銀行融資が返済できないと?対処法などを解説

2024年9月11日

銀行融資が返済できないとき、何とかしなければならないと焦ってしまうことでしょう。

無借金経営など、お金を借りずに事業を運営できれば借金返済に苦しむことはないでしょうが、多くは銀行融資などで資金を賄っている状態です。

そこで、もしも銀行融資の返済ができないときにはどうなるのか、返すことができなかったとしてもやってはいけないことや対処法について解説していきます。

銀行融資が返済できない理由

どんぶり勘定による経営

銀行融資が返済できない理由として挙げられるのが、どんぶり勘定による経営です。

日々の入出金などお金の流れを把握し、適切に管理が行われていれば資金繰りが不安定になることはないでしょう。

いつ仕入れ代金の支払いや借入金の返済を行うのか、売掛金は入金されるのか把握できてれいば、そのタイミングに合わせて資金を調達することもできます。

しかしどんぶり勘定による経営を続けていれば、現金の流れは把握できず、銀行融資を返済できない状況を作ってしまうことになります。

市場・経済状況の変化

銀行融資が返済できない理由として挙げられるのが、市場・経済状況の変化による影響です。

好景気や不景気の波は必ず訪れるため、一般的には景気が良い状況であっても、特定の業界のみ不景気ということもありえます。

市場や経済状況の変化に対応できず、そのまま影響を受けてしまうと業績は悪化し、銀行融資も返済できない状態に陥ると考えられます。

事業の失敗

銀行融資が返済できない理由として挙げられるのが、事業の失敗による影響です。

新規事業や事業拡大などで銀行融資を頼り資金を費やしたものの、想定していたとおりに利益を生むことができず投資資金を回収できなければ、厳しい状況に追い込まれます。

見通しの甘さなどで先行きが難しい状態となり、収益は出ないまま銀行融資も返済できない事態に陥ってしまうと考えられるでしょう。

取引先の倒産
銀行融資が返済できない理由として挙げられるのが、取引先の倒産による影響です。

取引先が倒産してしまったことで、請求済の売掛金を回収できず、資金不足に陥るケースはめずらしいことではありません。

売掛債権が不良債権化することは死活問題であるため、定期的な与信管理などが重要になるといえます。

自転車操業・多重債務

銀行融資が返済できない理由として挙げられるのが、自転車操業・多重債務であることです。

既に借りている借金返済に充てるために、他の金融業者から新たにお金を借りることを繰り返すと、利息の支払いがかさみ借金総額が雪だるま式に増えます。

この自転車操業や多重債務と呼ばれる状態に陥ると、負債を多く抱えることになるため銀行融資も返済できなくなります。

銀行融資が返済できないとどうなる?

支払督促を受ける

銀行融資が返済できない場合、支払督促を受けることになります。

電話や書面により、早く返済するように促す通知が届きます。

督促状に法的な強制力はないものの、無視し続ければ遅延損害金が発生し、借金が膨らむことになってしまいます。

遅延損害金が発生する

銀行融資が返済できない場合、遅延損害金が発生します。

遅延損害金は返済が遅れたことに対する損害賠償金ともいえ、年利14~20%までの間で本来返済する金額とは別途支払うことが必要です。

当初の返済日から1日ごとに発生しますが、次の計算式で算出できます。

遅延損害金額=借り入れ残高×遅延損害金の年利(%)÷365(日)×延滞日数
返済が遅れれば遅れるほど遅延損害金の額も膨らむため、早急に支払うことが必要です。

保証会社から請求される

銀行融資が返済できない場合、新たな債権者となった保証会社から請求を受けることになります。

信用保証協会から保証を受けた状態で銀行からお金を借りている場合、返済ができなくなった債務者に代わって信用保証協会が銀行に代位弁済します。

代位弁済は、返済不能の元金・利息・期限の利益喪失後120日までの延滞利息を加算した金額までであり、延滞利息は銀行からの融資金利と同じ割合となります。

期限の利益が喪失することにより、信用保証協会は肩代わりした金額を一括で支払うように求めてくることになりますが、払えない場合には毎月の返済金額について話し合いで決めることになるでしょう。

