減価償却の概要と資金調達との関係性
2023年8月28日
事業を回していくには何かと資金が必要になるわけですが、資金調達をする時には返済を考えなければなりません。借りることだけを考えてしまうと、返済できないような状況になってしまうかもしれないわけです。返済できなければ、財産を差し押さえされてしまうかもしれません、借り入れを行ったことが、資金ショートの原因になってしまうこともあるわけです。
その資金調達の返済ですが、実は減価償却と密接に関係しています。その2つが関係している、ということはイメージしにくいかもしれません。
こちらではまず減価償却とはどういったものかを明らかにします。
さらに減価償却と資金調達との関係性も徹底解説します。
減価償却とはどういったものなのか?
設備などを分割して費用化すること
減価償却とは設備などにかかった費用を分割して一定期間で費用化していくことを指しています。例えば100万円で買った機械を、複数年で分割して費用として計上していくことを指しているのです。
そもそも設備ですが長期間に渡って使うものが多いでしょう。複数年間に渡って利用していくものを、1年間に費用として一括処理してしまうのは少しおかしいのです。
仮に数千万円もの設備を購入して1年間で費用化するとします。そうすると多くの企業はその年は赤字になってしまうのではありませんか?決算書で評価をされないような状況になってしまうわけです。資金調達がしにくい状況になってしまうでしょう。
そこで高額で購入した設備などは複数年間で分割して費用化させる、という考え方が出てくるわけです。
【例】
飲食店が食品を保管するための冷蔵庫や冷凍庫を300万円で買い替えたとします。耐用年数は5年とします。
単純計算をすると300万円÷5となり、1年あたり60万円の減価償却を行って費用計上していくことになります。
購入した初年度も60万円を計上し(1月1日に購入し、12月31日が決算日のケース)、2年目も60万円を計上して冷蔵庫や冷凍庫の価値を引き下げていきます。そして5年後に減価償却が終わると、それらの機器の評価は0円となるわけです。
なぜ減価償却を行うのか?
・設備の価値を正確に評価するため
・より正確な決算を行うため
減価償却をする理由は、正確な決算を行うためです。
そもそも何かしらの設備を購入したとして、初年度の決算ですべてを費用計上してしまうと設備投資後の正確な損益を出せなくなります。
すべてを費用計上した年の決算書は大きいなマイナスとなり、翌年からは大きなプラスになる、といったおかしな状況になります。
より正確な決算を行うためにも耐用年数で分割して費用計上すれば、より正確な利益が把握できるわけです。損益計算書の精度が極めて高くなり、「設備投資をしたことによって利益にどのような変化があらわれたのか」、さらには「設備投資の効果はあったのか」という部分も見えてきます。
もう一つの減価償却の目的として、設備の資産の評価があります。
そもそも300万円で購入した設備は1年後も2年後も300万円の価値はあるでしょうか?使っていけば、どんどんと年式も古くなって価値が低くなるわけです。
仮に減価償却をしなければ、10年前や20年前の古い設備でも購入した価格の価値がある、ということになってしまいます。それでは会社の正確な資産を把握できなくなってしまうでしょう。
減価償却を行って設備の(資産)価値を落としておくことで、会社の資産の正確な情報が把握できるようになるのです。
減価償却の注意点|減価償却とキャッシュフロー
利益よりも大きな現金が入ってくるのが減価償却
少し複雑に感じてしまうかもしれませんが、内容は簡単です。
例えば購入した設備を利用して100万円の売上があったとします。そしてその年のその設備の減価償却が60万円であったとします。そうすると100万円-60万円となり、その設備の利益は40万円ということになります。
利益は40万円ということですが、前述したように減価償却費は実際に現金が出ていっているわけではありません。購入した時にすでに支払っており、2年目以降は費用だけを計上していることになるのです。
よってキャッシュフローとしては100万円が入金したことになるので、利益よりも大きな現金が獲得できたことになります。利益以上にキャッシュフローの状況は良くなる、といった傾向が減価償却費の計上では見受けられるわけです。
減価償却をしても現金が減るわけではない
減価償却を行う時ですが、現金の流れに注目しましょう。
設備に投資した時に現金が減ることになるわけですが、2年目以降は減価償却費を計上するだけになります。現金が減っているわけではないのに、費用を計上していくのが減価償却となっているわけです。
普通に考えると費用計上したのであれば、現金が減っているはずなので不思議に思ってしまうかもしれません。しかし減価償却というものはそういったシステムなのです。
減価償却に関してはキャッシュフローにはマイナスの影響を与えない、といった特徴があるわけです。
※税金の支払いには影響を与えます。減価償却費を計上することで、当期純利益が影響を受けるのです。減価償却の内容によっては、法人税に大きな違いが出る可能性もあります。
償却年数について
耐用年数は資産ごとに異なっています。
詳しい耐用年数を知りたい場合には、国税庁のホームページをチェックしてください。
減価償却費は借り入れの基準になる!
勘の鋭い方はもう気づいているかもしれません。
前述したように減価償却費は、2年目以降に関してはすでに支払っているお金なので、キャッシュフローでマイナスとなることはありません。減価償却費が500万円発生したとしても、実際には500万円を支払っているわけではないのです。
そこで資金調達が出てきます。減価償却費はキャッシュフローのマイナスとなるわけではないので、会社として自由に使える資金となります。よってその減価償却費の額を借入金の返済に当てる、という考え方が出てくるわけです。
例えば1年間の減価償却費が1,000万円であったとします。1,000万円であれば、年間1,000万円までの返済能力がある、ということになるわけです。減価償却の額を把握できれば自社の返済能力がわかり、さらに返済能力が分かれば借り入れできる金額まで確認できるのです(こちらケースであれば1年間で1,000万円以内の返済になる借り入れであれば資金がショートすることはありません)。
返済額が減価償却費を上回る場合はどうなるのか?
あまり良い状態とは言えません。
資金調達の返済額が減価償却費を下回っていれば、会社の現金だけでも十分にやりくりできる、ということになります。しかし減価償却費を上回るような返済額になってしまうと、帳簿上の利益を取り崩さなければなりません。要は資金がショートしてしまう可能性が出てきてしまうのです。
仮に利益を取り崩すとなると、新たな資金調達を検討しなければならないかもしれません。返済のための借り入れをするような状況になりかねないのです。自転車操業のような状態になってしまえば、いずれ会社は破綻してしまうかもしれません。そうならないようにするためにも、資金調達を行うのであれば、返済については減価償却費を下回るように設定すべきなのです。