開始の準備を行う
ここでは、一般的な起業するまでの流れとともに、必要な手続きや事前に考えておくべきことについて、詳しく見ていきましょう。
STEP1. 起業の目的や理由を考える
まず、自分がなぜ起業したいのか、その目的や理由をしっかり考えておくことが大切です。単なる思い付きだけでは、起業してもモチベーションが長続きしない可能性があります。起業をすると、仕事のやり方やライフスタイルもそれまでとは大きく変わるかもしれません。例えば、下記のようなことを自問自答し、起業後の姿を具体的にイメージするといいでしょう。
起業することが自分にとってメリットがあるか
「自分の好きな分野、得意な分野で仕事ができる」「束縛されることなく、自分の判断で事業を進められる」など、起業にはさまざまなメリットがあるといわれています。しかし、一般的なメリットが、すべての人に当てはまるわけではありません。起業することで、自分にはどのようなメリットがあるのかを具体的に考えてみることが大切です。
また、「今勤めている会社が激務なので、起業して自分の時間を作りたい」と考えていても、起業後は休日もなく、仕事に明け暮れるようなケースもあります。起業することによって、起業前よりも暮らしや気持ちの面で幸せになれるイメージが持てるかなども冷静に考えてみるといいでしょう。
自分自身が納得できる起業の目的や理由があるか
起業する理由は人それぞれで、起業に必要な理由や目的はありません。自分自身が納得したうえで、意思を固めることができれば、あとは実行する覚悟を決めるのみです。他人の意見や状況に流されることなく、「なぜこの道を進むのか」と確認する作業が、起業の第一歩といえるでしょう.
STEP2. 事業計画を立てる
起業の目的や理由が定まったら、次に事業計画を立てましょう。具体的には、下記のようにビジネスの内容と現実的な計画、ターゲットを決めていきます。
何をやるかを決める
事業計画を立てるうえで第一に考えなければならないのは、「起業して何をするか」ということです。例えば、扱う商品やサービスの他、その特徴や価格などを決めることが大切です。自分の好きなことや強み、得意なこと、社会に求められていることなどを整理して、どのような事業を行っていきたいのかを明確にしましょう。
ターゲットへの訴求力や競争優位性を調査する
ビジネスで提供する商品には、物やサービス、知識、技術などさまざまな選択肢があります。いずれにしても、市場ニーズとマッチしなければ、思うような利益を出すことは難しいでしょう。また、ターゲットの興味を引くには、競合他社との差別化を図る必要があります
いつまでにどれくらいの売上になりそうか資金計画を立てる
何を誰にどうやって売るかが定まったら、いつまでにどれくらいの売上になりそうかを考え、現実的な資金計画に落とし込んでいきましょう。資金計画を考える際には、商品・サービスの仕入れや生産方法、見込み客数、コストなどを踏まえ、実現可能な予測を立てることが大切です。
STEP3. 起業形態を決めて、会社設立や開業の手続きを行う
起業するには、法人として会社を設立するだけでなく、個人事業主として事業を起こす方法もあります。自分が始めたいビジネスに合った起業方法を選択し、必要な手続きを進めましょう。
個人事業主と法人のどちらにするか決める
起業する際に、個人事業主でスタートするか会社を設立するかで迷うことがあるかもしれません。法人と個人事業主には、それぞれメリットとデメリットがありますが、両者の大きな違いの1つは課税される税金の種類です。税金の種類が違うことにより、同じ利益でも納める税金の額が変わってきます会社を設立するにはさまざまな手続きが必要ですが、個人事業主として開業する場合は、開業から1か月以内に、所轄の税務署に開業届を提出すれば手続きは完了です。
会社設立に必要な手続きを行う
現在、日本で設立できる会社の形態は、「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」の4種類です。設立する会社形態を決めてから、それぞれに必要な手続きを行いましょう。
例えば、株式会社を設立する場合の流れは、次のようになります。
株式会社設立の手順
1.
会社の概要を決める
2.
法人用の実印を作成する
3.
