日本政策金融公庫審査落ちする?審査落ちした時の解決策や通過するコツを解説
2024年9月24日
日本政策金融公庫は資金調達の一つとして、様々な企業に活用されている制度です。
日本政策金融公庫は、個人事業主やフリーランスをはじめとした小規模事業者や中小企業が利用できます。資金調達を検討している場合は、日本政策金融公庫も選択肢の一つに事業者も多いです。
・日本政策金融公庫の審査って厳しいの?
・日本政策金融公庫の審査ってどんな人が落ちるの?
上記の悩みを解決するため本記事では、日本政策金融公庫の審査基準や審査に落ちる理由を解説します。
日本政策金融公庫の審査に通過するコツも解説するため、資金調達を検討している場合はぜひチェックしてみてください。
日本政策金融公庫の審査基準について
日本政策金融公庫とは、国が100%出資している公的な金融機関です。
個人事業主や中小企業をはじめとした、中小企業以下の事業者を支援するための融資制度を提供しています。比較的審査申し込みがしやすく、低金利で借入ができる特徴があります。
しかし、日本政策金融公庫は申請すれば誰でも通過するわけではありません。一定の審査基準が設けられており、基準値に満たない場合は審査で落とされてしまいます。
日本政策金融公庫の審査基準は、以下の通りです。
・自己資金は最低でも融資希望額の10分の1以上
・創業計画書は審査の可否に大きく影響される
・融資を受けるには面談が必須なので対策が必要
それぞれ順に解説します。
自己資金は融資希望額の10分の1は必要
日本政策金融公庫を申し込む際は、自己資金が融資希望額の10分の1だと通過しません。
例えば、自己資金50万円なら日本政策金融公庫の融資上限額は500万円になります。
日本政策金融公庫の融資審査では、自己資本比率が重要視されます。
自己資本比率とは、企業が保有している資産の内で自社資産の割合を指します。金融機関や行政からの借入は自己資本に含まれないため、複数社からの借入が多い場合は、自己資本比率が下がってしまいます。
自己資本比率の高い企業は、他社からの借入金が少ないため、経営が安定していると考えられるでしょう。経営がどのような状態でも自己資本比率が10分の1だと日本政策金融公庫の審査に通過することはないため、あらかじめ資金の比率を把握しておく必要があります。
しかし、日本政策金融公庫の申込直前で自己資本比率が高まっている場合は、融資のために用意した資金だと判断される可能性があります。自己資本比率が低い場合は、一定期間をかけて徐々に割合を高める施策が必要です。
審査落ちした方は、融資額に対して自己資金が不足していたため日本政策金融公庫に断られた可能性は大いにあるでしょう。
創業計画書は審査の可否に大きく影響
日本政策金融公庫を申し込む上で、創業計画書の内容は審査の可否に大きく影響するポイントです。
創業計画書とは、事業を開始する上で事業の概要や資金調達方法・今後の見通しをまとめた内容です。創業計画書を確認するだけで、事業者の今後の活動方針や事業をどのように発展させていくのかを確認できます。
日本政策金融公庫を申し込む際は、必ず創業計画書のチェックが行われます。
創業計画書へ記載されている内容に矛盾があったり、見通しが甘かったりすると審査に通過しない可能性が高いです。
創業計画書の内容が日本政策金融公庫の審査基準に満たない場合、審査に通過することはありません。
そのため、日本政策金融公庫へ申し込む際は、創業計画書の内容や見通しを見直し、矛盾の無いよう作成することが重要です。
融資の面談は必須!事前に対策が必要
日本政策金融公庫の審査に通過するためには、融資の面談が必須です。
日本政策金融公庫の融資の面談は、事業計画書や創業計画書をもとに担当者と事業者で行われます。
面談では、書類だけでは把握できない事業内容や資金回収の予定・中長期的な事業計画を説明します。各種書類が正しく作成できていても、面談時にうまく話せなければ融資審査に落ちる可能性が高いです。
日本政策金融公庫との面談前に、事業計画書をもとにした対策が必要です。
事業内容によっては口頭での説明以外にも、現場での説明が必要な場合があります。
質問内容にうまく答えられなければ、担当者は「本当に融資しても大丈夫なのか?」と疑問を抱きます。事前に質問される内容をまとめておき、想定できる質問は答えられるようにしましょう。
