ファクタリングは税金滞納でも利用可能!利用時の注意点を含めて解説します!
2023年10月17日
ファクタリング会社では納税時期になると多くの会社からお問い合わせがあるようです。
「納税資金が足りなくて困っている…」
「銀行に納税資金の融資を断られてしまった…」
「資金が調達できないまま税金滞納に陥り、税務署から督促を受けている…」
このような場合、利用できる資金調達方法は限られています。
特に、既に税金滞納に陥った会社は銀行融資を利用できないため、税金滞納を解消するにも、運転資金を調達するにも困難がつきものです。
税金滞納に困った際にはファクタリングが役立ちます。
この記事では、税金滞納の基礎知識、ファクタリングと税金滞納の関係、税金滞納中にファクタリングする場合の注意点、ファクタリングの活用による税金滞納の解消などを詳しく解説します。
税金滞納に陥る理由は大きく2つ
会社経営において、経営状態が危険と判断できる場合がいくつかありますが、中でも深刻なのが「税金滞納」です。
税金滞納について考える上で最初に知っておきたいのが、「そもそもなぜ税金滞納に陥るのか?」ということです。
納税資金が不足して税金滞納に陥るわけですが、より根本的な部分、すなわち「なぜ税金滞納に陥るほど資金が不足するのか?」という点に着目する必要があります。
税金滞納に陥る理由は主に二つあります。
ひとつは、業績の不振。
もうひとつは資金繰りの悪化です。
資金繰り悪化
資金繰りの悪化も、税金滞納の原因となります。
資金繰り悪化の要因は色々ありますが、「収支バランスの悪化→資金繰り悪化」という流れが一般的です。
業績不振の会社では入ってくるお金が少なくなるため、資金繰り悪化の一因となります。
この場合、従業員の解雇や事業の縮小(いわゆるリストラ)によって支出を減らさなければ、手元資金の流出が続いて資金繰りがどんどん悪化していきます。
また、業績が好調だからといって、資金繰りが良くなるとは限りません。
むしろ、売上増加に伴い運転資金が膨らむことにより、資金繰りが悪化するケースも多いです。
このほか、無計画な事業拡大の結果、回収サイトの長期化によって資金繰りが悪化し、黒字倒産に至る会社も少なくありません。
このように、資金繰り悪化には必ず手元資金の流出を伴います。
したがって、納税時期に手元資金が不足し、税金滞納に陥ることが多いのです。
業績不振
業績が振るわない会社は、税金滞納に陥る危険があります。
特に、赤字の会社は要注意です。
赤字になるということは、利益が出ていないということです。
法人税は事業所得に対して課せられるため、赤字の場合には法人税が(地方法人税や法人事業税も)ゼロになります。
しかし、会社が支払う税金は法人税だけではありません。
まず、法人住民税は事業所得に対してではなく、資本金と従業員の数によって課税されるため、赤字でも必ず課税されます。
次に消費税です。
消費税は、販売に伴って購入者から預かるものですから、売上がある限り消費税を納めなければなりません。
とはいえ、赤字の会社は利益が出ておらず、赤字分を手元資金から補填している状況です。
当然ながら、手元資金に余裕がない会社が大半であり、業績不振の会社ほど法人住民税や消費税の納税資金が不足しがちです。
このように、業績不振は税金滞納の大きな原因となります。
税金滞納の3つのペナルティ
経営不振や資金繰り悪化に苦しんでいる会社は、納税の意思があっても納税資金を準備できず、やむを得ず税金滞納に陥ることもあるでしょう。
このとき、「ない袖は振れぬ」と強気になる経営者もいますが、だからといって納税義務がなくなるわけではありません。
個人・法人を問わず全ての納税者から税金を公平に徴収するため、国は一部の税金滞納を見逃すわけにはいかないのです。
したがって、税金滞納に陥った場合には様々なペナルティが課せられます。
これによって経営がさらに悪化し、最悪の場合には倒産に至ることも。
具体的なペナルティは「延滞税」「差し押さえ」「資金調達難」です。
延滞税が課せられる
税金滞納のペナルティの中で、最も早く影響が出るのは延滞税です。
税金滞納した会社は、納付期限の翌日から遅れた日数に応じて延滞税が課税されます。
具体的な課税率は、納付期限の翌日から2ヶ月を経過する日までは年7.3%、2ヶ月を超える部分については年14.6%です。
