請求書カード払いって一体何?メリット・デメリットや方法について解説
2023年5月15日
モノや商品を購入すればもちろん代金を支払いしますが、その支払い方法は近年多様になっています。
最近新サービスが出てきている「請求書カード払い」とは、どういったサービスなのでしょうか。事業者間の取引で用いられる支払い方法としては「請求書払い」や、近年浸透しつつある「(BtoB)クレジットカード決済」が一般的に知られていますが、請求書カード払いはそれらとは異なる方法です。 ここでは、請求書カード払いとは何か、またクレジットカード決済との違い、具体的な支払い方法、メリット・デメリットについて解説します。
請求書カード払いについて
請求書カード払いは、一部の事業者が提供する支払い代行サービスで、三井住友・クレディセゾン・JCBなどの大手カード会社が運営しています。請求書カード払いでは、クレジットカードの仕組みを利用して、後支払いにできることが特徴です。BtoB取引をしている事業者の間においても請求書カード払いが用いられているケースがあります。請求書での支払いがすぐに難しい場合において、サービスを利用して取引相手への支払いを完了できることや、取引相手が対応していなくてもクレジット決済をできる点などがメリットとして挙げられます。
請求書カード払いの仕組み
請求書カード払いは、手持ちのクレジットカードで決済をして、サービス事業者に対して後日支払いをします。取引に関わる請求書を受け取った際に、サービス事業者に依頼して取引先に請求金額を支払ってもらい、後日、請求金額と手数料がクレジット決済によって支払者の口座から引き落とされる仕組みとなっています。
手数料
請求書カード払いの手数料率は、約3〜4%となっており、サービス各社での開きはほとんどありません。消費税率の半分以下の手数料のため、気軽に利用しやすいといえます。
利用できる事業者
請求書カード払いのサービスは、法人・個人事業主ともに利用対象となっています。ただし、事業者によっては法人のみを対象としているものもあります。
支払いを先延ばしにできる期間
支払いが猶予される期間はサービス事業者によって異なりますが、1か月・40日・50日・60日などと定められており、おおむね1〜2か月の延長が可能です。 なかには120日という長期のサービスもありますが、分割払いになるため、途中で一部の金額を支払う必要があります。
請求書カード払いと他の決済方法との違い
事業者間の取引に使われる決済方法として、「請求書払い」と「クレジットカード決済」があります。これらの支払い方法は、請求書カード払いとどのような違いがあるのでしょうか。経費の支払いでクレジットカード決済を利用する事業者は増えていますが、サービス代金をクレジットカードで入金できる事業者は限られているため、請求書カード払いを活用する企業もあります。
BtoBクレジットカード決済との違い
BtoB取引でのクレジットカード決済は、導入があまり進んでいません。請求側がカード会社と契約して、クレジットカード決済に対応する必要があります。請求書は自社発行せず、支払側にクレジット決済を依頼します。請求側・支払側ともに、クレジット決済によって支払を一本化できるため、手続きの簡素化につながります。これに対して請求書カード払いは、請求側は従来どおり請求書を支払側に送付するため、クレジットカード決済に対応する必要がありません。
請求書払いとの違い
請求書払いは、一般的に銀行振り込みを利用します。そのため、銀行の取引時間内での決済に限定されます。これに対して請求書カード払いでは、銀行の取引時間の制約がなく、いつでも決済ができます。また、請求書払いの場合、支払いを先延ばしにはできません。請求書カード払いであれば、定められた延長期間内であれば支払いを先延ばしにすることが可能です。
請求書カード払いのメリット【支払側】
請求書カード払いは、支払側で利用するサービスのため、支払側にメリットがあり、請求側には直接的なメリット・デメリットがありません。また、請求書を発行せず、クレジットカード決済で取引されているケースでは、請求書カード払いにする必要性もないといえます。ここからは、支払側が請求書カード払いを利用するメリットを解説します。
メリット②支払いを先延ばしにできる(資金繰り)
支払いが重なって一時的に資金繰りに困った場合、請求書カード払いを利用すれば、特定の取引の支払いを先延ばしにできます。サービス事業者によっては、60日程度の支払い延長ができる場合もあります。ただし、長期的な資金不足の場合には、支払いを先延ばしにすると負担が大きくなるため、融資等を検討する必要があるでしょう。
メリット①審査や手続きが簡単
銀行融資を利用する場合、審査や手続きが煩雑になりやすく、融資を受け取るまでには1か月程度の時間がかかります。請求書カード払いであれば、利用にあたっての審査が不要で、手続きが簡単なため、手軽に利用できます。また、運営会社は大手カード会社や系列会社のため安心できるといったメリットもあります。