また、事業計画や創業計画において法的根拠が必要な場合は、事業計画書の作成代行をはじめとする専門家等に相談しておくことで、スムーズに面談を進められます。
日本政策金融公庫の審査に落ちる理由
日本政策金融公庫の審査に落ちる理由は、以下の通りです。
・融資希望額に対する自己資金が足りない
・融資希望の事業で斯業経験がない
・税金滞納等で信用情報に問題がある
・創業計画書のシミュレーションが甘い
それぞれ順に解説します。
融資希望額に対する自己資金が足りない
日本政策金融公庫へ申し込む際、融資希望額に対して自己資金が足りなければ審査に落ちる可能性があります。
日本政策金融公庫の融資を受ける場合、創業資金総額に対して10分1の資金がなければ、申込も不可能です。融資希望額から必要な自己資金を逆算しておくことで、どの程度資金が求められるのか算出できるでしょう。
また、日本政策金融公庫で融資を受けられるのは、自己資金に対して2〜5倍程度です。
6〜10倍以上の融資は審査に通過しない可能性が高いです。日本政策金融公庫側は貸し倒れリスクを最大限に減らすために融資を実施しているため、事業に必要な金額だけを申し込むことが重要です。
もちろん、融資額に対して自己資金が10分の1以上でも、必ず融資を受けられるわけではありません。
日本政策金融公庫の融資申し込みに最低限必要な資金が10分の1です。融資を受ける上で、自己資本比率は高いほど有利に働くため、事前に資金を温存しておくことが重要です。
不審な入金は見せ金と判断される可能性
日本政策金融公庫の審査に伴い、自己資本比率を増加させるために急に資金を増やした場合は「見せ金」と疑われてしまいます。
見せ金とは、カードローンや友人からの借り入れなどを行い、一時的に企業の自己資本比率を変動させる方法を指します。
日本政策金融公庫の融資では、自己資本比率の真偽を確認するため、6ヶ月に上り通帳の入出金情報を確認されます。見せ金が発覚した場合は、日本政策金融公庫の融資審査に落ちてしまいます。
もちろん、事業が軌道に乗り入金が増えた場合は問題ありません。面談時にその旨を伝えることで、通常よりも担当者へポジティブな印象を与えられます。
ただし、日本政策金融公庫の融資条件を満たすために、無理やり自己資本比率を操作するような行為は必ずやめておきましょう。
融資希望の事業で斯業経験がない
日本政策金融公庫の審査に落ちる理由の一つとして、融資希望の事業で斯業経験のなさが挙げられます。
融資を受ける上で提出した創業計画書や事業計画書に様々な内容が記載されていても、斯業経験がなければ日本政策金融公庫側に信頼してもらえません。実際に経験していない事業の概要を説明されても、机上の空論として扱われてしまう可能性が高いです。そのため、日本政策金融公庫へ融資申込を行う際は、事業内容に関する斯業経験が重要です。
融資を申し込む上で必要とされる斯業経験とは、同業種の会社での勤務経験や事業運営の実績などが挙げられます。
また、現在メインで展開している事業と並行して、新たな事業を展開しようと検討している場合は斯業経験がないケースがあります。
斯業経験のない事業を新たに展開する場合は、融資をはじめとする今後の知見のため、小規模でも展開してみることがおすすめです。少しでも斯業して実績を積むことで、担当者へ対してアピールできます。
斯業経験のない事業で融資申込をしても審査で必ず落とされてしまうため、日本政策金融公庫に対して経験を話せるようにしておきましょう。
税金滞納等で信用情報に問題がある
日本政策金融公庫の審査に落ちる原因として、税金滞納をはじめとした信用情報の問題が挙げられます。
日本政策金融公庫の審査では、必ず個人の信用情報を確認されます。事業者の債務状況をチェックし、融資しても問題ないか、経営面に過不足はないかを把握します。信用情報に問題がある場合は、返済能力がないとみなされてしまい、審査で落とされてしまう可能性があります。
また、日本政策金融公庫の審査では、税金面の滞納だけではなくクレジットカードや消費者金融などでの返済状況もチェックされます。特に過去に複数回の滞納履歴や金融事故を発生させている場合、高確率で日本政策金融公庫の審査に落ちてしまいます。
