補助金と助成金の違いは?申請の手順や注意点も解説
2023年2月28日
今回は似ているようで全く異なる補助金と助成金、それぞれの特徴や違いを解説していきます。
これらをしっかり理解することで、適切に活用できるようになります。両者の共通点と相違点、申請の手順などを知っておきましょう。気になる代表的な補助金と助成金の情報もご紹介します。
間違いやすい助成金と補助金
混同されがちな補助金と助成金ですが、交付の目的や受給までのハードルの高さに着目すると簡単に違いを整理できます。それぞれの特徴は以下のとおりです。
≪主な交付機関≫
補助金—経済産業省、地方自治体
助成金—厚生労働省、地方自治体
≪主な目的≫
補助金—経済活性化
助成金—雇用安定・職場環境の改善
≪申請内容の審査有無≫
補助金—あり
助成金—なし
≪予算≫
補助金—あり
助成金—なし
補助金と助成金に関する正しい知識を付けていないと、受給のチャンスを逃してしまう可能性があります。この機会にしっかりと確認しておきましょう。
助成金とは
申請から受給までのハードルが高い補助金に対して、一定の条件を満たすことで、ほぼ確実に資金援助が受けられるのが助成金です。助成金の主な交付機関は厚生労働省や地方自治体で、雇用安定・職場環境の改善などを目指す事業主や法人をサポートします。
助成金は支援を必要としている個人や法人に、幅広い支援金の給付を目標としているのが特徴的です。要件を満たしていれば受給できる点では、補助金のように早い者勝ちになる心配はないでしょう。
補助金とは
補助金は、明確な目的に基づいて予算が組まれているのが特徴です。主な交付機関は経済産業省や地方自治体で、事業推進や産業の育成に関わる事業主や法人に資金を給付します。
ただし、補助金は期間内に申請すれば必ず受けられるというものではありません。予算限度額に達すれば早期に受付が終わってしまう場合もあります。
補助金の種類は豊富で利用できるチャンスも多いため、普段から情報収集をしておくとよいでしょう。
助成金と補助金の共通点と相違点
補助金は公募期間が短く審査を通過する必要がある分、数百万~数千万円以上の給付金を受け取れるケースもあります。
補助金と助成金の違いをはっきりと認識できていない方が多いのは、両者に共通する部分が多いからです。補助金と助成金の概要が掴めたところで、それぞれの共通点と相違点を理解しておきましょう。
補助金と助成金の共通点
補助金と助成金で共通しているのは、以下の3点です。
・受給した資金の返済は不要
・要件を満たす個人事業主や法人の申請が必要
・後払い
補助金や助成金に共通する大きなメリットともいえるのが、銀行の融資とは異なり返済する必要がないことです。給付を受けるためには、要件を満たす個人事業主や法人が申請する必要があります。
また、補助金と助成金は、どちらも原則として後払いであることも共通点です。
補助金と助成金の相違点
補助金と助成金は共通点が多い反面、次のような違いをもっています。
≪審査と採択の有無≫
補助金—審査を経て採択された場合に給付
助成金—審査や採択なし
≪公募期間≫
補助金—期間が短め
助成金—期間に比較的余裕がある
≪給付金額≫
補助金—比較的高額
補助金—比較的少額
対する助成金は公募期間に数カ月の余裕がある場合が多く、中には随時申請できる場合もあります。助成金は給付条件を満たせば支援を受けられますが、金額は数十万円程度であるのが一般的です。
補助金と助成金を受け取るまでの流れ
補助金や助成金を受け取るまでの大まかな流れは以下のとおりです。
補助金や助成金の調査と申請
補助金と助成金を利用するには、申請期間中に要件を満たす個人や法人の申請が必要です。利用できる補助金や助成金は、以下のような場所で確認できます。
地方自治体のホームページ
国土交通省、厚生労働省、経済産業省など各省庁のホームページ
補助金と助成金のどちらも、申請を随時受け付けているわけではありません。特に補助金は公募期間が短めであり、予算に到達すると受付が終了してしまう場合もあるため注意しましょう。
審査と採択の決定(補助金)
申請の後に、補助金の場合のみ審査と採択の工程があります。補助金は申請した個人や法人の全てが援助を受けられるわけではないからです。
申告内容をもとに、審査委員会による審査が実施されます。採択された企業は、その後何度か事務局とやりとりをし、補助金交付申請書や経費相見積書を作成します。
提出された書類に問題がないことが確認できると発行されるのが、交付決定通知書です。交付決定通知書を受け取った時点で、補助金交付が決定したことになります。
事業の実施
補助金と助成金はどちらも、個人や法人の特定の事業を支援する目的で給付されます。そのため、補助金や助成金の申請時に事業計画を提出するのが一般的です。
