ファクタリングの支払いができない。弁護士に相談はできるのか?

2025年1月7日

ファクタリングの支払いができず困った場合は、弁護士に相談することが有用な場合があります。
弁護士は、取引先との交渉を代行したり、対処方法をアドバイスしたりする可能性があります。

2者間ファクタリングで資金調達した後は、回収した売掛金をファクタリング会社へ送金しなければなりません。

しかし、売掛金を使い込んでしまった場合などには、回収した売掛金を払えない事態に陥る可能性があります。

そのような場合でも、ファクタリングでは分割払いや支払いの先延ばしはできません。

そのため、ファクタリングの支払いが遅延したり、支払いを延滞したりといったことにならないように注意が必要です。

本記事では、ファクタリングで売掛金を払えない場合はどうなるのか、支払いが遅延した場合の注意点や対処法などを解説します。

ファクタリングで売掛金が払えなくなるような状況はできるだけ避けるべきですが、どうしても払えなくなった場合の対処法を確認しておきましょう。

ファクタリングの利用で売掛金が払えない状況とは

ファクタリングの利用で売掛金が払えない状況とはどういうことなのでしょうか。

売掛金回収には一連の流れがあり、どこかでその流れが止まってしまうと売掛金が払えなくなってしまう可能性があります。

ここでは、売掛金回収の流れや支払期日について解説します。

ファクタリングにおける売掛金回収の流れ

ファクタリングには2者間ファクタリングと3者間ファクタリングがあり、それぞれ売掛金回収の流れが異なります。

3者間ファクタリングでは、売掛先から直接ファクタリング会社へ売掛金が送金される方式です。

したがって、ファクタリングの利用者(利用会社)が売掛先から売掛金を回収できず、支払いが遅延するという事態は起こり得ません。

利用者としては、売掛金を回収してファクタリング会社へ送金する手間がかからない仕組みといえるでしょう。

一方、2者間ファクタリングでは、売掛金の支払期日になると売掛先から利用者(利用会社)へ入金があるため、利用者は入金を確認したら、受け取った資金をそのままファクタリング会社へ送金する流れとなります。

その際、何らかの事情によって、売掛金がファクタリング会社へ支払われない状況になることがあるのです。

ファクタリングの支払期日

3者間ファクタリングの場合、売掛金は直接ファクタリング会社へ支払われるため、利用者(利用会社)にとっての支払期日は存在しません。

売掛金は、本来利用者に支払われる予定だった支払期日に、売掛先からファクタリング会社へ支払われることとなります。

これに対して2者間ファクタリングでは、利用者(利用会社)が売掛先から代金を回収し、ファクタリング会社へ送金するため、ファクタリングの支払期日は売掛金の入金日に設定されます。

この間に資金がなくなってはならないため、売掛先からの支払期日とファクタリング会社への支払期日を事前に確認しておき、ファクタリング会社への支払いが遅延しないように注意する必要があるでしょう。

ファクタリングの支払いが遅延または払えない場合の注意点

ファクタリング会社への支払いが遅延や延滞してしまった場合は、どのように対応すればよいのでしょうか。

支払いが遅延し、延滞する場合には、以下の3つを念頭に置いて対処しなければなりません。

売掛金の分割払いはできない

先ほど少し触れましたが、回収した売掛金は一括でファクタリング会社へ支払わなければならないと決められています。

なぜならファクタリング会社は貸金業ではないため、分割払いには応じられないのです。

なお、貸金業の登録を受けていないのに、取引の最初にファクタリング会社のほうから回収した売掛金の分割払いを持ち掛けてきた場合は、違法業者である可能性が高いでしょう。

