合同会社でビジネスローンは利用できる!?その資金調達方法や手段を解説
2024年9月13日
「合同会社はビジネスローンを利用できる?社会的な信用が低いから、どうなのだろう?」
2006年5月より始まった「新会社法」によって新しく設けられた合同会社は、株式会社と比べると歴史が浅く社会的認知度も低いため、資金調達が難しいと耳にしたことがある方もいるでしょう。
しかし実は、合同会社でも、株式会社と比べると規模が小さく選択肢が限られるものの、資金調達はできます。
合同会社とは
アメリカ合衆国の州法で認められているLLCをモデルとした日本の会社形態の1つが「合同会社」です。
すべての社員が会社の債務の責任を負う有限責任である上に、株式会社の場合は経営と株主が分離していますが、合同会社は社員それぞれ株主と同じ扱いです。
出資者が経営者となり、資金を出資したすべての社員が会社の決定権を保有し、定款で利益配分なども自由に設定できます。
なお、出資者の責任範囲は株式会社同様に有限責任となります。
合同会社に似た法人格に合資会社や合名会社がありますが、合資会社は有限責任社員だけでなく無限責任社員も存在し、合名会社はすべての出資者が無限責任社員で構成されるという部分が違いです。
合同会社の資金調達における現状
合同会社を設立するときや会社経営のランニングコストは、株式会社よりも安く抑えることができます。
しかしまだ十分に周知されている法人格ではないため、信用力の低さから資金調達方法の選択肢は限られます。
そのため合同会社が資金調達するとき、次のような問題にぶつかることが現状といえます。
・銀行融資の審査に通りにくい
・融資限度額が少額になりやすい
・資金調達方法が限られる
それぞれ説明していきます。
銀行融資の審査に通りにくい
合同会社の資金調達の現状として、銀行融資の審査に通りにくいことが挙げられます。
銀行から融資を受けるときには審査に通ることが必須となるものの、銀行は信用力の低い相手にはお金を貸しません。
貸したお金に利息を付けて、期日までに遅れず返すことができるか、返済能力が認められなければ融資を受けることは困難です。
そのため知名度や社会的な信用力の低いとみなされがちな合同会社の場合、銀行融資の審査に通りにくく、借入れで資金調達することは難しいのが現状といえます。
融資限度額が少額になりやすい
合同会社の資金調達の現状として、融資限度額が少額になりやすいことが挙げられます。
銀行融資の審査に通ったとしても、融資限度額として設定される金額は株式会社と比べれば少額です。
会社の法人格を株式会社に変更することで、銀行融資を頼らなくても株式を発行し、個人投資家や投資会社から資金調達できる可能性は高くなるでしょう。
株式会社であれば、銀行など民間金融機関の融資審査も合同会社より有利になり、資金調達の選択肢が広がりやすくなります。
合同会社の事業拡大の際には、法人格を株式会社へ変更するケースが多いのはこのような理由も1つとして挙げられます。
資金調達方法が限られる
合同会社の資金調達の現状として、資金調達方法が限られることが挙げられます。
合同会社は社会的な知名度や信用力が低いため、銀行から融資を受けにくい状態です。
さらに株式会社のように株式を発行することはないため、個人投資家や投資会社に株式と引き換えに出資してもらいにくいといえます。
そのため合同会社の資金調達においては、国や自治体の助成金や補助金に頼りがちになる傾向が見られます。
「返済義務あり」の合同会社の資金調達方法
・ビジネスローン
・民間銀行の融資
・日本政策金融公庫の融資
ビジネスローン
合同会社の返済義務ありの資金調達方法として、事業者向けローンの利用が挙げられます。
ビジネスローンとは、銀行で融資を受けにくい事業者向けに、銀行や貸金業者が資金を貸してくれる金融商品です。
事業資金に特化した金融商品であるため、審査のハードルが低く、早ければ即日遅くても1週間程度で融資を受けることができます。
ただし実質年率は15.0%前後であるため、長期利用すれば利息負担の重さから資金繰りを悪化させるため、一時的な利用に留めておく必要があるといえるでしょう。
ビジネスローンとは
ビジネスローンを利用できるのは事業者のみ
ビジネスローンは、事業者向けの金融商品です。事業のための資金を必要とする中小企業や、個人事業主を利用対象としています。代表者が満20歳以上、満69歳以下などと年齢条件を設けている金融機関もあるため、事前に確認しておきましょう。
ビジネスローンの資金使途は事業用のみ
ビジネスローンの資金使途は、事業性資金のみに限定されます。事業を経営するにあたり元手となるすべての資金で、細かな使途は特に定められていません。具体的には、以下の5つが該当します。
・開業資金
・設備投資
・運転資金(つなぎ資金など)
・取引先への支払い
・従業員への給与支払い