年7.3~14.6%という利率は、かなり高いといってよいでしょう。
銀行融資の金利は年2%が相場です。
事前に銀行から納税資金を借り入れて支払っておけば、税金滞納によって延滞税を課せられるよりも、はるかに安くつきます。
いずれ必ず納税するのですから、期限通りに支払って延滞税を避けるのが賢明です。
差し押さえの危険も
延滞税よりも怖いのが差し押さえです。
納付期限から約1ヶ月が経過すると、税務署は税金滞納中の会社に督促を行います。
督促状の送付から10日以内に納税しない場合、法的に差し押さえが可能となります。
もちろん、すぐに差し押さえられることはなく、電話や文書による催告を受けるのが一般的です。
しかし、督促・催告を無視して税金滞納を続けると、税務署が財産調査に乗り出します。
税務署の職員が会社を訪問し、財産を調査した上で差し押さえて公売にかけるのです。
会社の財産には色々なものがありますが、売掛金などの債権も差し押さえの対象です。
売掛金が差し押さえられると、売掛金の支払先が税務署に変わります。
したがって、大抵の場合、差し押さえの事実は他社に素早く伝わります。
差し押さえを受けるほど経営が悪化しているのですから、取引から手を引きたいと考えるのが普通です。
多くの取引先が、取引の解消・縮小に動くため、経営はさらに悪化していくことでしょう。
資金調達に悪影響が出る
税金滞納は、資金調達にも悪影響を及ぼします。
無借金経営の会社を除き、ほとんどの会社は何らかの方法によって資金を調達しながら経営を維持しています。
特に、資金調達の軸となるのは金融機関からの借入れです。
しかし、税金滞納中の会社は融資を受けられなくなります。
詳しくは後述しますが、税金滞納によって民間金融機関・公的金融機関の融資は100%NGとなり、ノンバンクのビジネスローンでさえ借入れが困難になるのです。
融資への依存度が高い会社が融資の道を断たれると、資金繰りはたちまち破綻します。
安定的な資金調達のためにも、税金滞納は避けるべきなのです。
税金滞納中の資金調達は?
上記のような税金滞納のペナルティについて、すでにご存知の人も多いかと思います。
しかしながら、資金不足によりやむを得ず税金滞納に陥る会社があることも事実です。
税金滞納中も、経営者は資金繰りを回し続けなければなりません。
「資金調達に悪影響が出る」というペナルティを踏まえて、税金滞納中の資金調達について詳しくみていきましょう。
銀行融資は無理
税金滞納のペナルティにもある通り、税金滞納中の銀行融資は100%NGと考えてください。
銀行が融資を断る理由は簡単です。
ひとつは返済原資を確保できないこと、もうひとつは差し押さえのリスクがあることです。
冒頭で解説したように、多くの会社は業績不振や資金繰り悪化によって税金滞納に陥ります。
このうち、特に深刻なのが業績悪化による税金滞納です。
銀行の融資審査では、様々な観点から経営状況を詳しく把握します。
しかし結局のところ、融資の可否を決定づけるのは返済力です。
返済力に問題がある会社は貸倒れリスクが高いため、その他の面でいくら好材料があっても、融資を拒否される可能性が高いです。
銀行は、事業によって得られる利益だけを返済原資とみなします。
業績不振によってほとんど(あるいは全く)利益が出ておらず、税金滞納に陥っているとなれば、銀行は「返済原資が確保できていない→融資不可」と判断するのです。
これが、税金滞納によって銀行融資を受けられなくなる大きな理由です。
もっとも、「業績好調→資金繰り悪化→税金滞納」という場合、業績の面では問題ありませんが、やはり銀行融資はNGと考えてください。
なぜならば、税金滞納によって差し押さえのリスクがあるからです。
例えば売掛金を差し押さえられた場合、「売掛金を回収→借入金の返済」という流れも期待できず、融資先が返済困難に陥る可能性が高まります。
返済原資を確保できず、なおかつ差し押さえのリスクもあるのですから、銀行にとって税金滞納中の会社は「融資できる要素が皆無」なのです。
日本政策金融公庫も使えない
銀行や信金などの民間金融機関から融資を受けられないとき、頼りになるのが公的金融機関です。
日本政策金融公庫をはじめとする公的金融機関は、民間金融機関の補完を目的とする金融機関であり、民間金融機関が対応できない会社にも融資しています。