申請が完了したら、事業計画に沿って事業を実施します。もし途中で事業計画に変更が生じる場合は、事務局への計画変更申請が必要なケースもあるため注意しましょう。
給付
計画どおりに事業を実施し終えたら、規則に従って支給申請を行います。事業の概要を報告する際には、実績報告書や経費関連書類が必要です。
補助金と助成金のどちらも、この段階で適切に事業を実施したと認められなければ、給付を受けることはできません。実施状況の確認では書類提出の他に、ヒアリングが実施される場合もあります。
助成金と補助金を活用するための注意点
補助金や助成金を利用するためには、次の3つのポイントに注意をする必要があります。
特に気を付けたいのが、受給条件の確認です。受給条件を満たしていないのに補助金や助成金の給付を受けてしまうと、不正受給として問題が大きくなってしまう危険性があります。
申請前に知っておきたい注意点を確認しましょう。
期限を確認する
補助金と助成金は、いずれも申請に期限があるのが一般的です。中には随時募集を行っている助成金もありますが、今後も支援がずっと続くとは限りません。
日頃から、自社の事業に関連して活用ができそうな補助金や助成金の情報を集めることが大切です。特に緊急性のある補助金や助成金は、申請の期間が短かったり、応募が殺到したりすることも考えられます。
期限の確認を忘れずに行い、余裕を持って申請できるようにしましょう。
受給条件を確認する
受給条件を満たさずに申請したり、虚偽の事業内容を報告して補助金や助成金を受け取ったりしてしまうと、それが意図的でない場合でも不正受給に該当します。また、最終的に給付を受けられなかった場合でも、条件を満たさない状態で給付を受けようと試みる行為自体が、罰則の対象となるため注意が必要です。
社会保険労務士などに依頼をし、代理申請を実施したケースにおいても、事業者にペナルティが課されます。不正受給を指摘された場合のペナルティは、支給された補助金や助成金の全額返還はもちろん、罰金の支払いや事業者情報の公表などです。
交付金が課税対象か確認する
受け取った補助金や助成金は、基本的には収入とみなされるため課税対象です。給付を受けたら正しく申告を行い、適切な税額を納める必要があります。
ただし、特例として非課税と定められている補助金や助成金があるのも事実です。例えば、子育て世帯への臨時特別給付金や特別定額給付金、ベビーシッター利用支援事業などが該当します。
税の取り扱いも一歩間違えると、大きなトラブルにつながりかねません。しっかりと規定を確認し、間違いなく対処するようにしましょう。
代表的な助成金と補助金の種類
最後に、個人事業主や法人が利用できる代表的な補助金と助成金の一例をご紹介します。それぞれ給付対象や条件、公募期間、給付までの期間が異なるため、正しく情報を精査し利用できる補助金や助成金を探すことが大切です。
定期的に募集を行っているものもあるため、事前にどのような補助金や助成金があるかを知っておきましょう。
代表的な補助金一覧
知っておきたい代表的な補助金は次のとおりです。
・ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
・IT導入補助金
・小規模事業者持続化補助金(一般型)
・中小企業等事業再構築促進事業
どの補助金も利用できる事業者や法人の規模が定められており、なかでも将来性のある中小企業のサポートを目的とした補助金が多いのが特徴です。適用条件を確認し、利用できる補助金の情報を見逃さないようにしましょう。
代表的な助成金一覧
主な助成金の一覧は以下のとおりです。
・雇用調整助成金
・キャリアアップ助成金
・中途採用等支援助成金
・特定求職者雇用開発助成金
・人材開発支援助成金
・地域雇用開発助成金
・障害者雇用安定助成金
・労働移動支援助成金
・トライアル雇用助成金
・65歳超雇用推進助成金
・人材確保等支援助成金
・産業保健関係助成金
・通年雇用助成金
・時間外労働等改善助成金
・両立支援等助成金
・業務改善助成金
・受動喫煙防止対策助成金
上記のとおり、さまざまな立場にある労働者の雇用や、労働環境整備に取り組む事業者に対する助成金が多く存在します。厚生労働省のホームページから、対象者や取扱内容などのキーワードで助成金の検索が可能です。
助成金と補助金のまとめ
補助金と助成金は、どちらも給付要件を満たす個人事業主や法人の申請が必要です。適切に事業が行われたとの確認が取れれば援助を受けられます。
共通点の多い補助金と助成金ですが、給付を受けるまでの流れに違いがあるのが事実です。補助金は申請後に審査・採択が行われ、選ばれた対象者のみに受給の権利が与えられます。
一方で助成金は、給付要件を満たせば給付を受けられるのが一般的です。両者の違いをしっかりと認識して、補助金と助成金制度を有効活用しましょう。