債権回収会社から連絡が入る

銀行融資が返済できない場合、債権回収会社から連絡が入る可能性があります。

債権回収会社とは、法務大臣から営業許可を受けた債権回収業務専門の会社です。

債権を回収することを専門としているため、法律に則った厳正な業務を実施します。

そのため情に訴えても応じてもらいにくく、支払わない場合にはすぐに法的手段を取る場合もあるため、危機感を持った対応が必要です。

差し入れた担保を失う

銀行融資が返済できない場合、差し入れた担保を失う可能性があります。

銀行からお金を借りるとき、たとえば土地や建物などの不動産を担保として差し入れていた場合には、設定していた抵当権が実行され競売で売却されます。

担保を差し入れてなかった場合でも、滞納が3か月前後続くと裁判所から一括で返済するように書面が届くことになり、さらに放置すれば預貯金などの資産が差し押さえられてしまう可能性があります。

連帯保証人に迷惑をかける

銀行融資が返済できない場合、連帯保証人に迷惑をかけることになります。

銀行からお金を借りるときに連帯保証人を付けていたときには、滞納が2か月ほど続いた段階で連帯保証人に連絡が入ります。

さらに滞納から3か月経過してしまうと、債務者の借りた借金を一括返済するように連帯保証人に通知が届くことになるため、多大な迷惑をかけることになるでしょう。

事業を継続できなくなる

銀行融資が返済できない場合、事業を継続できなくなります。

銀行から事業者用資金を借りていた場合、返済不能となれば破産手続や特別清算手続など、倒産することになるでしょう。

倒産は、売上減少売掛債権の貸し倒れなどで資金ショートし、銀行融資を返すことができなくなった状態です。

会社そのものが存在しなくなる状態ではなく、法的な手続により可能な限り借金を弁済することが必要となります。

その後、会社の存続・再建を希望するのなら、民事再生や会社更生などの手続が必要です。

銀行融資が返済できない場合やってはいけないこと

督促・催促を無視する

銀行融資が返済できないとしても、督促・催促を無視することはやってはいけません。

債権者から早く支払ってほしいという連絡や文書が届いたとき、当初は心理的な負担で早く支払わなければと焦ってしまうものでしょう。

しかし放置し続ければ度重なる連絡や文書にもだんだんと慣れてくるようになり、さらに滞納を続けるケースもめずらしいことではありません。

ただ、債権者から届く通知には、期限の利益喪失を伝えることや、訴訟を予定していることを知らせるなど、無視することで大きなリスクを抱える内容も含まれています。

債権者がこのまま無視すれば次のどのような行動を取ろうとしているのか確認するためにも、督促や催促は放置せずに早急に対応することが必要です。

別の借入れを返済に充てる

銀行融資が返済できないとしても、別の借入れを返済に充てることはやってはいけません。

一社から借金をしていて枠が一杯になって借り入れできなくなったときに、すぐに手持ちで返済できないからと別の貸金業者から借り入れをして返済に充てる行為もやめましょう。

このような状態のことを自転車操業・雪だるま式などということがあるのですが、将来の返済を確実に行える明確な見通しがないと、借金が増える一方になります。また、1ヶ月のうちに返済日が複数くることになり精神的負担も尋常ではありません

違法業者から借入れる

銀行融資が返済できないとしても、違法業者から借入れることはやってはいけません。

「ブラックでもOK」
「審査なしですぐに借入可能」

など、甘い言葉を投げかけてお金に困っている人を誘惑するヤミ金融など違法業者から借入れしてしまうと、完済できなくなりさらに厳しい状況に追い込まれます。

何とかしてお金を返さなければならないと焦るあまり、街角の張り紙やSNSなどのありえない甘い言葉に惑わされることなく、絶対に利用しないようにしてください。

銀行融資が返済できない場合の対処法

金融機関に相談する

銀行融資が返済できない場合の対処法として、まずはお金を借りている銀行など金融機関に相談することが必要です。

支払いが難しい場合、早めに銀行に連絡を入れて詳しい事情を説明し、今後どうするべきか相談してみましょう。

相談する内容として、次の2つが挙げられます。

・追加融資
・リスケジュール
それぞれ説明していきます。

追加融資

銀行など金融機関に、追加融資を受けることはできないか相談してみましょう。

追加融資とは、すでに融資を受けている状態で2度目以降の借入れを申し込むことです。

返済中に再度融資を受けることですが、すでに取引関係があるため契約しやすいといえるものの、返済が遅れていると信用を失っているため審査に通らない可能性が高くなります。