営利目的ではないため、業績や資金繰りの悪化が深刻な会社でも、日本政策金融公庫ならば融資を受けられる可能性があります。
しかしながら、税金滞納は別問題です。
日本政策金融公庫は、民間金融機関以上に税金滞納に厳しく、税金滞納中の会社が融資を受けられる可能性はゼロです。
そもそも、日本政策金融公庫は政府の100%出資によって成り立っています。
非常に公共性が高く、税金によって運営されているといっても過言ではありません。
令和5年度予算における歳入総額は114兆3812億円、そのうち約61%を税金が占めており、会社が納める税金も貴重な財源です。
税金滞納中の会社が、税金によって運営されている日本政策金融公庫に融資を依頼したところで、断られるのは当然といえます。
ビジネスローンは無理、ではないが…
借入れによる資金調達のうち、唯一可能性があるのはビジネスローンです。
ただし、ビジネスローンにはいくつかの種類があります。
銀行系のビジネスローンは、銀行融資と同様の理由によって融資を受けることはできません。
融資を受けられる可能性があるのは、ノンバンクのビジネスローンです。
ノンバンクは、銀行から融資を受けられない会社の受け皿としての役割を担っています。
そのため、銀行融資よりも審査のハードルが低く、業歴や決算内容の問題にも寛容です。
一部のノンバンクでは、税金滞納中の会社に対しても融資を検討してくれます。
もちろん、ノンバンクのビジネスローンとはいえ、融資である以上は返済力を重視します。
業績不振によって税金滞納に陥り、返済原資を確保できない会社であれば、審査に落ちる可能性が高いです。
また、ビジネスローンの融資上限額は経営内容に則して判断するため、税金滞納に陥るほどの状況であれば、少額しか借りられないことも多いです。
税金滞納を解消できるならばビジネスローンの利用も検討すべきですが、十分な資金を確保できない場合にはおすすめできません。
さらに、ビジネスローンには金利が高い(年利15~20%)、銀行の評価が大幅に悪化するといったデメリットもあります。
ビジネスローンの利用により、税金滞納を解消した後も銀行から融資を受けられない状況が続くこともしばしばです。
これらのデメリットを考えると、税金滞納中だからといって、安易なビジネスローン利用は控えるべきでしょう。
内部資金調達が無難
融資は、金融機関や貸金業者などの外部から資金を調達するものです。
このような資金調達方法をまとめて「外部資金調達」といいます。
これに対し、会社の内部留保から資金を調達するのが「内部資金調達」です。
内部資金調達の代表例は、在庫や不動産の売却、受取手形の割引、売掛金のファクタリングなど、資産の売却です。
外部資金調達は外部の判断に左右されるため、経営状況や返済力に問題があれば資金を調達できませんが、内部資金調達にはその心配がありません。
あくまでも、売却する資産の価値に応じた資金を調達できるためです。
不動産を売却するならば、その不動産の築年数や利回り、立地条件などから収益性を測り、それに応じた価格で売却できます。
受取手形の割引や売掛金のファクタリングも、基本的には同じです。
手形や売掛金の額面金額、支払期日までの残存日数、売掛先の支払能力などに応じて価値を算定して買い取ります。
つまり、税金滞納中の会社でも、資産の価値に応じて資金調達できるのです。
税金滞納が原因で融資を受けられない会社は、内部資金調達が最も確実といえます。
税金滞納時にはファクタリングがおすすめ
内部資金調達の一例としてファクタリングを挙げました。
ファクタリングは、税金滞納時の資金調達に非常に役立つ方法です。
ここからは、ファクタリングの基本的な仕組み、税金滞納中でも調達できる理由などをみていきましょう。
そもそもファクタリングとは
簡単にいうと、ファクタリングは支払期日前の売掛金を売却し、早期資金化によって資金を調達することです。
ほとんどの会社は信用取引によって取引しており、現金取引の割合が100%という会社はごく少数でしょう。
信用取引に伴って発生するのが売掛金です。
売掛金は金銭債権の一種で、支払期日に売掛先から代金を受け取る権利です。
しかしながら、売掛金があることによって、支払期日までは売掛先の支払いを待つ義務が生じます。
