請求書を偽造してファクタリングした場合の罰則とは

2023年5月25日

どうしてもお金がほしいからと言ってファクタリングで請求書を偽造したときには、犯罪として扱われる可能性があります。

請求書を現金化するサービスであるファクタリングで資金調達する場合、金額はできるだけ多いほうがよいと、水増しするようなケースです。

そこで、ファクタリングで請求書を偽造した場合にはどのような罰則規定の対象となるのか、ファクタリング利用で多く見られる犯罪行為について解説していきます。

ファクタリングで請求書を偽造した場合の罰則規定

ファクタリングでは売掛債権をファクタリング会社に売却することになります。

債権は目に見えない資産であるため、譲渡取引では本当に存在するのか確認するために、ファクタリング会社から売掛金の存在を証明できる資料の提出を求められます。

たとえば取引契約書・入金履歴の確認できる預金口座の通帳の写し、そして請求書などです。

しかしいずれも改ざんできる書類であり、実際に存在しない請求書を作成したり金額を上乗せしたりなどで、ファクタリング会社を騙そうとする利用者も存在しています。

ただし契約書や通帳の写し、請求書などを偽造してファクタリング会社を騙すことは、刑法上の詐欺罪に問われる可能性があります。

詐欺罪とは他人を欺く行為で錯誤に陥らせ、財物を交付させる行為のことであり、ファクタリング会社を錯誤に陥らせて売掛債権を買い取らせることも該当します。

公文書以外の私文書でも偽造・変造する行為は刑法上の罪に問われることを十分に理解し、絶対に行わないことが大切です。

ファクタリングで犯罪になる行為

ファクタリングで売掛金をファクタリング会社に譲渡する上で、存在しないはずの売掛金を現金化しようとする行為や、少しでも多く資金を調達しようと金額を上乗せする行為は犯罪です。

単に現金化しようとしたり上乗せしたりするだけであれば罪に問われることはないでしょう。

しかし架空の請求書や金額を上乗せした請求書をファクタリング会社に買い取らせようとすると、嘘の書面で騙すことになるため詐欺罪の対象となる可能性があります。

また、2社間ファクタリングでは利用者がファクタリング会社に代わって売掛金を回収することになりますが、回収分を使い込むと横領罪として罪に問われます。

ファクタリングは銀行融資が利用しにくい中小企業にとって使いやすい資金調達の方法である反面、犯罪行為でファクタリング会社を騙そうとする事例も後を絶たないのが現状です。

実際、ファクタリングを利用する上で、次のような犯罪に該当する行為を行う利用者が存在します。

請求書の偽造

請求書の偽造により、利用者はファクタリング会社から本来よりも多く買取代金を払ってもらうことができる場合もあれば、そもそも受け取ることができなかったお金を手にすることができます。

しかし後で入金予定のない売掛金を先に現金化することになれば、売掛金回収後にファクタリング会社に渡すことができず、窮地に追い込まれることになるでしょう。

請求書の偽造の方法として、次に2つが挙げられます。

金額の水増し

ファクタリングで犯罪になる行為として、請求書の金額を水増しした状態でファクタリング会社に買い取らせることが挙げられます。

請求書の金額を多く水増しすると、その分、ファクタリング会社が買い取る金額も増えるため、多く買取代金を受け取ることができます。

この通常より多くの売掛金が発生しているように見せかける金額の水増しで買取代金を受け取っても、売掛先から回収できる売掛金が増えるわけではないため、回収代金をファクタリング会社に支払うことが困難になります。

金額を水増しした請求書を作成し、多く買取代金を受け取ることはファクタリング会社を騙すことになるため、詐欺罪で訴えられても文句はいえないといえます。

なお、請求書を発行した時点と、返品や値引きなどで後日請求する金額が異なる場合もあるでしょう。

しかしファクタリング会社が事情を知らなければ入金額と異なることになるため、後々トラブルにつながりかねません。

請求書に記載された金額が後日減額される可能性があるときには、前もってファクタリング会社にその事情を伝えておいたほうがよいでしょう。

架空の請求

ファクタリングで犯罪になる行為として、存在しない請求書を作成し、架空の債権を発生させファクタリング会社に買い取らせることが挙げられます。

請求書だけでなく、契約書や入出金履歴のわかる口座の写しなども偽造すれば、ファクタリング会社も架空債権であることを見抜くことは困難になってしまいます。

特に悪質な場合には、売掛先と共謀して請求書などを偽造し、現金化した代金を利用者と売掛先で分けるといったケースも見られます。

ファクタリング会社を欺く行為であるため、詐欺罪の対象となり罪に問われる可能性も十分にあると留意しておいてください。

決算書の粉飾

ファクタリングで犯罪になる行為として、粉飾した決算書をファクタリング会社に提出し、買い取らせることが挙げられます。

ファクタリングの審査では、売掛先の信用力が重視されるため、利用者が赤字決算でも利用できないわけではありません。

ただ、2社間ファクタリングでは利用者がファクタリング会社に代わって売掛金を回収するため、極度に財務状況が悪化していたり資金繰りが厳しかったりといった状態では、審査に通りにくくなってしまいます。