過去に金融事故を発生させている場合は、延滞記録や異動情報が消えるまで申込を控えましょう。経営者の信用情報は非常に重要な部分となるため、税金や借入金の滞納をなくし、信用を得られる状態を作っておくことが重要です。
また、日本政策金融公庫の審査を行う前に自身の信用情報を確認したい場合は、CICなどの情報機関を活用しましょう。
CICなどの情報機関を活用すれば、自身でも簡易的な与信調査が可能です。日本政策金融公庫の審査に通過するためにも、自身の信用情報を確認しておくと安心です。
創業計画書のシミュレーションが甘い
創業計画書のシミュレーションが甘い場合、日本政策金融公庫の審査に落ちる可能性が高いです。
日本政策金融公庫へ申し込む上で、創業計画書の内容は非常に重要です。創業計画書には、今後の事業計画やどのように融資された資金を返済されていくのかを記載します。具体的に創業計画書へ掲載する内容は、以下の通りです。
・事業を創業した動機
・代表の経歴概要
・取扱商材の情報
・取引先の情報
・自己資本比率
・他社からの借り入れ情報
・今後の事業展開
・返済計画
・希望融資額
創業計画書には様々な情報を記載する一方で、内容に矛盾が発生していれば日本政策金融公庫の担当者に不審がられてしまいます。特に創業計画書のシミュレーション内容は、担当者から重点的に確認されます。
創業計画書に掲載する内容や事業展開などは、事業者の主観ではなく市場データをはじめとしたファクトチェックが必要です。示している数値が正しいものなのかもチェックされるため、説得力があることかつ矛盾の無くした内容を意識しましょう。
創業計画書の内容は審査の可否に大きく影響します。そのため、創業計画書の内容に心配がある場合は、専門家を通じて審査に通過するのか確認してもらうと良いでしょう。
日本政策金融公庫の審査に通過するコツ
日本政策金融公庫の審査に通過するコツは、以下の通りです。
・斯業経験がない場合は精通した従業員を雇う
・担保や保証人を用意しておくと印象が良い
・創業融資をサポートしている専門家に相談
それぞれ順に解説します。
斯業経験がない場合は精通した従業員を雇う
日本政策金融公庫の審査に通過するコツとして、斯業経験のある従業員を雇い入れる方法があります。
日本政策金融公庫の審査では、必ず斯業経験が求められるため、未経験だと確実に審査に落ちてしまいます。事業者の斯業経験が浅い場合は、融資に通っても希望金額から減額されてしまうケースも少なくありません。
日本政策金融公庫へ申し込む前に事業経験を積む方法も挙げられますが、できるだけ早く審査を通過させるためにが経験のある人材を獲得する方法がおすすめです。
自社で展開事業の経験を積むには、一定の時間とコストが必要になります。事業内容によっては早い段階で資金が求められるため、効率の良い方法とは言えません。一方、関連事業の斯業経験がある人材を雇うことで、スピード感を持って日本政策金融公庫の審査申込まで進められます。
斯業経験のある人材を雇うことで、日本政策金融公庫の担当者との面談時も、説得力のある内容を話せます。日本政策金融公庫の融資に合わせて斯業経験のある人材を雇ったことは、大きなアピールにもなります。
担保や保証人を用意しておくと印象が良い
日本政策金融公庫の審査に通過するためには、担保や保証人を用意しておくことで好印象を与えられます。
審査通過の確率を高めるには、様々な準備が必要です。日本政策金融公庫側は貸し倒れのリスクを防ぐために審査を実施しています。決して落とすために審査を実施しているわけではありません。貸し倒れのリスクを減らせる根拠を提示できれば審査の通過率を大幅にアップできるでしょう。
融資希望額に合わせた担保や万が一のための保証人などを用意しておけば、担当者に対して高い説得力を与えられます。万が一、自己資本に対して数倍以上の融資額を希望する場合でも、担保があるだけで審査通過率を大幅に高められます。他項目での与信が低くい場合は、積極的に担保や保証人を用意しておくことで安定して審査通過を狙えます。
しかし、担当者との面談が上手くいかなかったり、想定よりも創業計画のシミュレーションが甘かったりした場合は審査に落ちる可能性が高いです。担保や保証人を用意しただけでは日本政策金融公庫の審査に通ることはないため、他部分でも審査通過を目指して準備しておきましょう。