メリット③手数料が少ない
請求書カード払いは、請求書払いに比べると手数料が負担となりますが、資金繰りが目的の場合には、銀行融資等に比べて手数料が少ない点がメリットとなります。
銀行融資:概ね10%以内(金利)
メリット④カード決済で支払いを一元管理できる
請求書カード払いを利用することで、取引の決済をクレジットカードに一本化できるため、支払い管理を効率化できます。すでに経費などの支払いにクレジットカード決済を利用しているなど、代金の支払いの基本をカード決済としている場合にメリットがあります。現在はスマホ決済が普及したことで、クレジットカードと連携する場合も多く、クレジットカードで支払いを一本化する動きは今後も進むと考えられます。
メリット⑤取引先がカード決済非対応でも利用可能
請求書を発行して銀行振り込みを求める会社は、BtoBのクレジットカード決済には対応していない可能性があります。そのような会社が取引先であっても、請求書カード払いは取引先の意向に関係なく、支払側だけの判断でクレジット決済を利用できます。
メリット⑥カード払いのポイントが貯まる
手持ちのクレジットカードを使うため、カード会社の設定しているポイントをそのまま利用できます。決済する金額やシーンが増えれば、ポイントの活用も広がるでしょう。
請求書カード払いのメリット【請求側】
請求書カード払いは、支払側が自由に導入できるサービスのため、基本的に請求側の請求方法を変える必要がありません。支払側の支払いをサービス事業者が立て替えて支払うため、代金を確実に回収できるメリットがあります。個人事業主が支払いを出来なくなったとしても、サービス事業者から先に代金が支払われているため、回収できないという状況は発生しません。
請求書カード払いのデメリット【支払側・請求側】
請求書カード払いを利用するデメリットには、以下が挙げられます。
カードの利用限度額を超えた決済ができない
支払い延長期間が最大60日程度までの短期で、一時的な資金繰り対策となる
個人事業主は、請求書カード払いを利用できない場合が多い。
支払側のみで完結するサービスのため、請求側のデメリットは特に存在しません。
請求書カード払いの決済の流れ
請求書カード払いは、サービス事業者との取引となります。サービス事業者が支払者に代わって取引先口座へ請求金額を振り込み、後日、支払った代金と手数料を支払者のクレジットカードから引き落とします。具体的な流れは次のとおりです。
サービスの利用登録
サービス事業者のウェブサイトから利用登録をします。アカウントはメールアドレスがあれば作成できることが一般的です。クレジットカード情報や取引先の登録・振込名義などを設定しますが、サービスによって入力項目は異なります。また、サービス登録には費用はかからないことが一般的です。サービスの登録後は、個別に請求書への支払いを申請した場合に決済されます。
振込先口座を指定してクレジット決済
サービスの利用登録を完了したら、請求書カード払いの申請をします。支払い先の振込口座を指定して、振込金額を入力します。この際、手持ちのカードを使用してクレジット決済をします。ECサイトでクレジット決済をするのと変わらない仕組みです。クレジット決済日は、当日または翌日となり、基本的に決済日を指定することはできません。決済時の入力・選択項目はサービスによって異なるため、使い勝手のよいサービスを利用するとよいでしょう。
サービス事業者が取引先に振り込み
サービス事業者が取引先への支払いを代行して、銀行口座への振り込みを実施します。支払人名義は自社(個人)にできるため、支払いをサービス事業者が代行していることは請求側の相手には分かりません。振込日は申請の当日や翌日、5営業日以内などサービスによって異なります。平日のなかから選択できるサービスもあり、取引の関係で振込日を決める必要がある場合に便利です。
支払い金額と手数料の引き落とし
サービス事業者は、振り込んだ金額と手数料を、支払者が契約するカード会社から回収します。支払側は、手持ちのクレジットカードで通常通り決済され、銀行口座から引き落とされます。支払える金額の上限はカード会社の利用限度額によるため、支払いにあたっては自身のクレジットカードの利用条件を確認しましょう。
請求書カード払いまとめ
請求書カード払いは、支払い代行サービスを利用して、銀行振込を求める一般的な請求書に対して、クレジットカードで決済をすることです。経費などの支払いにカード決済を利用している場合は、BtoB取引の支払いを含めてクレジットカード決済で一本化するといった選択肢があります。取引先がカード決済に対応していない場合、または取引先とカード決済の取り決めをしていない場合でも、相手側を気にせずクレジットカード決済できる点が、この支払い方法のメリットといえるでしょう。