国際ファクタリングって何?仕組みを徹底解説!
2023年3月6日
ファクタリングは知ってるけど、国際ファクタリングって何?と思った方もおられるのではないでしょうか。
結論からお伝えすると国際ファクタリングとは、貿易取引をする日本国内の輸出企業が、海外の輸入企業に「輸出」するときに、輸入企業からの代金を確実に回収するために行うファクタリングのことです。
「信用状(L/C)」と呼ばれる貿易リスク回避のための似たような制度は「借り入れと信用保証」なのに対し、国際ファクタリングはあくまで「売掛金の買い取り」です。
この記事では、国際ファクタリングについて、仕組みや取引までの流れ、メリット、デメリット、申し込み方法までわかりますので、ぜひご覧ください。
国際ファクタリングとは?仕組みと流れをわかりやすく解説
はじめに、国際ファクタリングの仕組みと、必要な手続きの流れをみていきましょう。
4社間で行われる珍しい仕組みのファクタリング
国際ファクタリングとは、日本国内の輸出業者が商品を「輸出」し、海外の企業が「商品受け取り」「支払い」を行う際に発生する「売掛金」を、日本国内の業者が「買い取る」というシステムです。
「ファクタリング」という名称がついているものの、「資金調達」が主目的でなく、「海外の業者から、売掛金(売上金)をキッチリと回収するため」に利用されます。
海外の業者の場合、未払いの発生や、与信(支払い能力)の調査など、さまざまな面で不安が残るケースが存在するため、このようなリスクに対応するために使われています。
国際ファクタリングの流れ
国際ファクタリングは、通常のファクタリングと違い、
・日本国内のファクタリング会社
・海外のファクタリング会社
・輸出業者(ファクタリング利用者)
・海外の輸出業者(支払いを行う)
以上の計4社が介在するのが特徴です。
ひとつひとつ流れを見ていきましょう。
①「輸入企業」と「輸出企業」が売買を行う
ここは、普通の輸出入商取引が発生する、というだけの話になります。
ファクタリングを行うのであれば、契約書や請求書などの書類は通常の取引以上にキッチリと手配を行うようにしましょう!
②国際ファクタリングを利用することを通知する
次に、「日本国内の輸出業者」が国際ファクタリングを行う旨を、輸入業者に申請します。
これが断られる場合、もしくは「国際ファクタリング審査」に通らなかった場合、危ない取引先であるということになります。
③「輸出企業」から「日本国内のファクタリング会社」へ引受依頼
「国際ファクタリング」はあくまで、「輸出業者」主導で進めます。
いくつかの候補にあたりを付け、日本国内のファクタリング業者にファクタリングを依頼します。
④「国内のファクタリング業者」から「海外のファクタリング業者」へ引受依頼
申し込みを受けた国内のファクタリング会社は、輸入会社の現地にある海外のファクタリング業者(支社・もしくは業務提携している先)にファクタリングの引き受け依頼を行います。
これにより、現地のファクタリング業者が「輸入業者」の信用調査を行うことになります。
⑤調査結果の報告
「輸入企業」の信用調査を行い、問題がなければ、「海外のファクタリング業者」は「日本国内のファクタリング業者」に対し、国際ファクタリング(信用保証の引受受領)を伝えます。
重ねて言いますが、ここで引き受け不可となった場合、取引を考え直したほうが無難です。
⑥「国内のファクタリング会社」から「輸出企業」へ国際ファクタリングの依頼受領通知信
この時点で契約を締結し、国際ファクタリングが始まります。
⑦「輸出企業」は契約どおりに商品の船積みを行う(輸出手続き)
ここまではあくまで輸出入業者間で「売買契約の締結と同意」をしていただけです。ファクタリング引き受けが「確定」してから取引準備に入ります。
通常のファクタリングは「取引が終わった後」に利用するものなので、この点からも、ファクタリングという名前がついているものの「まったく別物」であることがわかります。
⑧輸出企業は契約どおりに商品を船積みしたことの証明書類(「B/L等」)を提出
これをもって、「国内のファクタリング会社」へファクタリングを依頼します。
国際ファクタリングの流れでいうと、ここが「必要書類の提出」等に当たります。