支払いを待っている間は、手元に現金が入ってこない中で資金繰りを回さなければなりません。
当然、その期間が長くなるほど資金繰りは苦しくなり、税金滞納に陥ったり、黒字倒産のリスクが高まったりするのです。
そんな時、ファクタリングが役立ちます。
売掛金によって資金繰りが苦しいならば、その売掛金を現金に変えてしまえばよいのです。
信用取引をしている限り、(売掛金の回収直後でなければ)手元には売掛金があります。
その売掛金をきっかけとして、会社の裁量で柔軟に資金調達できるのがファクタリングの大きなメリットです。
このメリットに着目し、銀行融資への依存解消の有効策として、政府もファクタリングの活用を推奨しています。
ファクタリングは債権譲渡である
売掛金の回収サイトが長期化したり、多額の売掛金を抱えたりした場合には資金繰りが悪化し、資金が不足しがちになります。
この資金不足を融資によって解消できれば良いのですが、融資を受けられない会社も少なくありません。
特に税金滞納中の会社は融資を受けられないため、融資以外での資金調達が必要です。
ファクタリングは内部資金調達であり、法的には債権譲渡契約に分類されます。
これは、売掛金が売掛債権の一種であるためです。
一般的に、ファクタリングは「売掛金をファクタリング会社に売却する」というイメージですが、厳密には「債権(売掛金)をファクタリング会社に譲渡し、その対価(買取代金)を受け取る」というイメージが正確です。
債権譲渡契約だからこそ、ファクタリングは金銭消費貸借契約(融資)とは根本的に異なり、税金滞納中でも利用できるといえます。
税金滞納中でもファクタリングできる理由とは
より根本的なことをいえば、税金滞納中でもファクタリングできるのは、それがビジネスとして成り立つからにほかなりません。
銀行融資、ビジネスローン、ファクタリングなど資金調達方法は様々ですが、日本政策金融公庫などの公的なものを除いて、結局のところ全てビジネスです。
銀行融資は利息収入を得るビジネスであり、ファクタリングも手数料によって儲けるビジネスです。
資金調達が成功するかどうかの要は、それぞれのビジネスモデルに適うかどうかにあります。
銀行が税金滞納中の会社に融資しないのは、貸倒れリスクが高く(貸倒損失や貸倒引当金の負担が大きい)、ビジネスとして成り立たないためです。
むしろ、税金滞納中の会社には融資せず、健全な会社にできるだけ多く貸し付けたほうがビジネスモデルに適っています。
ファクタリングの場合、「税金滞納」という要素がビジネスモデルにあまり干渉しません。
これは、ファクタリングのリスクが、ファクタリングの利用会社(以下、利用会社)の経営状況ではなく、売掛先の経営状況に依存するのが大きな理由です。
ファクタリング会社は、売掛金を額面金額よりも割安に買い取り、支払期日に満額回収することで利益を得ています。
この差額が「ファクタリング手数料」といわれるものです。
たとえ利用会社が税金滞納中であっても、売掛先の支払能力に問題がなければ、ファクタリングはビジネスとして十分に成り立ちます。
逆に言えば、利用会社が税金を滞納していない場合でも、売掛先が税金滞納中であればファクタリングの審査に落ちる可能性が高いです。
このように、ビジネスモデルの観点から考えると、税金滞納中でもファクタリングできる理由がよく分かると思います。
税金滞納中にファクタリングするデメリット5つ
税金滞納の有無に関係なく、ファクタリングにはいくつかのデメリットがあります。
代表的なデメリットは以下の通りです。
・ファクタリング会社によって対応が異なる
・審査に通るとは限らない
・手数料が高い
・債権譲渡登記を求められることがある
・悪質業者が存在する
税金滞納中にファクタリングする場合、これらのデメリットが平常時よりも大きくなると考えてください。
ファクタリング会社によって対応が異なる
近年、ファクタリングの急速な普及に伴い、ファクタリング会社の数が増加し続けています。
大手グループ企業がファクタリングに参入するケースも少なくありません。
それぞれのファクタリング会社は、開業の背景や資本力、実績、得意分野などが異なります。
したがって、ファクタリング会社の数だけ対応も様々です。
ファクタリング会社ごとの違いは、税金滞納への対応力に顕著に表れます。
