資本金には借入金を使ってもいい?会社設立時に資本金を調達する方法
2023年8月2日
「資本金には借入金を使ってもいいの?」
「資本金を調達する方法が知りたい」
このように、現在借入金を資本金にできるのかどうか気になっていませんか?
結論から言えば、借入金を資本金にすることはできません。
借入金を資本金とするのは違法行為で、見せ金と判断されてしまいます。では、資本金を調達するにはどうすればいいのでしょうか。
この記事では、資本金と借入金の違いから資本金を調達する方法、そして増資について解説していきます。
- 借入金と資本金の違いが分かり、違法行為を避けられる
- 資本金の調達方法が分かり、資本金を集める目処がつく
ようになります。ぜひ最後まで読み進めていってください。
借りたお金を資本金にできる?資本金は借入金を使えません
資本金とは
そもそも資本金とは、会社の持つ資産のことです。
資本金は事業を営むために必要な費用に利用されます。パソコンや事務用品など設備資金として利用できるほか、従業員の給与や商品の仕入れ費用など運転資金としての使い道があります。
特に、会社を設立した当初は事業での利益がないため、事業を始めるにあたって必要となる費用は資本金からまかなうのが一般的です。
また資本金は主に創業者の個人資産や株主からの出資で成り立っています。資本金として集めたお金は社長個人のものではなく、法人のものなので社長が自由に使用することはできません。
会社を経営する以外の用途としては使えないのが資本金です。
資本金と借入金の違い
資本金と借入金の違いは返済の必要性があるかどうかです。
上記の通り、資本金は会社の資産であり返済の必要のないお金です。しかし借入金はあくまでも他人から借りたお金であり、いずれ返済しなければいけません。
返済の必要があるお金は資産と言えないため、資本金と借入金は別物となります。金融機関から借入したお金だけでなく、友人や親から受け取ったお金でも返済の必要があるなら借入金なので資本金にはできません。
なお「資本金は一時的にあればいい」と考え、見せ金で借入金を資本金にするのは違法です。
会社法「第52条の2」では、「払込みを仮装した場合 払込みを仮装した出資に係る金銭の全額の支払」との記載があります。つまり、借入金を資本金にした場合は必ずその借入金と同額を出資しなければいけません。
資本金を調達する方法
借入金を資本金にして会社を設立することはできません。では、資本金を調達するにはどうすればいいのでしょうか。
資本金を調達する方法には主に以下の3つがあります。
- 株式を発行して出資してもらう(株式会社のみ)
- クラウドファンディングを利用する
- コツコツ貯金する
資本金の調達は出資や給付など返済義務のないお金でなければいけません。金融機関からの融資など返済義務のある資金を調達しても資本金にはできないので注意しましょう。
ここからは、それぞれの資金調達の方法について具体的に解説していきます。
株式を発行して出資してもらう(株式会社のみ)
株式会社の場合は株式を発行して出資してもらう方法があります。スタートアップなど創業時の資金調達はこの株式発行が最も一般的です。
株式とは資金を出資してくれる投資家に対して渡す証券のことです。株式の発行によって得られた資金は返済する必要がありません。
また株価は創業者が自由に決めることができ、仮に資本金が100万円の場合、1万円の株を100株発行したり、千円の株を1万株発行したりなど自由です。
ただし株式発行による資金調達を行う場合、株主たちの株保有率に注意しなければいけません。
会社は社長のものではなく株主のものなので、仮に社長の持株よりも出資者の持株の合計が多い場合、議決権を出資者が持つことになります。つまり、会社の決定権を握られてしまう可能性があるのです。
議決権を出資者に握られないためには、社長が全体の株数の3分の2以上、最低でも半分以上を保有しておく必要があります。
クラウドファンディングを利用する
クラウドファンディングで資金調達するのも選択肢の一つです。
クラウドファンディングとは、インターネットを通して自分の理念や夢に共感した人から金銭的支援を受けるサービスです。
立てるプロジェクトの種類にもよりますが、クラウドファンディングで集めたお金は現金に限らずモノやサービスでのリターンが可能です。返済の必要がないので資本金として払い込むことができます。
またクラウドファンディングは多少の宣伝効果も期待できるため、魅力的な事業であれば、資金調達の段階から見込み顧客の獲得が見込めます。
ただし、あくまでも魅力的な事業内容でなければいけません。募集すれば簡単に資金を調達できるツールではないので注意しましょう。
コツコツ貯金する
資本金を調達するなら、コツコツ貯金するのが最も理想的です。
個人資産なら株主によって経営権を握られる心配もありませんし、会社経営の方針について周りの意見を取り入れる必要もありません。資本金の使い道は自由なので、自分の思うような経営ができるというメリットがあります。
資本金は会社設立後に増資することもできるので、まずは小資本で会社を設立し、軌道に乗ったら増資するのも手段の一つです。
また、貯金をする際は銀行の預金口座で行いましょう。タンス貯金など現金を貯める貯金方法は、資本金をまとめて払い込んだ時に見せ金と疑われてしまう可能性があります。
会社設立後なら融資で資金調達も可能