⑨「輸入企業」から海外のファクタリング会社へ支払い
4・5で国内ファクタリング業者より引き受けを行った海外ファクタリング業者に、輸入企業から料金が支払われます。
⑩海外のファクタリング業者から国内のファクタリング業者へ支払い
輸入業者から受け取った料金を、日本国内のファクタリング業者に支払います。
⑪国内のファクタリング会社から輸出企業へ支払い
日本国内のファクタリング会社から輸出企業へ支払いが完了すれば、取引は終了です。
国際ファクタリングの比較対象になるものとして「信用状(L/C)」があります。
信用状(L/C)とは、日本の銀行および現地の銀行が中間に入って支払いを保証するシステムで、その資金もいわば「貸付」「手形」に近いものです。
国際ファクタリングとL/Cは形式は似ているものの、取引内容は全く別物といっていいほど異なります。
国際ファクタリングの場合、「輸入企業の同意」が必要ですが、L/Cの場合「輸出企業に通知」されるだけで、「同意」は必要ありません。
これはL/Cの場合、「万が一取引でトラブルが起きれば、その損害はL/Cを発行している銀行」が被るためです。
それに対して国際ファクタリングは、「荷積みが完了した時点で前もって売掛金を回収する仕組み」ですので、損害を被るのはあくまで国際ファクタリングを依頼した輸入業者、ということになります。
もっとも、取引の形式上、海外の現地ファクタリング会社も何らかの損失を被るリスクは存在しますが、最終的な責任の所在という意味で、L/Cとはまったく異なります。
次に、L/Cは「輸出企業」の与信枠をもとに「信用状開設」が必要なのに対し、国際ファクタリングは「輸入企業」の与信枠が審査されます。
これはL/Cが「売掛金を担保とした貸付」であるので、「お金を借りる輸出企業が審査される」のに対して、国際ファクタリングが「支払い能力を調査し、売掛金を購入者から回収する」といった「ファクタリング」であるため、「支払いを行う輸入企業が審査される」という違いになります。
最終的に入ってくるお金と国際保証という意味では同じでも、手続きは完全に別物となります。
そして最後に、「書類の煩雑度」。
L/Cにおいては、取引申請時に銀行を通して書類のやり取りを行うため、「商品が到着してもまだ書類が届いていない」といった事態も往々にして存在します。
また、双方が提出する書類が完全一致しないとL/Cによって資金は入ってこないので、たちの悪い輸入業者がこれを悪用し「ディスクレ」と呼ばれる未払いを行う事例も存在します。
それに対して国際ファクタリングは、あくまで取引は輸出入業者双方で行い、ファクタリング会社はそれを補助する、という形式ですので、こういった危険性は存在しません。
以上を加味したうえで、どちらを使うのかの意思決定の参考にしてください。
信用状(L/C)取引のメリットとデメリット
◆メリット
【輸出者】
商品の郵送後、書類を提出すればすぐに代金回収を行える
【輸入者】
商品入手が確定した後に代金を支払うため、前払いの負担が軽減される
前払いをする必要がない
契約通りの船積みをしなければ代金を得られないので契約通りの取引を促せる
◆デメリット
【輸出者】
信用状の開設に与信審査が必要
書類に一つでも条件不一致があると、銀行の保証(入金)が得られない
【輸入者】
船積書類(B/L)が銀行経由なので書類到着が遅くなる
国際ファクタリングのデメリット
国際ファクタリングには次のつのデメリットが存在します。
利用できる会社が少ない
「国際ファクタリングに対応しているファクタリング会社」でもご紹介していますが、国際ファクタリングに対応している会社は
三井住友
みずほ
三菱UFJ
などの国内の大手ファクタリング会社だけです。貿易となると、扱う物によっては数千万・数億円という金額になることも珍しくありません。
資金力が必要となるだけでなく現地のファクタリング会社と業務提携、もしくは支社進出を行う必要があるため、それなりに「規模」がある会社でしか行えません。
国際ファクタリングは「資金調達」が目的ではなく、あくまで取引先の信用の補完、つまり「貿易費用を取りはぐれないようにするための保険」という位置付けです。
