給料ファクタリングは合法?会社の選び方など解説
2024年4月17日
現在会社に勤めている方で給料日まで待てないと考えている方はいませんか?給料日を待たずに入金してほしいと考える方の中には「個人給料ファクタリングを使ってみたい」と考える方もいます。しかし、個人給料ファクタリングは貸金業法や労働基準法などの観点から、あまりおすすめできないサービスです。本記事では、個人給料ファクタリングとは何か、そして違法なのかについて詳しく解説します。
個人給料ファクタリングとは?
個人給料ファクタリングとは、給料を受け取る権利を売却して資金を調達する手法です。例えば、給料が月末締め・翌月末払いだった場合、支払いまでには1か月ほど待たなくてはなりません。この待ち時間を短縮し、早期に資金を調達するために用いるのが、個人給料ファクタリングです。
ファクタリングの仕組み
ファクタリングとは、請求書をはじめとした売掛債権をファクタリングサービス会社に売却し、資金を調達する方法です。売掛債権とは、サービスや製品の代金を受け取る権利のことです。フリーランスの場合は、文章やイラストなどを納品した代金を、後日受け取れる権利が売掛債権にあたります。
売掛債権の証明として用いられるのは、基本的に請求書です。請求書には「誰が・誰に対して・何を納品し・いくら受け取れるのか」が記載されています。売掛先や売掛金の額が全て分かるので、ファクタリングには主に請求書が用いられるのです。
なお、ファクタリングを利用する際は「手数料」がかかります。手数料が高額な場合、本来受け取れるはずだった金額よりもかなり少ない現金しか手元に残らなくなるので、注意しましょう。
給料ファクタリングは違法なケースもある
給料ファクタリングは、貸金業法と出資法、および労働基準法違反になります。給料ファクタリングは、クレジットカード会社や消費者金融と同じく「貸金業」に該当するサービスです。貸金業を行うためには、貸金業法が定める条件を満たして「貸金業登録」を受ける必要があります。
しかし、ファクタリングの全てが貸金業に該当する訳ではないので、貸金業登録を受けていないファクタリング業者も存在します。登録を受けていないファクタリングサービス会社が、給与ファクタリングをはじめとした「貸金業」を行ってしまうと、違法になってしまうのです。
また、労働基準法第24条において『賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない』と定められています。給料ファクタリングを利用すれば、企業は労働者でなくファクタリング会社に賃金分の通貨を支払うことになるため、労働基準法に照らし合わせても違法となってしまいます。
ファクタリング自体は違法ではない
給料ファクタリングは違法ですが、ファクタリングサービス自体は合法です。そもそも、一般的なファクタリングは貸金業に該当しません。売掛債権を買い取るサービスで、法律上は「債権の売買(債権譲渡)契約」に該当するサービスです。
また、フリーランスは労働基準法の対象外なので、賃金を直接支払われなくても問題ありません。つまり、フリーランスの人が、自分が発行した請求書をファクタリングサービス会社に売却して資金を調達するのは、法律上なにも問題ないのです。
ファクタリングの特徴3選
ファクタリングは、ほかの資金調達方法と比べて審査が柔軟で、利用しやすいとされています。また、調達スピードや貸借対照表への影響、返却・回収の必要性といった面でもメリットがある資金調達方法です。以下の項目では、ファクタリングの特徴を3つ紹介します。
最短即日で現金を調達できる
ファクタリング会社によっては、最短即日で現金を調達できる場合もあります。資金繰りが厳しい状況において、すぐに資金調達できるのは非常に大きなメリットです。特に、クレジットカードやローンなどの返済期限が迫っている場合に、即日で利用できるファクタリングサービスはとても役立ちます。
赤字でも審査を受けられる
ファクタリングはサービスの特性上、利用者の資金繰りや返済能力が関係ないため、審査が柔軟とされています。ファクタリングは、カードローンのようにお金を借りるサービスではありません。企業から受け取れるお金を、手数料を支払って早期に調達できるサービスです。そのため、利用者が赤字であったり、税金を支払えていない状況だったりしても、取引先が報酬を支払える状況であればまったく問題ないのです。ファクタリングにおいては、利用者よりも取引先の信用情報が大切になるといえます。
貸借対照表に影響しない
お金を借りるサービスではないため、貸借対照表における「借入金」に該当しません。財務状況や信用情報に影響しないのも、ファクタリングを利用する大きなメリットといえます。消費者金融や公的機関から借入を行った場合、借入金として負債の部に計上します。負債が多ければ債務超過のリスクが高まり、信用もされにくくなってしまいます。借入金に該当せず、負債増による資金ショートのリスクがないのも、ファクタリングを利用するメリットです。
個人事業主がファクタリング会社を選ぶ際のポイント5選
ファクタリングサービスを提供している会社はたくさんあるため、どこを利用すればよいか分からないと悩む方も多くいます。以下では、これからファクタリングを利用する方に向けて、会社を選ぶ際のポイントを5つご紹介します。
買取上限・下限額
ファクタリングサービス会社によっては、買取上限・下限を設けている場合もあります。高額な売掛債権を売却したい場合には、そもそも買い取ってもらえるのかを確認しましょう。小規模な会社だと上限1,000万円前後、大きな会社だと数億円が上限になっているケースが多いようです。一度により多くの資金を調達したい場合には、数億円規模の買取も可能なファクタリングサービス会社、もしくは限度額のない会社を選びましょう。
利用手数料
ファクタリング手数料の相場は、種類によって異なります。2者間ファクタリングの場合は10〜30%、3者間ファクタリングの場合は1〜10%ほどが相場です。手数料が高いほど売却金額が少なくなり、資金繰りが悪化する原因にもなってしまいます。利用手数料が高すぎないかをしっかりと確認しましょう。
審査方法
ファクタリングの審査は、主に「オンライン完結型」と「対面型」の2種類があります。昨今はオンライン完結型が多くなっていますが、対面型の場合もあるため、それぞれの特徴を理解して選びましょう。オンライン完結型の場合、どこにいても審査を受けられるのがメリットです。一方の対面型は、担当者に質問をしながら手続きできるので、初めて利用する方でも不安なく申し込めます。
入金スピード
ファクタリングは、即日で審査が終了して入金されるサービスもあれば、審査に数日かかるタイプもあります。金額が大きい、または取引先や自分自身の信用情報について追加資料が必要な場合などは、審査に時間がかかるケースもあるので、注意が必要です。早期に資金を調達したい場合は、即日審査・入金に対応しているサービスを利用しましょう。
審査に必要な書類
ファクタリングサービス会社や、審査の内容などによって、必要書類は異なります。手軽に利用したい場合は、請求書と本人確認書類のみで利用できるものを選ぶのがおすすめです。ただし、入金スピードと同様に、金額や信用情報などによっては追加書類が必要になる場合もあります。不安があれば、事前に問い合わせておきましょう。
まとめ
個人給料ファクタリングは、貸金業法や労働基準法などにより違法とされています。これまでにもトラブルになった事例はあり、金融庁が注意喚起をしている状態です。給料が少ない、また入金までにお金を用意しなくてはならないとお困りの場合は、別の手段を利用しましょう。
フリーランスや、副業で個人事業主として働いている方などであれば、通常のファクタリングを利用できます。ファクタリングを利用する際は、入金スピードや手数料などをしっかりとチェックして、信頼できるサービス会社を選択しましょう。