フリーローンで事業資金使途違反は禁止?資金使途にできるものとは
2024年9月8日
フリーローンの資金使途は原則として自由です。ただ、中には資金使途として利用できない目的もあります。利用できないとされている資金使途に利用し、資金使途違反を起こした場合、どうなるのでしょうか。
この記事では、資金使途が原則として自由となっているフリーローンの中で、資金使途として利用できないものや、契約時 に資金使途違反を起こした場合の処分について解説します。
フリーローンとは
フリーローンとは、原則資金使途が自由なローン商品のことです。
住宅ローンは住宅購入費用、マイカーローン(自動車ローン)は車の購入費用、教育ローンは教育費の支払いと、資金使途が決められていてそれ以外の用途には使用できません。しかし、フリーローンは資金使途に拘束がないため、自由な用途で利用できます。
フリーローンは契約時に融資額が一括で振り込まれ、後は返済を続けていく仕組みです。利用の際、基本的に担保や保証人は不要ですが、再度借り入れたいと思ったときには、新たに申込みをして審査を受ける必要があります。
そのため、フリーローンは何度も借り入れを繰り返すようなことは起こりにくく、返済額を把握しやすいというメリットがあります。
カードローンとの違い
カードローンは、契約時に借入可能額が設定され、借入可能額の範囲内で好きなときに借り入れ、返済を行える点が特徴です。追加で借り入れるときでも、借入可能額の範囲内であれば、フリーローンと異なり審査を受ける必要はありません。
また、一部のカードローンには無利息期間が用意されており、無利息期間を有効に活用することで、利息の負担なく借り入れられます。
ただ、限度額内であれば何度も借りられてしまうため、きちんと自己管理ができていないと気付いたら借入額が借入可能額いっぱいにまで達している、というケースもあります。カードローンを利用する際には、現時点の借入額がどのくらいなのかを常に意識しておくことが必要です。
フリーローンの資金使途は原則自由
フリーローンは、上記で紹介した住宅ローンやマイカーローン(自動車ローン)、教育ローンなどの目的別ローンと異なり、資金使途は原則として自由です。フリーローンを提供する金融機関によっても差はあるものの、基本的に使用できる目的の幅は広く設定されています。
フリーローンの資金使途としてよくある例
フリーローンは使い道が原則自由ですので、旅行資金や結婚資金、医療費の支払い、引っ越し費用などさまざまな用途に利用できます。実際にフリーローンの資金使途としてよくある例を紹介します。
生活費
食費や衣服費など生活していくうえで必要な資金として利用することができます。借入希望額がそこまで大きくなく、あくまでも生活費の補填として常識的な範囲内であれば、審査でも認められやすいでしょう。
ただ、慢性的に生活費が足りないような場合、その都度フリーローンで補填していると返済が難しくなる可能性があります。急な出費がかさみ、短期間だけ生活費が足りないときに利用を検討してもいいでしょう。
家賃
一時的な支出が重なり、家賃が支払えなくなった際に、家賃の支払いにあてる目的でフリーローンを利用することも可能です。ただ、1ヶ月分の家賃ならいいのですが、数ヶ月など高額になった家賃の支払いにあてる場合は、審査に通らない可能性も考えられますので、注意してください。
ローンの借り換え
フリーローンはローンの借り換えとしての利用も可能です。ただし、金融機関によっては借り換え目的での利用を認めていないケースもあるため、事前に商品概要説明書などで確認しておきましょう。
申込むフリーローンが、今借り入れているローンよりも金利が低い場合なら、利用するメリットは大きいでしょう。支払う金利分の負担が軽くなります。また、複数社からの借り入れを一つにまとめる目的のおまとめローンとしての利用も可能です。借入合計金額が少ない場合は利用を検討してみてはどうでしょうか。
家電の買い換え
洗濯機や冷蔵庫などの家電を一式買い換えるときや、1人暮らしを始めるため、生活に必要な家電を大量に購入する必要があるときなどにもフリーローンを利用できます。1人暮らしを始めるにあたっては、家電だけではなく家具も必要になりますので、その費用も合わせて借り入れられます。
結婚式
結婚式の費用を支払う目的でのフリーローンの利用もできます。結婚式の場合、書面で必要金額を証明できますし、新婚旅行費用や、結婚指輪の購入費用も含まれます。いただいたご祝儀で全額一括返済ができれば借入期間も短くすむため、その分金利の負担を抑えられます。
ただ、結婚式の費用として利用するなら、「ブライダルローン」という目的別ローンもあり、そちらを利用することがおすすめです。基本的に目的別ローンのほうが金利は低いため、最終的な返済額を少なくできる可能性もあります。利用の際には、2つのローンを比較し、使いやすいほうを選択するようにしましょう。
旅行
観光目的や、休暇をとって旅行する際の旅行代金はもちろん、旅先で利用するレンタカー代や食事代を賄う目的での利用も可能です。特に金額が高額になりがちな海外旅行の費用でも、金融機関によっては認められるケースもあります。
