今の時代はネットで資金調達ができる

2023年11月29日

何をするにもネット環境が欠かせなくなりましたよね。
資金調達においても、
「ネットで資金調達をしたいけれど、どんな方法があるの?」
「クラウドファンディングが話題になっているけれど、利用しても大丈夫だろうか」

そんな疑問や不安を持っている人も多いのではないでしょうか?

ネットを利用した資金調達といえば、いまは「クラウドファンディング」とほぼイコールと考えていいでしょう。
ひと口にクラウドファンディングといっても、その方法や種類はさまざまで、代表的なものは以下の4種です。

それぞれに、「資金は返済の必要があるか」「出資者にどんなリターンがあるか」などが異なるので、自分に合った方法を選ぶ必要があります。

そこでこの記事では、ネットでの資金調達=クラウドファンディングについて、必要な知識をわかりやすく解説します。

ネットで資金調達する方法4種

事業資金を調達するには、従来は銀行などの金融機関から融資を受けたり、投資家から出資をつのったりするのが主流でした。
が、近年ではインターネットを利用した資金調達法が注目を集め、「クラウドファンディング」という言葉をよく耳にするようになりました。

クラウドファンディングの種類も多様化し、現在は主に以下の4種の方法が利用されています。

また、実際に、クラウドファンディングの市場規模は年々拡大しています。

融資型クラウドファンディング(=ソーシャルレンディング)

「融資型クラウドファンディング」は、クラウドファンディングを運営する事業者が、小口の投資家から資金を集め、大口にまとめて企業に融資する仕組みのクラウドファンディングです。
「お金を借りたい人・企業」と「お金を投資運用したい人」とを結びつけるマッチングサービスと考えればいいでしょう。
「ソーシャルレンディング」、または「貸し付け型」「ファンド型」とも呼ばれ、購入型とは違って「投資商品」という位置づけです。

そのため融資を受けた企業側は、融資金に利息を加えて仲介業者に返済をしなければなりません。
一方出資した投資家は、その返済金や利息をもとに、分配金を受け取ることができます。

この方法も購入型と同様に、「信用度が低い」「開業間もない」などの理由で銀行融資が受けられない企業でも利用できるのがメリットです。

が、「何のための資金調達か」によっては、投資家からの資金が集まらず、融資を受けられない可能性もあるのが難点といえるでしょう。

購入型クラウドファンディング

クラウドファンディングの中で、現在のところもっとも多く利用されていると思われるのが、「購入型クラウドファンディング」です。

あるプロジェクトや企画などを立ち上げた人=起案者に対して、それに賛同・支援する人が出資する仕組みです。
起案者は、資金を返済する必要はありませんが、出資に対するリターンとして、そのプロジェクトに関する商品やサービスを提供するのが特徴です。

この方法には、

■プロジェクトの実施は決定していて、集まった金額をそれに使う
■目標金額を設定し、それが達成されればプロジェクトを実施、達成されなければ断念する

という2つのタイプがあります。
前者の場合、プロジェクトが実現しなければ出資金は出資者に返金する必要があります。

魅力的な企画や事業であれば、自己資金がゼロでも多額の資金を集められる点に注目が集まり、新商品の開発から町おこし、イベント開催、映画製作などさまざまな分野で成果をあげています。

銀行などの金融機関からは融資を受けられず、出資してくれる個人投資家も見つからない場合でも利用できるのが利点ですが、反面、希望通りの資金が集まらずに消えていくプロジェクトも多くあります。

株式投資型クラウドファンディング

資金調達したい企業が、クラウドファンディングを運営する事業者を通じて、投資家に企業の未公開株を提供することで出資を受けるのが、「株式投資型クラウドファンディング」です。

企業側は、未上場でも多くの投資家から出資を募ることができます。
投資家は公開前の株式を入手し、その企業が成長して上場した際には、持ち株を売却することで売却益を得られる仕組みです。

ただこの方法は、クラウドファンディングの中でも新しいもので、日本ではまだ成功実績が非常に少ないものです。
企業側が株式上場するまでには時間がかかるため、投資家もすぐに利益を得られません。
そのため、投資家もまだ慎重になっている面もあるようです。

実際に、株式投資型クラウドファンディングの市場規模はまだ以下のグラフ程度です。
2019年度には購入型が169億円だったのに対して、株式投資型はわずか5億6,000万円しかありません。

今後、成功実績が多く出るようになれば、多くの出資が集まるようになるでしょう。

寄付型クラウドファンディング

最後に「寄付型クラウドファンディング」です。
起案者が立ち上げたプロジェクトや企画に対して、賛同する支援者が出資するのは「購入型」などと同じですが、相違点は出資者へのリターンがないことです。