定款を作成し、認証を受ける
4.
出資金(資本金)を払い込む
5.
登記申請書類を作成し、法務局で申請する
会社設立の手続きは必要書類の作成や申請、認証などに意外と時間がかかるものです。希望する起業時期からスケジュールを逆算し、余裕を持って計画を立てることが大切です。
また、会社を設立する場合、起業資金とは別に設立手続きのための費用がかかります。株式会社か合同会社かによっても設立費用は異なるため、会社形態に合った設立費用をチェックして用意しておきましょう。
STEP4. 資金計画を立て、資金を集める
起業形態が固まったら、起業するための資金を確保しましょう。起業資金を考えるうえでは、自分が始めようとしているビジネスにどれくらいのコストがかかるのかを把握しておくことが重要です。起業に必要な資金は、大きく分けて「設備資金」と「運転資金」の2つです。それぞれに該当する主なものは下記のとおりです。
設備資金
設備資金とは、店舗やオフィスを借りる場合の敷金や礼金、内装費、家具の他、固定電話やインターネット回線などのインフラ、製造設備など、設備にかかる費用のこと。
運転資金
運転資金は、家賃、光熱費、仕入れ代金、外注費、通信費、広告宣伝費など、事業を運営していくうえで継続的にかかる費用のこと。
設備資金と運転資金を分けて考えることで、継続的に必要な費用を割り出すことが可能です。起業したばかりのころは、安定した売上があるとは限りません。事業の内容や規模によって異なりますが、一般的には、運転資金の3か月分程度は確保しておいた方がよいといわれています。
また、起業する際には、事業に使える自己資金を確保してスタートさせましょう。資金計画どおりに軌道に乗らなかった場合に備え、自己資金に加えて、日本政策金融公庫の創業融資制度などを利用し、外部から資金調達をしておくとさらに安心です。外部から資金を調達した場合、その方法によっては返済の義務があります。返済で経営が圧迫されないように、起業に必要な資金の3割以上は自己資金で準備しておくことが大切です。
起業時の主な資金調達方法
起業時の資金調達方法にはいくつか種類があります。代表的な資金調達方法は下記のとおりです。
融資
日本政策金融公庫や銀行をはじめとする金融機関、信用保証協会などの公的機関では、起業家を対象とした創業融資を行っています。融資を受けるには、事業計画書を作成して窓口で相談し、審査をクリアする必要があります。なお、融資は返済する義務があります。
補助金や助成金
補助金や助成金は、中小企業庁や厚生労働省など国や地方自治体による支援制度で、原則として返済は不要です。いずれも受給には審査があり、一定の資格が必要な場合もあります。
補助金は募集期間や金額、採択件数があらかじめ決められているものが多く、申請しても必ず受給できるとは限りません。そのため、補助金の申請にあたっては、提出書類の内容が非常に重要だといえるでしょう。一方、助成金は随時受け付けているものが多く、一定要件を満たせば受給が可能です。
STEP5. 事業開始の準備を行う
会社設立・開業の手続きと資金の準備が完了したら、STEP2で定めた事業計画を実行に移していくことになります。
また、会社の設立後はさまざまな事務処理が発生します。中でも重要なのが、会計業務です。業務を開始してから慌てることのないように、会社設立のタイミングで会計ソフトを導入しておくといいでしょう。会計ソフトを使うことで、簿記や会計の知識がなくても、帳簿や決算書を作ることができます。
会社設立の手続きを手軽にする方法は?
起業までの一連の流れを把握しても、実際に書類の作成を進めると不安になったり、わからないことも出てきたりするでしょう。特に、法人として会社を設立する場合は、申請書類の作成に手間や時間がかかり、戸惑うことが多いかもしれません。
起業を成功させるには事前準備が大切
起業するには、事業の内容やターゲット層、資金のことなど、考えなければならないことがたくさんあります。特に会社を設立する場合は、個人事業主とは異なるさまざまな手続きが発生します。しかし、事前に何が必要かを把握しておけば、戸惑うことなく起業準備を進めることができるでしょう。