ファクタリングにおける利息制限法とは?適用されるの?

2023年7月21日

ファクタリングサービスの利用を検討している方の中には、

「ファクタリングに利息制限法は適用されるのか?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、利息制限法の概要とともに、ファクタリングと利息制限法の関係についてご紹介します。

ぜひご参考にしてみてください。

利息制限法とは?

利息制限法とは、資金を借りた側が元本とは別に支払う「利息」の上限を定めた法律のことです。

例えば、金融機関から100万円を借りたとします。この場合、100万円にプラスして利息を返済しなければなりません。

利息は、原則として金融機関が自由に設定できるため、上限を設けないとあまりにも高額な利息を請求される可能性があります。

そうなると、資金を借りた側は返済が困難な状態に陥ってしまうでしょう。このような事態を防ぐために、利息制限法が定められているのです。

なお、利息の上限は利息制限法 第1条によって以下のように定められています。

元本の額が10万円未満の場合:年利20%

元本の額が10万円以上100万円未満の場合:年利18%

元本の額が100万円以上の場合:年利15%

利息制限法が定める利息の上限を超えている場合、超過分は無効となります。

ファクタリングと利息制限法の関係について

利息制限法は、金銭の貸し付けの際に適用される法律です。

そのため、「資金調達方法のひとつであるファクタリングにも適用されるのでは?」と疑問に感じている方もいるでしょう。

そこで以下では、ファクタリングと利息制限法の関係についてご紹介します。

ファクタリングに利息制限法は原則として適用されない

ファクタリングは、企業が保有する支払期日前の売掛金をファクタリング会社に売却し、資金化する金融サービスです。

金銭の貸し付けではないため、原則として利息制限法は適用されません。

よって、ファクタリングの手数料はファクタリング会社が自由に設定することができます。

では、ファクタリングの手数料はどのように決められているのでしょうか。

ファクタリングの手数料はどのように決められている?

ファクタリングの手数料を決める要素には、主に以下の5つがあります。

1.売掛先の信用力

ファクタリングの手数料は「売掛先の信用力」で決まります。

そもそもファクタリングの契約には、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの2種類があります。

2者間ファクタリングの場合は、申込企業とファクタリング会社の2者で契約を締結するため、売掛先から売掛金を回収したら申込企業がファクタリング会社に売掛金を支払います。
3者間ファクタリングの場合は、申込企業と売掛先、ファクタリング会社の3者で契約を締結し、売掛先がファクタリング会社に直接売掛金を支払います。

2者間ファクタリングと3者間ファクタリングで売掛金の回収方法は異なりますが、どちらにせよ売掛先が売掛金を支払えない状況になると、ファクタリング会社は売掛金を回収できなくなります。

このリスクを少しでも低減するために、売掛先の信用力をもとに手数料を決めているのです。
具体的には、売掛先の信用力が高いほど手数料が低くなり、反対に売掛先の信用力が低いと手数料は高くなります。

