ビジネスローン以外に 法人が利用できるローンの種類について
2024年9月10日
法人を営んでいると、資金調達のためにローンを組むことも珍しくないでしょう。
法人向けローンの中でも有名なものとして、ビジネスローンがあります。
ビジネスローンは審査が比較的緩やかで、スピーディに融資実行してくれるので重宝するでしょう。
しかし法人向けローンはビジネスローンのほかにも、さまざまな種類があります。
ここでは法人向けローンとして、どのようなものが使えるかについて解説します。
資金調達が必要になった時のために、頭に入れておくとよいでしょう。
法人の利用できるローンとは?
法人を対象にしたローンはビジネスローン以外にもいくつかあります。
主な資金調達方法として、以下のような選択肢が考えられるでしょう。
1. 日本政策金融公庫
2. 銀行融資
それぞれどのような特徴があるかについて解説します。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫という政府系金融機関で、法人向けの融資を行っています。
あとで紹介する銀行融資は低金利ですが、その分審査は厳しめなのが特徴です。
とくに創業間もない法人はまだ信用力が十分でないとして、融資を断るケースも珍しくありません。
日本政策金融公庫であれば、創業間もない法人でも融資を積極的に行っています。
金利も銀行と比較してもそん色ないくらいの、低い利率で運営されています。
審査も甘めで、個人事業主でも借り入れできる可能性は十分あるのです。
さらに日本政策金融公庫から融資を受けたことが、ひとつの実績になります。
政府系金融機関の審査に通った、それだけ信用力があると判断され、銀行融資も受けやすくなるでしょう。
たとえば新規事業を始める、もしくは事業開始してから7年以内の法人を対象にした、新規開業資金と呼ばれるローンがあります。
最大7,200万円までの融資に対応している、大型ローンです。
返済期間は設備資金が20年、運転資金が7年を上限として比較的長期的な借入期間に設定できます。
しかもいずれも据置期間として2年間が設定できるので、無理のない返済計画が立てられます。
起業するにあたって資金調達したいのであれば、こちらを利用するのも選択肢のひとつです。
ただし融資実行されるまでに、1か月程度の時間が必要になるかもしれません。
銀行融資
法人がローンを組むにあたって、連想しやすいのが銀行融資でしょう。
文字通り金融機関がお金を貸し出すローンです。
まとまった金額の融資を希望する際に活用してほしいローンです。
銀行融資の場合、信用力次第ですが数億円単位の借入もできます。
しかも銀行融資は低金利なので、返済の負担もそこまで重くありません。
金融機関にもよるものの、2~5%といったところが相場です。
ビジネスローンだと10%を超える金利設定にされる場合もありますので、かなりの低金利であることがわかります。
ただし低金利なので、審査は厳しめの傾向があるのも理解しておきましょう。
また審査通過できたとしても融資実行までに時間がかかります。
普通でも1か月、場合によっては1か月以上かかってしまう恐れもあります。
融資実行されるまでの資金繰りについても、検討しておく必要があるでしょう。
銀行の法人向けローンの種類
銀行は法人向けにローンを提供しています。
しかしこの銀行の法人向けローンには、この中でもいくつかの種類があります。
銀行によってすべてラインナップされていないかもしれませんが、主な種類として以下のようなローンがあげられるでしょう。
1. プロパー融資
2. 信用保証協会の保証付き融資
3. 不動産担保融資
4. 売掛債権担保融資
5. カードローン
銀行によってはビジネスローンを提供しているところもあります。
このように多様な商品を展開しているので、自分の場合どのローンを選択すべきか、申し込む前に慎重に検討しましょう。
プロパー融資
プロパー融資とは、銀行が直接法人に対して貸し出しを行うローンです。
「銀行融資」とよく呼ばれますが、これは基本的にプロパー融資のことを指すと思ってください。
保証協会などを挟まないで直接融資するので、もし不良債権化した場合銀行は大きな損害を被ります。
そのため審査は厳しく、融資実行までに時間がかかります。
プロパー融資は創業間もない、お付き合いもとくにない法人に対して貸し出すことはあまりありません。
普段から取引関係があり信頼関係を構築している、しかも業績も堅調な法人を対象にした融資と考えましょう。
返済期間は短めな傾向が見られます。
そのため借入の段階で返済のめどが立っている、短期間できちんと返せるかは考えておきましょう。
信用保証協会の保証付き融資
信用保証協会の保証のついた融資です。
信用保証協会が保証人になってくれて、いざ債務者から債権回収できなかった場合に身代わりになります。
銀行としてみれば、たとえ債務者が返済不能の状態になっても信用保証協会から回収可能です。
リスクが低いので、プロパー融資と比較すると審査は緩くなります。
中小の法人は、経営基盤が大手企業と比較すると脆弱です。
そのためプロパー融資の審査は厳しめになります。
しかし信用保証協会の保証付きであれば、審査通過できる確率はアップします。
ただし信用保証協会の保証付きであれば、協会に保証料を支払わないといけません。
また協会の審査を通さないといけないので、審査に時間がかかってしまいます。
申し込んでから融資実行されるまで、少なく見積もっても1か月程度はかかると想定しておきましょう。
不動産担保融資
不動産担保融資とは、文字通りお手持ちの不動産を担保にして融資を受けるローンです。
もし不動産を保有しているのであれば、こちらのローンも利用できます。
担保にできるのは不動産、具体的には土地や建物です。
不動産担保融資の場合、低金利で借入ができます。
しかも長期の返済期間の設定もできるので、無理のない返済計画を立てられます。