購入型であれば、出資者には出資の見返りとして商品やサービスを提供しますが、寄付型の場合は何も提供しなくてもよいのです。
そのため、出資されるお金は「出資金」というより「寄付金」と捉えられ、プロジェクトも営利目的のものより、被災地支援や子育て支援など、社会貢献的な活動が多くなっています。

ただ、起案者側も寄付をもらいっぱなしというわけではなく、多くの場合では、お礼の手紙や活動報告などをリターンのかわりに送っているようです。

ネット資金調達のメリット

ネットによる資金調達は、近年さまざまな形で普及してきていることがわかりましたよね。
では、従来の銀行融資や投資家からの出資に比べて、ネットで資金調達することのメリットとはなんでしょうか?
それは以下の4つです。

初期費用が掛からない

まず、資金調達に初期費用がかかりません。

クラウドファンディングを行っている運営会社の多くは、基本的に申し込みや募集に際して費用が必要ありません。
無料で専用サイトにプロジェクトやファンドを掲載して、資金調達ができた場合のみ手数料を支払えばいいのです。

つまり、自己資金ゼロでも資金調達ができるので、「アイディア1本で起業したい!」という人にもチャンスがあるのが利点です。

宣伝効果がある

クラウドファンディングは、ネット上にプロジェクト内容を公開して、広く資金を募ります。
そのため、プロジェクトがスタートする前から多くの人に知ってもらうことができ、宣伝費用をかけなくてもプロモーションができるというメリットもあります。

さらに、購入型クラウドファンディングを利用する際には、リターン自体を販促物にすることも可能です。

たとえば、「地元の新しい名物として、商品Aを開発・販売したい」という場合、リターンを「商品Aそのもの」や「商品Aを店頭で50%割引で買える権利」などに設定したとします。
すると、出資者が商品Aのファンになってくれたり、店舗にくることで常連になってくれるかもしれません。

ネットを利用することで、ダイレクトメールやポスティングなどよりもはるかに拡散性の高い宣伝効果が期待できるのです。

金融機関より審査が厳しくない

クラウドファンディングを行うには、各クラウドファンディング会社の審査に通過しなければいけません。
そのプロジェクトが信用性に足るものか、詐欺などの可能性はないか、資金が集まった場合にプロジェクトを実行・完遂することができるか、などを審査されます。

が、金融機関などの融資審査と比べると、クラウドファンディングの審査基準は非常に低く、通りやすく設定されています。
そのため、実績のない企業やスタートアップ企業、個人などでも資金調達ができるのです。

融資型クラウドファンディング以外は返済の必要がない

前の章で説明したように、融資型クラウドファンディングは「融資」ですので、資金提供を受けた企業には返済義務があります。

が、「購入型」「投資型」「寄付型」であれば、出資金は返済する必要がありません。
もちろん利息なども発生しません。
購入型の場合は、出資者にリターン=返礼品を送る必要はありますが、それは出資を募る企業側が自由に決められるので、負担にならないものを提示すればよいでしょう。

返済のない出資金が一度に多額に集まるというのは、非常に大きなメリットと言えます。

ネット資金調達のデメリット

ネットでの資金調達には4つのメリットがありました。
が、もちろんネットならではのデメリットもあります。
それは以下の3点です。

募集から資金調達まで時間がかかる

事業資金が必要なときは、えてして「なるべく早く手元にお金がほしい」と急いでいることが多いものです。
そんなとき、ファクタリングやビジネスローンであれば、即日で資金調達できる可能性がありますが、クラウドファンディングの場合はそうはいきません。

資金を集めるためには、プロジェクト公開から数十日間の募集期間を設定して出資を待たなければいけませんし、締め切ってからすぐに入金されるとも限りません。
業者によりますが、募集締め切り日の翌月末に振り込まれるところもあります。

申し込みから入金までの期間は、クラウドファンディング会社や案件によってまちまちですが、おおむね4~6か月程度はかかるようです。
急ぎで資金調達したい場合には向かない方法と言えるでしょう。

アイディアを模倣される

クラウドファンディングでは、プロジェクトの詳細な内容を事前にインターネット上に公開する必要があります。
これは、前章でも触れたように大きな宣伝効果につながる反面、貴重なアイディアを誰かに模倣されてしまうリスクもはらんでいます。

もしくは、資金力のある企業が、先んじて同じプロジェクトを実行してしまうかもしれません。
そうなると、そのアイディアは自分独自のものか、どちらが先に思いついたものかを証明することは難しいでしょう。

