法人向けビジネスローンの使い方、低金利ビジネスローンの​特徴と​リスクについて​解説

2024年9月18日

事業の​資金繰りを​サポートする​一つの​手段と​して、​金融機関や​ノンバンクが​個人事業主・法人向けに​さまざまな​ビジネスローンを​提供しています。​個人事業主と​中小企業などの​法人では、​利用できる​ビジネスローン商品が​異なる​ことも​あります。

ビジネスローンを​申し込む前に、​他の​融資との​違いや、​金利、​独自審査などの​仕組み、​審査落ちの​原因、​借入の​注意点を​よく​理解して​おきましょう。​低金利や​即日融資の​ビジネスローンの​特徴や​リスクにも​着目して​解説していきます。​また、​ビジネスの​資金繰りを​改善する​ために​効果的な​決済サービスも​紹介します。

ビジネスローンとは?

ビジネスローンには​どう​いった​特徴が​あり、​どのような​使い方が​でき、​他の​ローンや​融資と​何が​異なるか、​まずは​概要を​押さえて​おきましょう。

ビジネスローンの​特徴

ビジネスローンは​法人・個人事業主を​対象と​する​ローンで、​中小企業や​フリーランスも​対象と​なります。

原則と​して​無担保・無保証人で​借り​入れが​できる​ことが​ビジネスローンの​特徴です。​一般的に​公的機関や​金融機関の​融資を​利用する​場合は​担保・​保証が​必要である​ため、​比較すると​ビジネスローンは​フレキシブルに​活用しやすい​ローンと​いえます。

ビジネスローンの​提供元に​よっては​借り主の​年齢制限など条件を​設けている​ことも​あります。​「20歳以上​69歳未満」かつ​「日本国籍、​または​日本での​永住権を​有する」などの​条件を​満たす​ことを​条件と​する​ケースが​あるので、​申し込み前に​必ず​確認しましょう。

ビジネスローンの​用途

ビジネスローンは​文字通り、​ビジネスの​事業資金に​充当する​ことを​目的と​する​ローンです。​開業資金、​設備投資資金、​取引先への​支払い​資金、​運転資金など、​事業の​ためで​あれば​用途を​限定せずに​ビジネスローンを​借りる​ことができます。

具体的には​たとえば、​次のような​シーンでの​ビジネスローンの​活用が​考えられます。

・営業開始に​必要な​資金を​補いたい
・ツールや​機械を​購入する​資金を​調達したい
・入金が​遅く​資金不足で、​給与の​支払い分を​用意したい
・仕入れの​支払いに​充てる​資金が​足りないので​借りたい
ビジネスローンは​商品に​よって、​融資の​上限額が​500万円から​10億円までと​非常に​幅広く、​借入の​目的に​合わせて​選ぶ​必要が​あります。​金利や​返済期間、​審査の​通りやすさ、​申し込み条件なども​多様である​ため、​しっかり​理解した上で​申し込むようにしましょう。

ビジネスローンが​事業資金の​調達の​ために​借り入れる​ローンである​一方、​用途に​制限の​ある​カードローンや​フリーローンは​事業資金と​しては​利用できない​ケースも​あります。

ビジネスローンと​融資の​違い

ビジネスローンの​他にも、​事業資金を​借り​入れる​方法は​いくつか​あります。​ここでは、​ビジネスローン、​事業者向けの​公的融資、​プロパー融資の​特徴を​比較してみます。

ビジネスローン ・提供元:金融機関、信販会社、事業者金融など
・担保・保証人:原則として不要
・融資までの時間:即日〜2週間程度
・借入上限:10億円程度
・金利:約2〜20%

公的融資(事業者向け) ・提供元:日本政策金融公庫・担保・保証人:なしで利用できる制度もあり
・融資までの時間:数週間〜2カ月程度
・借入上限:7,200万円(一般貸付の場合)
・金利:〜2%程度・固定金利(返済期間などによる)

プロパー融資(保証協会の保証を利用せず、金融機関が100%審査する融資) ・提供元:銀行など金融機関
・担保・保証人:利用目的・信用度により異なる
・融資までの時間:数週間程度
・借入上限:限度額なし
・金利:〜2%程度

比較すると、​ビジネスローンは​借入の​申し込みから​実際に​融資が​開始されるまでの​日数が​圧倒的に​短い​ことから、​急な​資金要請に​対応しやすい​ことが​分かります。​反面、​ビジネスローンの​金利は​他の​融資と​比べると​高めである​ため、​資金繰りの​スケジュールや​タイミングに​合わせた​利用が​おすすめです。

時間的な​余裕が​あり、​申し込み資格を​満たす​場合は​公的融資や​プロパー融資を​先に​検討し、​それらを​利用できない​場合に​ビジネスローンと​いう​選択肢を​採るのが​賢い​使い方です。