一般的な個人向けのカードローンやフリーローンは投資や事業などに使えないものの、ビジネスローンなら問題なく事業に使えます。一方で、ビジネスローンで借りた資金を個人用途に使用すると、少額でも規約違反に問われるため注意が必要です。
ビジネスローンの特徴
ビジネスローンは原則、担保も保証人も不要で借り入れできるのが特徴です。銀行融資では土地の担保や代表者の人的保証を求められるものの、ビジネスローンではどちらも必要ありません。
なかには、不動産を担保として差し入れ、金利を引き下げたうえで借り入れるビジネスローンもあります。担保をつければ1億円や3億円など、高額融資が可能となるビジネスローン専門業者もあり、業者によって条件や資金調達までの時間、金利は異なります。
担保として差し入れる資産も、不動産でなければ申し込みできない場合もあれば、売掛債権を担保にできるケースもあるなど様々です。とはいえ、資金繰りが悪化して返済ができなくなると担保が差し押さえられてしまうため、リスクも踏まえて検討してください。
不動産を担保としてビジネスローンを利用するよりは、通常の不動産担保ローンで借り入れできないか銀行に相談したほうが良いといえます。
ビジネスローンの審査基準
ビジネスローンの審査では「スコアリングシステム」が採用されていて、一般的な銀行融資よりも緩く、中小企業でも利用しやすいのが魅力です。過去の利用者属性や信用情報などをコンピューターで数値化し、自動的に審査の可否を決定するため、融資限度額や金利がスムーズに決まります。
とはいえ、金融会社によって蓄積されているデータは異なるため、同条件での申し込みであっても結果はさまざまです。最終的な審査結果が出されるまでに、次の3点がチェックされます。
・事業状況や実績に問題はないか
・返済や税金の未納・滞納・延滞がないか
・提出書類に不備がないか
ビジネスローンの金利
ビジネスローンの金利はリスクを反映して、一般的な銀行融資よりも金利が高めです。各金融機関のビジネスローンの金利は、下記を参考にしてください。
・消費者金融:6.0~18.0%
・信販会社:5.0~18.0%
・地方銀行:3.0~15.0%
・都市銀行:1%台~14.0%
金利の数字だけをみると、都市銀行がお得と感じるかもしれません。しかし、金利が低くなれば審査は厳しくなることは留意しておきましょう。
民間銀行の融資
合同会社の返済義務ありの資金調達方法として、民間銀行の融資が挙げられます。
銀行から融資を受けることができれば、実質年率1.0~3.0%を目安とし、据え置き期間もある中で資金を調達することができます。
都市銀行や地方銀行など、民間の銀行から融資を受けて資金調達する方法ですが、問題になるのは信用力です。
すべての銀行の審査で、法人格が合同会社であることが理由で落ちるわけではありません。
たとえば創業間もない場合や業績が悪化している場合などは、株式会社であったとしても審査に落ちます。
ただし株式会社などの法人格と比較すると、やはり知名度や社会的な信用力が低いとみなされがちな合同会社であることが、審査に不利になるとは言わざるをえません。
日本政策金融公庫の融資
合同会社の返済義務ありの資金調達方法として、日本政策金融公庫から融資を受けることが挙げられます。
日本政策金融公庫とは、国が100%出資している政府系金融機関であり、創業間もない中小企業などが利用できる融資制度を準備しています。
預金機能を持たず、貸し付けをメインに行っており、無担保・無保証で融資を受けることができるといった特徴もあります。
融資を受けることができれば、実質年率1.0%~3.0%で据え置き期間もある中の資金調達が可能です。
合同会社の場合、「新創業融資制度」を活用すると資金調達しやすいといえます。
新創業融資制度は、
融資限度額3,000万円(内、運転資金1,500万円)
基準利率は年2.15%〜3.15%(令和5年3月1日現在・年利%)
無担保・無保証
で資金を借りることが可能な制度であり、創業前や事業開始後の税務申告を2期終えていない場合に利用できます。
ただし税務申告を1期終えていない場合は、創業資金総額の10分の1を自己資金として準備しることが必要になるので注意しましょう。
「返済義務なし」の合同会社の資金調達方法
合同会社が資金調達するとき、返済義務のある方法以外にも、返済義務なしの方法から選ぶこともできます。
返済義務なしの方法として、次の3つが挙げられます。
・ファクタリング
・クラウドファンディング
・補助金・助成金
まとめ
合同会社の資金調達方法として、銀行からの融資に頼りにくいのが現状です。
しかし資金を調達する方法はお金を借りる以外にもいろいろあります。
いずれは株式会社に法人格を以降し、事業拡大に向けて取り組みたいと考える合同会社も、今は銀行融資以外の方法で資金を調達することを検討するとよいでしょう。