個人事業主が借りられるローンとは?

2023年4月12日

経営者が借りられるローンにはいくつもの種類があります。個人事業主の方のなかには、資金調達のために事業者が借りられるローンの利用を検討している方もいると思いますが、「個人事業主でも融資を受けられるのか」「どのような種類があるのか」などの悩みを抱えている方もいるでしょう。

また、事業主が借りられるローンではなく、住宅ローンやマイカーローンなどの個人向けのローンが組めるのか知りたいという方もいらっしゃると思います。

本記事では、個人事業主が借りられるローンの種類や審査、融資を受ける際のポイントなどを解説します。個人事業主の方が借りられる個人向けのローンに関しても紹介するので参考にしてください。

個人事業主が事業主として借りられる主な4つのローン

個人事業主が事業主として借りられるローンには、以下の4種類があります。

● 銀行融資
● 日本政策金融公庫
● 信用金庫・信用組合
● ビジネスローン・消費者金融・事業者金融

どんな特徴があるのか、それぞれ解説します。

銀行融資

メガバンク・地方銀行も個人事業主向けの融資を実施しています。ただし銀行から融資を受けるときは「開業届を出していること」「確定申告をしていること」「基本的に黒字であること」などの要件が求められます。

開業後1年以上経過していないと融資が受けられないことが多いですが、事業内容によっては融資を受けられることもあります。相談先のひとつとして、頭に入れておきましょう。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は日本に5つある政策金融機関のひとつで、中小企業向けの融資も業務として行っています。融資の種類は事業を営むほとんどの方が使える一般貸付、売上が減少した方向けのセーフティネット貸付、新規事業を始める方向けの新企業育成貸付などさまざまな融資があります。

開業前から申し込みができるローンもあるので、融資に対応している幅は広めです。各都道府県に窓口があるので、事業資金の融資を希望している方は一度相談してみましょう。

信用金庫・信用組合

信用金庫・信用組合とは、地域の方々が利用者・会員となって互いに地域の繁栄を図る相互扶助を目的とした協同組織の金融機関です。

そのため地域に密着した事業をする場合、融資が受けやすいというメリットがあります。地域に密着した事業をする方は、一度相談してみてはいかがでしょうか。

ビジネスローン・消費者金融・事業者金融

民間企業が運営するビジネスローン・消費者金融・事業者金融も、個人事業主は融資を受けられます。多くの会社のローンから比較検討でき、融資のスピードが早い点がメリットです。

ただしほかのローンに比べると、金利が高くなる点がデメリットです。緊急性の高い資金が必要な方に向いているローンです。

ローン以外の資金調達方法もある

融資ではありませんが、個人事業主として資金を調達するには、クラウドファンディング、あるいは助成金・補助金を利用する手段もあります。

必ず利用できるというものではありませんが、個人事業主の方は資金調達方法のひとつとして検討してみるのも良いでしょう。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは、インターネット上のクラウドファンディングサイトで資金調達を行う方法で、プロジェクトやビジネスプランなどを公開し、支援者から出資を受けることが可能です。

成功すれば目標額以上の資金調達ができる可能性はありますが、支援者が集まらないと資金調達に失敗してしまう可能性があるため、公開するプロジェクトやビジネスプランの魅力を上手く伝える工夫が必要となります。

また、クラウドファンディングサイトは多数あるため、事業や目的に合ったサイトを選ぶのも重要になります。

助成金・補助金

助成金・補助金は、国や地方公共団体などが主体となって支給するお金で、さまざまな種類があります。財源が公的な資金となるため、利用するためには申請や審査が必要となります。

なお、助成金は要件を満たせば受給できる可能性が高いですが、補助金はあらかじめ予算が設定されているケースが多く、条件を満たした状態で申請したからといって必ず支給されるわけではないので、覚えておきましょう。

個人事業主が事業主向けローン審査の際に気をつけること

融資を受けたいと思っても、審査にとおらなければ融資は受けられません。事業主向けローンの審査は個人向けローンの審査と、見られているポイントが異なります。ここからは事業主ローンを申し込む際に気をつけることを解説します。

いきすぎた節税対策をしない

税金の支払いを減らすために、節税対策をしている方は多くいらっしゃると思います。しかし節税対策がいきすぎてしまうと、利益がでていないと判断されて、審査に落ちてしまうことがあります。いきすぎた節税対策には気をつけましょう。

税金を滞納しない

事業主向けローンでは、税金を滞納していないかどうかが審査ポイントのひとつになります。事業主向けローンを借りるときには、納税証明書の提出を求められることもあります。