法人向けビジネスローンの​特徴

ビジネスローンは​中小企業などの​法人経営者向けにも​数多く​用意されています。

種類

法人向けに​商品設計された​ビジネスローンも、​提供元の​違いに​より​2種類に​分類できます。

銀行系​(メガバンク、​ネット銀行、​地方銀行など)の​ビジネスローン
ノンバンク系​(信販会社、​事業者金融など)の​ビジネスローン
銀行系では​三井住友銀行、​三菱UFJ銀行、​福岡銀行、りそな​銀行、​PayPay銀行、​GMOあ​おぞらネット銀行などが​法人向けの​ビジネスローン商品を​提供しています。​ノンバンク系では​AGビジネスサポート、​キャレント、​オージェイ、​ファウンドワン、​クラウドバンク・フィナンシャルサービスなどが​ビジネスローン商品を​出しています。

個人事業主向けと​比べて、​法人向けの​ビジネスローン商品の​ほうが​多くの​機関で​取り扱われている​ため、​法人経営者に​とっては​借入先の​選択肢が​多いと​いえます。

金利

法人向けビジネスローンに​おいては、​銀行系の​金利は​約1〜14%、​ノンバンク系の​金利は​約3〜20%で、​銀行系の​ほうが​低い​傾向が​あります。​ただし、​金利と​いう​ピンポイントの​条件のみを​基準に​ビジネスローンを​選ぶのではなく、​融資スピード、​審査に​必要な​書類、​借入上限額、​返済期間などを​総合的に​検討し、​自身が​重視する​基準に​合わせて​選びましょう。​自社の​事業状況や​信用情報に​よっても、​利用しやすい​ビジネスローンは​変わってきます。

審査に​落ちる​理由と​対策
法人でも​個人事業主でも、​ビジネスローンの​審査落ちの​要因は​基本的に​同じだと​考えられます。​次の​ポイントを​チェックし、​ネックとなる​部分を​改善する​ことで​審査落ち対策を​行います。

・申し込み条件との​不一致……​事業年数などが​条件に​合うかどうかを​確認
・書類の​不備……​不足書類、​記入漏れが​ないかどうかを​確認し、​提出期限を​遵守。
・虚偽申告……​申告情報に​事実関係の​間​違いが​ないかどうかを​確認。
・返済能力の​低さ……​借入金額を​低めに​設定し、​事業計画書を​提出。
・赤字決算……​財務状況を​整理、​または​赤字でも​借入可能な​ローンに​申し込む。

審査か​゙通りやすい​ビジネスローン

審査落ちが​懸念される​場合、​申し込みや​審査の​要件が​柔軟な​ビジネスローン商品を​選んで​申し込む​ことで​チャンスが​広がります。​たとえば​銀行系の​GMOあ​おぞらネット銀行の​ビジネスローンの​申し込みには​決算書と​事業計画書が​不要で、​創業期や​赤字決算の​タイミングでも​申し込む​ことができます。

注意点と​して、​審査が​通りやすい​ビジネスローンは​上限金利が​高い​ことが​多いので、​事前に​しっかり​確認し、​納得した上で​申し込みましょう。

独自審査

個人事業主向けの​ビジネスローンと​同じく、​法人向けの​ビジネスローンでも​独自審査を​設けている​ことが​あります。​独自審査を​行うのは、​銀行系ではなく​主に​ノンバンク系の​ビジネスローンです。

決算書や​確定申告の​状況などから​審査に​不安が​ある​場合は、​柔軟な​独自審査を​行う​ビジネスローン商品を​検討する​価値が​あります。​赤字決算でも​審査が​通る​ビジネスローンは、​独自審査を​適用しています。

低金利ビジネスローンの​特徴と​リスク

ここまで、​ビジネスローンの​概要や​利用しやすさに​注目して​解説してきましたが、​ビジネスローンの​タイプ別の​特徴と​リスクに​ついても​考えてみましょう。

返済金額と​いう​点に​フォーカスすると、​低金利タイプの​ビジネスローンが​魅力的です。​金利が​低い​銀行系の​中でも、​地方銀行より​メガバンクの​ほうが​より​金利が​低い​傾向が​あります。​ノンバンク系では、​事業者金融より​信販会社の​ほうが​金利が​低めです。

ただし低金利の​ビジネスローンの​特徴と​して、​申し込み後の​審査が​厳しい​ことが​挙げられます。​厳しい​審査を​通過し、​返済能力が​高いと​みなされる​事業者だから​こそ、​低金利で​融資を​受けられると​いうわけです。​審査が​厳しいと​いう​ことは、​申し込みの​際に​用意する​書類の​量も​必然的に​多くなりがちです。​過去3期分の​決算書や​税務申告書が​必要な​ケースも​あり、​「すぐに​融資が​必要で​書類の​準備が​間に​合わない」​「創業して​間もないため必要書類が​ない」と​いった​場合には​低金利タイプの​ビジネスローンは​向かないと​いえます。

