近年、テクノロジーの進化とともに、企業や個人がインターネット上で資金を集める「ファンドレイジングプラットフォーム」が急速に普及しています。
従来のように銀行や投資家から直接資金を調達するのではなく、オンライン上で支援者を募り、事業やプロジェクトの実現を目指す手法が一般化しつつあります。

特にスタートアップやNPO、クリエイター、社会起業家にとっては、この仕組みが活動の幅を大きく広げる鍵となっています。
この記事では、ファンドレイジングプラットフォームの基本的な仕組みから種類、メリット・デメリット、活用のポイントまでをわかりやすく解説します。

1. ファンドレイジングとは何か

まず、「ファンドレイジング（fundraising）」とは、事業や活動を支えるために資金を集める行為のことを指します。
もともとはNPOや慈善団体が寄付を募る際に使われていた言葉ですが、現在ではスタートアップ企業の資金調達や地域プロジェクトの支援、個人の活動資金集めなど、幅広い分野で使われています。

近年では、インターネット上で資金提供者（支援者）を集める仕組みが整い、オンラインファンドレイジングが主流となりました。
このオンライン上の仕組みを支えるのが「ファンドレイジングプラットフォーム」です。

2. ファンドレイジングプラットフォームとは？

ファンドレイジングプラットフォームとは、インターネット上で資金提供者と資金を求める側をつなぐサービスのことです。
利用者は、自らのプロジェクト内容や目標金額を掲載し、共感した支援者が資金を拠出するという仕組みになっています。

具体的には、次のような特徴があります。

・誰でも簡単に資金調達を始められる

・SNSやメールで広く情報発信が可能

このような特徴から、従来の金融機関に頼らない新しい資金調達手段として、多くの個人・団体が活用しています。

3. ファンドレイジングプラットフォームの主な種類

ファンドレイジングプラットフォームと一口に言っても、その仕組みや目的によっていくつかのタイプに分かれます。
ここでは代表的な4つのタイプを紹介します。

（1）寄付型（Donation-based）

寄付型は、主にNPOやボランティア団体、社会的活動を行う組織が利用します。
支援者は「寄付」という形で資金を提供し、リターンは原則としてありません。
社会貢献やチャリティ活動など、「共感」を軸に支援を募るのが特徴です。

代表的な国内プラットフォーム：

・Readyfor（レディーフォー）

・JustGiving Japan

（2）購入型（Reward-based）

購入型は、支援者が資金を提供する代わりに**リターン（商品・サービスなど）**を受け取る仕組みです。
多くのスタートアップやクリエイターが、新商品の試作やサービス開発資金を集めるために利用しています。
支援者は、プロジェクトを「応援しながら商品を先行購入する」イメージに近いです。

代表的な国内プラットフォーム：

・Makuake（マクアケ）

・Kibidango（きびだんご）

（3）投資型（Equity-based）

投資型は、出資に対して株式や持分を提供するタイプのファンドレイジングです。
いわばオンライン上で行われる「エクイティファイナンス（株式投資）」であり、支援者は将来的に配当や株式譲渡益を得る可能性があります。
金融庁の許可を受けた事業者のみが運営できるため、他のタイプに比べて法的な整備が進んでいます。

代表的な国内プラットフォーム：

・FUNDINNO（ファンディーノ）

・GoAngel

（4）融資型（Lending-based）

融資型は、支援者が貸付型の資金提供を行い、利息を受け取るタイプです。
クラウドレンディングとも呼ばれ、企業向けだけでなく不動産や再生エネルギーなどの分野にも広がっています。
投資リターンを求める支援者が多いのが特徴です。

代表的な国内プラットフォーム：

・SBIソーシャルレンディング

・Crowd Bank

4. ファンドレイジングプラットフォームのメリット

オンラインプラットフォームを活用したファンドレイジングには、従来の資金調達方法にはない多くの利点があります。

メリット①：誰でも簡単に資金調達が可能

銀行融資やベンチャーキャピタル投資のように複雑な審査がなく、プロジェクトページを作成するだけで資金募集を開始できます。
個人や小規模団体でも、手軽に全国・全世界の支援者にアプローチできる点が魅力です。