追加融資を利用できるのは、たとえば事業は順調であるものの何らかのアクシデントなどを理由に返済が難しくなる場合などで、返済が遅れてしまう前に相談することが必要です。

銀行によって条件があることが多いですが、既存の借入れを30%以上返済完了しているケースなどの場合で、黒字でありつつも取引先に対する支払いが先行する場合などは相談してみるとよいでしょう。

ただし追加融資に対しての返済能力を持ち合わせている状況でなければ、審査に通らないと留意しておいてください。

リスケジュール

銀行など金融機関に、追加融資を受けることはできないか相談してみましょう。

返済の遅れについて銀行に相談した場合、最初に決めた返済スケジュールで返すことが難しい場合にリスケジュールを提案される可能性があります。

経営状況など確認した上で、現実的な返済金額などスケジュールを決めていくことになるでしょう。

無理ない範囲での代替策を提案してもらえるため、滞納するよりも前に必ず連絡することが必要といえます。

なお、リスケジュールをすると、同じ銀行から追加融資を受けることはできなくなる傾向が見られます。

ただし一時的な要因でのリスケジュールであれば、追加融資を受けることができる可能性はあるため、まずは銀行担当者に相談してみることが必要です。

借り換えを検討する

銀行融資が返済できない場合の対処法として、借り換えを検討してみましょう。

借り換えとは、すでに融資を受けている銀行ではなく、他の金融機関から新たにお金を借りて既存の借入金を返済することです。

金利の低い金融機関から新しく融資を受けることができれば、毎月の返済負担を軽減することができます。

借り換えと似た意味として、ローンの一本化などがありますが、これは複数社からの借入れを1つの金融機関にまとめることで、おまとめローンとも呼ばれています。

借り換えにより新たな融資条件で返済できるようになれば、運転資金の確保と元金返済額の減額が可能となるでしょう。

また、リスケジュールでは信用情報に影響することはなくても、借入れしている銀行から追加融資を受けることはできなくなることがほとんどです。

その点、借り換えは信用が傷つくこともなく、事業計画書作成のもとで財務改善と返済見通しを説明できれば審査も迅速に進むことがメリットといえます。

融資以外で資金調達する

銀行融資が返済できない場合の対処法として、融資以外で資金調達することを検討しましょう。

資金を調達する方法として、中小企業が真っ先に検討するのが銀行融資といえますが、他にも方法はいろいろあります。

たとえば売上はすでに上がっており計上済であるものの、売掛金がまだ入金されていないため一時的に手元の資金が足らず、銀行融資が返済できない状況であればファクタリングで苦境を乗り切れる可能性があります。

ファクタリングとは、保有している売掛金をファクタリング会社に売却し、現金化して資金を調達するサービスです。

銀行融資より審査のハードルも低く、赤字決算や債務超過など、信用力に不安がある場合でも利用できます。

他にもクラウドファンディングなど負債を増やさず手元のお金を増やす方法はありますが、時間がかかるため急な資金ニーズには対応できないことから、ファクタリングがおすすめです。

ファクタリングは中小企業(法人)にもおすすめ!銀行融資と比較して解説

まとめ

銀行融資を返済できない場合には、まず債権者である銀行に相談することが必要です。

何とか返済しなければならないという焦りから、別の金融機関から借りて返済資金に充てることや、ヤミ金融など違法業者から借りることはさらに窮地に追い込まれる状況を作るため絶対にやめましょう。

銀行に相談すれば、追加融資やリスケジュールが可能になる場合もあり、借り換えなど利用できれば返済負担が軽減される可能性もあります。

相談してもどうにもならず、返済に行き詰ってしまったときには融資以外の資金調達を検討することが必要です。

ファクタリングであれば即日売掛金を現金化し、手元の資金を増やすことができる可能性もあり、銀行融資の返済に充てることもできます。

銀行融資に依存しすぎることなく、資金調達方法の多様化にもつなげることができるため、検討してみることをおすすめします。