また仕組みもやや煩雑で敷居が高く、利用所総数自体も少ない・もしくはこの手間を許容できる規模の取引を行っている法人が対象となるため、や「ファクタリング業者の信用」が求められます。
例に挙げさせていただいたファクタリング業者がほぼ銀行・金融機関系であることからもわかるように、「利用者」「ファクタリング業者」双方に参入障壁が存在するのです。
手数料が高い
L/C取引と比較すると、与信を通すのに必要な費用がかかるので、高くなります。
国際ファクタリングの費用相場は、まず「信用調査費」として約1万円程度、さらにファクタリング手数料(保証料)として、請求書(インボイス金額)に対して約0.7%~2.0%/月が相場となります。
それに対して「L/C取引」の費用相場は2019年現在、「保証料」として約0.5%~1.0%/年、あとは「電信料」として約1万円程度、最後に為替手数料がかかります。
最大約4倍程度のコストがかかりますので、この部分がネックとなります。
国際ファクタリングのメリット
一方でデメリットだけでなく、次のような3つのメリットが存在します。
信用状の開設が不要
信用状(L/C)の場合、銀行で信用状開設と呼ばれる「与信枠」の割り当て審査にパスする必要があります。
それに対し、国際ファクタリングは取引の都度、国内ファクタリング業者を通して現地の海外ファクタリング業者が輸入企業の与信調査を行うため、こういった「与信の開設」は不要です。
国際ファクタリングはあくまで「輸入業者の信用調査」と「出荷した時点での売上相当金(売掛金)の徴収」なので、国内ファクタリング業者にはリスクはほぼありません。
それに対し、信用状(L/C)はいわば「銀行が貿易における支払い料金を保証する」というシステムになっており、万が一トラブルが発生した場合、引受業者が損失を被る仕組みになっています。
そのため、やや厳しめの審査を行い、「信用状の開設」という行為が必要となります。
国際ファクタリングにおいては、これが存在しないというだけで大きなメリットとなります。
書類送付による遅延が起きない
信用状(L/C)を利用して貿易取引を行う場合、船積書類(B/L等)を信用状を発行している銀行を経由して送付するので、書類到着が遅くなるというデメリットがあります。
それに対して国際ファクタリングは、「取引開始(出荷)」から「完了(商品到着)」までの間にファクタリング業者を通して売掛金を売り上げとして現金化できます。
申し込みと与信審査というタイムラグは存在するものの、結果として現金が入ってくるのが早いというメリットがあります。
信用状や国際ファクタリングは、商品の運搬に時間がかかる海路での貿易に利用するため、タイムラグが発生しないというメリットはかなり大きく、輸出側にとっては大きな利益になります。
L/C取引も国際ファクタリングもそれぞれで良い側面と悪い側面を持ち合わせています。それぞれのメリットとデメリットを比較検討したうえで、あなたに最適なサービスを選ぶようにしましょう。
売掛債権が100%保証される
事前に信用調査を行い、「出荷」した証明(B/Lなど)を提出した時点で売上請求が可能となるため、入金が早くなるだけでなく、売掛債権が100%保証されるというメリットがあります。
また、通常のファクタリングのように「資金調達」が目的ではないので、あくまで保証料を払うだけとなり、売掛債権の額面金額100%が保証されているというのも魅力です。
万が一、輸入企業がこの時点で支払いを行わなかった場合、出荷したもののまだ納品前である商品を「回収」し、販売料金の取りはぐれリスクを回避することができます。
多少の手数料は取られるものの、異国の地で料金が未払いになり、その後、国をまたいだ請求や回収・商品の返送手続き、場合によっては司法手続きなどといった、さまざまな「リスク」が発生するのを回避して、売掛債権分の料金を手にすることができます。
国際ファクタリングのまとめ
国際ファクタリングは通常の「資金調達」を目的としたファクタリングではなく、貿易リスクの回避に使われます。
通常のL/Cを使った貿易より簡単に取り組め、かつ貿易リスクを減らせるので、輸出入に関する事業をやっている方は、ぜひともご活用ください。