メリット②：事業の共感・支持を得やすい

単なる資金提供ではなく、「理念」や「目標」に共感した人々から支援を受けられます。
特に社会的課題を解決するNPOや地域再生プロジェクトなどでは、共感による支援が集まりやすい傾向にあります。

メリット③：PR・マーケティング効果がある

プロジェクトの告知を通じて、自然とブランド認知や商品テストマーケティングの効果が得られます。
購入型クラウドファンディングでは、消費者の反応を先に把握できるため、新商品の需要予測にも活用可能です。

メリット④：資金の透明性を確保しやすい

プラットフォーム上では、支援金額や進捗状況が公開されるため、透明性の高い資金管理が可能です。
支援者との信頼関係を築きやすく、次回以降のファンドレイジングにもつながります。

5. ファンドレイジングプラットフォームのデメリット・注意点

便利な一方で、次のようなリスクやデメリットも理解しておく必要があります。

デメリット①：目標金額に届かないリスク

多くのプラットフォームでは「All or Nothing」方式を採用しており、目標金額に達しなければ資金を受け取れません。
集客力や広報力が不足していると、せっかく準備しても失敗に終わることがあります。

デメリット②：手数料が発生する

プラットフォーム運営会社に支払う手数料が発生し、一般的に支援金の5〜20％程度が差し引かれます。
また、決済手数料や振込手数料なども別途必要です。

デメリット③：プロジェクト運営の労力が大きい

募集ページの作成、広報活動、支援者対応、リターン発送など、運営には多くの時間と労力がかかります。
特にリターン型の場合、発送管理が煩雑になりがちです。

デメリット④：失敗時の信用リスク

プロジェクトが未達成に終わったり、リターンの提供が遅れたりすると、支援者からの信頼を損なう恐れがあります。
誠実な対応と報告が欠かせません。

6. ファンドレイジングプラットフォームを成功させるポイント

せっかく立ち上げたプロジェクトを成功に導くためには、次のようなポイントを意識することが重要です。

目的と目標金額を明確に設定する

支援者が納得できる明確な目的を掲げ、根拠ある金額を提示しましょう。
あいまいな説明では共感を得にくくなります。

ストーリー性のあるプロジェクト内容にする

数字や事実だけでなく、「なぜこのプロジェクトをやるのか」「どんな未来を作りたいのか」を伝えることが大切です。

SNSを活用して継続的に発信する

ファンドレイジングは「立ち上げて終わり」ではありません。
進捗報告や感謝のメッセージなどを定期的に発信し、支援者との信頼関係を築きましょう。

信頼できるチームで運営する

一人では対応が難しいため、広報担当・会計担当など役割を分担すると効率的です。

実績を積み重ねて次につなげる

小規模なプロジェクトで信頼を得てから、徐々に規模を拡大するのが成功の近道です。

7. まとめ：ファンドレイジングプラットフォームは「共感で資金を集める時代の鍵」

ファンドレイジングプラットフォームは、資金調達の新しい形として、今後ますます重要性を増していくでしょう。
銀行融資のような審査に頼らず、共感と信頼によって資金を集められる点は、個人や中小企業にとって大きなチャンスです。

ただし、誰でも簡単に始められる反面、「信頼の積み重ね」がなければ成功は難しいのも事実です。
資金集めの目的を明確にし、支援者とのコミュニケーションを大切にしながら、誠実な運営を続けることが、長期的な成果につながります。

ファンドレイジングは、単なるお金集めではなく、共に夢を形にしていく「共創」のプロセス。
あなたの情熱とビジョンを正しく伝えられれば、世界中の人々がその挑戦を支援してくれるはずです。