2.申込企業の信用力

ファクタリングの手数料を決める要素には「申込企業の信用力」もあります。

前述したように、2者間ファクタリングでは売掛先が契約に関与しないため、ファクタリング会社は売掛先に債権の存在等を直接確認できません。

そのため、ファクタリング会社は申込企業から提出される資料や申込企業からのヒアリングをもとに債権の存在等を審査します。

しかし、もし申込企業が書類を偽造したり、虚偽の証言をした場合、ファクタリング会社は売掛金を回収できない可能性が高くなります。

ファクタリング会社はこれを懸念し、申込企業の提出する資料や申込企業の発言を通じた申込企業の信用力も手数料を決める際の判断基準としています。

3.売掛金の額

ファクタリングの手数料を決める要素には、「売掛金の額」もあります。

例えば、売掛金が100万円で手数料が10%の場合は、売掛金から10万円が差し引かれます。

一方で、売掛金が500万円で手数料が10%の場合は、売掛金から50万円が差し引かれることになります。

売掛金の額が大きいほどファクタリング会社の利益は大きくなりますが、売掛金の買取手続きにかかる手間やコストは、売掛金の額に関係なくほとんど変わりません。

そのため、ファクタリング会社は「売掛金の額が大きければ手数料を下げても良い」と考える場合もあり、売掛金の額によって手数料が決まることもあります。

4.売掛金の支払期日までの日数

「売掛金の支払期日までの日数」もファクタリングの手数料を決める要素です。

ファクタリング契約には、償還請求権がない「ノンリコース契約」と、償還請求権がある「リコース契約」があります。

日本のファクタリング契約は主にノンリコース契約なので、万が一売掛先が倒産して売掛金を回収できなくても、申込企業が代わりに支払う必要はありません。

ファクタリング会社が売掛金の未回収リスクを負うことになります。

売掛金の支払期日までの日数が長ければ長いほど、売掛先が倒産する可能性や不測の事態が発生する可能性が高まります。

そのため、ファクタリング会社は売掛金の未回収リスクを低減しようと、売掛金の支払期日までの日数で手数料を決めているのです。

具体的には、売掛金の支払期日までの日数が短い場合は手数料が低く、長い場合は高くなる傾向があります。

5.契約形態

「契約形態」もファクタリングの手数料を決める要素のひとつです。

繰り返しになりますが、ファクタリングの契約には「2者間ファクタリング」と「3者間ファクタリング」があります。

2者間ファクタリングの手数料相場は8%〜18%、3者間ファクタリングの手数料相場は2%〜9%です。

手数料が異なる理由は、売掛先が加わる3者間ファクタリングのほうが2者間ファクタリングに比べて売掛金の未回収リスクを低減できるからです。

2者間ファクタリングと3者間ファクタリングで手数料が異なる理由には、売掛先に売掛金の存在を確認しやすいことも挙げられます。

2者間ファクタリングの場合は、申込企業とファクタリング会社の2者で契約を締結するため、仮に売掛金が「二重譲渡(※1)」や「架空債権(※2)」だった場合、売掛先に確認することができません。

一方で、3者間ファクタリングの場合は、売掛先に売掛金の存在を確認でき、二重譲渡や架空債権のリスクを避けられるため手数料が低いのです。

※1 売掛金を複数のファクタリング会社に売却し、同時に何社からも資金を調達すること

※2 存在しない架空の債権(金銭の支払いを請求できる権利)のこと

ファクタリングに利息制限法が適用されたケースもある

前述したように、ファクタリングは金銭の貸し付けではないため、原則として利息制限法は適用されません。

しかし、過去にファクタリングで利息制限法が適用されたケースもあります。

大阪地方裁判所における平成29年3月3日判決の判例では、2者間ファクタリングの申込企業(原告)による、ファクタリング会社(被告)に対する過払い金返還請求が認められました。

内容としては、申込企業が毎月ファクタリングを利用していたが、実質的には金銭消費貸借契約に準じる取引であったというもの。

この判例で利息制限法が適用されたポイントは、以下の2つです。

・申込企業が買戻しを行わざるを得ない立場にあったこと(ノンリコースではない)

・ファクタリング会社が売掛金の未回収リスクをほとんど負っていなかったこと

上記の事例で争点となったのは、金銭授受を伴う取引の性質が「ファクタリング(債権譲渡)」と「ファクタリングの名を借りた債権譲渡担保付の貸し付け」のどちらなのかということ。

前者であれば利息制限法は適用されませんが、後者は利息制限法が適用されます。

この事例では、売掛金が未回収になった場合に実質的に申込企業から回収しているなどファクタリング会社が売掛金の未回収リスクをほとんど負っていないことから債権譲渡担保付の貸し付けと判断され、利息制限法が適用されたのです。

利息制限法が定める利息の上限を超えている場合、超過分は無効となります。

上記の事例では過払いが生じていたため、ファクタリング会社に約491万円の過払い金の返還が命じられています。

貸金業とみなされたファクタリング会社には利息制限法が適用される

繰り返しになりますが、ファクタリングには原則として利息制限法が適用されないため、ファクタリング会社が手数料を自由に設定できます。

ただし、実質的な貸し付け行為と判断された場合に関しては例外です。

例えば、ファクタリング会社が売掛金の未回収リスクを負担していない場合は「貸金業」に該当し、利息制限法が適用されます。

そのため、手数料が利息制限法で定められた利息の上限を超えると規制違反になり、取締りを受けることになります。

数あるファクタリング会社の中には、前述した貸し付け行為をファクタリングと装って実施している悪質な会社が存在します。

そのようなファクタリング会社を利用すると高額な利息を請求される可能性があるため、ファクタリングサービスを利用する際は十分な注意が必要です。

手数料が低いファクタリング会社を利用しよう

ファクタリングには利息制限法が適用されないからこそ、申込企業は「手数料が低いファクタリング会社」を利用するのがおすすめです。

まとめ

金銭の貸し付けではないファクタリングには、原則として利息制限法は適用されません。

そのため、手数料はファクタリング会社によって異なります。

ファクタリングサービスを利用して資金調達をしたい場合は、売掛金に近い額を受け取れるよう「手数料が低いファクタリング会社」を利用することがおすすめです。自分に適した会社を探してみてください。