旅行費用も滞在日数によっては費用が高額になることもあるため、手持ちの資金では不足するときなどに利用を考えてみてもいいでしょう。
子どもの教育費
子どもの教育費は、学資保険や奨学金、もしくは目的別ローンにある教育ローンで準備するケースが多く見られますが、要件を満たさないなどの理由で奨学金や教育ローンの利用ができないこともあります。そのような場合にはフリーローンの利用を考えましょう。
特に大学に入学する際には、受験する学校の数に応じた受験料や学校までの交通費や宿泊費、さらには前期の学費や入学金などの費用が発生し、入学するまでに支払うものが数多くあります。奨学金が利用できたとしても振り込まれるのは入学後であるため、それまでのつなぎとして利用してもいいでしょう。
引っ越し
新居に引っ越す際の引っ越し代や、新居の家賃、敷金や礼金などまとまった金額が必要になるときにも、フリーローンの利用が可能です。フリーローンは入居費用の一つである火災保険料の支払いなどにも利用可能です。
慰謝料
裁判での判決や示談などで慰謝料の支払いが決定した際、基本的に支払いは一括で行う必要があります。そのため、慰謝料の額によっては不足分を調達しなければならない状況に陥る可能性もあります。こういったときも、フリーローンの利用が可能です。
ただし、最近では離婚関係専門のローンも登場しています。慰謝料の支払いだけでなく、財産分与を行うための資金や裁判費用に利用できます。
その他突然の出費に
原則として資金使途は自由ですので、病気やケガの治療費や、冠婚葬祭などで支出が重なり、給与日までの生活資金が不足するなどの突然の出費にもフリーローンが便利です。
日常のさまざまな場面で利用できますが、場合によってはカードローンの利用のほうが向いているケースもありますので、どちらを利用するほうがいいか、しっかり検討してから申込みましょう。
フリーローンの資金使途違反になりやすいもの
原則として資金使途が自由なフリーローンですが、反対に資金使途として認められないものもあります。ここからは、フリーローンの資金使途として認められない、代表的な例を紹介します。
また、そのほかに「不動産購入資金」や「納税資金」、「訴訟費用」などにも利用できないフリーローンも多くあります。
事業用資金
フリーローンの商品概要を確認すると、資金使途の欄に「原則自由(ただし、事業性資金を除く)」と記載されている商品もあります。実際、銀行系のカードローンは事業性資金としての利用は認められていことが多いでしょう。一方、一般的に消費者金融系のカードローンだと事業性資金でも利用できます。
フリーローンで事業性資金への使途を認めていない理由には、事業の内容によっては融資した金額が回収できない可能性があるほか、事業に将来性があるかどうかを審査しにくいといったものがあります。事業性資金としての借り入れを希望しているなら、別途事業用ローン(ビジネスローン)があるため、そちらの利用を検討しましょう。
投機に使用する資金
事業性資金と同様に、多くの金融機関が、投機性資金への利用を認めていません。
投機とは、短期的な売買を繰り返すことによって資産を形成していく投資方法です。大きなリターンを得られることもありますが、市場相場の変動が読み取れず、想像以上の急落相場に直面するなどそれ以上に損失を被る場面が多くみられます。そのため、確実に資産を形成するのは難しいといわれています。
場合によっては大きな損失を被る可能性もあり、そうなると融資した金額を回収することができなくなってしまいます。
投資と投機は異なります。投資も資産を形成していく考え方の一つではありますが、投資の基本は、「長期」の視野をもち、「継続」して、かつ「分散」しながら行うことです。投機とは全く逆の資産形成方法であり、投機にはギャンブル性が高いという面があることも、投機性資金としての利用を認めていない理由と考えられます。
フリーローンの資金使途で嘘をついてしまったら
フリーローンの利用にあたっては、基本的に申込時に、どのような使い道に利用するのかを申告する必要があります。仮に申告の際に嘘をついてしまったらどうなるのでしょうか。
基本的に、借入金額が高額でないかぎり、申込時には資金使途を申告するだけで、それを証明する書類の提出は必要ありません。
しかし、申告された資金使途と借入希望額が大きく離れている場合には、資金使途と金額が本当に合っているかどうかを調べるための調査が行われ、融資が行われる前に嘘の申告をしたことが発覚してしまうことも十分に考えられます。その場合、融資金額の減額措置といった措置を取られる可能性がありますので、嘘の申告は絶対にしないようにしましょう。
違法行為として詐欺罪に問われる可能性もある
申告された資金使途の内容が悪質な嘘だった場合や、明らかに申告された内容に問題がある場合などでは、詐欺とみなされて刑事罰の対象になる可能性があります。もし、詐欺罪が成立すると10年以下の懲役刑を言い渡される可能性があるため、資金使途の内容を申告する際には、必ず嘘偽りのない内容を申告するようにしてください。