かといって、情報を出し渋るとプロジェクトの有望性や将来性、魅力などが伝わらず、出資者が集まらないという結果になりかねません。

プロジェクトの内容は、どんな形でどの程度まで公表するかは、クラウドファンディング会社と相談するなどして慎重に決める必要がります。

資金調達できない可能性も大いにある

クラウドファンディングでの資金調達は、出資が集まらなければ失敗に終わってしまいます。
集まっても希望額に満たない場合もありますし、購入型で「目標額が集まればプロジェクト実施」というタイプであれば、目標が達成できずにプロジェクト自体が潰えてしまうこともよくあります。

実際に、日本でクラウドファンディングが成功する確率は30~40%程度とも言われていて、失敗する確率のほうが高いのです。

将来性のある魅力的なプロジェクトをわかりやすくプレゼンしなければ、必要な資金が調達できないと考えてください。

ネット資金調達を成功させるコツ

では、ネットを使った資金調達を成功させるには、どうすればいいのでしょうか?
この章ではそのためのコツを挙げておきましょう。

具体的なビジネスプランを提示する

必要な出資を集めるには、ネット上であなたのプロジェクトを閲覧した人の中からなるべく多くの人に、「出資したい」と思ってもらわなければなりません。
そのためには、プロジェクトの内容はあいまいにせず、具体的にわかりやすく説明することが必要です。

たとえば、

・いつ
・どこで
・何のために
・どのようにしてプロジェクトを実施し、
・どうやって利益やメリットを生み出すのか
・そのために集めた資金はどこでどう使うのか
・将来性、成長性がなぜ期待できるのか

といったことを盛り込んだ、説得力のある企画書をつくりましょう。

特にネットの特性を生かすには、動画を利用するのがおすすめです。
写真や文章だけの説明と比べて、動画は格段に情報量が多く、見る人に伝わりやすいため、クラウドファンディングの成功率がアップする傾向があるのです。

商品を作っている動画や実際に使用している動画、起案者がプロジェクトについて説明する動画など、いろいろな内容が考えられます。
動画内で返礼品=リターンについて紹介してもいいでしょう。

プロジェクトの内容と資金の使い方を明確に、具体的に提示してください。

出資者に共感してもらう

もうひとつの成功ポイントは、「共感」です。

銀行などの金融機関から融資を受ける際には、企業の信用力が重要になります。
経営状態がいい、価値ある担保を保有しているなど、信用度の高い企業であれば融資を受けられます。

一方で、クラウドファンディングの場合、信用度が低い企業や人による募集であっても、多くの共感を得られれば資金が集まります。

たとえば、多くの人が興味を持つように、解決したい問題だと感じるように、必要だと思えるようにと意識したプロジェクト説明をすることです。
「自分もこれが不便だと思っていた」「こんなサービスが欲しかった」「この問題を解決するために、自分も何か力になりたい」
そんな気持ちに訴えかけるのです。

「このプロジェクトは自分にも関係がある、自分にも役立つことだ」と感じさせることができれば、それは人の共感を得たことであり、出資のモチベーションにつながります。

ネット資金調達の注意点

インターネットでの資金調達は、信用度の低い企業や個人でも実現できる手軽な方法です。
が、簡単にできるだけに、トラブルや詐欺なども置きやすく、注意が必要です。

そこでこの章では、ネットで資金調達する際に注意すべき点を挙げておきましょう。

セキュリティに気をつける

また、インターネットを利用する特性上、個人情報などのセキュリティには十分気をつけてください。

まず、セキュリティに関してや個人情報の取り扱いに関して、きちんとした取り決めを明示しているサイトを利用しましょう。
自分がプロジェクトを起案する際には、出資者の個人情報の扱いは慎重にし、外部に漏れることのないようる十分に気を配る必要があります。

サイトは大手を利用する

まず、ネット上でクラウドファンディングができるサイトは数多くありますが、基本的には大手サイトを利用するようにしましょう。

というのも、クラウドファンディングを扱うサイトは栄枯盛衰が激しく、新たなプラットフォームが次々と誕生していますが、消えていくものも多いのです。
プロジェクトを公開したはいいけれど、途中でサイトがなくなってしまう……などということがあれば、出資者側は金銭的被害をこうむることになり、起案者としてもトラブルに巻き込まれる恐れがあります。

また、クラウドファンディングを悪用した詐欺の事例も発生しています。
たとえば、

▼約束した返礼品=リターンを送らない
▼架空のプロジェクトで出資をつのる

などです。
そのような詐欺が横行すると、出資者も慎重になってしまいます。

そこで、同じようなクラウドファンディングサイトでも、運営年数や規模などを比較してみて、長年続いていて審査もしっかり行っている大手サイトを利用するのがおすすめです。

まとめ

いかがでしょうか?
ネットでの資金調達について、知りたかったことがよくわかったかと思います。

以上を踏まえて、あなたが自分に合ったクラウドファンディングで資金調達に成功できるよう願っています。