営業活動によるキャッシュフローがマイナス改善方法について解説!

2024年3月26日

営業活動によるキャッシュフローは、キャッシュフロー計算書の3つの項目のうちのひとつであります。本業で得た現金の増減を表すものになっていて、残りの2つの項目は「投資活動によるキャッシュフロー」と「財務活動によるキャッシュフロー」になります。
営業活動によるキャッシュフローは本業に関わるため、マイナスよりもプラスが基本となります。
しかし状況によってはマイナスになる場合も考えられます。
本記事では、営業活動によるキャッシュフローの見方や、計算方法、改善方法などを解説します。

営業キャッシュフローとは

営業活動によるキャッシュフローは商品などの販売で得た現金収入や、原材料や商品などを仕入れた現金支出などです。

具体的には次の内容が含まれます。

・商品などの販売による現金収入
・原材料や商品などの仕入による現金支出
・人件費の現金支出分
・経費の現金支出分
・投資活動や財務活動以外の現金収入または現金支出
キャッシュフロー計算書の一部となるため、商品などの販売で得た現金収入は、お金が入ってくる流れを+(プラス)で表示し、仕入れなどでお金が出ていく流れを-(マイナス)で表します。

営業キャッシュフローの見方とポイント

営業キャッシュフローは企業の資金繰り状況を把握するために活用が可能です。

特に損益計算書ではどのくらいの利益が出ているかはわかるものの、現金の流れなどはわかりません。

また資金繰り状況を見て、本業の収益が安定しているか、売掛金などのキャッシュの回収ができているか、仕入れや経費に問題がないかなどを確認できます。

営業キャッシュフローの具体的な見方やポイントについて解説します。

営業キャッシュフローはプラスが基本

営業キャッシュフローがプラスであれば、本業において仕入れや経費を上回る現金収入が得られます。

借入金の返済や、事業拡大などの投資、株主への利益還元ができる健全な企業といえるでしょう。

一般的に営業キャッシュフローは利益よりも高くなる場合が多く、その要因は減価償却費であり、裏付けのある利益が計上されているためとなります。

しかし利益が営業キャッシュフローよりも高くなると、利益を操作していると見られる可能性があるため注意が必要です。

つまり損益計算書の利益と比較して、営業キャッシュフローが高ければ健全な状態といえます。

ただし営業キャッシュフローの合計額がプラスでも、小計額がマイナスになってしまいます。

マイナスの場合、何がマイナスになっているのかを把握し、事業を継続する際に支出が収入を上回らないように注意しましょう。

営業キャッシュフローがマイナスは問題なのか

営業キャッシュフローがマイナスの場合、本業で得た現金収入だけでは仕入れや経費といった支出を賄えていない状態です。

営業活動に必要な支出が賄えなければ、手元資金を使って補填する方法や、金融機関から融資を受けて資金調達しなければなりません。

例えば、新型コロナウイルス感染症を要因として営業活動ができない状態であれば一時的なものといえます。

しかし継続してマイナスが出ている場合、本業活動に問題があることになるため、早急に対策が必要です。

ただし営業キャッシュフローのマイナスが悪いといえない場合もあります。

企業の成長過程において支出が増えていると、一時的に営業キャッシュフローがマイナスになることもあるためです。

その場合、安定的に収益が出せるように努めましょう。

営業キャッシュフローのマージンの求め方

マージンとは、売上高に対する現金収支の割合です。次の計算式で算出します。

営業キャッシュフローマージン=営業キャッシュフロー÷売上高×100

マージンが高ければ安定して健全に利益を出している企業といえます。

なおマージンの目安は業種によって変動があるものの、およそ15%です。

しかし毎年度15%以上出すことが難しいため、15%以上を継続して達成できている企業は健全で利益を継続して生み出せている企業として高い評価が得られます。

