介護保険給付費とファクタリングの関係は?介護報酬ファクタリング仕組みを徹底解説

2024年10月15日

介護報酬ファクタリングをご存知でしょうか?

「新規開設で最初の資金化まで待てない」
「介護事業所運営にあたり資金繰りが不安」
「介護報酬の入金を早めたい」

このように悩んでいる介護事業者には、介護報酬のファクタリングサービスがおすすめです。本記事ではファクタリングサービスの仕組みから、利用する方法、メリット、デメリット、介護事業者におすすめのファクタリング会社をご紹介します。

介護報酬のファクタリングとは?

介護報酬のファクタリングとは、国保連合会から介護事業者へ支払われる介護報酬を、ファクタリング会社が前払いするサービスのことです。

通常、介護事業者はサービス提供を行った翌月1日〜10日に国保連合会へ請求し、国保連合会で審査が行われ、最終的に介護事業者へ入金されるのはサービス提供を行った翌々月の末になることがほとんどです。

しかし、介護報酬ファクタリングを利用すればサービス提供翌月の1日〜10日に国保連合会へ行った請求がファクタリング会社から5営業日ほどで前払いされます。

通常サービス提供から60日ほどかかる入金日をファクタリングサービスを利用する事で15日まで短縮し、早期資金化することが可能です。

ただし、介護報酬は国保連合会の審査の結果により、返戻等で支払い額が減額されるケースもあるため、ファクタリング会社によっては前払いでの入金を80%〜と制限している場合もあります。その場合の残金は通常通りの入金サイクルとなります。

介護報酬ファクタリングの仕組み

そもそも介護報酬ファクタリングとはどのような仕組みになっているのでしょう。通常の介護保険請求では介護事業所と国保連合会の2社間のみですが、その間にファクタリング会社が入り3社間(介護事業所、ファクタリング会社、国保連合会)でのやり取りとなります。流れは以下の通りです。

・ファクタリング会社との契約
・国保連合会へ介護保険の請求
・ファクタリング会社から売掛先介護事業所へ早期入金(80%~)
・国保連合会からファクタリング会社へ介護報酬の100%が支払われる
・ファクタリング会社から介護事業所へ残金が支払われる(~20%)
また、3社間ファクタリングは介護報酬以外の場合でも行われていますが、通常の3社間ファクタリングより手続きが容易で手数料も低く抑えられる特徴があります。
なぜなら、介護報酬ファクタリングでのファクタリング会社の取引先は公法人である国になるため、資金回収ができないといったリスクがなく手数料を低く抑えることができます。

介護報酬ファクタリングのメリット

介護報酬ファクタリングの最大のメリットは早期資金化が可能な事ですが、それ以外にもいくつかのメリットがあります。

・介護報酬の早期資金化
・連帯保証人・担保が不要
・新規開設でも利用可能

介護報酬の早期資金化

介護報酬ファクタリングを利用すると、通常2ヵ月後になる介護報酬の入金を最短15日後に短縮することが可能です。

例えば4月にサービス提供を行った分の介護報酬は6月末まで入金がされないため、5月〜6月の間は4月分の収益がほとんどない状態となります。そのため、開設間もないタイミングや利用者の数が少ないうちは、資金繰りに悩む場面も多いかと思います。

しかし、介護報酬ファクタリングを利用する事で4月提供分の介護報酬が5月15日には入金されるため、そのような状況でも安定した経営が可能となります。

このように、介護報酬ファクタリングの最大のメリットは「介護報酬の早期資金化」にあります。

連帯保証人・担保が必要

ファクタリングには連帯保証人も担保も必要ありません。そもそも連帯保証人や担保は資金の貸付けを行った際、債権者側が返済を受けられないリスクに備えるものです。

しかし、ファクタリングは借入や融資のようにお金を直接借りるわけではなく、売掛債権(まだ代金を受け取っていない時に生じる請求をする権利)をファクタリング会社に譲渡し現金化する仕組みです。つまりファクタリング会社が貸付けている訳ではなく、介護事業所の権利を買取っているため連帯保証人や担保は準備する必要がありません。

