シリーズAとは?ステージによって資金調達を使い分けよう!
2023年11月28日
「シリーズA」と聞いてピンとくる方はどのくらいいるでしょう。野球用語かなとも思ってしまいそうですよね。
この記事ではこれから起業される方に向けて、「投資ラウンドの意味とそれぞれの特徴」に関して解説していきます。
学生の方でも理解できるようにかみ砕いて、かつ詳しく説明しています。
よろしければ是非ご覧ください!
そもそも投資ラウンドってなに?
投資ラウンドとは、「投資家が企業に対して投資(出資)をする段階」のことを意味します。
これはもともと、投資する側の人間が投資先企業のファイナンスステージを把握しやすいように、アメリカのシリコンバレーを中心に生まれた考え方です。
企業は、事業を維持/拡大する上で“運転資金”が必要になってきます。このため、経営者は“Debt デット(お金を借りて資金を調達する方法)”、“Equity エクイティ(新株の割当と引き換えに資金を調達する方法)”、“補助金(国や自治体などから開発資金等を支援してもらう方法)”などを行うことで資金を調達します。
例えば、エクイティでの資金調達の場合、ハイリターンを狙う投資会社であるVC(ベンチャーキャピタルやCVC)や、個人投資家であるエンジェル投資家などが資金調達したい企業へ投資する際、投資先企業の企業ステージを把握する必要があります。
ここで、「投資ラウンド」という概念が出てきます。
後ほど説明しますが、投資ラウンドにはエンジェル、シード、シリーズA、B、C…などがあり、これらは企業の成長段階を意味します。
したがって、投資家サイドは投資ラウンドにより投資先企業の成長段階を端的に知ることができるのです。
投資ラウンドの種類と特徴
投資ラウンドの種類には、エンジェル、シード、シリーズA、B、C..などがありますが、それぞれシード、アーリー、ミドル、レイターの4つの事業ステージ内に属するものです。
シードラウンドは、スタートアップ企業が最初に受けるベンチャーキャピタルによる投資ラウンドの1つです。この段階では、スタートアップ企業は市場でまだ広く支持されていないことが多く、商品やサービスのプロトタイプが完成し、市場での評価が始まった段階です。
シリーズA ラウンドとは、すでに一定数のユーザー顧客がいるプロトタイプの事業や製品・サービスをプロダクトローンチさせようとするスタートアップ企業が追加開発や販路開拓のためにエクイティファイナンスを実施する段階であると考えられています。
この段階の投資ラウンドは、スタートアップ企業にとって最初の本格的な資金調達であり、投資家が事業の成長性や将来性をトラクションを持って判断する重要な投資フェーズとなります。
シリーズAラウンドの要件としては、PMFを達成していることが一つの目安となっており、PMFが未達の場合はプレシリーズAラウンドやポストシードラウンドという一つ手前の調達ラウンドを実施することとなります。またシリーズA以降でシリーズB未満のラウンドのことをプレシリーズBやシリーズAのエクステンションラウンドなどと呼ぶケースもあります。
そのため、シリーズAラウンドのスタートアップ企業に出資をする投資家は、人材確保や取引先の紹介、プロダクトの共同開発などを通して積極的に投資対象のスタートアップ経営に関与し、その成長を後押ししようとするといった特徴があります。
投資ラウンドごとの資金調達方法とその特徴
経営者が資金調達を行うタイミングは、
・プロダクトを開発したい場合(シード期)
・自社製品が市場で顧客を獲得できるかどうか、”仮説検証”を行いたい場合(シード〜プレシリーズA)
・”仮説検証”を終えた自社製品を一気にスケールアップしたい場合(シリーズA以降)
などが挙げられます。
アーリー期の ”Product Market Fit” とは、自社製品の顧客が明確となり、資本投下した場合に利益が見込める状態です。顧客獲得コスト(CVC)を顧客生涯価値(LTV)が上回っており、”Unit Economics”(一顧客獲得した時に得られる収入が顧客獲得コストを上回っている状態)を達成している(もしくは達成する見込みが限りなく高い)状態がミドル期移行の目安となります。
また、ミドル期の段階では、ビジネスモデルも固まりつつあり、アーリー期の段階よりも事業計画の数値のブレも少なくなってきます。プロダクトの機能も拡充され、アップセルや更なる顧客獲得が投資家より求められます。
最近では、複数のVCや事業会社からの資金調達に加えて、海外VCからの調達も珍しくなくなりました。
大型調達に成功して企業価値が10億ドル(日本円にして約1,100億円)を超える ”ユニコーン企業” も登場しています。
レイタ―期になると、次の段階としてIPO(上場)が選択肢となります。
当然、上場すれば株式市場から資金調達を行える他、国内での認知度向上や従業員のモチベーションアップなどのメリットもあります。
しかしながら、上場するデメリットとして、オーナーの発言権が希薄になることや社会的責任・プレッシャーが大きくなるようなことが挙げられます。
なので、M&AでEXITするか上場するかの判断は、経営者の意向やマーケット環境に応じて投資家との間で決められることになります。
米国におけるシリーズAへの投資は、2021年後半にピークを迎えて以来、5四半期連続で減少しています。
一方日本は、資金調達総額が年々増加しているものの、スタートアップの資金調達社数は減少していることから、シリーズAのスタートアップの選別がより厳しくなっている可能性があります。
米国は景気後退局面に入っており、日本のスタートアップマーケットも注視が必要です。