税金滞納への対応は、主に以下の3パターンに分かれます。
1.税金滞納中でも積極的に対応
2.「対応可能(まずはご相談ください)」というように、条件次第で対応可能
3.税金滞納中の会社は一切受け付けない
No.1では、税金滞納中の会社にも積極的に対応していますが、最も多いのは2の対応です。
税金滞納中の会社は、1または2の対応をしてくれるファクタリング会社を選ぶ必要があります。
また、3の対応をとるファクタリング会社も珍しくありません。
自社に適しているファクタリング会社が、税金滞納を理由に受け付けてくれないこともあるのです。
このように、ファクタリング会社の選択肢が減ることは、税金滞納中の大きなデメリットといえます。
審査難易度が高まる
ファクタリングのメリットは審査に通りやすいことです。
実際、銀行融資やビジネスローンに比べると、はるかに審査に通りやすいといえます。
しかしながら、税金滞納中の会社は審査の難易度が高くなります。
税金滞納によって審査が厳しくなる主な理由は、詐欺行為と使い込みを避けるためです。
詐欺行為への備え
ファクタリングにおける詐欺行為には、「ファクタリング会社が利用会社に対して行う詐欺行為」と「利用会社がファクタリング会社に対して行う詐欺行為」の2パターンがあります。
後者の場合、以下の詐欺行為が代表的です。
・架空債権詐欺…実在しない売掛金をファクタリングする行為
・二重譲渡…同じ売掛金を複数のファクタリング会社に売却する行為
・計画倒産詐欺…売掛先と共謀し、ファクタリング後に売掛先を倒産させる行為
このうち、特に多いとされるのが架空債権詐欺と二重譲渡です。
ファクタリング会社によって税金滞納への対応が異なる理由もここにあります。
税金滞納中の会社は資金繰りに困っているため、資金を捻出するためにこのような詐欺行為に手を染める傾向があるのです。
これらの詐欺を手っ取り早く回避する方法は、税金滞納中の会社はそもそも受け付けないことです。
受け付けるとしても、厳しく審査しなければなりません。
通常よりも多くの書類を求め、売掛金の実在を確実に把握したり、申し込みの内容に疑わしい点がないかを厳しくチェックしたりする必要があります。
使い込みへの備え
また、使い込みのリスクも無視できません。
ファクタリングには、利用会社とファクタリング会社の2社間で取引する「2社間ファクタリング」と、利用会社・ファクタリング会社・売掛先の3社間で取引する「3社間ファクタリング」があります。
このうち、売掛先が関与しない2社間ファクタリングを選ぶケースがほとんどです。
2社間ファクタリングでは、売掛先はファクタリングの利用を知らず、支払期日になると利用会社に代金を振り込みます。
この時点で、売掛金はファクタリング会社に譲渡しているため、利用会社は売掛先から受け取った代金をファクタリング会社に振り込む必要があります。
つまり、売掛金回収の流れが「売掛先→利用会社→ファクタリング会社」になるのです。
このとき、税金滞納中の会社は資金繰りが苦しいため、売掛先から受け取った代金を使い込む傾向があります。
その場合、ファクタリング会社は受け取れるはずの代金を受け取れなくなります。
回収実務に多くの手間がかかるほか、その後の状況次第で利用会社を訴えることも珍しくありません。
このような回収トラブルを避けるためにも、ファクタリング会社は厳しく審査します。
例えば、直近の出入金の状況から資金繰りを把握し、あまりにも危険(=使い込みのリスクが高い)と判断すればファクタリングを拒否するのです。
債権譲渡登記を求められやすい
利用会社による詐欺行為の2つ目に「二重譲渡」を挙げました。
税金滞納中の会社は資金繰りが苦しいため、ファクタリングによってできるだけ多くの現金を手にしたいと考えます。
だからこそ、二重譲渡に手を染める会社も出てくるのです。
二重譲渡も、ファクタリング会社にとっては大きなリスクです。
例えば、ある売掛金をファクタリング会社Aでファクタリングし、その後同じ売掛金をファクタリング会社Bでファクタリングしたとします。
この場合、ファクタリング会社Aもファクタリング会社Bも、どちらも「債権は自社にある」と考えます。
実際には、売掛先から支払われる代金は一定ですから、代金を受け取れるのもどちらか一社だけです。
