ファクタリングの利用者数は増えている?現状と今後の動向を徹底解説
2025年8月2日
資金繰りの選択肢として注目を集める「ファクタリング」。特に銀行融資のハードルが高まっている昨今、売掛金を早期に現金化できるこのサービスに魅力を感じる中小企業や個人事業主は年々増加しています。
では、実際にファクタリングの利用者数はどの程度いるのか?
その利用者数の推移と背景にはどんな要因があるのか?
そして今後はどうなるのか?
この記事では、ファクタリングの利用者数の現状、背景、業界の傾向、将来の展望を、わかりやすく解説します。
ファクタリングとは?利用者数の話の前に
まず前提として、ファクタリングとはどのような資金調達方法なのかを簡単に確認しましょう。
ファクタリングは、企業が保有する「売掛金」をファクタリング会社に売却し、代金を早期に現金化する仕組みです。つまり、本来は支払いまで1~3ヶ月かかる売上を、すぐに資金化できるというメリットがあります。
融資ではなく「売買契約」に分類されるため、借金ではなく、バランスシートを圧迫しない資金調達方法として、多くの企業に重宝されています。
ファクタリング利用者数の実態:増加傾向にある理由
1. 明確な統計は少ないが、需要は急増中
日本では、金融庁や中小企業庁による正確な「ファクタリング利用者数」の公式統計は存在しません。しかし、民間調査会社や業界団体、各ファクタリング会社の公開データから推測すると、利用者数は確実に増加しています。
たとえば、大手クラウドファクタリング会社である「OLTA(オルタ)」は、2023年時点で延べ利用社数が1万社を突破したと発表しています。また、他のファクタリング会社も累計数千社〜1万社を超える顧客数を公表しており、業界全体では数万社単位の法人がすでに利用していると考えられます。
中小企業の数(日本全国に約350万社)と比較しても、まだまだ普及の余地がある段階ですが、近年は年率20〜30%近い成長率で利用企業が増加していると見られています。
2. 銀行融資のハードル上昇が後押し
近年、メガバンクや地方銀行の融資審査は年々厳格化しています。特にコロナ禍で実施された実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済が始まり、中小企業の資金繰りが難化する中で、新たな借入がしづらくなっているという背景があります。
そのため、「借金をせずに資金を確保できる手段」として、ファクタリングを活用する企業が増加しているのです。
利用者の属性:どんな人・企業がファクタリングを使っている?
ファクタリングの利用者数が増えている背景には、利用者層の広がりもあります。以下に代表的な利用者層を紹介します。
中小企業・零細企業
売掛先はしっかりしているが、手元資金が薄い企業は非常に多く存在します。こうした企業にとって、ファクタリングは支払いサイトを短縮する効果があり、非常に魅力的です。
個人事業主・フリーランス
かつては法人向けが主流だったファクタリングも、今ではフリーランスや個人事業主にも広く利用されるようになっています。ITエンジニア、コンサルタント、運送業者、建設現場の職人など、売掛による取引がある業種には特に需要があります。
医療・介護・建設業など特定業種
入金までの期間が長い「診療報酬ファクタリング」「介護報酬ファクタリング」「建設業ファクタリング」など、業種特化型ファクタリングも登場しており、これらの業界からのニーズは特に高いです。
クラウドファクタリングの台頭が利用者数を後押し
ファクタリング業界において、近年最も注目すべき変化の一つが「クラウドファクタリング」の普及です。
クラウドファクタリングとは、申し込み・審査・契約・資金振込までのすべてをオンラインで完結できるサービスのこと。対面での手続きが不要で、スマートフォン一つで完結できることから、若い起業家やフリーランス層の利用も急増しています。
代表的なクラウドファクタリング事業者には以下のような企業があります。
・OLTA(オルタ):国内最大手、完全オンライン対応
・Paid(ペイド):BtoB決済サービスと連携可能
・Labol(ラボル):フリーランス特化型、24時間以内に入金可能
これらのサービスの普及によって、従来ファクタリングに不安を感じていた層が気軽に利用できるようになり、利用者数の拡大を大きく後押ししているのです。
ファクタリング利用の将来展望:利用者は今後どう増えていくのか?
1. 中小企業支援政策との親和性が高い
政府は2025年問題(団塊世代の大量引退)や人口減少、働き方改革などを背景に、中小企業支援やスムーズな資金循環を重要視しています。
その流れの中で、ファクタリングのような「資金繰りの柔軟性を高める仕組み」は、行政側としても推進しやすい立ち位置にあります。今後、金融機関や地方自治体との連携も進み、より公式な制度の中でファクタリングが普及していく可能性もあります。
2. フリーランス法制化・電子請求書の普及
フリーランス保護法の整備や、電子インボイス制度の導入によって、売掛情報の可視化が進みます。これにより、ファクタリングの審査が迅速化し、より利用しやすくなる環境が整うと予想されます。
特に、フリーランスの労働環境整備が進むことによって、これまで資金調達が困難だった個人層の利用者数が増加する見込みです。
まとめ:ファクタリングの利用者数は今後も右肩上がり
現在、ファクタリングの利用者数は年間数万社規模で増加しており、特に中小企業や個人事業主の間でその需要は拡大しています。
クラウドファクタリングの普及や、フリーランス層への浸透によって、これまでリーチできなかった利用者層にもサービスが届くようになったのが、大きな変化といえるでしょう。
今後も金融市場の変化やテクノロジーの進化に伴い、ファクタリングの利便性はさらに向上し、利用者数は今の2〜3倍に増えていく可能性があると見られています。
資金繰りに課題を抱えるすべての事業者にとって、ファクタリングは「難しい」「一部の企業だけのもの」ではなく、誰もが利用できる選択肢として確実に定着しつつあります。