銀行融資以外の資金調達方法は何がある?メリット・デメリットを解説
2023年8月25日
資金調達と聞いてパッと思い浮かぶのは、銀行融資という方がほとんどでしょう。
しかし銀行融資は審査が難しく通過するのが容易ではありません。そして審査に通らなかった場合、融資以外の方法を検討しなければなりません。
過去に銀行から資金を借りたことがある場合でも、再度審査に通るとも限らず、すぐにお金が必要になる可能性も含めて融資以外の方法を知っておくことは余裕のある経営判断のためにも必要なことです。
そこで、融資以外の資金調達方法にはどのような手段があるのか、それぞれのメリットやデメリットについて解説していきます。
銀行融資で資金調達できない主な理由
中小企業が銀行から融資を受けたくても、資金調達につながらない理由として次の3つが挙げられます。。
・経営状況
・返済能力
・会社規模
まとまった資金を調達するためには、金融機関にお金を貸してもよい相手だと認めてもらうことが必要ですが、審査に通らない理由をそれぞれ確認しておきましょう。
経営状況
銀行融資は、決算書が赤字であると審査に通りません。
赤字経営であるということは、利益を生むことができていないことであり、借入金の返済資金を捻出できない状態と判断されるからです。
数年に渡り赤字続きのときには、状況が改善傾向でなければ審査では厳しい判断となります。
返済能力
銀行融資では、何よりも相手の返済能力を重視した審査を行います。
元金に利息を付けて返済してもらうことが重要と考えるため、回収の見込みがない相手にお金を貸すことはありません。
しかし中小企業の多くは赤字経営であり、担保として差し入れることのできる資産も保有していないことが少なくないといえます。
収支状況や借入金の利用履歴など確認し、十分な担保もなければ、返済能力に問題があると判断されれば審査に通らなくなるといえるでしょう。
会社規模
銀行融資では、会社規模も重視されます。
創業してからのどのくらいの年数が経過しているのか、資本金や従業員数なども確認され、資金面での体力を判断されることになります。
小規模な企業の場合、体力が弱いと判断されることが多いため、差し入れる担保などがなければ融資は難しくなる傾向が見られます。
ベンチャーキャピタル
銀行融資以外の資金調達方法として挙げられるのが「ベンチャーキャピタル」に投資してもらう方法です。
「ベンチャーキャピタル」とは、スタートアップ企業などの将来性を期待して出資する投資会社であり、未上場の企業に投資し、上場したときの株式売却益を得ることを目的としています。
一般的なベンチャーキャピタルの場合、出資と同時に「経営コンサルティング」も行い、取得した株式が上場後の売却で大きな値上がり益を生む目的を果たすためにも、企業価値向上を図ることが多いといえるでしょう。
しかし投資先となった企業のすべてが上場できるとは限らず、出資した資金回収ができないケースもあるため、ベンチャーキャピタルのハイリスク・ハイリターンを理解した上で出資していると考えられます。
創業したばかりで知名度も低いベンチャー企業の場合、担保も所有しておらず信用力も低いため、銀行から融資を受けたくても難しいケースがほとんどです。
しかしベンチャーキャピタルを頼ることで、事業成功の可能性を中心とした判断により、返済義務のない資金を調達できます。
ただし投資してもらった金額に見合うリターンをあげることが望まれることとなるため、、将来的な成長をしっかりアピールできるによって、資金調達できるかを左右すると考えられます。
ベンチャーキャピタルのメリット
実績が浅く、社会的な信用力が十分とはいえないスタートアップしたばかりの企業などは、、資金調達の手段が限られている状態であるものの、ベンチャーキャピタルなら多額の資金を投資してくれることはメリットです。
お金を借りるのではなく、出資してもらう形になるため、返済義務のない資金を調達できることもメリットといえるでしょう。
資金力を強化した経営が可能となり、思い切った経営判断や事業展開も可能となります。
ビジネスパートナーとなる企業などを紹介してくれたり人脈をつなげてくれたり、経営的なアドバイスなども受けることができるため、事業を成功させ利益回収も期待しやすくなるといえるでしょう。
ベンチャーキャピタルのデメリット
ベンチャーキャピタルに投資してもらうことのメリットは大きい反面、出資する前提は上場させることであるため、経営方針に従わなければならないことはデメリットです。
自らの事業方針を曲げなければならないこともあり、自由な経営ができないことはデメリットといえます。
また、投資ファンドが株式を購入することになれば、経営権の一部を握られることとなり、経営に関与するだけでなく、株式保有割合によっては経営権を揺るがされる問題に発展することも留意しておく必要があります。
クラウドファンディング
「クラウドファンディング」とは、インターネット上にこれから始めるサービスや販売する商品などの開発または販売に向けて、不特定多数の賛同者から少しずつ資金を集める方法です。
個人から集める資金のため、一人あたりの金額は少ないことがほとんどですが、大人数から集めることができれば多額の資金調達につながります。
集めた資金は資金を投じてくれた人に対し、どのようなリターンを与えるかによって、購入型・融資型・投資型・寄付型など異なります。
クラウドファンディングのメリット
