廻し手形の意味とは何か 仕組みや利用するメリットとデメリット支払い方法としての特徴やファクタリングとの違いを詳しく解説

2026年9月16日

企業間取引では、商品やサービスの代金をすぐに現金で支払うのではなく、一定期間後に決済する方法が多く利用されています。その代表的な決済手段の一つが手形取引です。

手形にはさまざまな種類や利用方法がありますが、その中でも「廻し手形」という言葉は、企業の経理や資金繰りに関わる場面で使われることがあります。

しかし、現在では電子決済や銀行振込などの普及により、手形取引そのものに馴染みがない方も増えています。そのため、「廻し手形とは何なのか」「普通の手形と何が違うのか」「利用するとどのようなメリットやリスクがあるのか」と疑問を持つケースも少なくありません。

廻し手形は、受け取った手形を自社の支払いに利用する仕組みです。現金を用意することなく支払いを行えるため、企業の資金繰りを支える役割を果たしてきました。

一方で、手形取引には支払不能リスクや取引先との信用関係など、注意すべきポイントもあります。

この記事では、「廻し手形 意味」というキーワードをもとに、廻し手形の基本的な意味や仕組み、メリット・デメリット、ファクタリングとの違いについて詳しく解説します。

廻し手形とは受け取った手形を別の支払いに利用する方法

廻し手形とは、企業が取引先から受け取った手形を、別の取引先への支払いに利用することを指します。

通常、手形は受け取った企業が満期日まで保有し、銀行へ呈示することで現金化します。

しかし、廻し手形では、受け取った手形をそのまま第三者へ譲渡し、仕入代金などの支払いに利用します。

例えば、以下のような流れになります。

A社がB社へ商品を販売し、B社から手形を受け取ります。

その後、A社がC社へ仕入代金を支払う必要がある場合、B社から受け取った手形をC社へ譲渡します。

このように、手形を資金の代わりとして循環させる仕組みが廻し手形です。

廻し手形が利用される理由

現金支払いを減らして資金繰りを改善できる

廻し手形が利用される大きな理由は、現金を準備する負担を減らせることです。

企業では、売上代金を回収する前に仕入代金や外注費などの支払いが発生することがあります。

このような場合、受け取った手形を支払いに利用することで、手元資金を温存できます。

特に、支払いサイトと入金サイトに差がある企業では、資金繰りの手段として活用されてきました。

金融機関からの借入に頼らず取引できる

廻し手形は、銀行融資のように新たに借入を行う方法ではありません。

すでに受け取っている手形を利用するため、金融機関から資金を借りることなく支払いを行えます。

そのため、借入枠を維持したい企業や、一時的な資金不足を補いたい企業で利用されることがあります。

廻し手形の基本的な仕組み

廻し手形では、手形の裏面に必要事項を記載し、受取人を変更します。

この手続きは「裏書」と呼ばれます。

裏書によって手形の権利を別の人へ移転することができます。

一般的な流れは以下のようになります。

・取引先から手形を受け取る

・手形の裏書を行う

・支払い先へ手形を譲渡する

・満期日に手形代金が決済される

このように、手形の権利を順番に移転させながら利用する仕組みが廻し手形です。

廻し手形と通常の手形の違い

通常の手形は満期まで保有する

通常の手形取引では、受け取った企業が手形を保管し、満期日に銀行で決済します。

企業は支払期日まで待つことで現金を受け取ります。

廻し手形は第三者への支払いに使う

一方、廻し手形では、受け取った手形を別の取引先へ渡します。

つまり、自社で現金化するのではなく、支払い手段として利用する点が大きな違いです。

廻し手形のメリット

資金繰りを安定させやすい

廻し手形を利用すると、現金の支出タイミングを調整できます。

売掛金の入金前に支払いが必要な場合でも、手形を活用することで資金不足を防ぐことができます。

取引先との決済方法を柔軟にできる

手形を利用できる取引先同士であれば、現金以外の決済方法として活用できます。

特に、手形取引が一般的だった業界では、長年利用されてきた支払い方法です。

借入金を増やさずに支払いができる

廻し手形は、新たな借入ではありません。

そのため、財務上の借入金を増やさずに取引を行える点がメリットです。

廻し手形のデメリットと注意点

手形不渡りのリスクがある

廻し手形で最も注意すべき点は、手形を発行した企業が支払いできない場合です。

手形が不渡りになると、最終的な所持者が代金を受け取れない可能性があります。

裏書人は一定の責任を負うため、手形を受け取る際には発行元の信用状況を確認することが重要です。

信用関係が重要になる

廻し手形は、複数の企業間で手形が移動する仕組みです。

そのため、取引先同士の信用関係が大きく影響します。

信用力の低い企業が発行した手形の場合、受け取りを断られるケースもあります。

現在は利用機会が減少している

近年では、銀行振込や電子記録債権などの普及により、紙の手形取引は減少傾向にあります。

企業間決済の方法は変化しており、廻し手形を利用する場面も以前より少なくなっています。

廻し手形と手形割引の違い

手形割引は金融機関などで現金化する方法

手形割引とは、満期前の手形を銀行や手形割引業者へ売却し、現金化する方法です。

手数料を支払うことで、支払期日前に資金を得ることができます。

廻し手形は支払いに利用する方法

廻し手形は、手形を現金化するのではなく、そのまま支払いに利用します。

つまり、手形割引は資金化を目的とし、廻し手形は決済手段として利用する点が異なります。

廻し手形とファクタリングの違い

ファクタリングは売掛債権を現金化する仕組み

ファクタリングは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社へ譲渡し、支払期日前に現金化する方法です。

手形を利用する必要がなく、売掛金を対象に資金調達できます。

廻し手形は手形を支払いに利用する仕組み

廻し手形は、受け取った手形を別の支払いに使う方法です。

一方、ファクタリングは売掛金を現金化する方法であり、仕組みが大きく異なります。

現在では、手形取引の減少に伴い、ファクタリングなどの新しい資金調達方法を検討する企業も増えています。

廻し手形を利用する際に確認すべきポイント

手形発行元の信用を確認する

廻し手形では、最終的に手形を発行した企業の支払能力が重要になります。

受け取る前に、発行元の信用状況を確認することが大切です。

取引先が手形を受け入れるか確認する

支払い先によっては、廻し手形による支払いを認めていない場合があります。

事前に相手先との合意を取る必要があります。

手形管理を適切に行う

手形には支払期日があります。

管理を誤ると、決済トラブルにつながる可能性があります。

まとめ

廻し手形とは、企業が取引先から受け取った手形を、別の取引先への支払いに利用する方法です。

受け取った手形を現金化せず、そのまま決済手段として活用することで、企業の資金繰りを支える役割を果たしてきました。

一方で、手形不渡りのリスクや取引先との信用関係が重要になるなど、利用には注意点もあります。

また、現在では電子決済やファクタリングなど、手形に代わる資金調達・決済方法も普及しています。

廻し手形を利用する場合は、その仕組みやリスクを理解し、自社の資金状況や取引環境に合った方法を選択することが大切です。

手形取引の意味を正しく理解することで、より安全で効率的な資金管理につなげることができます。