ここまで、資本金は返済不要のお金でなければいけないとお伝えしてきました。しかし、会社設立後なら融資で資金調達することも可能です。
運転資金・設備資金として使う資金は融資で資金調達することができます。資本金を最低限に設定して、融資のお金をメインに事業を営むのも手段の一つです。
なお、日本政策金融公庫や銀行など金融機関からの融資は基本的に法人格を取得した後になるため、会社設立前に融資は受けられないことがほとんどです。
ただし、資本金や自己資金が少なすぎると融資を受けられない場合もあります。以下では融資を受ける時に必要な資本金について深掘りして解説していきます。
融資を受けるなら資本金100万円が目安
融資を受けるなら資本金100万円を目安に考えておきましょう。
資本金は信用力につながります。資本金が多ければ事業を始めるにあたって貯金や資金調達など行った努力が想像できるからです。
さらに、資本金は返済の必要がないのも信用につながる理由の一つです。融資を行う金融機関としても別の金融機関に返済があると、自分たちの方に返済が行われるかが不安要素になるため審査が不利になります。
資本金が100万円あればその信用が担保されます。
資本金は多いに越したことはありません。融資を受けるにあたって最低でも100万円用意しておくことが望ましいです。
資本金と借入金の比率に注意
資本金は100万円が目安と上述しましたが、必ずしも融資が受けられる訳ではありません。金融機関から融資を受ける際、資本金と借入金の比率に注意が必要です。
資本金と借入金の比率のことを「自己資本比率」と言い、資本金の額に対して借入希望額が大き過ぎると融資審査に通過するのは難しくなります。
自己資本比率は最低でも30%〜50%は確保しておくのが望ましいです。たとえば借入希望額が1,000万円なら、300万円〜500万円の自己資金を準備しておいた方がより審査に有利です。
また、自己資金と資本金は異なるので融資を受ける際は気をつけましょう。
資本金は会社設立時の資産のことで、自己資金は今手元にあるお金のことです。資本金を全く使っていなければ、資本金をそのまま自己資金とできます。
融資を受けるなら日本政策金融公庫がおすすめ
融資を受けるなら日本政策金融公庫がおすすめです。特に創業時は日本政策金融公庫から融資を受けるメリットは大きいです。
日本政策金融公庫は国が運営する金融機関で、小規模の事業者や中小企業のサポートすることを目的としています。
融資の審査では事業主の経営状況を確認するほか、事業の将来性も審査の対象です。そのため実績のない創業時にも日本政策金融公庫なら融資を受けることができます。
銀行など一般的な金融機関の場合、審査において最近2期の決算書を求められるなど、創業時では融資を受けられないことがほとんどです。
その点、創業時に融資を受けるなら日本政策金融公庫が適していると言えます。もちろん創業時でなくても低金利で高額融資を受けやすいのも特徴です。
資本金は後から増やせる!増資も検討して起業すること
資本金は会社設立した後からでも増やせます。
増資すれば単純に資金調達できるほか、会社の信用度につながります。それに伴って融資も受けやすくなるので、増資のメリットは大きいと言えます。
まずは小資本で会社を設立して事業が軌道に乗ってから増資するのも手段の一つです。
以下では増資する方法と増資するときの注意点について解説していきます。
増資する3つの方法
増資する方法には主に以下の3つがあります。
- 公募増資
- 株主割当増資
- 第三者割当増資
それぞれの違いは、新たに発行した株式をどんな相手に購入してもらうかです。
公募増資は全ての投資家に出資を募り、株主割当増資は既存の株主相手に出資を募る増資方法です。一方で、第三者割当増資は親会社や取引先など、新株を発行する会社と関連のある第三者に出資を募って増資します。
中でも公募増資と第三者割当増資は、新株発行によって既存の株主に悪影響が起こる可能性があるため株主総会の決議が必要です。
また、投資家の出資による増資法を「有償増資」と言い、会社の資産を振り替えて増資する方法を「無償増資」と言います。
有償増資は設備資金や運転資金が必要な時に行われ、無償増資は会社の資本構成を是正したり株主へ利益還元したりする目的で行われます。
増資する時の注意点
増資するメリットには信用力が上がるなどのメリットがあるとお伝えしました。ただし増資する時には以下の3点に注意しましょう。
- 持ち株の比率が変わる
- 株主の権利が変わる可能性がある
- 税制面の優遇が受けられない可能性がある
増資を行えば必然的に持ち株の比率が変わり、それに伴って株主の権利も変わる可能性があります。
たとえば経営者が株式の100%を保有していたとします。その数が100株で50株を増資した時、経営者の持ち株比率は100%から約66%に下がるのです。
すると、これまで経営の方針を経営者自ら決定できたものの、増資後は株主の意見を取り入れる必要が生まれて自由な経営が難しくなります。
また、資本金が1,000万円を超えると法人住民税が上がるため、増資する際は十分注意しなければいけません。
まとめ
借りたお金を資本金にして会社を設立することはできません。
個人で借入をして資本金にするのはNGです。
個人の借入金を資本金にして会社設立するのは違法で、金融機関へ融資を申し込めば詐欺に該当する恐れがあります。
資本金を調達するためには融資以外で行う必要があります。株式を発行したりコツコツ貯金したりして返済不要のお金を資本金に会社設立しましょう。