不渡りを出したらどうなるのか、原因と回避する方法を解説
2023年4月27日
不渡りはよく知らない人でも嫌なイメージはあると思いますが、不渡りとは振り出した約束手形や小切手を支払期日に決済できない状況をいいます。
例えばA社がB社の商品を購入するために2カ月後が支払期日の約束手形を振り出したとします。ところが2カ月後にB社が資金化しようと銀行に行ったところ、A社の口座残高がゼロになっていました。この場合、この約束手形は資金化できず「不渡り」となってしまいます。
こうした残高不足などが原因の不渡りを出してしまうと、銀行や取引先からの信用を大きく低下させてしまいます。絶対に不渡りは出さないよう気を付けるべきです。
ぜひ最後までお読みいただき、不渡りとはどんな状況なのか、起こしたらどうなってしまうのかをしっかり理解してください。
不渡りとは?手形などを支払期日に決済できないこと
不渡りとは、振り出した手形や小切手を支払期日に決済できない状況をいいます。
手形と小切手はどちらも取引の決済に用いられる有価証券です。振出人が所定の用紙に金額や日付などを記入して相手に渡し、受け取った相手(受取人)はその用紙を支払期日に銀行に持って行くと資金化できます。
小切手—受け取った直後から資金化できる
手形—記載された期日以降に資金化できる
しかし、受取人が資金化しようとした時に、何らかの理由で決済できない(資金化できない)ことがあります。このことを「不渡り」といい、不渡りになった手形は「不渡手形」と呼ばれます。
不渡りの原因には3つありますが、多くの場合、振出人の当座預金残高が不足していることが原因(1号不渡り)です。
不渡りには「0号・1号・2号」の3種類がある
不渡りの原因の多くは、振出人の当座預金口座の残高不足によるものです。しかし、それ以外にも不渡りになる場合があります。
不渡りには、その原因によって「0号不渡り」「1号不渡り」「2号不渡り」の3種類があります。
〇 0号不渡り—【振出人の信用に関係ない原因で換金できない不渡り】
手形や小切手を受け取れる「呈示(ていじ)期間」を過ぎてしまった、手形や小切手の形式に不備があった場合など
〇 1号不渡り—【振出人の信用に関わる原因で換金できない不渡り】
振出人の当座預金の残高不足や口座解約が原因で資金化できない不渡りのこと
〇 2号不渡り—0号不渡りにも1号不渡りにも該当しない不渡りのこと
それぞれについて、さらに詳しく以下で解説していきます。
ミスや不備が原因で換金できない「0号不渡り」
0号不渡りは、振出人の信用問題とは関係のない原因による不渡りのことです。
例えば、手形や小切手を受け取れる「呈示(ていじ)期間」を過ぎてしまった、手形や小切手の形式に不備があった場合など、ミスや不備が原因の場合です。
振出人の信用状況が原因ではないため、銀行は「不渡届」を作成しませんし、取引停止処分などを受けることも一切ありません。ただし受取人が資金化できずに困らないよう、形式に不備が無いように心がけましょう。
信用を大きく低下させる「1号不渡り」
1号不渡りは、いわゆる「不渡りを出してしまった」時に使われる一般的な不渡りのことです。振出人の当座預金の残高不足や口座解約など、振出人の信用に関することが原因で、受取人が手形や小切手を資金化できないことをいいます。
1号不渡りを出してしまうと「不渡届」が提出された後「不渡報告」に掲載され、加盟銀行に通知されるため、信用状況を大きく低下させることとなります。さらに、6カ月以内に2回目の1号不渡りを出してしまうと、銀行の取引停止処分が下されます。
契約不履行や盗難などの「2号不渡り」
2号不渡りとは、0号不渡りにも1号不渡りにも該当しないその他の不渡りのことです。
盗まれたり偽造されたりした手形や小切手を資金化できない場合や、契約不履行となった手形(購入した商品が納品されていないなど)も含まれます。
