請求書を発行するタイミングはいつがベスト?|中小企業・個人事業主が押さえるべきポイント
2025年9月10日
請求書の発行タイミングは、企業や個人事業主の資金繰りに直結する重要な要素です。発行が遅れれば入金も遅れ、キャッシュフローに影響を及ぼします。一方で、早すぎても取引先の経理処理に支障をきたす場合があります。
本記事では、請求書を発行する適切なタイミング、遅延によるリスク、効率的に管理する方法について詳しく解説します。
請求書発行の基本ルール
請求書は、商品やサービスを提供した対価を請求するための正式な書類です。発行の基本ルールは以下の通りです。
- 取引が完了したら速やかに発行(納品・業務完了の翌日~数日以内)
- 契約書や発注書に基づいた条件で記載(金額・支払期日・振込先)
- 支払期日から逆算して余裕を持って発行
特にBtoB取引では、社内承認や経理処理に時間がかかるため、請求書を早めに発行することが重要です。
請求書を発行するタイミングの種類
納品完了後すぐに発行
最も一般的なのは、商品やサービスを納品した直後に請求書を発行する方法です。
この場合、入金までのリードタイムを最短化でき、資金繰りの安定につながります。
月末締め・翌月請求
多くの企業が採用している「月末締め・翌月請求」は、月内の取引をまとめて請求するスタイルです。
発行の手間を減らせますが、取引後すぐに発行する場合より入金までの期間が長くなる点に注意が必要です。
契約や発注条件に基づく発行
工事業やシステム開発などの長期案件では、契約条件に応じて請求書発行のタイミングが決められます。
例:契約金支払い時、中間納品時、最終納品時など。
契約時点で請求スケジュールを明確にしておくことが望ましいです。
前金・着手金としての請求
プロジェクト型の業務では、着手前に一部を前払いしてもらうケースもあります。
この場合は契約締結後すぐに請求書を発行する形となり、リスク分散にもつながります。
請求書発行が遅れた場合のリスク
入金遅延による資金繰り悪化
請求書を発行するのが遅れると、取引先の経理処理に間に合わず、支払いが翌月以降に持ち越されることがあります。結果的にキャッシュフローが悪化し、資金繰りに支障をきたす恐れがあります。
取引先からの信頼低下
経理処理のルールを守らない請求は、相手企業の事務負担を増やし、信頼低下につながります。長期的には取引条件の悪化や契約解消のリスクも生じます。
回収漏れの可能性
請求の遅延は「請求忘れ」や「記録ミス」に直結します。小口取引の場合、入金漏れが発生しても気づきにくく、回収不能になる恐れがあります。
請求書発行を効率化する方法
1. 発行ルールの標準化
社内で「納品後何日以内に発行する」といったルールを明確にしましょう。従業員が複数いる場合は、担当者ごとにバラつきが出ないよう標準化が必須です。
2. クラウド請求書システムの活用
クラウド型の請求書発行システムを使えば、請求書作成・送付・入金管理をワンストップで行えます。電子送付にも対応しており、郵送より迅速に相手へ届けられます。
3. 入金期日から逆算した管理
請求書の発行タイミングは「支払期日」から逆算するのが基本です。取引先の支払サイト(例:月末締め翌月末払い)を把握し、それに間に合うよう余裕を持って発行する必要があります。
4. 自動リマインド・アラート機能
クラウド会計ソフトや債権管理サービスには、未発行・未入金を自動通知する機能があります。これを活用することで、請求漏れや回収遅延を防げます。
業種別の請求書発行タイミングの例
製造業・卸売業
商品納品と同時に請求書を発行するのが一般的です。取引量が多い場合は、月末締めでまとめて発行するケースもあります。
建設業・システム開発
契約段階で発行タイミングを定めるのが基本です。着手金・中間金・完成後の3段階に分けて請求するケースが多く見られます。
フリーランス・個人事業主
納品後すぐに発行するのが理想です。請求が遅れると個人の生活資金に直結するため、特に注意が必要です。
請求書発行とインボイス制度
2023年10月からスタートしたインボイス制度では、適格請求書発行事業者であるかどうかが取引先にとって重要な判断材料になります。
制度対応済みの請求書を正しいタイミングで発行することは、取引先からの信頼維持にも直結します。
まとめ:請求書発行のタイミングは資金繰りのカギ
請求書の発行タイミングを適切に管理することは、資金繰りの安定や取引先との信頼関係に直結します。納品後すぐの発行を基本としつつ、業種や契約条件に応じて柔軟に対応することが求められます。
クラウドシステムや自動管理ツールを活用すれば、請求漏れや入金遅延を防止し、効率的な経営が可能になります。
「請求書をいつ発行するか」は、単なる事務作業ではなく、企業の経営戦略の一部と捉えることが大切です。
