ファクタリングをしたときの勘定科目は売上債権売却損
2023年10月17日
「ファクタリングによる資金調達は特別な勘定科目が必要?」
「ファクタリングを行った場合の勘定科目について知りたい。」
上記のように、ファクタリングの会計処理についてお困りではないでしょうか?
ファクタリングは通常の会計処理方法とは異なります。一般的にファクタリングを利用した場合は、金銭債権譲渡と捉えることができるので勘定科目は「売掛債権譲渡損」として処理することが可能です。
今回はファクタリングの勘定科目・仕訳・消費税など、会計処理で必要となる3つのことについて詳しく紹介していきましょう。
ファクタリング勘定科目「売掛債権譲渡損」2つの処理方法
ファクタリングの勘定科目は、何で計上すれば良いの?
上記のように、ファクタリングを利用した際の会計処理にお困りではないでしょうか。
ファクタリングを利用した際の勘定科目は「売上債権売却損」で処理することが可能です。
しかし売掛債権売却額の入金タイミングにより、勘定科目は異なります。
売掛債権売却額が、まだ入金されていない場合には「未収金」で処理する必要があるのです。
詳しく解説していきましょう。
未収金で処理する場合
ファクタリングを利用した際に使用する勘定科目は「売上債権売却損」です。
しかしファクタリング契約後、まだ売掛債権売却額が入金されていない場合には「未収金」で処理する必要があります。
なぜなら、ファクタリング契約後に売掛債権を譲渡することが通常の営業取引ではないからです。
この場合には売掛債権売却額を受け取るまで、未収金で処理する必要があります。
ファクタリングの仕訳方法
ファクタリング利用時の仕訳方法が分からない。
始めてファクタリングを利用した際に会計処理を行う場合、どのように仕分ければ良いのか分かりませんよね。
4つの段階別で分かりやすく仕訳方法について紹介していきましょう。
①売掛金発生時の仕訳方法(ファクタリング利用前)
②ファクタリング契約時の仕訳方法
③売却額入金時の仕訳方法
④契約・入金が同時の場合の仕訳方法
4つの段階ごとに仕分け方法を解説していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
①売掛金発生時の仕訳方法
1つ目の段階は売掛金発生時の仕訳方法です。
取引先へ商品やサービスを提供し、売掛金が発生した場合の仕訳方法となります。
【借方】 金額
売掛金 1,000万円
【貸方】
売上 1,000万円
この際、売掛金となっている売上は課税対象です。
②ファクタリング契約時の仕訳方法
2つ目の段階はファクタリングを契約した時の仕訳方法です。
ファクタリング契約時の仕訳方法は以下の通りになります。
【借方】
未収金 1,000万円
【貸方】
売掛金 1,000万円
ファクタリングの契約から、売掛債権売却額が入金までズレが生じる事があるでしょう。
3社間取引の際や即日入金できない状況の場合には「未収金」で処理をします。
③売却額入金時の仕訳方法
3つ目の段階は、ファクタリング会社から売掛債権の売却額が入金された時の仕訳方法です。
後述しますが、ファクタリング会社から受け取る譲渡代金は非課税になります。
【借方】
普通預金 900万円
売上債権売却損 100万円(非課税)
【貸方】
未収金 1,000万円
入金が完了した場合には、上記の通り仕訳をすることが可能です。
④契約・入金が同時の場合の仕訳方法
4つ目の段階は、ファクタリングと契約した段階で入金がされた場合の仕訳方法です。
【借方】
普通預金 900万円
売上債権売却損 100万円(非課税)
【貸方】
未収金 1,000万円
その場合には未収金で処理せずに、売上債権売却損として処理をするようにしましょう。
2社間取引や、即日対応が可能なファクタリング会社であれば契約時に即入金される可能性が考えられます。
ファクタリング2つのお金が非課税である理由
ファクタリングを利用して発生したお金は、消費税がかかるのか?
ファクタリングを利用すると、手数料・売掛債権売却額という2つのお金が発生しますよね。
これらは両方とも「非課税取引」に該当するので、消費税の課税対象外なのです。
なぜどちらも消費税がかからないの?と疑問に感じるでしょう。
その理由について詳しく紹介していきます。
ファクタリングは非課税取引だから
ファクタリングの手数料・売掛債権売却額が非課税である理由についてお伝えしていきましょう。
まず初めに消費税は、国内で事業者が事業として対価を得て行う取引に対して課税対象としています。
しかし取引の中には、非課税取引として該当するものがあるのです。
【主な非課税取引】
(2)有価証券等の譲渡
国債や株券などの有価証券、登録国債、合名会社などの社員の持分、抵当証券、金銭債権などの譲渡
国税庁ホームページに記載されている非課税となる取引を参照すると、ファクタリングは上記の「有価証券等の譲渡」に該当します。
金銭債権などの譲渡に該当する為、ファクタリングで発生したお金に消費税はかからないのです。
決算時の区分表示と勘定科目
ファクタリングを利用した場合、決算時はどのように会計処理を行えば良いの?
決算時の処理方法についても区分表示と勘定科目について紹介しておきましょう。
勘定科目は決算時も「売上債権売却損」で大丈夫です。
表示区分については、営業外費用と区分表示する必要があります。
詳しく紹介していきましょう。
決算時の区分表示は営業外費用
決算時のファクタリング手数料の区分表示は「営業外費用」という扱いになります。
営業外費用とは、会社が本業以外で経常的に発生する費用のことです。
ファクタリングを利用して発生した手数料も、財務的な活動から発生した費用なので営業外費用として区分されます。
税金が減る?売上債権売却損は損金算入が可能
売掛債権売却損は、損金へ算入することが出来る?結論からお伝えすると出来ます。
しかし売掛債権売却損を損金へ算入することができるのは、2つの条件に該当する場合のみ算入させることが可能です。
1売却した売掛債権を支払期日前に買い戻す権利および義務を有してないこと
2売掛債権を受け取ったファクタリング会社が、その債権に係る権利を実質的な制約なしに使用することができること
上記2つに該当する場合には、売掛債権売却損を損金へ算入することが出来ます。
損金に算入することで、不要な税金を支払う必要がなくなり利益を少しでも減らない様にすることが可能です。
ファクタリングを利用した際には、上記2つの条件に該当するか確認してみましょう。
損金に算入できるのであれば、税金を減らすためにも損金へ算入することをオススメします。
まとめ
ファクタリングの勘定科目について紹介してきました。
ファクタリングの手数料は「売上債権売却損」という勘定科目で処理します。
会計ソフトにより売上債権売却損という項目が無い場合には、「雑損失」「債権割引料」などの勘定科目でも問題ないです。
またファクタリングで発生して手数料や、売掛債権売却額は消費税の課税対象とはなりません。
非課税取引の対象となるので、消費税の心配をする必要は無いのです。
会計処理にお困りの場合には、ぜひ参考にしてみてください。