2号不渡りを出すと1号不渡り同様に「不渡届」が作成されますが、振出人の信用状況が原因ではないため、異議申し立てを行うことで処分を回避することができます。
どうしたら1号不渡りになるか?不渡りになるまでの流れ
自社の信用を大きく低下させる「1号不渡り」は、経営者や企業にとって避けたいものです。1号不渡りを出さないためには、どのような流れで1号不渡りになるかを知ることが大切です。
ここでは、1号不渡りになるまでの流れをどこよりも分かりやすく解説します。なお、ここでは振出人をA社、受取人をB社として説明していきます。
1,A社がB社に手形を振り出す
A社(あなたの会社)はB社から商品を仕入れるために、4月2日にB社に50万円分の約束手形の振り出し、をした。
約束手形には、支払期日や金額などの必要事項を記入します。この例では、支払期日を2カ月後の末日である6月30日に設定したとします。手形の呈示期間は支払期日を含めて3日間なので、B社は6月30日から3日間のあいだに、銀行で手形を資金化できる約束となっています。
2,A社の当座預金残高が不足
A社は、手形を振り出した時点では50万円を持っていなくても問題ありません。しかし、B社が手形を資金化しに銀行に持参する(「呈示する」といいます)までに、当座預金に50万円を用意しなければなりません。
A社は、別の会社から振り出された手形を資金化して、当座預金に移しました。しかし結局49万円しか用意することができず、B社の支払期日の預金残高は49万円となりました。
3,支払期日にB社が呈示するも「不渡り」となる
6月30日を迎えたので、B社はA社から受け取った約束手形を銀行に持って行きました。ところが、銀行から「不渡付箋」が貼られた手形が戻されてしまいました。預金残高が1円でも不足していると、その手形の支払いはできません。
B社は、A社からの50万円の支払いを受け取ることができず、手形は「不渡手形」となってしまいました。
不渡りを出すことで起こる3つの影響
ここまで「不渡りとはどういう状態か」を説明してきました。ここからは、「不渡りを出してしまうとどうなってしまうのか」について解説します。
なお、ここからは主に、振出人の信用を低下させてしまう「1号不渡り」についての説明となります。
不渡りを出してしまうと、自社の信用を著しく低下させ(最悪の場合は、事実上の倒産)、さらには受取人にも金銭的な被害を与えてしまいます。
2回目の不渡り(6か月以内)で銀行取引停止処分になる
さらに、6か月以内に2回目の不渡りを出してしまうと、今度は銀行の取引停止処分となります。
この処分を受けると、その後2年間、借り入れはもちろん当座預金を使った取引が一切できなくなります。銀行からの融資はもちろん、手形や小切手の使用もできません。
そのような状態ではとても事業を継続できませんので、2回目の不渡りは「事実上の倒産」とみなされます。
「不渡報告」「不渡届」により銀行からの信用が低下してしまう
「1号不渡り」「2号不渡り」が起こると、銀行はどの会社が不渡りを起こしたのかを記載した「不渡届」を手形交換所に提出します。その後、1回目の不渡りがあった企業の情報がまとめられ、「不渡報告」として加盟銀行に通知されます。
不渡報告を受け取った全国の銀行に「この企業は不渡りを出している」という事実を知られてしまうため、信用力が低下し、新たな融資を受けることがかなり厳しくなります。
手形・小切手の受取人に金銭的な被害を与えてしまう
不渡りにより、手形や小切手を資金化できなかった受取人にも、金銭的な被害を与えてしまいます。
例えば先ほど紹介した例では、A社(振出人)の残高不足により、手形と交換で50万円を受け取れるはずだったB社が、その手形金額を回収できませんでした。
もちろん、不渡りが起こった場合、受取人にはその手形金額を回収する請求権があります。しかし、振出人に支払能力がなければ、訴訟をしたところで満足する金銭を受け取ることが難しいでしょう。
