債権回収に伴う弁護士法と業者の選び方を解説
2023年10月23日
資金繰りがうまく回っていない企業や起業してからまだ浅い企業にとって、売掛金や貸付金が発生していた場合、一刻も早く未回収の債権回収をしたいと思うでしょう。しかしながら、債権回収は一般的に、裁判所の手続きの費用から弁護士費用まで、回収が完了するまでに時間がかる上に、ある程度の費用がかかります。
そのため資金力を工面するのにやっとな会社の多くが、債権回収会社やファクタリングなど債権を買い取ってくれる業者へ、債権を売却するケースが多いです。しかしながら、債権回収業務を営んでいる会社には弁護士法に反する悪質な業者も多く存在する上に、弁護士法に違反する業者へ債権を売却することは会社にとって大きな損失になりかねません。
今回の記事では債権回収に伴う弁護士法の知識から、弁護士法に反していない業者を選ぶための方法、解決策を紹介していきます。
債権回収業務に関係する弁護士法とは
まず最初に債権回収業務に関する弁護士法について、紹介しますが弁護士法とは弁護士以外の者が法律に関わる業務を営利目的で行うことを厳しく制限するための法律です。債権回収業務を営む上で、必要な弁護士法には72条と73条がありますが、二つの法律の特徴について紹介していきます。
弁護士法73条
この条文を簡単に要約すると、他人から譲り受けた債権において、訴訟や交渉などの手段によって成立する商売を業務として行ってはいけないということを表しています。
通常の債権譲渡では債権を買収した譲受人は、訴訟や交渉を行うことで債権を回収しなければなりませんが、企業間ではよく起こりうる現象です。
73条は一般的な債権譲渡は認めているものの、商業目的として債権者からの債権の買いとり、訴訟や交渉を業務として行うことを禁止しています。
弁護士法72条
非弁行為の禁止
この条文で記載されている法律業務というのは、法的な紛争における当事者間の相談、交渉、訴訟の代理人などの法的業務であり、弁護士以外の者が営利目的で行ってはいけないということを表しています。
つまりは債権回収に置き換えると、債権者の相談や、催告書や裁判所への提出書類の作成、債務者との交渉、訴訟の代理人などを弁護士または法律事務所以外の業者が行うことができないということです。この弁護士以外の者が行う法律業務を非弁行為と呼びます。
弁護士以外に債権回収業務が可能な業者
しかしながら、72条、73条に従っていては債権回収業務を生業としている債権回収会社(サービサー)や、ファクタリング会社は成立しません。
そのため従来の法律では、債権回収業務を行う会社は存在しませんでしたが、不良債権を処理することで経済をより活性化するための法律として、債権管理回収業における特別措置法が設置されました。
◆ファクタリング会社:主に事業主が抱える売掛債権を買収して債務者へ債権回収する業者
◆債権回収会社:主に金融機関が抱える貸与債権を買収して債務者へ債権回収する業者
債権管理回収業における特別措置法
特別措置法では、法務大臣の認定を受けた株式会社のみが、特定金銭債権の管理から回収業務を営むことができると定められていて、他人から譲受(買収)した債権(特定金銭債権)に関して、訴訟や交渉を通じた債権回収を業務として営むことができると定められています。
特別措置法によって、金融機関が抱える債権(貸与金)を買収し債務者へ債権回収を行うことを生業としている、債権回収会社(サービサー)が設立されるようになりました。
この法律から、弁護士のような債権者と共に、債権回収を行うことはできませんが、債権譲渡(債権の売買)が行われた上での債権回収業務は可能なことが分かります。