違法業者の場合、取り立てについても違法な対応がないとはいえないため注意が必要です。

支払期日には遅延できない

ファクタリングでは、支払いの遅延・延滞は基本的にできません。

しかし、支払いができないのにファクタリング会社へ連絡せずに支払いを遅延し続けることは避けるべきです。

まずは自社のほうからファクタリング会社へ連絡をして、事情を説明する必要があります。

ファクタリング会社によっては、交渉の末、ある程度支払期日を先延ばしにしてくれるケースもゼロではありません。

しかし、仮に支払期日を先延ばしにできたとしても、遅延損害金が発生するので、遅くなればなるほど金額がふくらんでしまいます。

お金に都合をつけて早めに支払うことが重要です。

遅延や延滞は、単に金銭的な問題だけでなく、利用者(利用会社)の信用度にも影響します。

そのため、売掛金が入金されたらすぐにファクタリング会社へ送金し遅延しないようにし、たとえ遅延が避けられない場合でも、誠実かつ迅速な対応を心がけることが大切です。

踏み倒しはできない

前述のとおり、売掛金の入金がない場合、ファクタリング会社は法的な手段を取って債権を回収しようとします。

つまり、支払いを踏み倒すことはできません。

ファクタリング会社からの催促を無視しても、法的な措置で対応されるため、最終的に強制執行が行われることになるでしょう。

もしファクタリング会社が悪徳業者だった場合、事業の継続に支障が出るようなしつこい取り立てが行われる可能性もあります。

売掛金を払えない場合はどうすればいい?

売掛金を使い込んでしまい、どうしても払えない場合はどうすればいいのでしょうか。

遅延や延滞が避けられない状況に陥っても、適切な対応を取ることで、問題の悪化を防げる可能性があります。

ここではどうしても期日までの支払いができない場合の対処法を解説します。

ファクタリング会社へ連絡をする

まずは、ファクタリング会社へ連絡し、売掛金を送金できない旨を正直に伝える必要があります。

その後の措置をできるだけ自社で対処可能なものにするためにも、ファクタリング会社へ連絡せずに支払いの遅延を続けたり、ファクタリング会社からの連絡を無視したりするのは避けましょう。

なお、ファクタリング会社へ連絡しないままになっていると、ファクタリング会社のほうから連絡がきますが、印象が悪化するのは避けられません。

早期にファクタリング会社へ相談することで、売掛金の支払いができるように解決策をアドバイスしてもらえる可能性もあります。

送金ができないと判明した時点でファクタリング会社へ連絡を入れましょう。

資金繰りを改善する

資金繰りを改善し、ファクタリング会社へ支払う資金を確保する必要があります。

仕入先への支払いなど支払期限を延長してもらえる可能性があれば交渉してみましょう。

一方で、他に売掛金がある場合は支払いを早めてもらえるように交渉する、クレジットカードや電子決済ではなく現金での支払いを促す、といった方法で資金を確保することもできます。

さらに、不動産など不要な資産があれば売却して資金化(現金化)するのもひとつの手です。

過剰な在庫を減らして資金を確保し、在庫を必要以上に持たないようにして保管料がかからない工夫をするといったことも必要でしょう。

これらの他に、今利用できる補助金・助成金の類がないか調べてみるのもおすすめです。

専門家へ相談する

支払いができなくて困ったときは、専門家へ相談してみる方法もあります。

ファクタリングの利用で、払えない等のトラブルが起こったときに相談できる専門家は、弁護士のほかに司法書士、税理士などです。

例えば、弁護士に相談すれば、対処方法をアドバイスしてもらえたり、代わりに交渉してもらえたりする可能性があるでしょう。

特に、ファクタリングを装った悪徳業者と契約してしまった場合は、厳しい取り立てで周囲に迷惑をかけることもあるため、早めに専門家に相談することをおすすめします。

先述のとおり、貸金業登録のない業者が分割払いで支払いを請求してきたときは注意が必要です。

また、ファクタリング契約であるにもかかわらず「償還請求権あり」になっていた場合は、悪徳業者と契約してしまっているケースも考えられます。

このようなケースでは、早めに専門家へ相談し、トラブルを最小限に抑えることが重要です。

まとめ

2者間ファクタリングでは回収した売掛金の支払いを遅延・延滞することは認められないため、売掛金を回収後すぐに一括で送金する必要があります。

しかし、入金された資金を使い込んでしまうと、ファクタリング会社への支払いが遅延し、売掛先へ通知が送られたり、損害賠償請求をされる可能性があるため、使い込みが起こらないよう注意しなければなりません。

もし何らかの理由で支払えなくなったときは、一刻も早くファクタリング会社へ連絡をして事情を説明しましょう。

自分から連絡をせずに逃げ回ったりすると、単に契約違反となるだけでなく、支払いの意志がないと判断されて罪に問われることもあります。

また、ファクタリングの支払いを踏み倒すことはできません。

売掛金の分割払いもできないので注意してください。

万が一払えない場合もできるだけダメージが少なくなるよう、専門家に相談するなど早めの対応が必要です。