コロナ借り換え保証を活用すれば返済の負担を軽減できる!

2023年7月21日

新型コロナ感染症の蔓延により多くの企業の経済活動が困難になりました。そのような企業を救済するために打ち出された「コロナ融資」の返済が2023年から本格化します。そこでまだまだ資金繰りの厳しい企業を支援するために打ち出されたのが「コロナ融資借り換え保証制度」です。ここではコロナ融資の借り換え保証制度について詳しくご紹介します。

コロナ融資(ゼロゼロ融資)とは

コロナ融資(ゼロゼロ融資)とは、新型コロナウイルス感染症の蔓延によって、売上や業績が低迷した企業や個人事業主のために、無利子・無担保で融資する制度のことです。

一般的に融資を受けた場合の返済時には、元本に利子を加えた金額を返済する必要があります。しかしコロナ融資では、融資を受けた企業は利子や担保の負担がありません。実際には特別利子補給制度が適用されることで、3年間の実質無利子が実現されています。

開始時は、商工組合中央金庫や日本政策金融公庫などの政府系金融機関のみがコロナ融資を手掛けていましたが、民間金融機関による融資も2020年5月からスタートしました。

なお、2021年3月には民間の金融機関による融資の受け付けが終了し、2022年9月には政府系金融機関による融資の受け付けが終了しています。

資金の乏しい企業にとっては魅力的な制度ですが、融資にかかる負担が大幅に軽減されるため、必要以上の融資を受けてしまうリスクもあります。

コロナ融資の借り換え保証制度

コロナ融資に限らず、融資の返済のための資金繰りが負担となっている企業は少なくありません。融資返済が厳しい時の対処法には「追加融資」「リスケジュール」「借り換え」の3つの選択肢があります。

事業を継続的に安定させることを重視した場合、これら3つの中では「借り換え」が無難な選択肢です。追加融資では元本の返済額が増加しますし、リスケジュールの場合、追加融資が受けにくくなるというデメリットが生じるからです。

コロナ融資の場合、2023年1月10日から「コロナ借り換え保証制度」がスタートしています。この制度は、民間のゼロゼロ融資からの借り換えや、他の保証付き融資からの借り換えなどに対応する保証制度です。

コロナ融資の借り換え保証制度の利用方法

コロナ融資の借り換え保証制度の利用条件は、企業が以下のいずれかに該当することです。

  • セーフティネット4号の認定
  • セーフティネット5号の認定
  • 売上高が5%以上減少していること
  • 売上高総利益率、営業利益率が5%以上減少していること

また手続きは、企業、金融機関、市区町村、保証協会の4つの組織が連携して手続きを行います。その流れは以下の通りです。

まず、経営行動計画書を作成します。これは事業者名や現在の状況、財務分析、具体的なプラン、収支計画と返済計画などが記載された書類のことです。金融機関と相談しながら作成します。

次に与信審査を受けます。これは融資先の返済能力を調査するものです。貸し倒れのリスクの有無等を調べます。最初に作成した経営行動計画書の内容に加えて、企業の外部情報と内部情報を基に審査を行います。与信審査を元に融資可能金額が決定されます。

与信審査が終ったら、市区町村に対してセーフティネット保証上の認定申請を行います。申請は金融機関が行うため、融資を受ける企業がすることは特にありません。

認定申請が済んだら信用保証協会の保証審査を受けます。問題がなければ金融機関から融資が行われ、その後は金融機関から伴走支援を受けながら事業を改善していきます。

コロナ融資の返済について

コロナ融資によって多数の企業の資金繰りが改善されました。帝国データバンクによると、コロナ融資を含む新型コロナ関連融資の利用状況として「現在借りている」が49.2%、「すでに完済済」が1.3%となっています。従って、民間企業の半数が利用したことになります。

このコロナ融資の返済は、2023年6月から8月にかけてピークを迎え、特に2023年7月には51,000件程度、2024年4月には52,000件程度と件数が集中しております。

物価の高騰や人件費の増加の影響を受けている多くの企業にとって、融資返済のための資金繰りが負担となることが容易に予想されます。そのような企業を支援するために設けられたのが「コロナ融資の借り換え保証制度」です。

まとめ

多くの企業に打撃を与えた新型コロナウイルス感染症の蔓延が落ち着きつつあります。しかし、その影響の長期化が予想され、さらに物価の上昇や不安定な社会情勢もあいまって、中小企業にとっては引き続き厳しい状況が続くと思われます。

コロナ融資の借り換え保証制度は、中小企業を支える大きな柱となります。融資の返済や新規事業の展開などのために積極的に活用して、今後の経営に生かしていきましょう。