法人が利用する住宅ローンと金利について解説|個人ローンとの違いと注意点

2025年9月28日

法人で住宅ローンを利用できるのか?

住宅ローンといえば通常は「個人が自宅を購入するためのローン」を指します。
しかし法人でも、社員用の社宅や役員の住居を購入する場合には、法人名義で融資を受けることが可能です。
ただし一般的な「個人向け住宅ローン」とは異なり、法人の場合は「不動産担保融資」や「法人向け不動産ローン」として扱われるケースが多い点に注意が必要です。

個人住宅ローンとの違い

法人が利用する場合、金利水準は個人の住宅ローンに比べて高くなる傾向があります。
個人では変動金利で0.3〜1.0%前後の低金利が一般的ですが、法人の場合は2.0〜5.0%程度と数倍になることがあります。
また、審査基準も異なり、個人は年収や勤務先、信用情報が重視されますが、法人の場合は決算内容や担保不動産の価値、さらに代表者の保証力が評価対象となります。
さらに、住宅ローン控除といった税制優遇は法人には適用されない点も違いの一つです。

法人が利用するメリット

法人で住宅ローンを利用する最大のメリットは、社宅として経費計上できる可能性があることです。
社員や役員が住む場合、一定のルールに基づいて家賃相当額を法人経費として処理できるため、節税効果が期待できます。
また、不動産を法人名義で保有することで、会社の資産として計上され、将来的な事業利用や売却が可能になります。
場合によっては相続対策の一環として、個人資産を圧縮する効果も見込めます。

デメリットと注意点

一方で、法人が住宅ローンを利用する際には注意すべき点も多くあります。
まず金利が高いため、返済負担が大きくなることです。
また、法人名義であっても代表者が個人保証を求められるケースが多く、万一の際には個人にも責任が及びます。
さらに、個人住宅ローンのような住宅ローン控除は使えないため、税制上のメリットは限定的です。

利用を検討する際のポイント

法人が住宅ローンを検討する際は、長期的な資金計画を立てて返済に無理がないかを確認することが不可欠です。
また、金融機関によって融資条件や金利水準が大きく異なるため、銀行、信用金庫、ノンバンクなど複数の機関を比較検討することが望ましいです。
加えて、税務処理については経費計上の可否や社宅規程の整備など、必ず税理士と相談することをおすすめします。

まとめ

法人が住宅ローンを利用する場合、個人の住宅ローンに比べて金利が高く、事業性融資に近い扱いとなります。
その一方で、社宅経費の活用や資産管理の柔軟性といった法人ならではのメリットもあります。
金利負担と税務上の効果を天秤にかけ、専門家の意見を交えながら慎重に検討することが大切です。