そこで税金の滞納が発覚すると、審査に落ちる可能性が高くなります。税金の支払いは口座振替にする・一括で納税するなどの対応をして、支払い忘れ・滞納がないように気をつけましょう。

確定申告は正確に行う

事業主向けローンを利用するときには、収益を証明するために確定申告書類の提出が求められることがほとんどです。

税務署は大量の事業者の申告書を受け付けるため、提出時には細かい点まで見ていません。そのため、提出書類・記入事項に漏れや不足がある場合でも受け付けられてしまうことがあります。銀行から特定の書類の提出を求められた段階で作成・提出漏れに気づくことはあります。

確定申告を正確に行っていないと、審査落ちする可能性があります。確定申告についてわからない点があれば税理士に相談するなどして、間違いがない確定申告を行いましょう。

借入件数を多くしない

ローンの借入件数が増えれば増えるほど、審査にとおりにくくなります。そのため事業主向けローンを利用する場合、借入先は絞ることをおすすめします。

事業主向けローンは金額も多くなるので、返済先は少ない方が安心です。

個人事業主が個人で借りられるローン

個人事業主の方は事業主としてだけでなく、個人としてもローンが利用できます。住宅ローンやカードローン、教育ローン、マイカーローンなど借りたいと思うことがあるでしょうが、個人事業主でも借りることができるので安心してください。

例えば、住宅ローンとしては、全国300以上の金融機関が住宅金融支援機構と提携して扱う全期間固定金利型住宅ローンの「フラット35」があります。

フラット35は、借入れ時の金利が全期間変動することがないため、返済計画も立てやすく人気の住宅ローンですが、個人事業主の方でも利用できる可能性はあります(※)。

個人としてローンを借りる場合、審査基準は提供元により変わってきます。個人の生計のためにローンを利用したい方は、個人用ローンの利用も検討してみましょう。

個人事業主がローンを利用する際に気をつけたいポイント

事業主として、あるいは個人として個人事業主がローンを利用する際は、共通して以下の情報を整理・確認しておくと、融資を受ける際に担当者とスムーズな相談ができる可能性が高くなります。

● 必要な金額の妥当性
● ローン(融資)を利用する理由
● 返済する計画や見込み
● ローンの種類によっては確定申告書が必要
● 用意できる担保

ローンを利用する際は、「なぜ融資が必要なのか」を考えると同時に「本当にローンを利用する必要はあるのか、家族からの借入れはできないのか」など、状況や金額の妥当性を整理しておきましょう。

また、ローンを利用すると返済の義務が発生するため、毎月の収入から「どの程度返済可能であるのか、返済期間はどのくらいか」などのシミュレーションも重要になります。

そのほか、事業主としてローンを利用する場合は、不動産などを担保とするケースが多くなるため、現状の資産価値を確認しておく必要がありますし、ローンの種類によっては確定申告書類が必要となるため、事前に準備しておく必要があります。

個人事業主はビジネスカードの利用も検討しよう

個人事業主として事業性融資を受けるのであれば、さらに生産性を上げるためにビジネスカードの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

日々の業務におわれて、経理業務に手が回らない場合は、ビジネスカードとあわせてクラウド型経費精算サービスや会計ソフトの導入もおすすめです。

クラウド型経費精算サービスを導入すれば経費管理を効率化でき、さらに会計ソフトを導入すれば帳簿の作成や決算書も自動作成できるので、青色申告への対応もスムーズにできます。

ビジネスカードにはいくつかの種類がありますが、そのなかでもキャッシングにも対応している会社を選べば緊急で資金が必要なときにも対応可能です。

またクラウド型経費精算サービスや会計ソフトへの割引特典もあるので、お得にクラウド型経費精算サービスや会計ソフトを導入できます。

個人事業主の方はローンだけでなく、ビジネスカードも利用して事業の安定化を図りましょう。

個人事業主のローンについてまとめ

個人事業主が事業主として利用できるローンには、国や金融機関のものだけでなく、消費者金融などの貸金事業者が提供するビジネスローンなどもあります。どのようなローンを利用するにしても、融資を受けるためには審査が必要となるので、ポイントをしっかりと押さえておきましょう。

また、日々の業務に追われている個人事業主の方には、ビジネスカードの利用がおすすめです。ビジネスカードは、経費の削減につながったり、経理面の負担を軽減してくれたりと、生産性の向上に役立つ特典や機能が付帯しています。