インターネットを使って、多くの人にビジネスプランを周知させることが可能であることがクラウドファンディングのメリットです。
賛同者を多く集めることで、期待していたよりも多くの資金を調達できる可能性もあります。
商品購入型・寄付型のクラウドファンディングの場合、新しい商品やサービスを販売したいときに用いられる方法ですが、見返りとして支援者にその商品やサービスを提供することになります。
資金負担も少なく、新たな商品やサービスを支援者に利用してもらうことで、さらに多くの人に自社商品やサービスを周知させることにつながるとも考えられるでしょう。
クラウドファンディングのデメリット
クラウドファンディングは、インターネットを使って簡単にはじめることができる反面、賛同者が集まらなければ資金調達につながらないことがデメリットです。
ネット上に新商品やサービスなどビジネスプランを公表するため、その内容を盗用されるリスクも否定できません。
目標金額に達成してもプロジェクトの見通しが甘い場合、支援者にリターンできず終わることもあるため、十分思案した上で始めることも必要です。
なお、クラウドファンディングは専門サイト運営者に15%程度の手数料を支払うことが必要であるため、手数料を差し引かれることも見据えた目標金額などの設定が望ましいといえます。
エンジェル投資家
将来性の見込めるベンチャー企業やスタートアップ起業家に対し、資金を投じてくれる個人を「エンジェル投資家」といいます。
エンジェル投資家は、もともと起業家として活躍していた方などのため、ベンチャーキャピタルのように株式売却益を獲得することを目的としてるわけではなく、将来性の見込める企業を応援したいという姿勢で出資してくれることもめずらしくありません。
純粋に経済的追求を超えた理由で資金を投じてくれるエンジェル投資家もいれば、ベンチャーキャピタルのように上場後の株式売却益を狙っているケースもあるため様々です。
エンジェル投資家のメリット
エンジェル投資家を頼ることで、投資してもらえるだけでなく、有力者を紹介してくれたりビジネスに関する助言をしてもらえたりなど、経営を円滑に進めるきっかけを支援してくれます。
また、融資ではなく投資であるため、ベンチャーキャピタル同様に、返済義務のない資金を調達できます。
エンジェル投資家のデメリット
エンジェル投資家から出資を受けるときには、株式や転換社債と交換することが一般的です。
そのため株式の持ち分の割合によって、経営権を揺るがされる問題になる可能性もあります。
また、経営に関与してくるエンジェル投資家もいるため、自由な経営ができなくなるリスクもあると留意しておきましょう。
補助金・助成金
「補助金」とは事業を実施すること支援するための給付金であり、国や政策などでいろいろな種類があります。
「助成金」は雇用に関する支援や研究開発に関する支援を目的とした給付金で、どちらも了する上での要件を満たすことが必要ではあるものの、返済不要の資金を調達できます。
補助金・助成金のメリット
補助金と助成金はどちらも返済する必要のない資金を調達できることがメリットです。
特に補助金はまとまった金額を調達することができ、銀行融資と比較しても遜色ない金額を調達できることもめずらしくありません。
補助金・助成金のデメリット
補助金と助成金はどちらも申請すれば簡単に支給されるわけではなく、厳格な要件などをクリアすることが必要です。
また、準備に時間がかかることや、基本的に後払いとなるため、一時的に必要な費用の支払いに充てるお金を立て替えることが必要です。
ファクタリング
「ファクタリング」とは、売掛金をファクタリング会社に売却し、現金化することで資金を調達できるサービスです。
売掛先から売掛金が入金されるよりも前に、お金を受け取ることができます。
売掛金の入金期日までが長く設定されているときや、サイト長期化で資金繰りが悪化しているときには、ファクタリングを使うことによりキャッシュフローを改善させることにつながります。
ファクタリングのメリット
ファクタリングのメリットは、銀行融資よりも審査のハードルが低く、資金調達までの時間が短いことです。
銀行融資など借入れの審査では、申込者の信用力を重視するため、借金を多く抱えていた李赤字決算だったりすれば利用できません。
しかしファクタリングでは、利用者ではなく売掛先の信用力を重視した審査を行うため、赤字決算や債務超過でも申し込みできます。
また、はやければ即日現金化が可能になるなど、資金調達までのスピードが格段にはやいことがメリットです。
ファクタリングのデメリット
ファクタリングを利用するデメリットとして、手数料が高めであることが挙げられます。
たとえば利用者とファクタリング会社で契約する2社間ファクタリングでは、10~20%が手数料相場であるため、長期利用すれば資金繰りは悪化します。
また、調達できる金額は売掛金の範囲に留まるため、多額の資金が必要であればその金額を超える売掛金を保有していることが必要です。
まとめ
中小企業が資金調達する方法は、銀行融資以外にもいろいろあります。
普段から付き合いのある銀行があれば、つい担当者に頼りたくなることもあるでしょうが、融資を申し込んでも審査に通るとは限りません。
万一のために資金調達の方法を多様化しておくことも必要であり、現状や獲得したお金は何に使うのかなどを踏まえた上で、最適な方法を選ぶようにしましょう。