創業融資をサポートしている専門家に相談
日本政策金融公庫の審査に通過するコツとして、創業融資をサポートしている専門家への相談が挙げられます。
日本政策金融公庫をはじめとする創業融資を申し込む事業者の多くは、融資手続き自体が初めてのケースが多い傾向にあります。融資申し込みの経験がない場合、日本政策金融公庫の申し込みの流れや必要書類の作成、面談の準備など、何から手をつければいいかわからないでしょう。
どのように日本政策金融公庫の審査を進めればいいか不安な場合は、創業融資をサポートしている専門家へ相談することで、確実に審査通過率を高められます。
創業融資をサポートしている専門家は、日本政策金融公庫の審査に通過しやすい書類作成や面談対策、経営に関するアドバイスを提供しています。融資成功に向けたピンポイントのサポートを行うため、一般的なコンサルティングサービスよりも成果が出やすいです。
また、専門の中には融資面談に同席してもらえるケースがあります。初めての面談に不安を感じている場合でも、専門家同席で話を進められるため、精神的に安定した状態で事業内容の説明が可能です。面談で上手く事業内容を説明できれば、出資額の増加や着金スピードを高められる場合もあります。日本政策金融公庫の審査に不安を感じているなら、専門家のサポートを活用してみましょう。
日本政策金融公庫の審査に落ちた場合の対処法
日本政策金融公庫の審査に落ちてしまった場合の対処法は、以下の通りです。
・改善点を洗い出し半年間あけて再申し込みする
・制度融資や保証付き融資の利用を検討する
それぞれ順に解説します。
改善点を洗い出し半年間あけて再申し込みする
日本政策金融公庫の審査に落ちてしまった場合は、改善点を洗い出して、最低でも半年間あけて再申込を行いましょう。
日本政策金融公庫の再審査は、前回の申し込みから最低でも6ヶ月間の期間が必要です。6ヶ月未満で再申し込みは行えないため、焦らずに対策を行いましょう。
審査に落ちた後は次回の申し込みで確実に通過できるよう、改善点の洗い出しを行い何がダメだったのかを把握することが重要です。特に自己資本比率の確認や創業計画書の内容に矛盾がないかを改めて確認し、問題点を改善しましょう。自社だけでは問題点を把握できない場合は、専門家や第三者機関を活用し、客観的な意見を取り入れることで審査通過率を高められます。
また、代表者の信用情報を取り寄せて、審査に影響していないか忘れずにチェックしましょう。信用情報は専門機関に申し込まなければ把握できないため、忘れずに行う必要があります。徹底的に日本政策金融公庫の審査に落ちた理由を洗い出すことで、洗練された状態で再申し込みへ望めるでしょう。
さらに、再申し込みまでは最低6ヶ月間あるため、自己資本比率のアップも可能です。事業コストを減らしたり、他社からの借り入れ金額を返済したりして、自己資本比率を高めておきましょう。自己資金の割合を高めることで安定した経営であることをアピールでき、審査通過率を高められます。
一度の日本政策金融公庫の審査に落ちてしまったからといって諦めるのではなく、状況改善に向けて動き出すことで、必ず再審査時はプラスに働くでしょう。
制度融資や保証付き融資の利用を検討する
新宿区の中小企業向け制度融資
日本政策金融公庫の審査に落ちた場合は、制度融資や保証付融資など他の融資の利用も検討しましょう。
日本政策金融公庫の融資に落ちてしまうと、最短6ヶ月間は再申し込みができません。すぐに資金が必要な場合は、日本政策金融公庫以外の融資を活用する必要があります。
制度融資とは、各都道府県の自治体や金融機関が連携して提供する融資制度です。地方自治体によって様々な種類の制度融資が提供されており、自社の状態や希望に合わせて選択が可能です。
また、保証付き融資とは、信用保証協会が提供している融資制度です。中小企業・小規模事業者に対して融資を実施しています。保証付き融資では、借入金の返済が滞った場合でも、貸主に代わって信用保証協会が支払いを行います。
借入金とは別に信用保証料を支払うことで、保証協会からのサポートを受けられます。日本政策金融公庫よりもスピード感を持って融資を受けられる可能性があるため、審査に落ちた場合は利用を検討しましょう。