架空債権詐欺であれば、利用会社が加害者、特定のファクタリング会社が被害者となるため、利害関係はシンプルです。
しかし二重譲渡の場合、複数のファクタリング会社が被害者となるため、利害関係が複雑になり、解決にはより多くの手間とコストを要します。
そこで、二重譲渡を避けるためにも、ファクタリング会社は債権譲渡登記を求めます。
債権譲渡登記とは、ファクタリングによって生じる権利関係の変化を登記によって明らかにし、法的に裏付けるものです。
登記した内容は公示され、誰でも(全てのファクタリング会社が)閲覧できるようになります。
利用会社が二重譲渡を試みても、ファクタリング会社の方で登記内容を確認すれば、すでにファクタリング済みの売掛金であることが明らかとなり、二重譲渡を防止できるというわけです。
債権譲渡登記への対応はファクタリング会社によって異なり、「原則的に必要」とする場合もあれば、「相談に応じて留保可能」あるいは「原則不要」とする場合もあります。
しかし、税金滞納中の会社に対しては、債権譲渡登記を必ず求めるファクタリング会社も多いです。
債権譲渡登記には、司法書士報酬と登記コストで10万円程度かかるため、コスト負担に注意してください。
手数料が高くなりやすい
他の資金調達方法と比べて、ファクタリングは調達コストが高いとされます。
銀行融資の調達コストは年利2%程度、ビジネスローンでも年利15%程度です。
これに対し、ファクタリングの手数料の相場は以下のようになります。
・2社間ファクタリング(オフライン):額面金額の10~30%
・2社間ファクタリング(オンライン):額面金額の10%以下
・3社間ファクタリング:額面金額の1~10%
額面金額に対してこれだけの手数料がかかるのですから、調達コストの高さは一目瞭然です。
このため、手数料をいかに抑えるかが重要となりますが、税金滞納中は手数料がさらに高くなる傾向があります。
税金滞納によって手数料が高くなる理由は、ファクタリング会社側のリスクが高まるためです。
本来、リスクとリターンは比例するものです。
リスクが増加すればリターンを高めることによって対処し、リスクが減少すればリターンを低くしても採算が取れます。
ファクタリングでいえば、「税金滞納」というリスクが付加された場合には、「手数料」というリターンを高めることで対処するわけです。
具体的には、以下のように対処します。
・詐欺や使い込みのリスクを回避するために厳しく審査する。事務コストの増加分を手数料に転嫁する。
・二重譲渡防止のために債権譲渡登記を求める。登記コストは手数料に織り込み、利用会社に請求する。
このように考えると、税金滞納によって手数料が高くなる仕組みがよく分かるでしょう。
悪質業者に要注意
税金滞納の有無に関係なく、ファクタリングを利用する際には悪質業者に注意してください。
近年、ファクタリングが急速に普及しており、法整備が追い付いていない状況です。
ファクタリング業者に対する規制はほとんどなく、新規開業についても免許や登録は一切求められません。
このため、ファクタリング業を装うヤミ金業者が問題視されています。
貸金業を行うためには、金融庁への貸金業登録が必須となり、法定利息も定められています。
しかし、悪質な貸金業者は、超高金利で貸し付けているため貸金業登録を受けることができません。
このような無登録営業の貸金業者を「ヤミ金」といいます。
ヤミ金業者は、貸金業法違反や出資法違反によって摘発対象となるため、摘発を逃れるためにファクタリング業を装うのです。
金融庁は、「ファクタリングを装う違法な貸金業者=ヤミ金業者」と断定しています。
表面的にはファクタリングを謳っていても、実態はヤミ金業者そのものです。
実際の裁判例などをみても、悪質なファクタリング業者では年利数百~千%超での貸付けや、違法な取り立てなどを行っています。
そのような悪質業者を利用すれば、経営に支障をきたすことは間違いありません。
税金滞納中の会社は、深刻な資金調達難によって冷静さを失い、悪質業者に手を出してしまうことがあります。
確かに、税務署から督促や催告を受け、差し押さえが迫ったとなれば、資金調達を急ぐのも無理はありません。
しかし、ファクタリングを利用する際には、悪質業者の回避が大前提です。
税金滞納中でも冷静なファクタリングを心掛けてください。
ファクタリングで税金滞納を解消しよう!