もしも審査に通った場合でも、そのリスクを手数料に反映させるしかなくなるため、高めの手数料をファクタリング会社に支払うことになりかねかません。

そのため決算書の見た目を気にして、粉飾した決算書を提出する行為もゼロではないといえます。

しかし粉飾した決算書を提出し、ファクタリング会社を騙す行為は詐欺罪となる可能性があるため、行わないようにしてください。

債権の二重譲渡

ファクタリングで犯罪になる行為として、すでに他社に売却した売掛金を他のファクタリング会社にも売る債権の二重譲渡が挙げられます。

1つの売掛債権を複数のファクタリング会社に譲渡する行為は、詐欺罪で処罰されます。

不動産など目に見える資産であれば、誰が所有者か確認できるように登記手続が行われるため、所有権を主張できます。

しかし売掛債権は目に見えない資産であるため、二重に譲渡されてもその事実をファクタリング会社が知ることは難しくなります。

すでに別のファクタリング会社に譲渡された売掛債権であるのにも関わらず、何も知らない新たなファクタリング会社が買い取ってしまう可能性は十分にあるといえるでしょう。

売掛債権も債権譲渡登記を使って、誰がその権利を所有しているのか証明することはできます。

そのため売掛先を交えずに取引する2社間ファクタリングでは、債権譲渡登記を必須とするファクタリング会社も少なくありません。

ただ、債権譲渡登記をすると、その情報を誰でも閲覧できるようになり、売掛先や取引のある銀行などがファクタリングの事実を知るリスクがゼロでなくなります。

登記にかかる費用も実質、利用者が負担することになるため、コストも高くなり十分な資金調達につながりにくくなるでしょう。

仮にファクタリングで売掛債権をファクタリング会社に譲渡したことを知られれば、売掛先が資金繰りの悪化した企業であることを懸念することとなり、その後の関係性や取引に影響が及ばないとも限りません。

また、債権譲渡登記が可能であるのは法人のみのため、個人事業主は登記手続ができずファクタリングで資金調達すること自体できなくなります。

そのためファクタリングで資金調達するときには、諸事情を考慮した上で債権譲渡登記を必須とせず、留保や未登記などで対応できるファクタリング会社を選んだほうが安心です。

売掛金の流用

ファクタリングで犯罪になる行為として、回収した売掛金の使い込みや流用が挙げられます。

2社間ファクタリングでは、ファクタリング会社に代わって利用者が売掛金を回収します。

しかし売掛金を回収したとき、利用者の資金繰りも良好でなければ、すでにファクタリング会社に所有が移っている代金とわかっていても使い込んだり流用したりといったことが起きてしまいます。

回収した売掛金を別の支払いに流用してしまうと、当然、約束の期日にファクタリング会社に渡すことはできなくなります。

その結果、金利の高いビジネスローンや違法なヤミ金融業者でお金を借り、ファクタリング会社に支払う売掛金に充てることになれば、資金繰りはますます悪化することとなり事業継続も難しくなってしまうでしょう。

ファクタリングで売掛債権を売って買取代金を受け取った段階で、後日売掛先から入金される売掛金はファクタリング会社のものであることを理解しておくことが必要です。

譲渡された売掛金を使い込んでしまう行為は横領罪に該当することとなるため、ファクタリング会社から訴えられる可能性もあることを認識しておき、絶対に他の支払いに流用したり使い込んだりしないようにしてください。

請求書偽造を防止するための審査内容

ファクタリングを利用するときには、ファクタリング会社が審査を行います。

その際、請求書の偽造を防ぐため、請求書だけでなく、請求先との取引が確認できる通帳の写しや基本契約書などを求められることになるでしょう。

特に通帳の写しがあれば、過去にどのような取引が行われてきたのか、売掛先が期日に遅れることなく入金しているのか確認できます。

請求書を発行していない場合でも、納品書や注文書など、取引の存在を確認できる書類が必要になると認識しておいてください。

実際、請求書や納品書は利用者が売掛先に対し発行するものであるため、偽造することは容易です。

通帳に関しても、ファクタリング会社に提出するのは写しとなるため、偽造することはできるでしょう。

さらに売掛先と結託し、架空の請求書による売掛金を現金化しようとするケースなどでは、見抜くことは難しくなってしまいます。

ファクタリング会社が行う審査は銀行融資よりもハードルが低く、事業者の事情に沿って柔軟な対応をすることが多いとはいえ、提出する資料が乏しければ慎重に判断されることとなるでしょう。

そのためできるだけ良い条件で契約を結び、ファクタリング会社と信頼関係を築くためにも、ファクタリング利用の際にはできるだけ証拠となる書類を多く提出することをオススメします。

請求書のみでのファクタリング利用は不可

請求書だけをファクタリング会社に提示すれば、売掛金を現金化できると考えがちですが、そうではありません。

売掛先と継続して取引があることを確認できる銀行口座の通帳の写しや、2期分程度の決算書など、他にも提出しなければならない書類はあります。

銀行融資と比較すると、ファクタリングで提出を求められる書類はかなり少ないものの、請求書のみでは審査が難しくなるといえます。

なぜなら請求書のみで可能とする場合、その請求書を偽造されても確認する方法がないからです。

請求書だけでは売掛金の存在を証明するには足らず信ぴょう性にも欠けるため、複数の書類の提出を求められると理解しておきましょう。

ほとんどのファクタリング会社では、請求書以外にも通帳の写しや決算書、本人確認書類などの必要書類を求めることになります。

ただ、請求書を普段発行していないという場合には、納品書や注文書など複数の書類を提出することで審査可能となる場合もあるため、ファクタリング会社に相談してみることをオススメします。

なお、必要書類の提出を特に求められず、審査もないまま売掛金の買い取りを可能とする業者があった場合、悪質な違法業者であると疑い契約しないようにしてください。

まとめ

ファクタリングで請求書を偽造した場合、ファクタリング会社を騙す行為であるため詐欺罪の対象となります。

偽造罪に該当するのではないかと考えがちですが、偽造罪は他人名義の書類を偽造したときに該当するため、本人名義では犯罪として成立しません。

しかし、架空の債権を作るために請求書を発行し、ファクタリング会社に買い取らせようとする行為は詐欺罪が成立します。

詐欺罪の場合、10年以下の懲役刑となるため、絶対に偽造など犯罪行為はしないようにしてください。