仮にB社がその50万円で別の会社に支払う予定だった場合、B社が手形を資金化できなければ、B社が共倒れになる可能性もゼロではありません。
銀行の信用を低下させる不渡りは絶対回避すべき
ここまで解説した通り、不渡りは「出したからといって即倒産」というものではありません。しかし、不渡りを出してしまうと銀行にその事実が周知されてしまいます。
つまり、1回でも不渡りを出してしまうと、その後の資金調達が厳しくなると考えておいた方が良いです。不渡りは必ず出さないようにしましょう。
そうならないためには、キャッシュフローを改善させたりファクタリングを活用したりといった対策を日頃から行っておくことが大切です。
不渡りを回避するための3つの方法
最後に、「不渡りになってしまいそう!絶対に不渡りは出したくない!」という状況で、不渡りを回避するための3つの方法を解説します。
手形のジャンプ
手形のジャンプとは、手形の受取人に依頼して、支払期日を延ばしてもらうことをいいます。交渉は一般には公表されないため、銀行に知られることはありません。ただし、受取人には資金繰りが厳しいことが悟られてしまう可能性があり、今後の取引に影響があることも考えられます。
手形のジャンプを行いたい場合は、まず振り出した手形の受取人に相談してみましょう。合意が得られたら、期日を後ろ倒しした新しい手形を振り出すか、既に振り出した手形の支払期日を訂正することで、支払期日を伸ばしてもらうことができます。
ただし、手形をジャンプすると受取人の回収不能リスクも高くなるため、断られる可能性もあります。特に、資金繰り悪化や赤字が原因となる場合は、断られることが多いでしょう。相談する際は、「あくまで一時的に資金が無くなくなった」など理由や根拠を伝えるようにしましょう。
過振り(かぶり)
過振り(かぶり)とは、銀行が当座預金の残高以上の手形や小切手に対して、一時的に立て替えて支払ってくれることをいいます。あくまで臨時的な措置であり、不足金額が少なく信用力が高い企業のみに適用される措置です。
銀行としても回収が難しい企業には過振りを認めるわけにはいかないので、一般的には担保として手形や小切手などの金銭債権を預ける必要があります。しかも、過振りを依頼すること自体が企業の信用を低下させる原因にもなりますので注意が必要です。
過振りを認めてもらえるかは銀行の判断となりますので、今後の見通しが分かる資料を添えて、取引先銀行に相談してみましょう。
ファクタリングを利用して売掛債権を資金化する
不渡りを回避する方法3つ目は、売掛債権を売却して資金化する方法です。この方法は、いわゆる「ファクタリング」と呼ばれています。特に、経営上は黒字であるもののキャッシュフローが一時的に悪化して不渡りを出しそう…という時に有効です。
ファクタリングでは、請求書などの売掛債権を売却し、その対価として金銭を受け取ることができます。つまり、回収する前の売掛債権を前倒しして回収できるイメージです。資金化したキャッシュで不渡りを回避できます。
ファクタリングのメリットはもうひとつあり、売却した売掛債権の権利はファクタリング会社に譲渡されるため、売掛先の倒産リスクを負う必要がなくなります。ただし、ファクタリングを利用する場合には一定の手数料(2%~18%程度)がかかり、手数料を差し引いた金額を手にすることになります。
まとめ
この記事では、不渡りとは何かを初心者でも分かるように丁寧に解説してきました。
不渡りの中でも当座預金の残高不足などで起こる「1号不渡り」は、一度でも出してしまうと銀行や取引先からの信用を大きく傷つけるものです。さらに、繰り返し起こしてしまえば事実上の倒産に追い込まれます。
そうならないためにも、「どうしたら不渡りになってしまうか」を正しく理解し、キャッシュフローを改善することが大切です。ファクタリングなども利用し、手元資金が不足しないよう日頃から管理することが重要となります。