税金滞納に陥っている会社は、ペナルティを避ける上でも、資金調達環境を正常化する上でも、早急に税金滞納を解消すべきです。
ファクタリングを活用すれば税金滞納を解消することができ、また再び税金滞納に陥らないためにもファクタリングが役立ちます。
ここからは、既に税金滞納に陥ったケースを想定して、ファクタリングで税金滞納を解消する流れを注意点と共に解説します。
1.ファクタリングで資金を調達する
税金滞納を解消するには、納税資金を調達する必要があります。
このとき、色々な資金調達方法を模索したところで、あまり意味はありません。
税金滞納中の会社は融資による資金調達が困難です。
下手に融資を相談してしまうと、銀行に税金滞納の事実を知られることとなり、銀行評価に大きく影響します。
それよりも、税金滞納中はなるべく銀行との接触を避け、税金滞納を解消した後、何事もなかったかのように接触を再開するのが賢明です。
また、税金滞納から1ヶ月もすれば税務署から督促を受け、その後10日で法的に差し押さえが可能となります。
すでに督促・催告を受けている会社は、すぐに税務署に相談すべきです。
近日中に資金を調達し、税金滞納を解消することを伝えておけば、税務署がすぐに差し押さえに動くことはありません。
とはいえ時間的な余裕がほとんどなく、出資者を募ったり、少人数私募債を発行したりすることは不可能です。
自然と内部資金調達に限られてくるため、ファクタリングで売掛金を売却し、納税資金を調達するのが良いでしょう。
ただし、ファクタリング会社選びや手数料には注意してください。
税金滞納中でも利用できるファクタリング会社を選ぶこと、手数料がなるべく安いファクタリング会社を選ぶことが重要です。
2.銀行融資とファクタリングの併用を
税金を支払うと、税務署から納税証明書が発行され、晴れて税金滞納は解消となります。
銀行に融資を依頼する際には納税証明書の提示を求められますが、その点でも問題ありません。
したがって、税金滞納の解消後は銀行融資を模索していきましょう。
とはいえ、税金滞納に陥るほどの状況だったのですから、融資を受けられない可能性も十分にあります。
そこで、銀行融資とファクタリングの併用がおすすめです。
この併用により、安定的な資金調達が可能となり、また経営改善にも取り組みやすくなります。
銀行融資とファクタリングでは、審査の基準が全く異なります。
「銀行融資は利用できないがファクタリングは利用できる」、「銀行融資は利用できるがファクタリングは利用できない」ということはあっても、「銀行融資もファクタリングも利用できない」という状況は考えにくいです。
銀行融資とファクタリングの併用により、安定的に資金を調達できるようになります。
資金調達が安定すれば納税資金も調達しやすく、税金滞納の危険が減ります。
銀行融資とファクタリングの使い分けましょう
ただし、複数の資金調達方法を併用する場合には適切な使い分けが必要です。
銀行融資のメリットは、調達コスト(金利)が安いこと、多額の資金を調達できることです。
銀行融資はある程度まとまった資金の調達に向いており、業務改善・経営刷新のための設備資金などを調達することもできます。
一方、ファクタリングのメリットは簡単かつスピーディに資金を調達できることです。
短期的な資金繰りや緊急の資金調達にはファクタリングが向いています。
その時の状況に合わせ、メリットが高まるように使い分けましょう。
回収サイトの改善の検討しましょう
資金繰り悪化によって税金滞納を引き起こした会社は、資金繰り改善に取り組むべきです。
特に、回収サイトが長期化している場合には要注意です。
回収サイトの改善を怠れば、再び税金滞納に陥る恐れがあります。
この場合、改善の方針はごくシンプルです。
回収サイトの長期化によって資金繰りが悪化しているのですから、回収サイトを短縮すれば資金繰りは改善します。
しかしながら、理論上は簡単であっても、実際には様々な困難が伴います。
自社から見て「回収サイトが短くなって資金繰りが改善する」ということは、売掛先から見ると「支払サイトが短くなって資金繰りが悪化する」ということにほかなりません。
したがって、支払い条件の交渉は難航するのが普通で、代替案なども提案しながら、時間をかけて交渉していくものです。
自社にある程度のアドバンテージがなければ、いくら交渉しても改善は難しいでしょう。
ファクタリングで資金繰り改善を検討しましょう
回収サイトを手っ取り早く短縮するには、ファクタリングが非常に役立ちます。
ファクタリングは、売掛金を早期資金化するサービスです。
支払期日に関係なく現金化できるということは、支払いを前倒しできることにほかならず、延いては回収サイトの短縮にもつながります。
例えば、回収サイト60日の売掛金を発生と同時にファクタリングする場合、実質的な回収サイトは60日から0日に短縮したことと同じです。
売掛先には時間をかけて交渉しつつ、実際の資金繰りではファクタリングを活用することで回収サイトを短縮することで、資金繰りは着実に改善していきます。
「回収サイトが長期化→お金がなかなか入ってこない→手元資金の不足→税金滞納」という悪循環も断ち切ることができます。
