企業買収になった際の資金調達方法とは?特徴や注意点を徹底解説
2023年8月31日
M&Aで企業を買収するにあたっては、まとまった資金が必要です。株式譲渡の金額だけでなく、デューデリジェンスなどで専門家に支払う費用などの手数料も必要になります。M&Aに必要な金額を把握したうえで、資金調達を行わなければなりません。
ここでは、M&Aで活用できる資金調達方法とその特徴や注意点について解説します。
銀行からの借入
M&Aで企業を買収する際の資金調達方法として、まず考えられるのが銀行からの借入です。M&Aの融資への積極性や金利、担保の有無、借入期間などの条件は、銀行によって異なります。M&Aを目的として銀行から借入を行おうとする場合、一般的には事業計画書や決算書などを提出し、審査をクリアすることが必要です。
買収する会社の社会的信用力や収益力、借入実績があれば審査は通りやすい
一般的に、銀行からの借入を申し込む場合、社会的信用力や収益力の他、既にその銀行からの借入の実績があれば、審査が通りやすくなり、借入時の金利も低くなります。また、実績があれば銀行が経営状況や経営者の考え方なども把握できているため、まったく実績のない会社に比べると、銀行の判断材料も多くあるのです。
逆に、借入実績のない銀行からの借入を申し込む場合、金利が高くなったり、審査が通る可能性が低くなったりすることも考えられます。
返済計画を綿密に立てておく
銀行からの借入を申し込む際には、返済計画を綿密に立てたうえで実行可能な借入を申し込むようにすることが大切です。無理な返済計画で申し込んだ場合は、銀行の審査が通らない可能性があります。また、借入を受けられたとしても、返済が滞った場合には会社の信用力が低下し、追加融資を受けられなくなることもあるかもしれません。
日本政策金融公庫の支援制度
M&Aにかかる資金調達方法として、日本政策金融公庫の支援制度もあります。制度にもよりますが、民間の金融機関よりも金利が低い傾向にあり、融資金額を一括で調達できるという点が特徴です。一方、提出しなければならない資料が多く、手間がかかるということは注意したい点です。ここからは、日本政策金融公庫の「事業承継・集約・活性化支援資金」について解説します。
事業承継・集約・活性化支援資金
は事業承継・集約・活性化支援資金は、事業・株式の譲渡などで事業承継や事業の集約化などを行う中小企業の資金調達を円滑化させるための制度です。事業承継・集約・活性化支援資金の内容には2種類あり、個人や中小企業が事業承継やM&Aに取り組む場合は「国民生活事業」へ、その中でも経済的・社会的に有用な事業や企業に対して事業承継やM&Aに取り組む場合は「中小企業事業」へ申し込みます。
中小企業事業
中小企業事業の融資限度額は直接貸付7億2,000万円で、担保設定などは日本政策金融公庫との相談のうえ決定されます。国民生活事業と同様、経営者が後継者と共に事業承継計画を策定している方などが対象で、取引金融機関からの資金調達が困難な方などでも利用できます。資金使途は、事業承継計画を実行するために必要な設備資金や長期運転資金などが対象です。
国民生活事業
国民生活事業は、無担保・無保証人で別枠7,200万円(うち運転資金4,800万円)までの融資が受けられます。経営者が後継者と共に事業承継計画を策定している方などが対象で、取引金融機関からの資金調達が困難な方などでも利用できます。資金使途は、事業承継計画を実行するために必要な設備資金や運転資金などが対象です。
助成金・補助金
M&Aにかかる資金調達方法として、国や地方自治体が行っている助成金制度や補助金制度を利用する方法もあります。助成金は随時受け付けている場合が多く、一定要件を満たせば原則として受給できるものです。補助金は募集期間や採択件数が決められており、申請しても必ず受給できるとは限りません。
事業承継に関連する制度としては、事業承継によって経営革新などを行う中小企業などに対して経費の一部を補助する、中小企業庁の「事業承継・引継ぎ補助金 」などがあります。その他、地方自治体が行っている制度もありますので、確認してみることをおすすめします。
まとめ
M&Aによる企業買収は、譲渡された株式の対価として支払う分以外にもさまざまな手数料が必要なので、それらを見越して資金を調達する必要があります。資金調達方法としては、銀行からの借入や日本政策金融公庫の支援制度、助成金・補助金などがありますが、どのような資金調達方法が可能なのか、専門家に相談するとよいかもしれません。