営業キャッシュフローの計算方法

営業キャッシュフローを計算するためには、2つの方法があります。

営業キャッシュフローの2つの表示方法

2つの表示方法として、「直接法」と「間接法」があります。

直接法

直接法とは、商品の販売収入や、仕入れ、経費などの支出を取引ごとに総額で表示した記入方法です。

主要な取引ごとに現金収支を計算するため、現金の流れが正確に表記できます。

間接法

間接法とは、損益計算書上の税引き前の当期純利益に対して、非資金損益項目などを調整し、現金が動く部分だけを計算した記入方法です。

損益計算書から作成するため手間をかけずに作成できます。

直接法による計算

直接法で計算するためには、主要な取引項目ごとに総勘定元帳などで確認して集計する必要があります。

直接法の項目は、「営業収入」「原材料または商品の仕入支出」「人件費の支出」「その他の営業支出」となります。

すべて現金収入や現金支出を集計するため、例えば売掛金などは回収できた金額のみを計算に入れ、買掛金などであれば、実際に支払った金額のみが対象となるため注意が必要です。

間接法による計算

間接法で計算するためには、損益計算書で算出した税引前当期純利益を営業キャッシュフローに移動させ、非資金損益項目となる減価償却費や貸倒引当金の調整、営業外収益や、営業外費用などを調整します。

損益計算書において会計処理上マイナスになっている場合は、実際に現金が動いていないため営業キャッシュフローではプラスとなり、会計処理上プラスになる場合はマイナスとして集計します。

営業キャッシュフローを無視すれば経営難に陥る

営業キャッシュフローはマイナスが続いたままにしていると、経営難に陥る可能性があります。

特に損益計算書上で継続的に黒字を出している場合、一見経営状況が順調に見える場合があります。

しかし営業キャッシュフローがマイナスになってしまうと、どこかの時点で支払いや返済が滞ってしまい、黒字倒産に陥る危険があります。

黒字倒産を防ぐためには、キャッシュフロー計算書で現金の流れを把握し、現金がない状態を防がなければなりません。

手元に現金があれば、資金ショートのリスクを抑え、現金が必要になった時に対応できます。

また事業を拡大する際にも設備投資ができる、金融機関からの融資を受けやすくなるなどのメリットも多いでしょう。

キャッシュフロー計算書の中でも営業キャッシュフローは、本業に関わるため利益だけではなく現金も残るようにすれば、経営難に陥る事態を回避できます。

営業キャッシュフローを確認して経営に活かせれば安心感も得られます。

営業キャッシュフローの改善方法

営業キャッシュフローがマイナスになっている場合、一時的でなければ改善する必要があります。改善方法は次のとおりです。

・粗利益を増やす
粗利益は売上高から売上原価を差し引いた利益です。

販売価格が適正かを確認し、商品の値上げや値引き販売の中止、仕入先と交渉して原価を下げる方法や仕入れ先の変更などをおこなって粗利益を増やします。

・売上債権の回収を早める
売掛金は利益になるものの、キャッシュは増えません。

掛け取引している場合、取引先に交渉して売掛金の回収を早めるようにする方法です。

・仕入債務を見直す
仕入れた原材料や商品は、取引先と交渉して支払期間を延ばしてもらい、支払い条件を見直してみる必要があります。

仕入債務の支払い期間を延ばして、売上債権の回収ができれば、現金不足を防ぐことが可能です。

・必要のない固定資産を売却する
もし事業で活用されていない固定資産があれば、売却の検討も必要です。

処分せずに持ち続けていると、売却価格が下がる可能性もあるため、必要のない固定資産があれば売却という手もあります。

まとめ

営業活動によるキャッシュフローは、本業に関わる収支となるため、企業経営において一番の根幹になる部分です。

キャッシュフロー計算書を把握して、常にキャッシュが残るように経営が大切となります。

もし一時的なマイナスではなく、継続的にマイナスが続いている場合、何らかの対策を講じる必要があります。