とは​いえ、​銀行系でも​GMOあ​おぞらネット銀行や​PayPay銀行などの​ネット銀行の​場合は、​「銀行口座の​入出金履歴だけ」​「本人確認書類、​決算書、​確定申告書だけ」など​極めて​少ない​書類の​提出で​融資を​受けられる​ビジネスローンが​あります。​ネット銀行の​ビジネスローンは​融資スピードが​申し込みから​最短2〜5日と​短く、​返済期間の​自由度が​高い​ことも​特徴です。​ネット銀行の​金利は​下限が​約1〜2%である​ものの、​上限が​約14%である​ことに​注意しましょう。

低金利の​ビジネスローンの​注意点を​まとめると、​次の​通りです。

・融資に​至る​審査が​厳しい
・必要書類が​多い​傾向​(例外あり)
・ネット銀行の​場合は​上限金利が​高い

即日融資ビジネスローンの​特徴と​リスク

申し込んだ​その日に​融資を​受けられる​「即日融資」を​強みと​する​ビジネスローンは、​ノンバンク系に​多く​存在します。​取引先への​支払い​期日が​目前に​迫っている​場合など、​急な​資金要請に​対応するには​即日融資タイプの​ビジネスローンが​大きな​助けと​なります。

即日融資の​ビジネスローンは​申し込みや​審査の​手続きの​迅速さも​特徴で、​用意すべき​必要書類は​基本的に​多く​ありません。​即日融資タイプの​場合、​申し込みの​手続きが​すべて​オンラインで​完結する​ビジネスローンも​あります。​銀行系の​ビジネスローンに​比べると​審査も​柔軟と​考えられる​ため、​正しく​手続きを​していれば​審査落ちの​リスクが​比較的低い​ことも​メリットです。

即日融資の​ビジネスローンの​返済期間は​最長2〜10年と​幅が​あります。​また、​金利に​ついては​約3〜18%と​高いため、​返済金額・期間への​影響を​しっかり​勘案しましょう。

即日融資の​ビジネスローンの​注意点は、​次のようにまと​められます。

・返済期間の​自由度は​低め
・金利が​高い

ビジネスローンに​おける​「総量規制」とは?

金融機関や​ノンバンクなどから​お金を​借りる​際に​知って​おきたい​ルールと​して、​「総量規制」が​あります。​総量規制は​貸金業法で​定められている​もので、​金融機関や​ノンバンクなどの​貸金業者に​対して​「申込者の​年収の​3分の​1を​超える​貸付」を​禁止しています。​申込者個人が​複数の​貸金業者から​お金を​借りる​場合、​その合計額が​年収の​3分の​1を​超える​ことは​できないと​いう​ことです。​これは、​過剰な​お金の​貸借に​よる​トラブルを​防ぐことに​つながっています。

しかし​総量規制には、​「対象とならない​貸付」が​存在します。​総量規制の​対象外となるのは、​住宅ローンや​自動車ローンなどの​他に​次のような​項目が​含まれます。

A. 個人事業者に​対する​貸付
B. 新たに​事業を​営む個人事業者に​対する​貸付
C. 預金取扱金融機関からの​貸付を​受けるまでの​「つなぎ資金」に​係る​貸付

※​「A」と​「B」は​要件と​して​「事業計画、​収支計画、​資金計画に​より、​返済能力を​超えないと​認められる​場合」に​限定。
※​「C」は​要件と​して​「貸付が​確実に​行われると​確認でき、​1カ月以内の​返済である​場合」に​限定。

つまり、​個人事業主に​よる​ビジネスローンの​利用は​総量規制の​対象外です。​個人事業主が​プライベートで​貸金業者から​お金を​借りている​場合も、​ビジネスローンを​合算して​考える​必要は​ありません。

な​お、​総量規制は​個人向けの​貸付に​関する​ルールで​あり法人は​対象では​ありません。​よって、​法人も​総量規制に​関係なく​ビジネスローンを​利用する​ことができます。

資金繰りを​改善する

現時点で​ビジネスローンを​利用する​必要性が​ないとしても、​個人事業主や​法人経営者に​とって​資金繰りは​常に​注視すべき課題です。​ビジネスの​収入・支出を​適切に​管理し、​過不足なく​資金を​回していく​ためには、​資金額と​同時に​「入出金の​タイミング」にも​気を​つける​必要が​あります。

特に、​現金だけでなく​キャッシュレス決済を​扱う​ビジネスの​場合には、​各種決済サービスから​自社への​入金サイクルが​肝心です。​顧客からの​支払いを​キャッシュレス決済で​受け付けると、​決済サービスを​経由して​自社に​入金される​ため、​売り​上げが​計上される​決済日と​入金日が​同一ではなくなります。​決済サービスに​よっては​売り上げか​゙​「翌々月末払い」で​入金される​ケースも​あり、​ビジネスコストなどの​支出は​あっても​収入は​まだ​入っていない、と​いう​状態に​なります。