リスケジュールも視野に
業績悪化により税金滞納に至った会社は、より抜本的な改善が必要です。
この場合、「売上の減少→利益の減少→手元資金の枯渇→税金滞納」という流れが一般的です。
売上の改善には時間がかかるため、こちらは徐々に取り組むとして、利益の減少を早急に食い止めなければなりません。
売上が減っていく中で利益を維持するには、リストラなどを通じて支出を減らす必要があります。
この時、人員削減は慎重に検討すべきです。
人材不足が社会問題になっている今、安易に解雇してしまうと、経営改善後に労働力不足に陥る恐れがあります。
とはいえ、その他の経費削減には限界があり、税金滞納の時点でほとんど削減余地がない会社もあるはずです。
その場合には、リスケジュール(以下、リスケ)も視野に入れましょう。
近年、銀行はリスケに寛大になっており、これにより一定期間にわたって元金の返済を止めることができます。
リスケ期間中は利息だけを支払えばよいため、元金返済部分を他の用途に活用でき、経営改善に取り組みやすくなるのです。
リスケ期間中の資金調達はファクタリングで
ただし、リスケ期間中は民間金融機関・公的金融機関を問わず、全ての金融機関から融資を受けられなくなります。
これにより運転資金が不足したり、税金滞納に陥ったりする危険もないとは言い切れません。
しかし、ファクタリングならばリスケ中でも資金を調達できます。
仮にリスケしなかったとしても、リスケを検討するほどの状況であれば、金融機関からの融資は困難です。
ならば、リスケによって支出を減らし、ファクタリングで資金を調達しながら経営改善に取り組むのが賢明でしょう。
3.納税資金の調達は早めに
ファクタリングで税金滞納を解消し、銀行融資とファクタリングを併用しつつ資金調達と経営改善に取り組むうちに、やがてまた納税時期を迎えます。
再び税金滞納に陥らないためにも、以下の点に注意が必要です。
融資の相談は早めに
銀行から納税資金の融資を受ける場合、早めに相談することが重要です。
繰り返す通り、納付期限を1日でも過ぎた時点で「税金滞納」となり、融資は受けられなくなります。
銀行は、融資を実行するまでに数週間~1ヶ月程度を要します。
銀行が「優良企業」とみなせば、最短2週間程度での融資も可能ですが、そうでなければ1ヶ月程度かかると考えてください。
税金の納付期限は原則として、事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内です。
したがって、決算書を作成・申告し、納付額が確定したら速やかに融資を依頼する必要があります。
納付期限が迫ってから融資を依頼すれば、銀行に「資金繰り計画がずさん」という印象を与えかねません。
また、銀行の都合を考えず、自社の都合だけで融資を依頼する経営者は、融資担当者から嫌われることが多いです。
消費税の調達は不可
注意したいのは、消費税は融資で調達できないということです。
法人税は、事業所得に対して課税される税金ですが、利益が出ているからといって、それが全て手元に残るわけではありません。
利益を事業に再投資することで、納税時期に手元資金がないということも十分にあり得ます。
したがって、利益が出ている(法人税の納付義務がある)会社が、融資によって納税資金を確保するのは普通のことです。
しかし、消費税は会社の利益に対してではなく、その会社の商品やサービスを購入する消費者に対して課せられています。
消費者から「商品代金+消費税」をまとめて受け取り、1年間の消費税をまとめて納める仕組みです。
つまり、消費税は一時的に預かっているだけのお金であり、利益とは明確に区別すべきものです。
預り金である以上、利益のように「事業に再投資したから手元にない」ということは、本来あってはなりません。
「納税時期になれば、預かっていた消費税を支払うだけでよい」という建前ですから、そもそも「消費税を納付するための現金が手元にない」という状況がイレギュラーなのです。
見方によっては、国から預かっているお金を会社が使い込んでいるのですから、銀行としては融資するわけにはいきません。
ファクタリングで調達
「銀行に早めに相談したものの融資を受けられなかった」「消費税を支払えない」といった場合には、ファクタリングで調達しましょう。
銀行から融資を拒否された場合、審査結果が出るまでにそれなりの期間を要するため、すでに納付期限が迫っていることが多いです。
税金滞納を避けるためにも、ファクタリングでスピーディに調達しましょう。
また、ファクタリングは資金使途を問いません。
銀行融資では資金使途を重視するため、「消費税納付のため」ということであれば、融資を受けることは不可能です。
しかしファクタリングならば、消費税の納付資金でも全く問題なく調達できます。
まとめ
この記事では、税金滞納の問題点や対象方法、ファクタリングの活用について詳しくお伝えしました。
大切なのは、税金滞納に陥った上で対処方法を考えるのではなく、あらかじめ税金滞納を回避することです。
やむを得ず税金滞納に陥った場合、早急に解消することも重要です。
そのためにはファクタリングが役立ちます。