新規開設でも利用可能

介護報酬のファクタリングなら新規開設の場合でも利用可能です。ファクタリングサービスを利用する場合の審査基準は「ファクタリング会社が資金回収を行う先への信用度」になります。前途の通り介護報酬ファクタリングにおける回収先は「国」になるため信用度について何の問題もありません。

そのため、早期での資金化が必要となる、新規開設の介護事業者でも比較的容易にファクタリングサービスを利用できます。

介護報酬ファクタリングのデメリット

介護報酬ファクタリングを利用するうえでデメリットについても正しく把握している必要があります。

・手数料が必要になる
・長期利用によるリスクがある

手数料が必要になる

ファクタリング会社は資金回収ができないというリスクを負うため、手数料を設定しています。早期資金化という大きなメリットがありますが、入金の際は手数料を差し引いた金額となるため本来入金される金額より低い金額となります。

介護報酬ファクタリングにおけるファクタリング会社のリスクとは「国から支払いが行われない」という、圧倒的に低いリスクのため一般的なファクタリングサービスより安い手数料が設定されていますが、本来国保連合会から支払われる介護報酬の満額を受け取ることはできません。

そのため、早期資金化を特に必要としていない介護事業者にとっては反対にデメリットになってしまうため、本当にファクタリングを利用する必要があるのかを見極める必要があります。

長期利用によるリスクがある

介護報酬ファクタリングの長期利用を検討している場合には注意が必要です。これまでで説明した通り、ファクタリングには毎月手数料が発生します。本来支払われる介護報酬より毎月少ない金額が入金されるため、長期で運用をすればするほど徐々に本来の報酬額との差が出てきます。

また、手数料が発生することから介護報酬ファクタリングの利用を停止する場合、早期入金のフローから通常のフローに戻るため、次の入金までの期間が長くなり、資金繰りが難しくなり、またファクタリングサービスを利用するといった悪循環に陥る可能性もあります。

介護報酬ファクタリングの利用はあらかじめ期間を設けるなどし、計画的に運用することが大切です。

介護報酬ファクタリング会社比較のポイント

ここまで介護報酬ファクタリングについて説明してきましたが、ファクタリング会社は複数社あります。ホームページやパンフレットなどを見てどこを比較すればいいのか分からない人のために、見ておきたいポイントを解説します。

手数料

手数料が最も分かりやすい比較のポイントです。一般的なファクタリングサービスの手数料は1%〜9%なのに対し、介護報酬ファクタリングの手数料は低く0.25%〜1%が相場になります。

この手数料はファクタリング会社から先に支払われる早期入金額に対して発生します。

計算の例
・手数料の計算
100万円(請求額)×80%(前払い率)×1%(手数料率)=8,000円(手数料)
・早期入金額の計算
80万円(前払い額)-8,000円(手数料)=79万2,000円(早期入金額)

前払い率

次に比較しやすいポイントは「前払い率」です。介護報酬ファクタリングは介護報酬の100%が早期入金される訳ではなく、実際に請求を行った80%ほどが早期入金されます。なぜなら、介護報酬は国保連合会の審査が入り、必ずしも請求した満額が審査を通るわけではないからです。

この前払い率はファクタリング会社によって異なるため、満額に近い額を早期資金化したいのであれば前払い率の高い会社を検討するといいでしょう。

しかし、前項であげた通り手数料はファクタリング会社から支払われる早期入金分に対して発生します。つまり早期入金額が大きくなればなるほど手数料も大きくなります。

早期入金額が多いからといって前払い率の高いファクタリング会社にすると、その分手数料も大きくなり、結果的に受け取れる額が少なくなってしまうため、手数料と前払い率のバランスには注意が必要です。

債権買取金額

ファクタリング会社は介護事業所が受け取る介護報酬の「債権」を買い取る形で早期資金化をしていますが、この買い取る債権に上限と下限が設定されてることもあり、その金額はファクタリング会社によって異なります。

新規開設や利用者の少ないタイミングでは買取金額の下限がない会社や低く設定している会社を検討するといいでしょう。