ノンバンク融資で運転資金を調達する方法を解説
2024年9月10日
会社経営者や自営業の方、個人事業主の方なら「ノンバンク」からの融資を検討したことがあるかもしれません。ノンバンクとは言葉どおり「銀行ではない金融機関」を指します。ノンバンクを利用した事業資金の調達は急に資金需要が発生したときなどに便利です。
ただし、はじめて利用する方は「銀行と比べて金利はどれくらいが相場だろう」「事業資金を調達する手順や方法が分からない」などの疑問を持つかもしれません。
本記事ではノンバンクの基礎的な知識や、ノンバンクから事業資金を借りるメリット・デメリット、利用後の資金調達への影響などを解説していきます。ノンバンクからの融資を検討している方は参考にしてください。
ノンバンク融資とは
事業資金の融資と言えば、大手銀行や地方銀行、信用金庫などを思い浮かべる方も多いでしょう。政府系金融機関としては日本政策金融公庫や商工中金(商工組合中央金庫)などもあります。これらはすべていわゆる「銀行系(バンク系)」と呼ばれる資金調達先です。
そうした「銀行系」ではない調達先が本記事のテーマである「ノンバンク」です。一口にノンバンクといってもさまざまな種類があります。信販会社・消費者金融会社・キャッシングを取扱うクレジットカード会社もノンバンクです。他にリース会社や不動産金融会社などもノンバンクに含まれます。
ノンバンク融資とは、上記のような金融機関から事業資金を借入れることです。まとめるとノンバンクは次のような分類ができます。
【ノンバンク系融資の種類】
● 消費者金融:主に個人を対象にカードローンなど小口融資を行う金融機関
● 信販会社・クレジットカード会社:商品代金の分割払いなど信用供与を提供する会社
● ビジネスローン会社:主に中小企業・自営業者などに事業資金を融資する会社
● リース会社:機材や設備などを、期限付きで貸し出す会社
● 不動産金融専門会社:不動産投資や不動産担保融資などを提供する会社
ノンバンク融資と銀行融資の違い
ノンバンクと銀行にはさまざまな違いがあります。まずは業務の違いです。銀行は融資だけでなく、預金業務や振込などの為替業務も行いますが、ノンバンクは融資業務に特化しています。
ここでは事業資金を借りる場合、ノンバンク融資と銀行融資では、どのような違いがあるかを紹介しましょう。
・金利の違い
銀行の事業資金融資に比べると、ノンバンクの事業資金融資の方が、一般的には金利が高く設定されています。ノンバンクはスピードを重視した柔軟な審査が特徴であるため、銀行より金利が高くなる傾向にあります。
それぞれの金利は、一般的に銀行融資は「1%〜3%」、ノンバンクの金利は「6〜18%」となっています。金利の違いで支払総額はどう変わってくるのでしょうか。150万円を借入れして1カ月(30日)後に返済した場合の利息をシミュレーションしてみます。
《例:利息の計算式》
利息=元金(借入金額)×金利(年利)÷365×ご利用日数
【銀行の金利(年利3%と仮定)】
150万円×3%÷365日×30日=3,698円(1円未満切り捨て) 総額150万3,698円
【ノンバンクの金利(年利15%と仮定)】
150万円×15%÷365日×30日=1万8,493円(1円未満切り捨て) 総額151万8,493円
30日で1万4,795円の差がありました。金利が低いほど、支払総額が低くなるのは言うまでもありません。
ノンバンク融資で事業資金を調達するメリット
低金利の銀行融資の方が総支払額を抑えることができます。それではなぜ比較的金利の高いノンバンクで融資を受ける事業者がいるのでしょうか。それはノンバンクでの借入にも、メリットがあるためです。次にノンバンクでお金を借りるメリットを紹介します。
緊急時に素早く資金調達可能
ノンバンク融資のメリットは、審査から融資までの期間が、銀行に比べると短いことです。銀行の審査は保証会社の審査も加えると、申込みから融資開始までに最短でも1週間程度かかります。審査が長引いたときには融資まで1か月以上かかることも珍しくありません。
一方、ノンバンクのビジネスローンでは、長くても3日から1週間程度で審査の結果が出ます。審査にAIシステムを導入しているところも少なくありません。独自のスコアリングシステムや、審査のノウハウがあるためスピーディーな審査が可能なのです。
ノンバンクでは、経営が赤字でも融資を受けられる可能性があります。将来性を見込んで事業融資を行うケースもあり、その際の判断も銀行より圧倒的に素早いのがノンバンクです。
