資金調達とその使い道
2024年1月4日
事前にきちんと整理しておくことが、資金調達を行う際大切になります。
資金需要は経営上必要となる資金のことです。
本記事ではその使い道について、
設備資金
運転資金
その他の3つに分けて、かんたんに解説をしていきます。
設備資金=競争力を高めるための資金
設備資金とは、生産拠点の拡大や、設備の更新・補充・改良などの設備投資のために必要となる資金です。
設備投資にはほかにも、事業を行う上で必要となる自動車やパソコン、デスクなどの事務用品といったものが含まれます。
設備投資は、企業の成長や発展を加速させ、競争力を高めるために重要なリソースです。本章では設備投資の種類について、
①増産投資
②更新投資
③合理化投資
の3つを解説します。
①増産投資
生産量を上げ、売上を増やすための投資です。工場の建設や製造ラインの増設などが挙げられます。土地や建物の購入、入居に関する費用が該当します。
②更新投資
古くなった設備を新しくするための投資が該当します。劣化したパソコンや機械などを最新のものに買い換える時には、更新投資が必要です。また、事業活動拠点として保有している不動産のリフォームの費用も対象です。
③合理化投資
生産性と効率性を向上させながら、コストカットを図るための投資です。手動で行っていた業務を機械やロボットの導入により、自動化させることなどが合理化投資に当たります。
運転資金=事業を継続するための資金
「運転資金」とは大まかに、事業を営むにあたって必要となる資金のことをいいます。
一般的に、製品の販売までに必要となる費用を支払ってから、製品を販売して実際に収益を得るまでにはタイムラグがあります。
たとえばアパレル店を例に取ってみると、仕入れた商品がその月のうちにすべて売れるわけでなく、在庫となりながら一定期間をかけて売れていくケースが一般的です。
そのほか、たとえば納品日と実際の支払日がずれるといったこともよくあるケースでしょう。
このような場合、実際に収益を受け取るまでの「つなぎ」となる資金が必要となります。これが運転資金です。
ここでは運転資金の種類について、
①経常運転資金
②増加運転資金
③在庫資金
の3つを解説します。
①経常運転資金
原材料の仕入れから実際に売上を回収するまで、企業が「立て替えている」資金を表し、ごく大まかには月商(月の売上)をベースに考えます。
たとえば、月商およそ2,000万円のX社が、実際に売上を回収するまでに4か月かかる場合、必要となる経常運転資金は8,000万円です。
売上回収までに時間がかかる場合、それだけ経常運転資金の金額は上がっていくことになります。
②増加運転資金
増加運転資金とは、売上増加のために必要となる資金のことです。
売上を増やすには、販売する製品の生産も多くしなければなりません。そのぶんだけ製造コストは増え、さらに抱える在庫も増えることになります。
いっぽうで、販売が増えた分だけ月商も大きくなります。つまり、経常運転資金が増えるということです。
先程のX社の月商が2,000万円から3,000万円に増えたとします。運転資金は変わらず月商の4ヶ月分だとすると、運転資金は1億2000万円。もともとの経常運転資金より、4000万円増加したことになります。この差分4,000万円が増加運転資金です。
X社が月商を1,000万円増やすためには、新たに4,000万円の運転資金が必要になる、ということになるわけです。
③在庫資金
在庫資金は、在庫保有のために必要な資金のことを指します。在庫が増える場合には、ポジティブな要因からなる「前向きの在庫」とネガティブな要因からなる「後ろ向きの在庫」の2つが考えられます。
前向きの在庫とは、売上を伸ばすために在庫を増やすケースです。ブーム商品や新商品の発売、季節商材のストック確保など、計画的に在庫を増やすケースです。
一方、後ろ向きの在庫は、売上が低下することによって在庫が増えてしまうケースを指します。在庫を保有する以上、在庫資金の支払いは必要です。膨れ上がった在庫資金は、低下した売上をさらに圧迫する要因となります。
その他の資金需要
運転資金や設備資金以外の資金需要に、従業員への賞与や決算後支払に充てられる決賞資金や、赤字を補填する赤字補填資金があります。
①決賞資金
決賞資金は、賞与にかかる賞与資金と、決算後の支払いにかかる決算資金に分類されます。以下、それぞれ解説していきます。
賞与資金
従業員への賞与(ボーナス)のために準備される資金です。
賞与支給の時期と企業の売上は連動しないことがほとんどです。そのため、必要に応じて賞与支給に向けた短期借入を行う場合があります。
ここで借り入れられた資金はその後の売上で返済を行う形となります。
決算資金
事業年度の決算を行った後、株主への配当金、役員賞与、法人税などの支払いが必要となります。これらの支払いに必要な資金が決算資金です。3月決算の企業であれば、5月の決算期、および中間納税時期である11月に必要となります。
決算資金は売上金から賄われるのが理想的です。しかし、決算時に資金需要が急激に高まるため、短期借入で資金を調達することもあります。
特に業績が良い場合には、株主への配当金や役員賞与の金額も増加するため、決算資金も多くなる傾向にあります。
②赤字補填資金
業績が悪化し、赤字となった場合に必要となるのが赤字補填資金です。
たとえば、商品の仕入れに500万円かかったにも関わらず、値崩れ等によって200万円でしか売れなかった場合は、300万円の赤字となります。
この赤字を補填するための資金が赤字補填資金です。
取引先の業績悪化や倒産などにより、売上が回収できなかった場合などにも必要となります。
まとめ
①企業が必要とする資金(資金需要)には、おおまかに運転資金と投資資金にわけられる。
②運転資金は事業を継続するために必要な資金のことで、経常運転資金、増加運転資金、在庫資金などがある。
③投資資金は、設備投資に必要となる資金のこと。投資の種類には増産投資、更新投資、合理化投資などがあげられる。
④また、その他の使い道として決賞資金、赤字補填資金などがある。