銀行としてみれば、こちらもローリスクの融資だからです。
もし法人が返済不履行になったとしても、担保にしている不動産を差し押さえればよいからです。
また担保になる不動産がしっかりしていれば、融資を受けられやすいのもメリットといえます。
不動産の価値次第ですが、数億円単位の借入もできるかもしれません。
不動産担保融資というと、多額の借入が前提ではないかと思う人もいるでしょう。
しかし少額の借入でも対応してもらえます。
売掛債権担保融資
売掛担保債権とは、法人が抱えている売掛金を担保にして貸し出すローンのことです。
売掛金に関連する資金調達方法として、近年注目されているファクタリングがあります。
両者を混同しやすいものの、性質はまったく違います。
売掛債権担保融資は、売掛金を担保にした融資です。
そのためいずれ、法人は返済しなければなりません。
一方ファクタリングは、売掛債権を現金化する手法です。
ローンではないので、後々返済義務は発生しません。
売掛債権担保融資を受ける前提として、売掛金のある取引先に通知しなければなりません。
取引先の承諾がないと融資は受けられないので注意しましょう。
また取引先の中には、売掛債権担保融資を契約書の中で明確に禁じているところもあります。
契約書に売掛債権に関する条項がないか、あらかじめ確認しておきましょう。
売掛金は時として、なかなか現金化できないところが資金繰りのうえで、頭痛のタネになりがちです。
売掛金の回収前に仕入れの支払いの方が先に来てしまうと、キャッシュフローが悪化してしまいます。
このような資金繰りが悪化したときに売掛金を担保にして、ローンを組むのもひとつの手です。
カードローン
カードローンで借入する方法もあります。
カードローンは個人向けの商品もあるので、内容は知っている法人の代表者も多いでしょう。
カードローンの審査に通過すると、ローンカードが発行されます。
ローンカードを使ってATMにて手続きすれば、借り入れられます。
返済も同様にATMを使って手続きするのが一般的です。
カードローンは審査が緩めといえるでしょう。
中小企業の代表者でも審査通過できる可能性が十分あります。
ただし金利は高めに設定されているので、長期の借入には不適格です。
利息が膨らんで、返済負担が大きくなってしまうからです。
カードローンの場合、各自で利用限度額が設定されます。
利用限度額の枠内であれば、前回の借入が完済する前でも新規借り入れが可能です。
カードローンは通常数十万円から数百万円の借入向けのローン商品です。
ただし一部数千万円単位で借入できるようなカードローンもあります。
しかしこのようなカードローンを利用するためには、信用保証協会の保証を受けることが前提です。
それでもおおよそ2,000万円が上限と考えましょう。
事務所購入時にローンを組む
法人の中には、ビジネスの拠点になる事務所を購入しようと検討しているところもあるでしょう。
しかし事務所購入といっても、手持ちの資金だけで賄うのは難しいかもしれません。
その場合にはローンを組んで購入するのも選択肢のひとつです。
事務所購入を検討していてローンを組むとき、どういったメリットがあり注意すべき点は何かについてみていきます。
また法人が事務所購入時にローンを組む場合、どういったところを審査で重視されるのかについても、あわせてみていきましょう。
事務所購入時にローンを組むメリットとは?
法人が事務所を購入する際にローンを組むメリットとして、選択肢の幅が広がる点は留意しておきましょう。
ある程度自己資金のある法人でも、購入できる事務所には制約があるはずです。
しかしローンを組めば、借入金が自己資金に上乗せされます。
自己資金だけでは購入できないような価値の高い物件を購入できます。
たとえば最寄り駅から近い立地条件のよいところに部屋を購入できるかもしれません。
アクセスがよければ従業員も通勤しやすくなるので、仕事へのモチベーションも上がるでしょう。
取引先の訪問にも便利なので、お得意様に喜ばれるかもしれません。
事務所購入の際にローンを組んで、自己資金を多少手元に残せるのもメリットのひとつです。
事業を営んでいると、想定外の事態に遭遇することもあります。
売掛金が当初の予定通りに回収できない、予想外の出費を強いられるなどです。
もし事務所購入で自己資金のほとんどを使い切ってしまうと、突発的な事態に対応できない恐れがあります。
自己資金としてどの程度手元に残しておくべきか、判断材料になるのが限界利益です。
限界利益とは、売上から変動費を差し引くことで算出できます。
すべての固定費を回収できる指標のひとつとして使われます。
ローンを組んで自己資金をある程度残すのも、法人にとって重要な戦略のひとつです。
資金繰りに余裕をもたせ、リスクマネジメントすることも大事でしょう。
不動産購入時にローンを組んだ場合、新規の借入を起こせる可能性があるのもメリットのひとつです。
たとえば法人の代表者がマイホームを所有していた場合を仮定しましょう。
住宅ローンを組むにあたって、借入上限額が6,000万円だったとしましょう。
ところが実際の残債が3,000万円だとしたら、残り3,000万円余力があると判断できます。
このように借入限度額の枠内であれば、マイホームを第二抵当権に設定できます。
担保の価値が増えるので、新たな借り入れができるわけです。
法人のローン活用方法に関するまとめ
ここまで見てきたように、法人向けのローンの選択肢はビジネスローン以外にもさまざまなものがあります。
それぞれに異なる特徴があるので、自分たちの現状にマッチした形式で資金調達しましょう。
またローンを組む方法だけでなく自分たちの資産を売却する、売掛債権を現金化するファクタリングなどで、資金調達する方法もあります。
総合的に見て、どう資金繰りをするのが自分たちにベストか慎重に検討しましょう。