提出書類が比較的少ない
ノンバンクからの融資では、銀行融資と比べて提出書類が少ないため、事前の準備にも手間がかかりません。銀行融資の場合は、次のような資料を提出するのが一般的です。
● 本人確認書類
● 印鑑証明書
● 履歴事項全部証明書
● 確定申告書(直近2期分)
● 納税証明書
● 商業登記簿謄本
● 事業計画書
● 青色申告決算書(個人事業主の場合)
● 契約書、見積書(設備資金の場合)
一方、ノンバンクでは銀行ほど書類を用意する必要はありません。
金利を抑えられるケースもある
ノンバンクでの融資は、銀行融資より金利が高いのが一般的です。ただし、最近は銀行の子会社となっているノンバンク(消費者金融)も多く、サービスも見直されつつあります。そのためノンバンクでも銀行系カードローンと同じ金利水準となっているところも多く、中には銀行系ローンよりも低金利な場合もあります。銀行系かどうかだけで判断するのでなく、各社の金利の詳細を調べて申込むようにしましょう。
ノンバンク融資で事業資金を調達するデメリット
ノンバンク融資には「緊急時に素早く資金調達可能」「提出書類が比較的少ない」などのメリットがある一方、デメリットもあります。どのようなデメリットがあるかも理解しておきましょう。
借入限度額が低い
ノンバンクの借入限度額は、銀行融資に比べると借入れできる金額が低くなるケースがあります。銀行融資の場合は、担保によって数千万円以上の融資にも対応しており、担保を用意したプロパー融資なら億単位の借入れも可能でしょう。一方、事業者向けのノンバンクのビジネスローンでは借入限度額が数十万円〜1,000万円ほどに設定されていることが一般的です。
ノンバンクの融資額が銀行より低く設定されているのは、原則として利用者から担保の提供を受けず、保証人や信用保証会社の保証も求めないためです。担保も保証もないため、大きな資金を融資した場合、全額を回収できないケースも出てきます。そうしたリスクを回避するためにも、ノンバンクでは銀行のような高額の融資は行っていません。
自営業者や個人事業主が融資を受ける場合、事業者向けビジネスローンでなく、一般消費者向けのカードローンを事業資金に充てることも可能です。しかし、一般消費者向けのカードローンは、一般的にビジネスローンより借入限度額が低めに設定されています。
一般消費者向けのカードローンは「総量規制」に基づいた借入限度額となる点にも注意が必要です。ノンバンクの場合、貸金業法の「総量規制」により、年収の3分の1を超える借入はできません。
事業資金を目的としたノンバンクのビジネスローンには、総量規制は適用されません。個人事業主や自営業者、経営者が多額の融資を希望する場合、一般消費者向けカードローンよりも事業資金に特化したビジネスローンの方が適しています。それでも銀行融資ほどの多額な借入はできないため、ノンバンクからの融資だけでは必要額を満たせない可能性もあることを想定しておきましょう。
ノンバンク融資のローンの種類と特徴
ノンバンク融資には、契約形式に合わせて「証書型契約」「極度型契約」の2種類のタイプがあります。それぞれについて説明しましょう。
証書型契約
証書型契約は、ノンバンクが証書貸付によって事業者に融資します。証書貸付とは、1回の借入ごとに金銭消費貸借契約証書を作成して、契約書に記された金額を融資する契約です。
証書型契約では、次に紹介する極度型契約と異なり、追加の借入はできません。あらかじめ借入残高が決まっているため、契約する際に借入金額・返済期間・金利に応じて毎月の返済額が決まり、返済スケジュールが決定します。
証書型契約では、自営業者や個人事業主、経営者の事情に沿った審査が行われます。従業員が数十人の小規模な企業を対象としているため、小さな会社の事情にも詳しく、大手の金融機関に比べると審査を柔軟に行っていることが一般的です。
極度型契約
極度型契約とは、専用のローンカードを使って借入を行うビジネスローンのことです。あらかじめ設定された利用限度額の範囲内なら、コンビニエンスストアのATMなどでカードを使って、繰り返し借入が可能です。返済の自由度も高いのが特徴です。
証書型契約と違い、極度型契約の多くは、大手消費者金融会社が提供しており、担保や保証人は不要です。申込者の実績や数値に応じてスコアリング形式で審査を行っています。
極度型契約は使いみちが自由で利便性が高いものの、利用限度額の範囲内で繰り返し借入できるため、証書型契約に比べると、より計画的な利用が求められます。